どこまでも真っ直ぐでお人好しな酒場の白兎   作:花見崎

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EP.21 酒場の白兎

ベル・クラネル()】と聞いて、1体何人の方が彼のことを認知するだろうか。『大抗争(あの時)』を知る者も、水面下で動き続けていた彼を知るものは数しれない。

その上、冒険者時代の彼を語れる者は両の指で数える程度だろう。

 

 

彼と何かしらの形で知り合った人からは【酒場の白兎(パテカトル)】と呼ばれ始めている。その人のほとんどが私か他の人経由で関わるのがほとんどです。

 

 

彼と私が初めて邂逅を果たしたのは七年前。闇派閥との対戦の中で、どれほど彼に助けられたことか。

更にはその2年後、私達のファミリアを助けて貰うまで。2年間どこで何をしていたのか、

 

 

「無理にとは言わないわ。彼について少しでも教えて欲しいの。」

 

 

「・・・」

 

 

以前、アストレア様から、このようなことを質問をされたことがある。

 

 

「・・・少し、考えさせてください。」

 

 

なぜ、私はこの時躊躇したのだろうか。元より彼の情報は公言しないこと。他言無用で頼まれた。この約束を私自身破るつもりもなかった。それなのに躊躇してしまったのは私自身の未熟さゆえだろうか。

 

 

「私にさ貴方の交友関係についてとやかく言える立場じゃないわ。そりゃあ、恋人や悪い人に騙されるような事になってくると、ちょっと話は変わっちゃうけど。それでも、私はリューを信じる。」

 

 

「それでは何故、ベル・クラネルについて?」

 

 

「んー・・・そうねぇ。女神故の好奇心かしら?家族(ファミリア)内でも気難しいリューがあんなに破顔しながら話す男子についてね。」

 

 

「わ、私そこまで酷い顔してません!?」

 

 

「ふふっ、1度でもいいからアリーゼ達に見せてあげたいくらいだわ。」

 

 

「そ、それだけは辞めてください!」

 

 

「冗談よ、冗談。それで?話してくれるかしら?」

 

 

「・・・すみません。私の独断で彼の情報を話す訳にはいけません。」

 

 

神に子供の嘘は通じない。ならばわざわざ隠す必要もない。さっきまで躊躇してしまったのは・・・おそらく気の所為です。

 

 

「・・・ですが、一つだけ。」

 

 

これだけは言っても差し支えないでしょう。

 

 

「我々の大恩人です。」

 

 

「そう。なら、今度お礼に行かないとね。」

 

 

「・・・え?」

 

 

・・・

 

 

「シル、少しよろしいでしょうか。」

 

 

「リュー?ベルさんならまだ帰ってきてないよ?」

 

 

「ですから何故そこでクラネルさんの話になるのですか。」

 

 

「え?だってリューったらここに一人で来る時はいっつもベルさんの事じゃない。」

 

 

「えっ、いえっ、そ、そんなことはない・・・かと。」

 

 

「ふふっ、それで?今日はどうしたの?」

 

 

「正直、今更な所ではありますが彼に何か今までの分も含めてお礼をしたいのです。」

 

 

無論今までの報酬分は全て彼に渡してきた。彼の性格上、お店の売上に貢献するという形で流れてしまった分もありますが、報酬とは払ってきたものの、お礼として返したことはありません。

ですから、アストレア様と共にお礼をする際に一緒に渡すことに決めたのです。

 

 

「いざプレゼントをしようにも、彼の趣向が分からず・・・」

 

 

「それで私に相談してきたの?」

 

 

「えぇ。クラネルさんと親しく、相談できるのはシルだけですから。」

 

 

「うーん・・・ベルさんって余りお洒落とかショッピングってあまりしないから。そういえば、甘いものが苦手だった気がする。」

 

 

「ありがとうございます。食べ物を贈るかはまだ未定ですが頭に入れておきます。」

 

 

クラネルさんとの付き合いは長いものの、私はクラネルさんについてほとんど知らない。二年間、何をしていたか。冒険者の時代の話も。

 

 

「ごめんね?力になれなくて。」

 

 

「いいえ、苦手な物が聞けただけ良い収穫です。ですが、私が選んだプレゼントで喜んで貰えるでしょうか・・・」

 

 

「大丈夫!リューが気持ちを込めて選んだ物なら絶対喜んでくれるよ!」

 

 

「・・・そうでしょうか。」

 

 

「そうです!」

 

 

「感謝しますシル。」

 

 

やはり彼女に聞くのが1番ですね。

 

 

「リーオーンー!何してるのー?」

 

 

「えっ、ちょっと待ってください!だからその抱きこうとするのを止めて下さいアーディ!」

 

 

・・・

 

 

「・・・じーっ」

 

 

「え、えーっと・・・何でしょうか?」

 

 

食料庫での一件が終わり、レヴィスの手によって主柱が破壊され、食料庫の天井が崩落したことで全員追い出される形でこの一件は幕を閉じた。

 

 

「・・・どうして?」

 

 

「へ?」

 

 

み、脈略が無さすぎて会話が成り立たない。雰囲気的には怒っているような困惑しているような・・・

 

 

「君は・・・レベル1・・・だよね?」

 

 

「えーっと・・・」

 

 

分かった、この人僕を誰かと勘違いしているんだ。・・・でも、誰と勘違いしているんだ?

 

 

「君はどうしてここまで強くなれるの?」

 

 

「あ、あのー。どなたかと勘違いされてませんか?」

 

 

「・・・はっ!ごめん。なさい?」

 

 

「なんで疑問形!?ま、まぁ勘違いは誰にでもありますし・・・」

 

 

「そろそろ出発しますよ。闇派閥達が食料庫を壊した以上、ここに長居しても無駄でしょう。このまま地上に戻って報告します。」

 

 

「何をやっているのだクラネル。」

 

 

彼女を前衛に敷いて地上に出ようとするかのじょたちに続こうとすると、後ろから声をかけられる。

 

 

「フィルヴィスさん。ありがとうございました。」

 

 

「なぜお前が礼を言う?我々は【剣姫】を探しにここまで降りてきたまでだ。」

 

 

「いえ、フィルヴィスさん達が来なかったら間違いなく被害は広がっていました。他の御二方も含めてありがとうございます。」

 

 

「う、噂通りの人ですね・・・」

 

 

「やはり変わらんな、クラネル。」

 

 

「フィルヴィスさんの方は・・・大分柔らかくなりましたね。」

 

 

「そうなのか?」

 

 

「んーなんというか…少しだけ綺麗になったというか・・・やはり隣の彼女の影響でしょうか?」

 

 

「そうだな、紹介しておこう。彼女はレフィーヤ・ウィリディスだ。」

 

 

「えーっとベル・クラネルさんですよね?お話はフィルヴィスさんから聞いています!」

 

 

「フィ、フィルヴィスさん!?」

 

 

「だ、大丈夫だ。そこまて詳しい情報は出てないはずだ!」

 

 

「・・・.はぁ。」

 

 

 

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