どこまでも真っ直ぐでお人好しな酒場の白兎   作:花見崎

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リューさんの小説を書きたいけどてんで思い浮かばない今日この頃いかがお過ごしでしょうか


ほんまお久しぶりです


もう1作はエンディングは思い浮かんでるのに全く筆が進まない不思議ぃ



いつもは単行本片手にやってるのですが今回はそれは無い!なので色々ツッコミどころあると思いますが優しく指摘してやってくださると嬉しいです



最初に言っておこう、俺は恋愛系を書くのは苦手だ


EP.23 ドッペルゲンガー

 改めて確認しておこう。

 アル・クラネル。所属は【ヘスティア・ファミリア】であり、レベルは1。到達階層はルーキーにしては早い7階層である。

零細ファミリア出身のソロプレイヤー。それが担当であるエイナ含めたギルド受付員全員の印象のはずだった。

 

 

 

その印象が徐々に崩れてきたのはいつ頃だったであろうか。

 

 

 

『白髪の男性冒険者に24階層で助けられた』

 

 

 

この一言から生じた亀裂は少しずつ、されどそれは確実に広がっていく

 

 

 

事の発端はエイナの同僚であるミィシャがエイナにアルに似た特徴の冒険者にダンジョンで助けられたとの情報を伝えたことからだった

最初こそ間違いだ。他人の空似などと、気にしない様子ではあったが、アドバイザーであるエイナ含めたギルド職員みな合致する冒険者を知らないのである。

 

 

アル自身は否定しているし、嘘をつけるようなタイプである事はエイナ自身よく知っている。だからこそこの真偽に終止符が打たれることはなく、弾けず薄れないまま噂だけが存在しているのだ。

 

 

 

「不思議だよねぇ。私達だけじゃなくて先輩たちでさえ知らないなんて。」

 

 

 

「そうだね。今回の件についてはギルド長からは『他言無用だ!余計な混乱を冒険者達に招くなよ!分かったな!』の一点張りだし・・・」

 

 

 

「弟くんと見間違えたってことは無いんでしょー?」

 

 

 

「うん。24階層なんて今のアル君だと上級冒険者に連れてこられなきゃさすがに行けないし・・・」

 

 

 

「だよねぇ、相当運でも良くなきゃ難しいよねぇ。」

 

 

 

「レベル1で18階層まで落ちるのは運が悪いと思うんだけど・・・」

 

 

 

「もしかしたらあれじゃない?あれ!」

 

 

 

「どうしたのミイシャ、急に大声なんか出したりして。」

 

 

 

「ほらあれだよ!一時期冒険者達の中で噂になってた『どっぺるげんがー』?ってやつ!」

 

 

 

「あー、あの姿形が全く一緒の人が3人はいるってあの噂?たしかに話は似てるけど結局あれデマだったじゃん。」

 

 

 

一時期、ある男神の悪知恵によって全く一緒の冒険者が別々の場所で目撃されたことからひょんな騒動は始まった。

 

 

 

最初は幻想でも見たのだとか、他人の空似だと誰も本気にもせず75日立たずと流れていくはずの噂だったが、とある神が発した一言でこの噂は勢いが増す羽目になってしまったのだ

 

 

 

「そいつは『ドッペルゲンガー』だ!気をつけろ!自分と瓜二つの奴と出会った奴は殺されちまうんだってよ!」

 

 

 

元よりバカ騒ぎが好きな神だったこともあってか、当初は相手にすらされることもなかったが、とある事件を皮切りに事態は思わぬ方向へと進んでしまう

 

 

 

「お、おい聞いたか!ハシャーナが不審死だってよ!」

 

 

 

「おいおいまじかよ。ハシャーナつったらガネーシャん所のレベル4だろ!?誰がやれんだよ!?」

 

 

 

「お、おい待てよ。確かハシャーナって言ったら確か『ドッペルゲンガー』の・・・」

 

 

「お、おいあれは神が流したデマだろ!?」

 

 

「でもよぉ!そうでもなきゃ説明つかねえって!」

 

 

 

訳あってハシャーナの死を不審死と公表していたせいで謎が謎を呼ぶ形で『ドッペルゲンガー』の噂は大きくなりすぎてしまった。

 

 

 

事態の拡大を忌避した【ガネーシャ・ファミリア】はハシャーナの死因を公表することで事なきを得た上で、全ての元凶である男神を吊るしあげることによって事態は終息の一途を辿って行った。

 

 

 

「コラ!その話は厳禁だって言ってるでしょ!」

 

 

 

「はーい。」

 

 

 

ギルドの先輩に小突かれ、彼女らの談合は終わりを告げる

箝口令が敷かれている以上、ギルドの誰も口に出すことはなくとも、不安と疑問が永遠と渦巻いては溢れていくのだった。

 

 

 

・・・・

 

 

 

「あっ・・・」

 

 

 

「地上で会うのはお久しぶりですねフィルヴィスさん。」

 

 

「あ、あぁ。クラネルはどこかに出かけていたのか?」

 

 

 

「これですか?」

 

 

 

フィルヴィスに指摘され、両手に提げた袋を両手で持ち上げる

 

 

 

「ミアお母さんから買い出しを頼まれたんですよ。表に出れない分、雑用は基本僕の仕事ですから。」

 

 

 

「そうか、お前も大変そうだな。」

 

 

 

「フィルヴィスさんこそ、その果実酒、ディオニュソス様用ですよね?」

 

 

 

「あぁ。いつもの発作だ。先程までオラリオ内を探し回ってようやく見つけられたのだ。」

 

 

 

フィルヴィスが提げている袋からは果実酒の入った瓶の先端が目に入ってくる

 

 

 

「ところでクラネル。このあと少しだけ時間をくれないか?」

 

 

 

「え、えぇ。あまり長くは取れないですけど僕でよければ。」

 

 

 

「ならば早速女主人に向かうとしよう。」

 

 

「えっ!悪いですよフィルヴィスさん!僕がファミリアのホームまで送りますから!」

 

 

 

「なに、私から頼んだせめてものお礼だ。これくらいはさせてくれ。」

 

 

 

「なにかお礼なんてされるようなことしたかな・・・」

 

 

 

ベルside

 

 

 

オラリオの空に星空が見え始めた夕暮れ時の頃、買い出しから戻ろうとした道中でフィルヴィスさんとばったり出会った

 

 

 

「なに、ちょっとお前に聞いてみたいことがあるんだ。少しだけ付き合ってくれないか。」

 

 

 

断る理由もなかった。フィルヴィスさんには食料庫で巻き込むことになってしまった事のお礼もまだ出来ていなかったから。たいした手土産もないけど

せめてお礼だけでも伝えようときめた

 

 

 

「まずは先日の食料庫での1件。改めて感謝を伝えたい。」

 

 

 

「・・・ほぇ?」

 

 

あまりにも素っ頓狂な声が自分の声から出てきてしまう。まさか自分が謝罪しようとしていた事で感謝されるとはまさか思っていなかった

 

 

 

「何を気の抜けた返事をしている。エルフでも感謝のひとつやふたつ言える。」

 

 

 

「あいや、そうじゃなくて。あの件、フィルヴィスさん達は僕たちに巻き込まれる形で参戦させてしまったので小言の一つや二つ覚悟はしていましたが感謝されるとは思ってもいませんでしたから。」

 

 

 

レフィーヤさんの魔法で一掃していなければ確実に悲惨な結果に終わっていたことは間違いない

 

 

 

「それに、レフィーヤとも出会えることが出来た。」

 

 

 

「レフィーヤさんってあの時一緒にいたエルフの?」

 

 

 

「あぁ、私にはもったいないくらいの素晴らしい同胞だよ。それに。」

 

 

 

「それに?」

 

 

 

「あの日、お前に言われた言葉をもう一度言われるとは思わなかったよ。まさかあのような恥ずかしい台詞を惜しげも無く口にする奴がいるとは思いもしなかった。」

 

 

 

「アハハハ・・・」

 

 

 

あれってそんなに恥ずかしい言葉だったかな・・・

 

 

 

「そう気負うことは無い。私としてはその言葉に2度救われている。」

 

 

 

「はい・・・」

 

 

 

「それで、お前に聞きたいことなのだが。」

 

 

 

さっきまでとは一風変わって、神妙な顔つきになるフィルヴィスさん。どんな質問が来るのかと身構えてしまう

 

 

 

「もし、もしもの話だ。闇派閥(イヴィルス)が壊滅した後、お前はどうするつもりだ?」

 

 

 

「・・・僕の役目はあくまで闇派閥を壊滅し、オラリオの平和を約束するまでという約束。本来なら目的が果たされた以上、僕がここにいられる理由なんてありません。」

 

 

 

「そうか…そうだよな。いやすまない、変なことを聞いてしまった。」

 

 

 

「ですが、もし許されるのであれば僕はその先を見てみたい。オラリオに集った冒険者たちがどんな冒険譚を紡いでいくのか。どんな結末を描いてくれるのか。」

 

 

 

「そうか・・・そうだな。」

 

 

 

「フィルヴィスさんも勿論その1人ですからね!」

 

 

 

「い、いや私は。そんな大したことは・・・」

 

 

 

「別に普通でいいんです。闇派閥の居なくなった世界を、一日を感じながら過ごしてくれれば。僕はそれを見れるだけで満足なんです。」

 

 

 

「ふっ、お前らしいな。ならそうだな、もし許されるのならば、しばらく私に付き合って貰うかな。」

 

 

 

「えぇ!?」

 

 

 

「なに、そう身構えるな。ダンジョンに潜るわけじゃない。少しお前とゆっくり過ごしてみたいと思ってるだけだ。」

 

 

 

「えっ、あっいや。フィルヴィスさんからそう言われると思ってなくて・・・僕なんかで良ければいくらでもお供させていただきますよ。」

 

 

 

「クラネルだからこそ私は誘ってるんだ。約束したからな?死ぬなよ。」

 

 

 

「フィルヴィスさんこそ。約束のキャンセルは締め切りましたからね?」

 

 

 

「あぁ、もちろんだ。」

 

 

 

気がつけば、空はすっかり星空に覆われていた

いつ死ぬかも分からないようなこの場所で、訪れるかどうかも分からない約束を交わしてみる

 

 

 

シルさんかとの約束もあるんだ、せめて壊滅までは見届けよう。それからのことは流れに任せるだけさ

 

 

 

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