バチン!!
「しらない!しらない!」
「だまらっしゃいっ!!」
ヴァリエール家の地下室では数日前から悲鳴が聞こえていた。その悲鳴はヴァリエール公爵御が捕らえたジャイアンとスネ夫のものだ。彼らはヴァリエールの屋敷に幽閉され、毎日のように拷問されている。
「平民の割に、強情ね。」
拷問されている二人をまるで下らぬものでも見るかのようににらみ、見下ろしている女性。彼女はエレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール。ルイズの姉で、ラ・ヴァリエール公爵家の長女。ルイズの高慢さを拡大したような激しい気性の持ち主。
「お姉様、やりすぎです!」
声をあげるのはルイズのもう一人の姉、カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ、性格はルイズと違っておっとりとしていて優しく、傷付いた動物を発見しては拾って手当てをしているため、彼女の馬車や部屋の中は動物園と化している。
「お黙りカトレア!これはヴァリエール家にかけられた、あらぬ疑いをはらすために、どうしても必要な事なのです!!」
オスマンを含む学園の貴族たちはジャイアンとスネ夫がルイズを連れ去ったと言っている。逆にシエスタを含む平民たちは、ルイズが自らの意思で姿を消したと言っているのだ。貴族と平民の話が食い違っている。だが名門ヴァリエール家としてはどちらを信じるか考えるまでもない。
「ゼロといえども、あの子もヴァリエール家の一員です。姫殿下に手をあげるなんて事は絶対にしません!」
完全に貴族の言うことを鵜呑みしているエレオノール。
「でもこのままでは二人とも死んでしまいます!」
「平民の命なんてどうでもいいわ!」
「・・・・・・・・・・・・。」
姉や両親に何度講義しても、この調子なのである。そんな姉と両親の態度にカトレアはある作戦を立てていた。
その頃、王国では・・・・・
「本当はお前なんじゃないのか?」
「何が?」
見張りの兵士たちがコソコソ内緒話をする。
「マザリーニ枢機卿がいなくなったの・・・・・」
「なんのことだか?」
「俺、お前とマザリーニ枢機卿が一緒に歩いているの見たんだぜ!」
「チッ、見てたのかよ。誰にも言うんじゃないぜ!」
すると背後から人影が現れる。
「どういうことです?」
「『マリアンヌ大后!?』」
よりにもよって一番ヤバイ人間に話を聞かれてしまった。
「今の話は本当ですか!?本当にあなたがマザリーニを・・・・」
このままでは自分は打ち首になってしまう。そんな事を思いながら兵士は拳に力を込める。
「えぇい!!!!」
ドン!!
兵士は突然、マリアンヌの腹部を殴る。
「ガッ!」
不意打ちをくらい彼女はその場で膝をつく。
「この女、あの平民たちと結託して我々を消そうとしてるぞ!」
その言葉に兵士たちが集まり出し、マリアンヌの身体を拘束していく。
翌日、マリアンヌ大后が病に倒れたと国民に発表された。