ガタン
「処刑場に連行する。」
兵士たちは寝っ転がっているジャイアンとスネ夫を無理やり立たせると、そのまま牢屋を後にする。
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
手を後手に拘束されたジャイアンとスネ夫は言われるがまま馬車に乗せられた。
しばらくして二人はアンリェッタが用意した処刑台へと連れてこられた。そんな彼らを大勢の貴族や王族は笑っている。
「やっちまえ!!!」
「死ね、平民!!」
「貴族に逆らうからだ!!」
「『「『「殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ!!!!」』」』」
大笑いしている。しかもワインやお菓子を片手に。彼らにとって、平民が処刑されるのは酒のつまみに等しいことなのだろう。
「さあ、乗れ。」
ジャイアンとスネ夫は台の上でうつ伏せに寝かせられ、首が動かないように固定される。ギロチン。それは、2本の柱の間に吊るした刃を落とし、柱の間にうつ伏せ状態にさせた罪人の首を切断する斬首刑の執行装置である。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
するとジャイアンとスネ夫の前に一人の人物が現れた。
「誰だ、お前は?」
それは嘗て自分たちが友達になった男、ウェールズだった。
「姿形を真似ても、中身は誤魔化せねえぞ!!」
その言葉にウェールズは笑みを浮かべる。
「無礼者!!」
するとウェールズの隣に見知った顔が現れる。
「アルビオン王国の皇太子で、私の大切な人になんて口をきくのですか!!!」
アンリェッタは声をあげる。それを見て、ジャイアンとスネ夫は全てを理解する。この女はとうとう完璧な操り人形になってしまったのだと。
「こいつはウェールズじゃないぞ?」
「そんなことは知ってるわ。わたしの居室で唇を合わせたときから、そんなことは百も承知。でも、それでもわたしはかまわない。お前たちは人を好きになったことがないのね。本気で好きになったら、何もかもを捨ててもついて行きたいと思うものよ。嘘かもしれなくても、信じざるをえないものよ。わたしは誓ったのよ。水の精霊の前で誓約の言葉を口にしたの。『ウェールズさまに変わらぬ愛を誓います』と。世のすべてに嘘をついても、自分の気持ちにだけは嘘はつけないわ。」
偽者と知りつつも側にいることを選んだアンリェッタ。そんな彼女にジャイアンとスネ夫はため息をつく。彼らにしてみれば、愛というよりも互いに利用し合っているように見えるからだ。ウェールズはアンリェッタを使い、反逆者たちを処刑する。そしてアンリェッタは女王という名のプレッシャーに押しつぶされないようにウェールズに支えてもらう。このような関係に愛などあるはずがない。
「わたしのお前たちに対する、最初で最後の命令よ。この国の為に死になさい!!!」
そう言うとアンリェッタはウェールズと共に去っていった。
「『ごめんなさい、許してください!』」
「許すか、ボケ!!」
ジャイアンとスネ夫がいきなり謝罪を始める。そんな二人に執行人たちはツツコミを入れる。
「すみません。ルクシャナが食べていたクッキーにコッソリ鼻糞をつけたのは俺です。」
「すみません。ルクシャナが米を洗っていた川の上流でオシッコをしたのは僕です。」
しかも全く関係ないことを誤っていた。
「最後に言い残すことはないか?折角、こんなに見物人がいるんだ。」
「『・・・・・・・・・・・・。』」
「まあ、いい。どっちにしてもお前たちはここで死ぬのだからな。」
するとジャイアンとスネ夫は息を大きく吸い込み、叫んだ。
「俺はジャイアン。 ガキ大将、天下無敵の男だぜーーーーーーー!!!!」
「ママーーーッ!!!!」
二人の大声が国中に響き渡る。
「『「『・・・・・・・・・・・・』」』」
聞いていた貴族や王族たちは時が止まったかのように唖然とする。すると黒い雲が空を覆い始めた。
「死刑、執行!!!」
ガタッ
ギロチンの刃が支えを失い、落下する。
デッドエンド