「アンリエッタ王女・・・・・・」
「あの女・・・・落ちるところまで落ちたな・・・・」
目線の先には『元王女』という肩書きを持った奴隷が立っていた。キッとなって観客たちを睨みすえた。本当は恐ろしさと恥ずかしさで泣きたいくらいだ。なにせ一糸まとわぬ素っ裸を、見ず知らずの平民たちに晒しているのだから。萎えそうになる気持ちをそれでもなんとか奮い立たせているのは、王女としてのプライド、そしてこの場にいない想い人への信頼と愛情だ。トリステインの白百合と評される程の美貌と、木目細やかな肌に、その存在を大きく主張する胸だけでも、世紀末計算では水食料一ヶ月分以上はカタい。
「七百万!!」
「八百万!!」
「九百万!!」
そうこうしている内に落札は進んでいく。
「愚かだね・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
その様子を呆れた顔で眺めるジャイアンとスネ夫。
「落札、おめでとうございます!!」
アンリエッタは自分を落札した人物に視線を向ける。
「ひっ!」
180cmくらいの中年男性で全身がメタボ体型で、顔はまるでオークのように醜く、顔から出る汗は脂じみていた。
「・・・・・・・・・・・・・。」
馬車の中にはオークションで落札された少女たちが悲しみのあまり蹲っていた。そんな少女たちの中にアンリエッタはいた。手足を縛られ、これから自身に起こるであろう地獄の日々に怯えながら泣いていた。そんな彼女の元へ・・・・
「『「『・・・・・・・・・・・・・。』」』」
ジャイアン、スネ夫、シエスタ、ジエシカが現れる。
「あなたたちは・・・・・」
一瞬目を見開くアンリエッタ。だがすぐに目を逸らした。
「私を・・・・笑いに来たんですか?」
「ああ、そうかもな・・・・・・・・・」
アンリエッタの目から涙が零れ落ちる。
「女、お前がもし髪の毛が赤いだけで、殴られたらどうする?」
「ふぇっ!?」
「殴り返すか?」
「・・・・・それは・・・・」
ジャイアンの問いにアンリエッタは言葉を詰めらせる。
「もし向こうがまた殴り返してきたら?また殴り返すか?」
「・・・・・・・・・・・。」
「それが戦争だ。そしてその戦争に平民は巻き込まれる。お前たち、王族や貴族が好き勝手している間、平民たちはこうやって苦しんでるんだよ。王族や貴族なんて偉くもなんともない。本当に偉いのは辛いのを我慢して、他人の為に何かをしている奴の事だ。」
「なんといって・・・・貴方に謝ればいいの? わたくしのために傷ついた人々に、なんと言って赦しを請えばいいの・・・・?」
「さあな。そんなの自分で考えろ。生憎、俺様は誰かさんと違って人を変える力は持ってねえよ!」
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