「・・・・・・・・・・・・。」
アンリエッタはナイフを持ちながら奴隷に近づいていく。
「ひっ!?」
奴隷は涙目になり、首を振って嫌がる。だがアンリエッタは
「・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・」
と小さく呟く。そしてナイフを思いっきり振り被る。
「いやああああああああああああああああ!!!!」
だが
「!?」
アンリエッタは震えながらその場に座り込む。そんな彼女にジェシカは呆れた顔をする。
「どうしたの?今まで散々人を処刑してきたんでしょ?」
「・・・う・・・・・う・・・・う・・で、でも見ず知らず人間を殺すなんて・・・・」
「あなたが今までしてきたことじゃない。今更、人を殺すのが怖くなった?」
「・・・・そ、それは・・・・・・・」
「その子が無理なら、他の奴でもいいわよ。あいつとか、あの子とかさ・・・」
ジェシカは他の奴隷たちに視線を向ける。
「わ・・・・・・私には・・・・・無理です。」
アンリエッタはその場で泣き出してしまう。無理もない。元王族とはいえ、彼女はまだ17才の少女。自らの手で人を殺す覚悟など持ち合わせてるはずがない。
「なら、あなたが自害する?」
「えっ!?」
「もしあなたがここで自害すれば、この奴隷たちは助けるわ。」
「・・・・・・・・・・・」
アンリエッタは部屋の隅で震えながら許しを問う奴隷たちをみる。そして何かを決心したかのように立ち上げる。
【この力さえあれば、もう誰もバカにしない。力は裏切らない。力こそ全て。今の私には『虚無』の力がある。あの無敵と謳われたアルビオン艦隊を一撃で葬った伝説の力が!!この力で私は英雄になる。トリステインにこの人アリって、そんな風にみんなから称えられるのよ!!】
「あの、一つお願いがあります・・・・・・・」
「???」
全員の視線がアンリエッタに集中する。
「私が死んだ後、この国とルイズの事をお願いします。」
アンリエッタの心は罪悪感と後悔でいっぱいだった。だが全てを失った彼女にも一つだけ気がかりなことがあった。それは幼馴染みのルイズのことだ。例え本人から詐欺師と貶されようとも、彼女はアンリエッタにとって大切な友達なのである。
「私は王女失格です。ルイズやあなたたち平民に互いな迷惑をかけてしまいました。全て私がせいです、誰のせいでもない。私自身が犯した罪なのです。」
ジェシカから与えられた選択肢をアンリエッタは飲むことにした。
「こんな私に選択肢を与えていただきありがとうございました。」
アンリエッタは持っていたナイフの先を自身の喉元に近づけていく。
「ごめんね、ルイズ・・・・・・・・・・・・」
グサッ
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