転生者と妖怪   作:ゾル0306

10 / 16
覚醒とその後

モカside

 

 

別れて何分が経過しただろうか。一時間の様な気もするし、一分の様な気もする。

心愛、刈愛姉さん、亞愛姉さん、龍司、お父さん、お母さん・・・

 

「おかぁざん・・・」

 

俯いた顔からはポロポロと涙がこぼれる。

 

「止めてッ!」

 

思わず、止めるように口にしていた。運転手がブレーキを掛ける。

 

「お嬢様? どうされましたか?」

 

「やっぱり、戻る。一緒にいたい。」

 

「あっ、いけませんお嬢様! モカお嬢様っ!」

 

運転手の声を振り切り車から降りて走り出す。脳裏には母さんと交わした最後の会話が繰り返されていた。

 

『萌香、あなたにはこの館を出て行ってもらうわ。』

 

「――嫌だよ、お母さん……。なんでそんなこと言うの? 今まで一度も離れたことないのに。」

 

溢れ出る涙をこぼしながら走る。母のもとへ・・・

 

「やっぱり一緒にいたいよ、ずっと・・・おかぁさん・・・!」

 

あの笑顔を離れず見ていたい。

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

龍司side

 

 

 

両者が構えて数秒が経過した。危険と判断した時に出る。

 

先に動いたのは・・・亞愛だった。

 

以前の戦いのように手刀を繰り出す。

 

突き出した手刀が進路上の鎧を貫いた。そう、それは崩月次元刀。

アカーシャは愕然とした様子で亞愛を見つめていた。

 

「あなた、その術は・・・!」

 

「私だってなにも無策で挑んだわけじゃないわ。確かな確勝があるから、こうしてアカーシャさんの前に立っているの」

 

手を横にスライドすると切断されていく。

 

「・・・末恐ろしい子。あの人にしか使えないとされていた次元刀をその歳で身に付けるだなんて」

 

「私は幼い頃から中国の苗家に身を寄せていた。そこで殺し屋として大勢の敵を葬りながら、日々東方不敗の術を研究していたの。すべてはあなたを倒し、真祖の力を得るために・・・!」

 

再び手刀を構えた亞愛が突貫し、腕を振るう。上体を逸らすことで回避するが、掠ったため胸部が浅く切り裂さかれた。

いつの間にか背後に回り込んでいた亞愛はその首に手刀を叩き込む。慌てて頭を下げて躱すが、またもや薄く首筋を切り裂かれた。

そして・・・首元へ腕をクロスさせ突貫していく

 

―――こいつはヤバい

・・・無影刀を展開させ全身に張り巡らし亞愛に突貫していく。

 

亞愛の手刀が俺にあたるが・・・ダメージはない。

 

「それはなに?」

 

「これは無影刀といい、崩月次元刀を回避するための技だ。」

 

「へ~、龍司、あなたも危険。ここで殺すわ。」

 

「そうか、ならやってみろ。」

 

神器を使うか。

 

「アルビオン行くぞ。」

 

『うぉぉぉおおおお、久しぶりの登場だ。龍司思いっきり暴れるぞ。あの娘に私の力を見せてやれ。』

 

アルビオンは喜んでいるが対照的にドライグは落ち込んでいる。

 

『どうせ俺は相棒に使ってもらえない・・・・』

 

今度使うから我慢してくれ・・・。

白い光の翼―――白龍皇の光翼を展開させた。

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!!』

 

ドラゴンの力を具現化して鎧を羽織った。

アカーシャは見たことがあるが亞愛には見せたことがないから驚いていた。

 

「なんなのそれ?」

 

「鎧だ。戦う相手にネタバレはしねぇーよ。おしゃべりはやめてかかってこい。

この俺・・・四大冥王と呼ばれた力を見せてやる。」

 

「その言葉後悔させてあげる。」

 

亞愛は予想通り突貫してくる。崩月次元刀で切り裂こうとして鎧に手をかけるが・・・無影刀で切り裂くことが出来ない。

俺はこれを待っていた。力を半減させればこちらが有利になるからな。

 

先程よりも鋭い駆け出し、瞬時に懐に入り込んだ亜愛は低姿勢から首に抜き手を放ってくる。だが・・・

 

『Divide Divide Divide Divide』

 

亞愛から力が抜けていくのが分かる。

俺は尽かさず攻撃する

 

「火竜の咆哮」

 

炎のブレスに飲み込まれる亞愛。だが、効いている様子はなかった。

 

「何、今の?」

 

今、何が起きたのかわからないのか俺に尋ねてくる亞愛。

 

「この鎧の効果。『Divide』という音声がなるとお前の力が半減されていき、その力が俺の糧となっていく。」

 

「ふざけた鎧ね。」

 

少し憤怒の表情になる。

 

「どうなってんの?なんで姉さんと龍司が戦ってるの?」

 

声のする方を向くとそこにはいないはずのモカがいた。

 

「あのバカ。」

 

「来ちゃダメ!」

 

苦虫を噛み潰す俺を余所に、アカーシャが叫ぶ。

 

「お母さん!」

 

アカーシャの元に駆け寄る萌香、俺もそちらに向かおうした。

 

「あ、危ない母さんーーーッ」

 

刹那―――鈍い音がする。そこには上半身と下半身が分裂したアカーシャの姿があった。

手を赤く染めている亞愛もいる・・・

 

「お世話になりました。」

 

淡々とした口調で話す亞愛。

 

「アカーシャァァアアア!!」「お母さんーーーーーーッ」

 

震える足でモカがアカーシャの元に近づく・・・、亞愛が目の前に立ち塞がる。

 

「来ないで萌香、見ないほうがいい」

 

「・・・なんで・・・どうして・・・・・」

 

涙を流しながら震える私を姉さんは目を逸らしながら口を開いた。

 

「ごめんね、これが本当の私なの……。昨日見せたでしょう、地下に眠る真祖のアルカードの姿を。人間を憎み、世界を憎み、その全てを破壊することで運命に抗おうとした、哀れな吸血鬼を。私はね、その意思を継ぐアルカードの血族なのよ」

 

俺はモカの中で何かが切れるような感じがした。

 

「・・・・け、・・・・どけぇぇぇぇええええーーーー」

 

亞愛の側頭部に回し蹴りを叩きつける。

 

「がふっ・・・!?」

 

吹き飛ばされ壁に叩きつけられる亞愛をモカは放置した。

 

「うわぁぁぁぁぁぁあああああああああ」

 

なんて妖気だ・・・。どんどん膨れ上がっていく・・・。これはアルカードやアカーシャと似ている。・・・まさか、真祖なのか?

 

モカの強烈な蹴りを受けた亞愛はふらついている足で立ち上がる。

 

「なっ・・・こ、これは、なんて凄まじい妖気・・・っ。まるで漆黒の闇が溢れて来るかのよう――ま・・・まさか、あなたが・・・真祖・・・・・!?」

 

亞愛も同意見のようだ。

 

しかし、なぜ・・・? 真祖の力は遺伝しないはずだ・・・?

 

真祖の血は血液を媒介にして継承されていくはずだ。前にアカーシャに聞いたことがある。なぜモカが・・・。

 

凄まじい振動が一帯を襲った。

モカの妖力により振動しているようだ。

揺れが部屋を伝い、壁に亀裂を作っていく。

 

「――どうしてだ、亞愛姉さん・・・」

 

「萌香・・・」

 

そういった瞬間、モカは亞愛の目の前に立っていた。

 

「どうして母さんを殺したぁあああああ――――――ッッ!!」

 

「ぐはぁ」

 

紙一重でモカの拳を回避した。分厚い城壁が一撃で粉々に砕けちる。

 

「この力、やはり真祖の・・・!」

 

亞愛も分かっていないようだ。それは俺も同じなのだが。なぜモカが・・・

 

「覚醒してしまったのね・・・」

声の持ち主はアカーシャだった。

 

「アカーシャさん!」

 

「生憎丈夫な体でね・・・。真っ二つぐらいじゃ私は倒せないわ。」

 

一瞬のうちにアカーシャは亞愛の前に立つ。

 

「さっきはごめんなさい。ちゃんと受け止められなくて。」

 

信じられないという顔をする。

昔のアルカードとの戦いでもそうだったな。

 

「アカーシャ、だが今の問題はモカだ。どうすればいい?」

 

すると、アカーシャは懐からロザリオを取り出した。

 

「そのロザリオはなんだ?」

 

「これはモカの真祖の力を封印するためのロザリオよ。

本当は後でつけようと思っていたんだけど、こうなってしまった以上ここでつけるしかないわ。」

 

「アカーシャ、俺が力を半減させるからその突きにそのロザリオをはめてくれ。」

 

「わかったわ。あの時のように倒れないでね。」

 

「わかってる。亞愛、これが終わったら話がある。」

 

「はい・・・」

 

亞愛は暗い顔をしている。自分が大騒ぎを起こしてっしまったという自覚があるのだろう。それは本当のことだけど・・・。

 

そして俺は飛び出していく。

モカに触れ・・・

 

『Divide Divide Divide Divide Divide Divide Divide Divide Divide Divide Divide Divide Divide Divide Divide Divide Divide Divide Divide Divide!!!!!』

 

力を人間並みまで半減させ、その刹那―――アカーシャも飛び出しモカにロザリオを付けた。モカは外見こそ変わらないが妖力量は元に戻ったようだ。一滴の涙を流して眠っている。アカーシャが見れて安心したのだろう。

 

「一部損壊しているが、帰ろう。我が家に。」

 

「え、ええ。」

 

気絶した萌香を背負い、俺たちは家へと帰った。

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

 

ある一室に俺とアカーシャと亞愛がいる。

まだ、亞愛はバツそうな表情をしている。

全員に飲み物を出し、防音結界を張り会議スタートだ。

 

「さて、単刀直入に聞こう。まだ、真祖の血は求めているか?」

 

 普段より口数の少ない亞愛に正面から切り出した。軽く目を伏せながら話す。

 

「・・・諦めきれていない、というのが正直なところ。今まで人間に復讐をしようとしていたから諦めれていない・・・。

 

きれていないか・・・いい方向に向かってくれてるようだ。

 

 アカーシャが優しく諭すように言葉を紡ぐ。

 

「あなたが過去に人間にどんな酷いことをされてきたのかは当事者でない私たちには想像することしかできないわ。でも、全ての人間があなたを辛い目に遭わせてきたような人ではないと思うの」

 

「復讐を生きがいにしていたのに諦めろというの!?」

 

「いや、復讐をやめろとは言わない。だが、無関係な人まで巻き込むな。」

 

二人とも俺の発言に首をかしげている。

 

「ようは、復讐は負の連鎖。復讐をするのであれば復讐者と当事者だけでやれということだ。だからそれにかかわりのないものまで手を出すな。それはただの害。そして真祖の血ということで殺されかけたアカーシャはどうなる?

 

「・・・っ!」

 

なにが言いたいのか理解したのか、目を見開いた亞愛が勢いよく頭を上げ、俺とお袋の顔を交互に見つめた。そんな娘をアカーシャは優しく見守る。

 

「亞愛がやろうとしていたことはそういうこと。復讐をやめろとは言わないけど他人に迷惑をかけるな。」

 

「ええ」

 

しっかりと頷く亞愛に微笑み、その頭をくしゃっと撫でる。

 

「わかったならアカーシャに謝っとけ。」

 

俺は二人っきりにするために退出してモカのところへと行った。

着くとモカは目を覚ましていた。

 

「モカ、起きたか。」

 

「うん、お母さんは?」

 

「元気だぞ。今は亞愛と話をしている。亞愛を許してやってくれ。悪気があったわけじゃないんだ。あの時は目的のために前が見えていなかっただけなんだ。」

 

「うん、許すよ。姉さんは悪い人じゃないと信じてるから。」

 

それだけ言い残すとモカはまた眠りについた。覚醒したことで相当体力を消費したのだろう。

俺は静かに退出して刈愛と心愛にも事の顛末話した。

二人ともモカが真祖の力を受け継いでることには驚いていた。

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 

その夜、寝る直前に亞愛が訪ねてきた。

 

「今日はごめんなさい。」

 

深々と頭を下げている。

 

「そこまでしなくていいよ。もう許した。目的のために身近なものが見えていなかった。それだけだろ?あまり自分を責めるなよ。

もし辛いことや困ったことがあったら俺のところに来い。俺がすべて背負ってやるから。」

 

亞愛から多くの涙が溢れる。一晩中俺の胸で泣いていた。泣き止むまで頭を撫でた。

この後、亞愛が俺のベッドで寝てしまったため一緒に寝ることになった。

モカはアカーシャと一緒に寝ていたようだ。

 

数日後にアカーシャとモカは人間界に住み、俺も二人の家の隣で住むことになった。亞愛はよく俺たちに会いに来るようになった。

 

そして物語は5年後の高校生活へと進む

 




次回から原作に突入です
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。