モカside
私は林の中にいる。
なぜなら、修行をするためだ。龍司もここでよくしている。
「結構したな。休憩しよう。」
そう思い木の陰に座ったら・・・ガラッ、と石の転がる音が聞こえた。
刹那、背後から口元を布で押さえられた。
「んんっ!?」
何か薬品でも使っているのか、息を吸い込んだら目眩に襲われた。なんとか身をよじって何者かの手の中から脱出する。
「侵入者か・・・?」
振り返ってみると、そこにはスーツ姿の男と白い中国服を来た男が立っていた。スーツ姿の男たちの顔はどれも異形だ。恐らく妖だろう。
――誰かに伝えないと・・・
ふらつく足取りで男たちから離れようとするが、男の一人に髪を掴まれ木に叩きつけられる。
「――ぐっ!」
やはり、先程口を覆われたときに何らかの薬が仕込んであったのか、身体が思うように動かない。
「这样的孩捕住怎样做?(どーすんだこんなの捕えて?)」
「什公?这个是一般的孩子(こいつただのガキじゃねーか)」
・・・?中国語・・・?
こいつら何者だ?
中国服を着ている男が前に出る。
「さて、お嬢ちゃん。一つ教えてほしいね。数日前、あの家に黒ずくめの女、来なかったか?」
男がしゃがみ込み、同じ目線に合わせると私の顔をじっと眺める。
「日本名は亜愛。私たち、その女殺しに来たね。」
――な……、こいつらの目的は朱染家ではなくて亞愛なのか!?
「な・・・なぜだ?お前らは一体・・・」
すると男の背後からスーツ姿の男が前に出る。
「おい・・・もうお喋りの必要はねぇよ。あいつ関わった奴は皆殺しにすりゃいい。」
男は手にしていた刀に舌を這わせ下卑た笑みを浮かべる。
「ますはこのガキを犯した後にバラして、館に投げこんでやろうぜ」
「おお、そりゃあいい!」
「そうだっ、やれぇぇ!」
盛り上がるスーツ姿の男たちに男は溜め息をついた。
「やれやれ、みんな相変わらず野蛮なこと考えるね。可愛いのにもったいない。……でも、確かにそれ位しなきゃ私たちの怒り、収まんないね」
背筋がゾッとするほどの憎悪を滲ませる男。スーツ姿の男が私の足を掴み、刀を振りかぶった。
「そうこなくっちゃなぁ……。どれ、まずはその可愛いあんよからぶった切ってやんよ」
「このっ……離せ!」
身体を動かして抜け出そうとするが、思うように上手く動けない。
「せーの。」
刀が振り下ろされる。目を瞑ってしまったが、痛みは感じない。
少しずつ目を開けてみると・・・
男の頭を手が貫いていた。いつの間にか男の背後に立っていたその人が生々しい音とともに手を引き抜く。
そして黄色い閃光が中国服を着ている男を貫く・・・
「姉さん、龍司!」
男の背後から出てきたのは姉さんだった。そして空に浮いている龍司だった。
龍司side
買い物が終わって空を飛んで帰っていると林の中に男たちに囲まれているモカがいた。
何をしているのかと思い少しの間見ていると一人の音が刀を振りかざすのが見えた。
その背後に亞愛がいたから俺は中国服を着ている男を攻撃することにした。
亞愛が男の頭を手が貫いた。その技は・・・崩月次元刀だった。
亞愛が隠していたのは崩月次元刀ということか・・・
モカside
「――! で、出たぁぁぁ!」
「あ、悪魔だッ! 黒い悪魔だァァ!」
姉さんと龍司の登場に男たちが武器を取り出しながら散開する。だが、その叫びは姉さんに向けられているものだ。残りの男は双眸から憎悪の涙を流していた。
「はは……。やっと会えたね、出てきて嬉しいよ。お前が私たちにしたことを忘れたとは言わせない……。その報い、今こそ受けるといいね」
「悪魔め、殺す!」
「殺す、殺す!」
向けられるいくつもの敵意と殺意。しかし姉さんはどこ吹く風で私の安否を心配した。
「……大丈夫、萌香? 酷いことされなかった? 対不起、折角できた妹を私のせいで危険な目に遭わせてしまって……」
私の手を取り真摯に謝罪を口にする姉さん。その目には、優しさを感じた。
無視をされた男たちのこめかみに青筋が浮かぶ。
「き・・・貴様、シカトしてんじゃねぇ。どこまでもコケにしやがって! ブッ殺してやる!」
男の一人が刀を片手に背後から姉さんに襲い掛かる。振り返り腕を一閃。姉さんの腕は男の胴を易々と通過し、二つに分断した。
「堵寵! キサマっ!」
「私に恨みがあるなら最初から私を狙って来い。それも出来ない小者が、私の大切な妹に触れるな」
「本当だよな。まったくよぉ・・・。カス共死ね。」
降りてきた龍司の気功波により残りの男は消滅した。
いつもの優しさはなく、声も冷たいものだった。
「大丈夫か?」
「あ、ああ。大丈夫だ」
地面に座りっぱなしだった私に手を差し伸べてくる。先ほどの冷徹さは全く感じない。いつもの龍司だ。
差し出された手を取り立ち上がると、なぜか姉さんが唖然とした顔をしていた。
「驚いた……。強いとは聞いていたけど、ここまでだなんて……
数人相手に一撃で・・・。強いというレベルじゃない。次元が違う・・・」
「亞愛、俺は1割も力を出してないぞ。」
この言葉を聞いてさらに驚いているようだ。
私もそばで龍司の戦いを見たことはなかったがわかる。トレーニングも一緒にしているからなおさら・・・。次元が違いすぎる。
場を和ませるかのように私と姉さんの頭を撫でる。久しぶりにされるが恥ずかしい。姉さんも同じ気持ちなのか顔が少し赤い。でも、するなら私だけにしてほしい。ちょっと頭にくる・・・。――って何を考えているんだぁぁぁああああ。
「亞愛の技もよかったぞ。」
姉さんがほほ笑む。いいな~、私も褒めてほしい。――ってまた何を考えてるんだぁぁあああ。
「二人とも帰ろうか。」
先に歩いている龍司を追いかけ手を握りながら帰った。
ありがとう、龍司、姉さん。