閣下に蝋人形にされないように頑張っていきます。
第一章 1節 悪魔になった日
やあ諸君。突然誰だと思うかもしれないが、私の名前は小暮マミ。いわゆる転生者だ。
前世の私は、バンドリと、とある悪魔たちの黒ミサが大好きなアラサーのOLだった。アンケートの際には必ず、「その悪魔たちの曲がカバーとして収録されないか」とか、「キャラにその悪魔の格好をさせたイラストはないかな」とか、そんな妄想を垂れ流して生きていた。
それを真似して、大学時代はその悪魔たちのコピーバンドのようなこともやっていたため、それなりに音楽はできる。ちなみに私の大学時代の担当は、閣下にゾット、ジャントニオ、エース、さらには魔女など、幅広く一通りこなしたので、バンドに必要なパートは全部演奏できる。楽器は一通りできる、というわけだ。
そして私は、バンドリのイベントに向かうため、片田舎の駅のホームで電車を待っていた時に、足を滑らせてホームに落ち、そのまま電車に轢かれて死んだ。
この世界に転生し、「花咲川」などの地名を見たとき、私はこの世界が私の知る現実ではなく、バンドリの世界によく似た世界なのだと気づいた。
だが、この世界には「聖飢魔II」というバンドが存在せず、日本にヘビメタというジャンルを浸透させたものがない。
バンドリの世界に似たこの世界に転生できたのは嬉しい。けれど、私の好きなものの片割れが存在しないという事実は、好きな作品の世界に転生した代償としては、かなり高くついたのかもしれない。
そんな私に、中学時代、劇的な出会いがあった。
浜田イサミという女の子――いや、ギタリストと出会ったのだ。
ある日のこと、私が「忘れたくない」と某蝋でできた人形の館の歌詞を書き留めていたノートを、彼女に見られてしまった。
そしてイサミは、私をバンドに誘ってくれた。
バンドの名前は「ジ・エンド・オブ・センチュリー」。それが偶然なのか、あのバンドの海外での呼び名と同じだった。
そして、私がそのバンドに加入するにあたってイサミに言われたのは、
「お前は今、人間の仮の姿をしているが、本当は悪魔なのだ」
……などという、謎の宣言だった。
私とイサミは、通っている中学に軽音部がなかったため、それを作ることを目標に、メンバー集めを始めた。
まあ、最初は二人しかいなかったから、軽音部ではなく“同好会”という形になるんだけど――。
そんな中、私たちの同好会に新たなメンバーが加わった。
「えっと、同じクラスの星島さん……だよね?」
「は、はい。私、この学校で軽音同好会ができたって聞いて……それで、話を聞きに来てみたんです」
「ふふふ、よく来たな。星島エミ!」
「イサミ、ちょっと。話が進まないから黙ってて」
「あ、あの、小暮さん……」
「うん、話はちゃんと聞くよ。とりあえず、ファミレスでも行こっか」
「は、はい……」
私とイサミ、そして星島さんの三人は、最寄り駅近くのファミレスで話を聞くことになった。
「それで、私たちの同好会に入りたいってことだったけど……」
「はい。私、小さい頃からベースをやっていて、誰かとバンドをしてみたいなって思ってたんです。好きな音楽のジャンルは、ハードロックっていうものです」
そう言って、星島さんはカバンからCDを取り出した。
「これって……」
CDのジャケットを見ると、どう見ても海外のバンドだ。しかも、かなり本格的なヘビメタバンド。
「ほう、やはり星島さん、あなたも……」
「やっぱり、浜田さんも、ですね。時々、音楽室から聞こえてくるギターの演奏が、とってもよくて……それに偶然、小暮さんのノートを見てしまって。そこに書いてあった詩がすごくよくて、小暮さんと浜田さんとお話したいって思ってたんです。
それで最近、浜田さんが小暮さんと軽音同好会を始めたって聞いて……私もやってみたくなって……」
「そっか。わかったよ。ありがとう、星島さん。こんな私たちでよければ、お願いね」
「はいっ!」
こうして、私たち――S県在住の中学生である軽音同好会、ジ・エンド・オブ・センチュリーに、三人目の悪魔(候補生)が加わったのだった。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
今回の作品はバンドリの原作開始前の時系列からバンドリ世界とハーメルンに悪魔教を布教するのだ!
主人公のバンドの進路
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メジャーデビュー
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インディーズ