第三章 1節 陛下と再会
どうも、小暮マミです。
現在は1月。年も明けて、コンテストまであと少しというところです。
「うーん……どうしたものかな。」
「マミさん、どうしたんですか?」
「あ、ゼノン。実はね、新曲のアイデアが浮かばないのよ。」
「えっ。でも今日って14日ですよね? あと2週間もないですよ!」
「そうなんだよね……。どうしようかな。やるなら、審査員の度肝を抜くくらいの曲がいいよね。」
私が新曲のアイデアに詰まっている中でも、他のセットリストは順調に埋まっていく。
とはいえ、各バンドが演奏できるのはたった2曲だけ。
正直、もっとやりたい。でも「2曲しかなかったから魅力を伝えきれませんでした」なんて言い訳するつもりは、毛頭ない。
1曲目は『ジャック・ザ・リッパー』に決めた。
問題は2曲目――。
もちろん起こすのは聖飢魔IIの曲から。でも、どれを楽譜にするかが悩みどころ。
「んー、悩むなあ……創世記? いや、地獄の皇太子? アダムの林檎は……もう起こしたな……」
「マミさん!」
「え、なに?」
「少し遊びに出かけましょう!」
「えっ、でも今日はコンテストで使う道具の搬入手続きが……」
「大丈夫、あーしがやっとくし!」
「そうそう、たまには羽を伸ばしてきなよ。」
「そうだよ、閣下。たまには休んでもいいんだよ。」
「……さあ、行きましょう、マミさん!」
そんなわけで、私はゼノンと一緒に街へ出かけた。
私たちは●ックでシェイクを買って、公園のベンチで並んで座る。
そのとき、ふと目の前を――見覚えのある顔が通り過ぎた。
瞬間、私はゼノンにシェイクを押しつけ、無言で走り出していた。
「マミさん⁉︎ 待ってください、どこ行くんですか!」
ゼノンの静止の声も耳に入らず、私はひたすらにその背中を追いかけていた。
「待って、待ってよ……イサミ!」
「⁉︎ マミ……」
「久しぶり。……はあ、はあ……どう? 最近の調子は」
「マミさん! 待ってください!」
後ろから追いかけてきたゼノンの声が聞こえる。
「何か用?」
「久しぶりに見たから、つい……声かけたくなっちゃって」
「私はそんなに“久しぶり”って感覚でもないけど。
センチュリーのライブ、毎回見に行ってるから」
……え、なに。イサミ、見に来てくれてたの……?
どこで私たちの情報仕入れてるんだか。
「そんなに気になるなら、また戻ってくればいいじゃん」
「……ごめん」
「そう……ならせめて、ライブのとき来るなら言ってよ。チケットの取り置きくらいはしておくからさ」
「…………」
「……ゼノン、行こっか」
「はい、行きましょう」
その夜。
私は意を決して、あの曲――『地獄の皇太子』の楽譜を起こすことにした。
理由は一つ。イサミに、聞いて欲しい。ただ、それだけ。
見てろよ、イサミ。
今回も最後まで読んでくれてありがとうございました。
メジャーデビューの時期
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