どうも、小暮マミです。
私たちセンチュリーの5人は、ついに東京に上京してきました。
新たな学び舎は、花咲川女学園院高等部。そして住まいは、松原さんが手配してくれたマンション。今は、5人で一緒に生活しています。
編入した週の翌日。部屋の荷解きもまだ終わっておらず――
「マミ、このテーブル、どこに置くんだっけ?」
「ああ、それは、もう少しこっち……そうそう、そこ」
と、みんなで家具の配置を相談しながら、荷物をほどいていった。
「ふぅ、ようやく終わったね」
「うん。引っ越し祝いに松原さんがくれたうどん、茹でようか。お昼、それでいいよね?」
「う~、お腹ペコペコだよ〜!」
私と涼子でうどんを茹でて、めんつゆを用意。ざるうどん形式でみんなでシェアして食べる。
「ふぅー、ようやく一段落って感じだね」
「そういえばさ、こっちに来てから最初の面談以来、事務所に呼ばれてないけど……大丈夫かな?」
「まあ、秋デビューって聞いてたし、しばらく準備期間なのかも……でも、さすがに音沙汰なさすぎるよね」
ピンポーン♪
――そのタイミングで、インターホンが鳴った。
玄関を開けると、そこには松原さんの姿が。
「皆、今日はお仕事を持ってきたわ」
松原さんが差し出してきたのは、一枚のプリント。内容は――新人アイドルグループのバックバンド出演。
もちろん、センチュリーとしてではなく、ノーメイクの素顔参加。
バックバンドがアイドルより目立ってしまっては元も子もないしね。これは納得。
それにしても……バンド部門って私たちのために新設された部署のはずなのに、社長である松原さんが自らマネジメントまでしてるとか、本当に凄すぎる。
私たちは全員一致で快諾。こうして、センチュリーの「最初の仕事」が決まった。
……ん?
ちょっと待って。バックバンドって、普通ドラム・ギター・ベース・キーボードだよね?
「あれ? これ、私の出番……なくない?」
そう思ったのも束の間。プリントを見て納得。キーボードに空きがあるらしい。
「なるほど……久しぶりに涼子がキーボードに戻って、私がドラムってわけか。オールラウンダーを自称してる身としては、むしろ燃える展開かもね!」
そうして私たちは、会場との打ち合わせやアイドルグループとの顔合わせ、演奏曲の練習など、着々と準備を進めていった。
──そんなある平日。
その日は学校で私が日直だったこともあり、事務所に向かうのが少し遅くなってしまった。
電車で移動するため駅へ向かう途中、時刻表の前で戸惑っている女の子の姿が目に留まった。
「……あれ? あの子……」
私服姿ではあるけど、どこかで見た顔。いや、間違いない。
前世で見た原作に登場していた、あの子だ。
「……白鷺千聖、だよね」
困っている様子だったので、声をかけてみる。
「そこのお嬢さん?」
「……私、ですか?」
「そう。さっきから困ってるように見えたから、声をかけてみたの」
「……実は、今日はいつも迎えに来てくれる人が来られなくて。タクシーに乗るお金もなくて、電車を使おうと思ったんですけど……時刻表が全然わからなくて……」
「それは大変だ。だったら、ちょうど私も同じ駅で降りるから、一緒に行こうか?」
「どうしてそこまで?」
「ふふっ、同じ学校の“よしみ”じゃ……ダメかな?」
「……同じ学校?」
「うん。花咲川高等部の小暮マミ、よろしく!」
「……私、小学生なんですけど」
「――あっ、ごめん、勘違いしてた!」
思わず素で驚いてしまった。
「てっきり中学生だと思って……いや、なんとなく見覚えがあったから、てっきり……」
しまった、うっかり前世の知識で判断してた……!
「……まあ、よく間違えられますけど」
「うん、なんか落ち着いてるし、大人っぽいからさ。でも困ってる人を放っておけないのは、変わらないから」
「……じゃあ、お言葉に甘えてもいいですか?」
「もちろん! 安心して」
そうして私とその子――白鷺千聖ちゃんは、同じ電車に乗って移動した。
目的の駅に到着してからは、お互いに別れて、それぞれの場所へ向かう。
まあ、それ以降、素顔のままで会うことはほとんどないんだけどね――。
今回も最後まで読んでくれてありがとうございました。