バンドリ世界で女だけど閣下になったよ。   作:のうち

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第一章 2節 また悪魔が増えた

どうも、小暮マミです。

星島さんが我らが同好会に入ってからというもの、軽音同好会――通称「ジ・エンド・オブ・センチュリー」は、いまだライブハウスでのライブもできず、バンドとしては情けない状態が続いていた。

 

「ライブがしたい!」

 

「……あのねイサミ。そう言っても、私たちはこの地域のライブハウスとつながりがあるわけでもないし、実績もない。だからこそ、部としての活動許可も下りないの。

やれることと言えば……この田舎の中学には高校みたいな文化祭もないし、発表の場なんてそうそう見つからないし……ほんと、どうしたもんかねぇ」

 

「まあまあ、マミさんもイサミさんも、落ち着いていきましょう」

 

「ていうかエミもエミよ。この前、路上ライブやろうってイサミが許可取ってきたとき、思いっきり暴走しちゃって……! 私が他の関係者にどれだけ謝ったか。ライブ衣装着たとたん別人格みたいになるの、やめなさい!」

 

――そう。ほとんどできてないとはいえ、一度だけこの3人で路上ライブをやったのだ。

 

「あははっ。どうも私たちの“真の姿”に戻る時は、高揚感が爆上がりなのです。浜田さんが用意してくれたあの斧型のベースを持っていると、私の中の悪魔が囁くのです。『すべてをぶっ壊せ』と……!」

 

や、ちょっとこの子、危ない。

“ゾット星島”として活動しはじめてから本当にヤバい。普段あんなにおとなしい子が、よっぽど溜め込んでたのか。

 

「ねえ、それにライブがしたいなら、“殿下”の承諾と許可が必要なんじゃなかったっけ?」

 

「無理。あれは私の父上に頼んで、無理やり許可取ってもらったんだから。どうしてもって。あの後、『次はないぞ』って怒られたし、次からは自分たちで使用許可取れってさ」

 

「まさかイサミの父親が県警の署長だったとはね……」

 

「へへへっ。いや〜照れますねぇ」

 

「褒めてないわ。とりあえず、当面は町内のお祭りとか、有志のステージで発表するしかないわね。

でもさ、やっぱりドラムとキーボードくらいは欲しいわよ。いつまでもボーカルとギター、ベースだけじゃ、カッコつかないし」

 

「ていうかマミ。あんた、作詞だけじゃなくて作曲もできるし、私たちのパートの楽曲も作ってくれてるんだから、当然その楽器も弾けるってことよね?」

 

「そういえば、私たちが演奏した曲の作曲って、大体マミさんがやってましたよね」

 

「私は“そこそこ”できるってだけよ。あなたたちみたいに専門でやってたわけじゃないし。それに、私はどちらかといえばヴォーカリストが専門だから」

 

「まあ、そういうことでしたら、しょうがないんでしょうけど……」

 

「当面はマミの言う通り。最悪でもドラマーを見つけないと、どうにもならないわね」

 

「でしょ。で、二人の中で、ドラマーかキーボードやってる知り合いで、私たちみたいなバンドに加入してくれそうな物好き……心当たりない?」

 

「私は、あまり交友関係が広くないので……」

 

「エミに同じく、よ」

 

……と、エミとイサミ。どうやら心当たりはないようだった。

 

「わかった。私がなんとか、人材をあたってみるしかないか……」

 

その日は特に活動もなかったため、解散。

私は心当たりのある人物のもとを訪れることにした。

 

 

表札には「月島」と書かれている。家の門の前で、チャイムを鳴らす。

 

『はーい!』と元気な声がして、扉が開いた。

そこにいたのは――月島まりな。

そう、いずれCIRCLEのスタッフになるあの子だ。まさか、こんな地方都市に住んでいるとは思わなかった。

 

放課後はいつも一人、自分の部屋でギターを弾いているような、孤独な子。だけど、一応私の幼なじみ。

 

「あ、マミちゃん? どうしたの?」

 

「うん、ちょっと、まりなに相談があってね」

 

「いいよ、入って。久しぶりにマミちゃんとギターやりたいな」

 

「うん、いいよ」

 

まりなに促されて、彼女の部屋へ上がる。

 

そしてしばらく、ギターでセッションを楽しんだ。2曲ほど一緒に弾いたあと――

 

「それで、マミちゃん。相談って、なに?」

 

「実は……」

私はまりなに、今私が参加しているバンドのこと。

足りないメンバーがいること。そして、まりなにそのポジションを担ってほしいこと――。

ドラムかキーボードであることも含めて、すべてを話した。

 

「私に……ドラムを?」

 

「そう。そういえば昔、まりな、ドラムやってたでしょ?

それで……できれば、私の参加してるバンドでドラムをやってほしい。まりなとバンドをやりたいって思ってるの」

 

「いいの? 本当に……マミちゃん?」

 

「ええ。見ず知らずの誰かより、あなたとバンドがやりたい。まりな、力を貸してくれる?」

 

「……うん。マミちゃんとなら」

 

まりなは、はっきりとうなずいた。

 

こうして――我らのバンドに、ドラマーである“エース月島”が爆誕したのだった。

 




  今回も最後まで読んでくれてありがとうございました。

 アンケート、主人公達のバンドはメジャーデビューするのか、しないのか。

メジャーデビューをした場合、バンド解散後もパスパレの事務所の先輩になる。

インディーズ路線の場合は解散後、まりなとともにcircleのスタッフになる。

主人公のバンドの進路

  • メジャーデビュー
  • インディーズ
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