どうも、小暮マミです。
今回、私は高校生活の途中から通っていた母校――花咲川女学園の学園祭に呼ばれました。
そこで、とても久しぶりに、友人にして我がセンチュリーの創設者である浜田イサミと再会しました。
「久しぶりだね、マミ……」
「うん、久しぶり。イサミ、今日は呼んでくれてありがとう」
「ええ、それにしても……自分のいなかったあとのセンチュリーが過ごした学舎で、今は私が教師として教えているなんて、不思議な巡り合わせね」
「本当、因果だね」
「それで今日は、前に打ち合わせした通り、後夜祭でのライブをお願いするわ。それまでは自由にしてて構わないけど……できるだけ目立たないようにね? 私たちの“真の姿”は、なにかと目を引くから」
「ふふふ……」
お互い年を重ねたけれど、イサミはあの頃とあまり変わっていませんでした。
むしろ、あの『オールサタン感謝祭』以来、演奏から遠ざかっていた彼女がギターを再び弾き始め、今では以前以上に腕を上げているのは知っています。
大学時代には、12月のミサに必ずゲスト出演し、「ダミアン浜田」として年に一度だけ降臨する“センチュリーのレアキャラ”になっていました。
それでも、最強のギタリストという立ち位置は揺るがず、香織やまりな、蒼と互角に渡り合える実力者です。
「じゃあ、文化祭、少し楽しませてもらうわ。涼子、行こっか?」
「うん、行こっ!」
「あ、それとイサミ、これ。あんたに」
私は紙袋を渡します。
「なにこれ?」
「まあ、見ればわかるよ。それじゃね」
私が去ったあと、イサミが袋の中身を確認すると――
「……はあ〜、しょうがないなぁ。久しぶりに、配下の頼みを聞いてやりますか!」
さて、それから私は涼子とともに文化祭を見て回りました。
香澄たちのクラスの模擬店を訪れ、お茶を楽しんだあと、涼子の親戚である丸山彩ちゃんのクラスにも立ち寄ります。
彼女は今日は事務所の仕事で不在とのことでしたが……私としてはちょっと複雑な心境。
事務所が違う以上、余計な詮索をされるのは避けたいし、何より――これから起こることを、知っていながら防げないのが辛い。
「マミ、マミ!」
「――あ、ごめんごめん、ちょっと考え事してた」
「最近、忙しかったし、疲れてるんじゃない? 少し休もっか」
「いや、大丈夫。有志ステージがそろそろ始まるみたいだし、それ見てから“真の姿”に変身しよう」
「オッケー! あ、それと……私も出るからね」
「え、いいの?」
「ここまで来たんだから今さらでしょ。エミとまりなにも声かけといたから、もうすぐ来ると思うよ? センチュリー、全員集合」
まさか初代センチュリーメンバーが全員集まるとは……
というか、それ先に教えてくれっての!
私と涼子は途中でエミと合流し、有志ステージを見学することに。
正直、この学校のバンドは異常なほど上手い。ライブハウスでも十分やっていけそうなレベルです。
ポッピンパーティーの出番になり、ドラムが遅れるというハプニングもあったけれど、無事に演奏が始まった。
「マミ、あのボーカルの子……ギターの弾き方、イサミに似てない?」
「うん……弾き方のクセ、ミスった時のごまかし方まで、そっくり」
「まさかとは思うけど、イサミ、あの子に教えたのかな?」
演奏を終えたあと、私たちは控室に戻った。
そこでは、すでに“真の姿”――悪魔としての格好を整えたイサミが待っていた。
「遅いじゃないか。どうしたんだ?」
「ちょっと、有志ステージで気になる子を見かけてね。ポッピンパーティーって言うんだけど」
「……戸山さんたちか」
「まさかとは思うけど……あのギタボの子に教えてたりする?」
「まあ、ちょっとね。でも今は準備急いで! 出番まで1時間切ってる!」
ほんとだ、やばい!
急いで私たちは“真の姿”に変身し、後夜祭のステージに向かった。
⸻
『ははは! 花咲川女学園の諸君! 我々はジ・エンド・オブ・センチュリー!
今宵は我々がかつて調査の一環として通っていた母校に、恩返しの演奏をしに来たぞ!
出店や有志ステージ、どれも楽しかった! その礼に一曲、贈ろう。――El Dorado!』
⸻
私は――戸山香澄です。
ステージで演奏している人たちはあまり知らなかったけど……あの白髪のギタリスト、あの人って……。
「香澄、あのギターの人、浜田先生の弾き方に似てない?」
「えっ、たえもそう思う?」
「うん。あの弾き方、そっくり」
「ていうか、あれ閣下じゃない?」
「えっ、あのテレビで見た閣下?」
「そう。うちのOGだったんだって」
「すごすぎる……!」
「紹介のとき、“初めて組んだバンドのメンバーとの演奏”って言ってたけど……あの人が浜田先生だとしたら、センチュリーの初期メンバーってことになるよね?」
「うーん……ま、先生は先生だしね。
それより、有咲、沙綾! 私、センチュリーの曲、弾いてみたい!」
「うん、今度カバーできそうな曲、探してみよう!」
「いいね!」
私たち、ポッピンパーティーはそんな話をしながら、ステージの音に耳を傾けていたのでした。
今回も最後まで読んでくれてありがとうございました。