どうも、小暮マミです。
先日、ドラムとして――本来はギタリストである――月島まりなこと“エース月島”が加入し、バンドとしての体裁はようやく整った。
そして、町内会の祭りの有志ステージでのライブは、見事に成功を収めることができた。
『蝋人形の館』や『白い奇跡』、そして私たちのバンド名と同じタイトルの『The End of the Century』を披露し、有志ステージでの演奏は大変な好評を得た。
「いやぁ、お疲れ様! マミ、エミ、まりな!」
「「「乾杯!」」」
――行きつけのファミレスで、ささやかなお祝いをしていた。
「マミちゃんも、お疲れ様」
「ええ、まりなもね」
「まりなさんだけですか?」
「エミは……今回も暴走したけど、まあ、今日は頑張りました」
「えへへ、褒められた♪」
「ね、ねえ、マミ」
「なんでしょうか、“陛下”?」
「うむ、私も褒めろ!」
――どうにも構ってちゃん気質の“陛下”ことイサミが、私の方に身を寄せてくる。
「はいはい、陛下、よくできました♪」
そして、お祝いの翌日――。
ライブを終えたとはいえ、次の予定があるわけでもなく、私たちは同好会で使っている教室で軽く練習したり、雑談したりと、またいつもの日常に戻っていた。
「はぁー……ライブ終わったとはいえ、部室がもらえるわけでもないし、今日くらい練習休みにしてもよかったんじゃない?」
「そうだな。昨日今日で何かが劇的に変わるわけでもなし。それに、エミもまりなも今日は用事があるとかで来れてないし……。久しぶりに二人で街にでも出かけないか?」
「おけ。じゃあ制服だと目立つし、一旦帰って、着替えて駅前集合でいい?」
――練習を早めに切り上げて一度帰宅し、着替えて駅前へ向かうと、すでにイサミがいた。
「イサミ、待った?」
「いや、私も今来たところだ」
「ならよかった。それじゃ、どこ行く?」
「あの、ピアノがあるカフェはどうだ?」
「いいね。行ってみようか」
私たちがそのカフェに着くと、ピアノの前に座る――いかにも“ギャル”って感じの見た目の女子が、流れるような演奏をしていた。
それはもう、見事な腕前だった。
「ほう、あの女、中々の腕前よの」
「うん、あれ……うちの制服だし。スカートの色、私たちと同じってことは同級生かな?」
「ふむ。聞けば聞くほど、見事な腕前だな」
「うん、聴いてて気持ちがいい。音に力があるね」
――注文をしながら、今ピアノを弾いている子について店員に聞いてみると、どうやらこの店の店主の娘で、暇なときにはよくピアノを弾いているらしい。
名前は「
その時だった――
ピアノの旋律が、なんと私たちの曲のピアノアレンジになっていた。
「おおっ……これは……!」
「へえ、やるじゃん」
「ふふふ……決めたぞ、マミ! あいつを我らのバンドに加入させる!」
「はいはい……って、マジで言ってるの?」
「マジもマジ、大真面目だ! さあ、そうと決まれば早速声をかけるぞ!」
「あっ、ちょっとイサミ!」
――イサミはずんずん前へ進み、そのギャルっ娘・丸山涼子に声をかけた。
「ちょっといいかな、そこの彼女?」
――もはや古代遺跡の碑文みたいな古臭いナンパ文句だ。
「はぁ? なに、あんた、ナンパのつもり?」
「いやはや、そんなつもりは……マミ〜! 手伝ってくれ!」
「……はぁ。わかったわよ。ええっと、何から話せばいいかな。
まずは自己紹介からだね。私は小暮マミ。こっちの古臭いナンパかましたのが、浜田イサミ。貴女は……丸山さん、で合ってる?」
「うん、あーしは丸山涼子。で、何の用?」
「実はな――」
「イサミ、話が進まないからここは私が」
「そうか、頼むよ」
「丸山さん、単刀直入に言うけど――私たちのバンドに入らない?」
「は? バンド?」
「そう。私たちのバンド――《ジ・エンド・オブ・センチュリー》にな!」
「ジ・エンド・オブ・センチュリー!? あの路上ライブとか、祭りの有志ステージでやってたバンド? うちの生徒って噂、マジだったんだ」
「そういうこと。構成員は今のところ4人。あと一人で、部としての設立条件に届くの」
「へえ、そっか。……まあ、あーしは入っても全然いいんだけど、
さすがに、あんな白塗りメイクは勘弁してよね?」
「まあ、構わないわ。でも衣装はそれなりのものを用意するから」
「了解。オーケー、入るよ」
――こうして、私たちのバンドに5人目の悪魔が加わった。
その後、学校行事での活動は相変わらずできず、私たちは路上ライブを続けていくことになる。
まさか、それが――
私たちに“とんでもない悲劇”をもたらすきっかけになるとは、この時の私たちは知る由もなかった。
今回も最後まで読んでくれてありがとうございました。
主人公のバンドの進路
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