バンドリ世界で女だけど閣下になったよ。   作:のうち

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第一章 3節 5人目の悪魔

どうも、小暮マミです。

先日、ドラムとして――本来はギタリストである――月島まりなこと“エース月島”が加入し、バンドとしての体裁はようやく整った。

 

そして、町内会の祭りの有志ステージでのライブは、見事に成功を収めることができた。

 

『蝋人形の館』や『白い奇跡』、そして私たちのバンド名と同じタイトルの『The End of the Century』を披露し、有志ステージでの演奏は大変な好評を得た。

 

「いやぁ、お疲れ様! マミ、エミ、まりな!」

 

「「「乾杯!」」」

 

――行きつけのファミレスで、ささやかなお祝いをしていた。

 

「マミちゃんも、お疲れ様」

 

「ええ、まりなもね」

 

「まりなさんだけですか?」

 

「エミは……今回も暴走したけど、まあ、今日は頑張りました」

 

「えへへ、褒められた♪」

 

「ね、ねえ、マミ」

 

「なんでしょうか、“陛下”?」

 

「うむ、私も褒めろ!」

 

――どうにも構ってちゃん気質の“陛下”ことイサミが、私の方に身を寄せてくる。

 

「はいはい、陛下、よくできました♪」

 

 

そして、お祝いの翌日――。

 

ライブを終えたとはいえ、次の予定があるわけでもなく、私たちは同好会で使っている教室で軽く練習したり、雑談したりと、またいつもの日常に戻っていた。

 

「はぁー……ライブ終わったとはいえ、部室がもらえるわけでもないし、今日くらい練習休みにしてもよかったんじゃない?」

 

「そうだな。昨日今日で何かが劇的に変わるわけでもなし。それに、エミもまりなも今日は用事があるとかで来れてないし……。久しぶりに二人で街にでも出かけないか?」

 

「おけ。じゃあ制服だと目立つし、一旦帰って、着替えて駅前集合でいい?」

 

――練習を早めに切り上げて一度帰宅し、着替えて駅前へ向かうと、すでにイサミがいた。

 

 

「イサミ、待った?」

 

「いや、私も今来たところだ」

 

「ならよかった。それじゃ、どこ行く?」

 

「あの、ピアノがあるカフェはどうだ?」

 

「いいね。行ってみようか」

 

私たちがそのカフェに着くと、ピアノの前に座る――いかにも“ギャル”って感じの見た目の女子が、流れるような演奏をしていた。

それはもう、見事な腕前だった。

 

「ほう、あの女、中々の腕前よの」

 

「うん、あれ……うちの制服だし。スカートの色、私たちと同じってことは同級生かな?」

 

「ふむ。聞けば聞くほど、見事な腕前だな」

 

「うん、聴いてて気持ちがいい。音に力があるね」

 

――注文をしながら、今ピアノを弾いている子について店員に聞いてみると、どうやらこの店の店主の娘で、暇なときにはよくピアノを弾いているらしい。

 

名前は「丸山涼子(まるやますずこ)」。

 

その時だった――

ピアノの旋律が、なんと私たちの曲のピアノアレンジになっていた。

 

「おおっ……これは……!」

 

「へえ、やるじゃん」

 

「ふふふ……決めたぞ、マミ! あいつを我らのバンドに加入させる!」

 

「はいはい……って、マジで言ってるの?」

 

「マジもマジ、大真面目だ! さあ、そうと決まれば早速声をかけるぞ!」

 

「あっ、ちょっとイサミ!」

 

――イサミはずんずん前へ進み、そのギャルっ娘・丸山涼子に声をかけた。

 

「ちょっといいかな、そこの彼女?」

 

――もはや古代遺跡の碑文みたいな古臭いナンパ文句だ。

 

「はぁ? なに、あんた、ナンパのつもり?」

 

「いやはや、そんなつもりは……マミ〜! 手伝ってくれ!」

 

「……はぁ。わかったわよ。ええっと、何から話せばいいかな。

まずは自己紹介からだね。私は小暮マミ。こっちの古臭いナンパかましたのが、浜田イサミ。貴女は……丸山さん、で合ってる?」

 

「うん、あーしは丸山涼子。で、何の用?」

 

「実はな――」

 

「イサミ、話が進まないからここは私が」

 

「そうか、頼むよ」

 

「丸山さん、単刀直入に言うけど――私たちのバンドに入らない?」

 

「は? バンド?」

 

「そう。私たちのバンド――《ジ・エンド・オブ・センチュリー》にな!」

 

「ジ・エンド・オブ・センチュリー!? あの路上ライブとか、祭りの有志ステージでやってたバンド? うちの生徒って噂、マジだったんだ」

 

「そういうこと。構成員は今のところ4人。あと一人で、部としての設立条件に届くの」

 

「へえ、そっか。……まあ、あーしは入っても全然いいんだけど、

さすがに、あんな白塗りメイクは勘弁してよね?」

 

「まあ、構わないわ。でも衣装はそれなりのものを用意するから」

 

「了解。オーケー、入るよ」

 

――こうして、私たちのバンドに5人目の悪魔が加わった。

 

その後、学校行事での活動は相変わらずできず、私たちは路上ライブを続けていくことになる。

 

まさか、それが――

私たちに“とんでもない悲劇”をもたらすきっかけになるとは、この時の私たちは知る由もなかった。




  今回も最後まで読んでくれてありがとうございました。

主人公のバンドの進路

  • メジャーデビュー
  • インディーズ
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