第二章 1節 新たなる悪魔達
どうも、小暮マミです。
高校生になりました。
今でも私は――“ジ・エンド・オブ・センチュリー”の現役悪魔として活動している、たった一人のメンバーです。
あれから――
まりなはすぐに東京の中学へ転校。
イサミは私が通っている地元の公立高校ではなく、県内の私立進学校へ。
今も一番近くにいるのは涼子だけど……お互い、あの時のことを気にしているのか、なんとなく話しづらい空気があった。
けれど、この高校には私の中学にはなかった嬉しい変化がある。
軽音楽部があるのだ。
バンドで演奏する楽しさ――いわば“快感”は、忘れがたい。
だから私は、軽音楽部の部室の前に立っていた。
⸻
「あ、マミ?」
「……久しぶり、涼子。涼子も、軽音部?」
「うん。あーしも……忘れらんなくてさ」
「ふふふっ」
「ねえ、マミ……今さらなんだけどさ」
「なに?」
「あの時は、ごめん。あの後、“明日また集まろう”って言ったのに」
「気にしてないって言えば……まあ、嘘になるけど。
でもさ、私は“バンドやりたい”って気持ちは変わらなかったし、イサミからリーダーの座を譲られた以上――私がいる限り、センチュリーは死なない」
「……目指すは、メジャーデビューってか?」
「うん。
いつか、抜けていったイサミのバカや、海の向こうにいるエミにも届くように。
あいつらが“戻ってきたい”って思うようなバンドにしてやるんだから」
「ふふ……久しぶりに、胸が熱くなってきた気がするよ」
「じゃあ、久しぶりにファミレスでも行く?」
「いいね! 今日はあーしが奢っちゃうよ」
「言ったね? 容赦しないからね!」
⸻
2人でファミレスへ――
そういえば、涼子と2人きりっていうのは、なんだかんだで初めてかもしれない。
初代センチュリーの時は、いつもイサミが一緒だったし、他でも大体は誰かしらメンバーがいたから。
なんだか新鮮な気持ちになる。
⸻
「さてと。問題は――二代目センチュリーをどうやって始動させるか、だよね」
「どうする? いくらマミがいろいろできるって言っても、専門はヴォーカルだし」
と、その時だった。
見慣れない女の子が、うちの高校の制服を着て、私たちの目の前に立っていた。
「あの……失礼ですが、小暮マミさんでいらっしゃいますか?」
「は、はい。私が小暮マミですが……?」
「私、ゼノン・若宮といいます」
「……ゼノン?」
驚いた。
“ゼノン”――それは、聖飢魔IIの二代目ベーシスト、ゼノン石川さんの名前じゃないか!
「少し聞きたいんだけど、若宮さんができる楽器って?」
「ベース、だけど?」
「ベース!? ……もしかして若宮さん、ちょっと前までアメリカにいなかった?」
「ええ。私は少し前までアメリカに短期留学してました。
そこで、私にベースを教えてくれた“師匠”がいたんです」
「その師匠って、もしかして……」
「はい。星島エミさんです」
「……まじ? あいつ、元気してた?」
「はい。いつも“センチュリーを抜けざるを得なかったこと”、
“あんな形になってしまったこと”を、すごく悔やんでました。
ベースを教えてくれてる時も、ずっと日本の皆さんのことを想っていたんです。
それで……お願いされたんです。
“日本に戻ってマミさんたちに会うことがあったら、力を貸してあげて欲しい”って」
「……あいつ……」
「エミ……。それで、その約束を果たすために、うちの高校まで?」
「はい。エミさんが入っていたバンド――
私も一緒にやらせてください」
「……あの、1つだけ聞きたいんだけど。
エミと私たちが、どんな格好でバンドしてたか、知ってる?」
「はい。エミさんから写真や映像、全部見せてもらいました。
とってもカッコいいと思います」
「……ありがとう。じゃあ明日から、少しずつ始めていこうか」
「それで今日は……?」
「まずは、ゼノンのメイクと衣装を決めようか!」
「私の“悪魔”としての姿ですか? 気になりますね」
――そして、ゼノン・若宮のメイクは、前世のゼノン石川さんと同じスタイルになった。
⸻
こうして、“ジ・エンド・オブ・センチュリー”二代目、
その最初の一歩が、確かに踏み出されたのだった。
今回も最後まで読んでくれてありがとうございました。