どうも、小暮マミです。
前回、ライブハウスでの復活ライブを成功させた私たちジ・エンド・オブ・センチュリーは、今年も地元の夏祭り、有志ステージでの出演が決まった。
さらに、ライブハウス側からも夏のイベントへの出演オファーをいただくなど、着実に実績が積み重なっている。
「いやぁ、今年も頑張ろう!」
「私は今年が初めてだけど、やっぱり楽しみだよ!」
「よーし、行くぞ!」
「おうっ!」
私たちの目標――それは高校在学中に**フューチャーワールドフェス(FWF)**に出場すること。
そのためには最低でも5人のメンバーが必要だ。つまり、もうひとりギタリストが必要になる。
本来なら、前世ではジェイルの次にルークが加入し、最終的にエースが戻る流れだけど……篁なんて苗字の知り合い、いるわけないしな。
――ええい、未来のことに不安になってても仕方ない!
今はとにかく、練習あるのみ!
⸻
「どうしたんだ、マミ?」
考え込んでいた私に、ジェイルこと大橋かおりが声をかけてきた。
「うん……実はね。もうひとりギターを入れたいと思ってるの」
「ふーん、ツインギターってわけか。まあ、ひとり、いるにはいるけど……めんどくさいやつなんだよな」
「会えるの?」
「多分、今ならバイト中かな。行ってみる?」
「なら、一度みんなに相談してからにしよう」
相談の結果は――全員一致で賛成だった。
よし、これでセンチュリーはさらにパワーアップできる……!
⸻
私とかおりは、よく通う楽器店へと向かった。
「ここにその子がいるの?」
「ああ、間違いない。気のいいやつだよ」
「いらっしゃいませー」
「よっ、塔子!」
かおりが声をかけたのは、レジにいた制服姿の女子店員だった。
「なによ、かおり。今バイト中なんだけど」
「いや、この前言ってたバンドのリーダーを紹介しようと思ってさ」
「……え? あんた、“センチュリー”のギタリストになったって言ってたよね? まさか、この子がリーダー?」
「そう、残念ながら本物なんだよ。イサミじゃなくて悪かったね」
「あっ……ごめん、それで今日は何の用?」
「私たちのバンドに、入ってほしいの」
「私が……センチュリーに? でも私もギターだよ? かおりと被るでしょ?」
「それでもいい。私たちはツインギターを編成にしたいと思ってるし、目標は本気でフューチャーワールドフェスの優勝。メジャーデビューを見据えてるの」
「フューチャー……ワールドフェス⁉」
驚くのも無理はない。
FWFはこの世界でバンドの頂点を決める全国規模のコンテストだ。
出場バンドは数万。ジャンルもスタイルも混在する、真の実力が試される舞台だ。
「……ふふ、面白いわ。えっと、小暮さん?」
「小暮マミです」
「私は篁塔子。ギター担当。かおりとは幼なじみ。
貴女のその“大きすぎる夢”、そして、それを支えるかおりの姿勢。
……私も一度、同じステージに立たせてほしい」
「……つまり、“試用期間”ってことね?」
「そう。私にとっても、センチュリーにとってもね」
「ふぅん、随分と上から目線ね」
「私もバンドに入るからには、ちゃんと“見極めたい”の。
一緒にやる価値がある人たちか、どうかを」
「……わかったわ。直近のステージは夏祭りの有志ステージ。それでもいい?」
「ええ、OK。練習は明日からでいいかしら?」
「このメモにスタジオの場所と時間を書いてあるから、明日の夕方に来て」
「うん、わかった。必ず行くよ」
「バイト中にごめんね」
「いえ、大丈夫。家だし」
「……家?」
「言ってなかったっけ? 私、篁楽器店の次女なのよ。小遣い欲しさにバイトしてるの」
「小遣い減らされたくなかったら、手伝えって言われててさ」
「……なるほど、そういうこと。じゃあまた明日」
「そんじゃな、塔子。待ってるぜ!」
⸻
それからの2週間、センチュリーはついに5人体制へ。
仮加入の塔子も含め、練習・食事・銭湯・作曲……と青春ど真ん中な日々が続いた。
懐かしい。あの時と同じ、**“5人のセンチュリー”**の感覚。
イサミ……
あんたが教えてくれたことは、今も私の中で生きてるよ。
「一人は、寂しい」ってこともね。
⸻
時は流れ――ついに夏祭り当日。
「いやぁ、ここまで早かったな」
「本当に、あっという間だった」
「あーしは去年は参加してないから、ちょっと緊張してきた……」
「それは私もだ。さあ、閣下。本番前に、何か一言を頼む」
「ふふ……まあいいだろう。
――行くぞ、悪魔たち!
我ら、悪魔教の信者を増やすため、教団の理想を成就するのだッ!」
「「「「おおーっ!!」」」」
【夏祭り・有志ステージ会場】
『今年もこの方々がやってきてくれました!
悪魔教を広めるべく結成されたバンド――ジ・エンド・オブ・センチュリーの皆さんです!』
(歓声と拍手の中、私たちはステージへ)
マイクを握る私。
「ご紹介、ありがとう。
去年も来てくれた諸君には、見慣れない顔がいるかもしれん。
――ならば、紹介しよう! 悪魔たちの名を!」
(スポットライトがベースの位置へ)
「ベース! ゼノン・若宮!」
(低音を響かせながら)
「よろしくお願いします!」
「続いて――ツインギター!
ジェイル・大橋! & srg.ルーク篁三世!」
(2人が息を合わせ、フレーズをかき鳴らす)
「今日は!」
「よろしくッ!」
「ドラム! 雷電・丸山!」
(ドラムの一撃で空気が引き締まる)
「……そして!
地獄の王位を継ぎ、帰獄された“ダミアン浜田”地獄皇太子殿下より、我らがリーダーを任された――
デーモン小暮閣下!」
(歓声と拍手が響き渡る)
「さあ、会場も温まってきたところで――
今宵のミサを始めよう。一曲目は……新曲『エルドラド』!」
(演奏開始――)
……それからの30分間は、あっという間だった。
歌って、演奏して――
でも、そこに「苦しい」「つらい」なんて気持ちはひとつもなかった。
本当に、楽しかった。
その夜。出店で買ったたこ焼きやお好み焼きを片手に、私たちはファミレスで簡単な打ち上げをしていた。
「ふはー、楽しかったー!」
「最高だったな、本物のステージってああいうのを言うんだな」
「なんだか、満たされた感じがします」
「やっぱ、あの感覚、サイコーっしょ!」
「確かに……ねえ、ルーク……じゃなかった、塔子。どうだった?」
「……最高だった。これからも、ここで皆と演奏したい」
「つまり?」
「これからもよろしくね、閣下」
「こちらこそ!」
私は塔子の手をぎゅっと握り返す。
こうして――
塔子、いや“ルーク”が正式に加わり、ジ・エンド・オブ・センチュリーは再び5人となった。
次なる目標は――主催ライブだ!
今回も最後まで読んでくれてありがとうございました。
アンケート
メジャーデビューするならば、何時がいいか
メジャーデビューの時期
-
高校時代後半
-
大学時代