バンドリ世界で女だけど閣下になったよ。   作:のうち

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第二章 3節 夏の祭りにて

 

どうも、小暮マミです。

前回、ライブハウスでの復活ライブを成功させた私たちジ・エンド・オブ・センチュリーは、今年も地元の夏祭り、有志ステージでの出演が決まった。

さらに、ライブハウス側からも夏のイベントへの出演オファーをいただくなど、着実に実績が積み重なっている。

 

「いやぁ、今年も頑張ろう!」

 

「私は今年が初めてだけど、やっぱり楽しみだよ!」

 

「よーし、行くぞ!」

 

「おうっ!」

 

私たちの目標――それは高校在学中に**フューチャーワールドフェス(FWF)**に出場すること。

そのためには最低でも5人のメンバーが必要だ。つまり、もうひとりギタリストが必要になる。

 

本来なら、前世ではジェイルの次にルークが加入し、最終的にエースが戻る流れだけど……篁なんて苗字の知り合い、いるわけないしな。

 

――ええい、未来のことに不安になってても仕方ない!

今はとにかく、練習あるのみ!

 

 

「どうしたんだ、マミ?」

 

考え込んでいた私に、ジェイルこと大橋かおりが声をかけてきた。

 

「うん……実はね。もうひとりギターを入れたいと思ってるの」

 

「ふーん、ツインギターってわけか。まあ、ひとり、いるにはいるけど……めんどくさいやつなんだよな」

 

「会えるの?」

 

「多分、今ならバイト中かな。行ってみる?」

 

「なら、一度みんなに相談してからにしよう」

 

相談の結果は――全員一致で賛成だった。

よし、これでセンチュリーはさらにパワーアップできる……!

 

 

私とかおりは、よく通う楽器店へと向かった。

 

「ここにその子がいるの?」

 

「ああ、間違いない。気のいいやつだよ」

 

「いらっしゃいませー」

 

「よっ、塔子!」

 

かおりが声をかけたのは、レジにいた制服姿の女子店員だった。

 

「なによ、かおり。今バイト中なんだけど」

 

「いや、この前言ってたバンドのリーダーを紹介しようと思ってさ」

 

「……え? あんた、“センチュリー”のギタリストになったって言ってたよね? まさか、この子がリーダー?」

 

「そう、残念ながら本物なんだよ。イサミじゃなくて悪かったね」

 

「あっ……ごめん、それで今日は何の用?」

 

「私たちのバンドに、入ってほしいの」

 

「私が……センチュリーに? でも私もギターだよ? かおりと被るでしょ?」

 

「それでもいい。私たちはツインギターを編成にしたいと思ってるし、目標は本気でフューチャーワールドフェスの優勝。メジャーデビューを見据えてるの」

 

「フューチャー……ワールドフェス⁉」

 

驚くのも無理はない。

FWFはこの世界でバンドの頂点を決める全国規模のコンテストだ。

出場バンドは数万。ジャンルもスタイルも混在する、真の実力が試される舞台だ。

 

「……ふふ、面白いわ。えっと、小暮さん?」

 

「小暮マミです」

 

「私は篁塔子。ギター担当。かおりとは幼なじみ。

貴女のその“大きすぎる夢”、そして、それを支えるかおりの姿勢。

……私も一度、同じステージに立たせてほしい」

 

「……つまり、“試用期間”ってことね?」

 

「そう。私にとっても、センチュリーにとってもね」

 

「ふぅん、随分と上から目線ね」

 

「私もバンドに入るからには、ちゃんと“見極めたい”の。

一緒にやる価値がある人たちか、どうかを」

 

「……わかったわ。直近のステージは夏祭りの有志ステージ。それでもいい?」

 

「ええ、OK。練習は明日からでいいかしら?」

 

「このメモにスタジオの場所と時間を書いてあるから、明日の夕方に来て」

 

「うん、わかった。必ず行くよ」

 

「バイト中にごめんね」

 

「いえ、大丈夫。家だし」

 

「……家?」

 

「言ってなかったっけ? 私、篁楽器店の次女なのよ。小遣い欲しさにバイトしてるの」

 

「小遣い減らされたくなかったら、手伝えって言われててさ」

 

「……なるほど、そういうこと。じゃあまた明日」

 

「そんじゃな、塔子。待ってるぜ!」

 

 

それからの2週間、センチュリーはついに5人体制へ。

仮加入の塔子も含め、練習・食事・銭湯・作曲……と青春ど真ん中な日々が続いた。

 

懐かしい。あの時と同じ、**“5人のセンチュリー”**の感覚。

 

イサミ……

あんたが教えてくれたことは、今も私の中で生きてるよ。

「一人は、寂しい」ってこともね。

 

 

時は流れ――ついに夏祭り当日。

 

「いやぁ、ここまで早かったな」

 

「本当に、あっという間だった」

 

「あーしは去年は参加してないから、ちょっと緊張してきた……」

 

「それは私もだ。さあ、閣下。本番前に、何か一言を頼む」

 

「ふふ……まあいいだろう。

――行くぞ、悪魔たち!

我ら、悪魔教の信者を増やすため、教団の理想を成就するのだッ!」

 

「「「「おおーっ!!」」」」

 

【夏祭り・有志ステージ会場】

 

『今年もこの方々がやってきてくれました!

悪魔教を広めるべく結成されたバンド――ジ・エンド・オブ・センチュリーの皆さんです!』

 

(歓声と拍手の中、私たちはステージへ)

 

マイクを握る私。

 

「ご紹介、ありがとう。

去年も来てくれた諸君には、見慣れない顔がいるかもしれん。

――ならば、紹介しよう! 悪魔たちの名を!」

 

(スポットライトがベースの位置へ)

 

「ベース! ゼノン・若宮!」

 

(低音を響かせながら)

 

「よろしくお願いします!」

 

「続いて――ツインギター!

ジェイル・大橋! & srg.ルーク篁三世!」

 

(2人が息を合わせ、フレーズをかき鳴らす)

 

「今日は!」

 

「よろしくッ!」

 

「ドラム! 雷電・丸山!」

 

(ドラムの一撃で空気が引き締まる)

 

「……そして!

地獄の王位を継ぎ、帰獄された“ダミアン浜田”地獄皇太子殿下より、我らがリーダーを任された――

デーモン小暮閣下!」

 

(歓声と拍手が響き渡る)

 

「さあ、会場も温まってきたところで――

今宵のミサを始めよう。一曲目は……新曲『エルドラド』!」

 

(演奏開始――)

 

……それからの30分間は、あっという間だった。

 

歌って、演奏して――

でも、そこに「苦しい」「つらい」なんて気持ちはひとつもなかった。

 

本当に、楽しかった。

 

その夜。出店で買ったたこ焼きやお好み焼きを片手に、私たちはファミレスで簡単な打ち上げをしていた。

 

「ふはー、楽しかったー!」

 

「最高だったな、本物のステージってああいうのを言うんだな」

 

「なんだか、満たされた感じがします」

 

「やっぱ、あの感覚、サイコーっしょ!」

 

「確かに……ねえ、ルーク……じゃなかった、塔子。どうだった?」

 

「……最高だった。これからも、ここで皆と演奏したい」

 

「つまり?」

 

「これからもよろしくね、閣下」

 

「こちらこそ!」

私は塔子の手をぎゅっと握り返す。

 

こうして――

塔子、いや“ルーク”が正式に加わり、ジ・エンド・オブ・センチュリーは再び5人となった。

 

次なる目標は――主催ライブだ!

 




 今回も最後まで読んでくれてありがとうございました。

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