テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます!   作:たっさそ

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第18話 樹ー夢と幻 夢と現

 

 

みんなの初殺生イベントが終わると、すぐに起こるよイレギュラー。

 

 

「ギャギャッ! ギャギャッ!」

 

 湿地帯でもないのに、トカゲの魔物だ。

 

 ………。

 

「なんで………、リザードマンがこんなところに!?」

 

 

 

 団長のダンさんが驚愕の声をあげる。

 

 俺たちが遠征しているこの森は、冒険者(やはり当然のようにある)とか魔物の間引きとかのために、騎士団とかが巡回している。

 

 そのため、出現する魔物の種類などは完全に把握しているはずなのだ。

 

 それから察するに、まあ当然ながら、本来ならばありえない生態系の魔物が現れている、ということになる。

 

「ひゃははっ! カンケーねーぜ! 倒しちまえばなにも変わらねーよ!!」

 

 と、チンピラ黄信号の黄島蓮が剣を構えてそのリザードマンの首を刎ねる。

 

 黄島蓮(チンピラ黄信号)のアビリティは<双剣闘士>で、ルビはないが、超越級アビリティらしい。

 完全に光彦の下位互換だが、まああれは光彦の方がおかしい。

 

「………リザードマンがいることもそうだが、魔物の数が多いな………。これは、もしかしたら近くで迷宮が発生したのかもしれん。」

 

「迷宮!」

 

 

 でたよ、ダンジョン。

 どういうシステムのダンジョンかはしらないけれど、魔物の無限発生、およびダンジョン内で死んだ魔物の消失がテンプレだろうか。

 

 ダンジョンから出たら魔物はシステムから切り離されて無限発生の輪から弾かれて外では死体が残る………みたいな?

 

 死体は消えていないリザードマンを見るだけで、それだけの可能性が見えてくる。

 

「じゃあさ! みんなで迷宮ってやつの入り口探そうぜ! このまま放置するわけにはいかねーんだろ、ダンさん!」

 

 と、そう提案したのは、チンピラ青信号、青葉徹。アビリティは<魔闘剣士>で剣に魔法を乗せることが得意な超越級アビリティらしい。

漂う三下臭には突っ込まないぞ。

 

 とはいえ、だ。先ほど、初殺生イベントで多大なストレスを受けているところだ。

 すぐに慣れる物ではない。俺や由依は慣れているから問題ないが、他の連中にはちと厳しいんじゃないかと思う。

 すでに帰りたい、と泣いている女の子たちだっているのだ。

 

 

「………。わかった。私としてもこのまま放置はできん。だが、今日はみんな疲れているだろう。1時間だけ調査をして、それでも異常がなければ今日はもう戻ろう。」

 

 そこで、団長さんが出した答えは、時間付きの探索。現在は午後2時程度の時間だ。

 

 みんな、朝食を抜いていたおかげでお腹はぺこぺこのはずだが、あんなグロい戦いを続けて、食欲はない。

 朝食を食べていたら全部吐いていたはずだからな。

 

  キャンプ地まで戻ろうとしたら、それ以上は時間が足りない。みんなの精神もそろそろ限界だ。

 

 

『そんなことしなくても、<ここから迷宮にご招待してあげるよ!!>』

 

 

 そんな声が聞こえた瞬間、足元の地面が崩れた!

 

「なっ!?」

「きゃあああ!」

「足元が!?」

「なにがっ………!」

「俺は誰だ!?」

 

 

 驚愕と悲鳴を上げながら落ちていくクラスメイトたち。

  

「………………<浮遊(フロート)>!」

 

 その瞬間、俺はクラスメイトみんなに浮遊の魔法をかけた。

 これで怪我をしないように、ゆっくりと落ちることだろう。

 

 俺自身は浮かした瓦礫を蹴って即座にその場を離れる。

 浮遊の魔法はRPG風世界の夢を見た時に手に入れていた。

 

 この一月で、アビリティの検証の結果、俺と由依の能力の違いもわかってきた。

 

 

 由依の能力が、夢の能力をこの世界でのアビリティやスキルとして手に入れるなろう御用達チートに対して、俺の能力は、スキルやアビリティはステータスに反映されない、まったく別の能力だった。

 

 まあ、管理がし辛いだけで、由依の能力とあまり差はない。

 

 由依の見た現実世界の夢の影響か俺自身の能力の影響かはわからん。

 

 由依が夢と幻。俺が夢と現。みんなが精神だけこの世界に漂着しているとしたら、まさしくこれは夢と幻の世界だ。

 

 そこに、夢と現の能力を持つ俺は、異端なのだろう。

 

 夢の世界に、現実の肉体を持つ俺。

 夢の世界と現の肉体をごちゃごちゃにした、わけわかんない状態。

 

 それが、俺なんだと思う。

 妙子に確認したところ、妙子の陰陽術というか、化させる妖術などはステータスに反映されていない技術だという。

 おそらく、それはこの世界の理ではなく、妙子自身が持つ異能だからだろう。という結論に至った。

 

 つまり、この世界特有の能力ではないからステータスに反映されていないだけで、俺の肉体に直接能力の継承自体はされているということだ。

 

 この世界に来た特典かなんかでステータスやレベルやアビリティとして覚醒したようだけど、夢と幻のこの世界で、現の存在である俺はバグみたいなものなのかも知れないな。

 

 ま、由依が初日に見た夢を全て鵜呑みにすればの話だけど。

 

 

『へえ、一人避けられる力を持った子がいるよ』

『珍しいわね、新米勇者なのに』

 

 などと好き勝手言ってる、そこの奴ら。

 

 浮遊の魔法をかけたとは言え、大穴に落ちたクラスメイト達が心配だ。

 

 そちらには由依や田中。妙子がついているから余程のことがない限り大丈夫だとは思うんだが………。

 

「何者だ、なんて言うつもりは無いぞ。どうせ魔族の幹部らしきものの突発的襲撃イベントだって検討はついているからな。四天王だとか七つの大罪とか十二星座とかモチーフにした数字×ほにゃららみたいな名前の敵さんだってことはわかるぞ。今回の遠征のイレギュラーさんのお出ましってわけだ。」

 

『勘がいいね、ボク達は魔王様直属の最高幹部。五戒魔帝。妄語のデリュージョン』

『そして私は邪淫のリビディア。その理解力、マルよ。』

 

 

 そう言って、森から姿を表す二人の男女。

 浅黒い褐色肌で、目が赤いあたり、よくありふれた魔人っぽいな。

 頭にツノを生やしている、ポイントが高い。タツル(ポイント)10Pだ。

 100TP(タツルポイント)たまると1YP《ユイポイント》と交換することができるぞ!

 

 あー? あとなんだっけ? ゴカイ? モーセの十戒と共通する事が多そうだな。

 

 神話とか宗教が絡むような作品はあまりよまないから分からん。

 まあ、推測くらいは出来る

 

 

「こりゃどうも。俺は名乗らん。敵に情報渡すなんてアホのする事だ。予想するに、お前らのお仲間は………残りは殺すのが得意そうなやつと盗むのが得意そうなやつがいそうだな。」

 

「よくわかったね! あとはのんべえがいるよ!」

「こら、ジョン。相手に情報を漏らすのはバツよ」

 

 つまり、五戒っていうのは、『殺戮』と『強盗』と『嘘』と『淫行』と『酒乱』がモチーフってことかな。

 

 

 よくもまあわざわざそんな名前をつけたなぁ

 

「どういう事情であれ、ウチのクラスメイトに手ぇだしたんだ。生きて帰れると思わないように。」

 

 俺は両腕を真横に広げて肘を内側に捻ると、ゴキッ! と音が鳴る。そのまま二人組を睨み付けると、

 

「………ちょっとくらい主人公らしいことしたっていいよな」

 

 俺はフリッカースタイルで拳を構えた。

 

「へえ、勝てる気でいるんだ。ねえディア、こいつはボクの獲物だよ!」

「もう、勝手にしなさい。負けるのはバツよ。」

 

 なんていいながらジャレ合っている。

 

「そーいう作り込んだ喋り方で話す暇あるなら、かかってこいよ」

 

「あっははは! 殺す!」

「私は落ちた勇者たちを見にいくわ」

 

 男の子の魔族デリュージョンが俺に向かって突っ込んでくる。

 女の魔族、リビディアがみんなが落ちていった穴にふわりと降りようとしているのが見えた。

 

「行かせるかよばーか。」

 

 突っ込んでくるデリュージョンを受け流し、圧縮した魔力弾をジャブの形でリビディアに放った。

 属性魔法? そんな時間がかかるものよりもバッと打てる遠距離攻撃のやつの方が優秀だろ。

 

「<魔力を通さない壁があるよ!>」

 

 だけど、デリュージョンの一言で俺の魔力弾がかき消された。

 

「援護はハナマルよ。あとで褒めてあげる」

 

「妄言の………………言霊系か。当然といえば当然だが、やっかいな………。」

 

 歌いながら現象を具現化する白石響子より、単純であるがゆえに発動が早く、簡素な命令ができる能力ってところかな。

 

 規模は響子より小さいかもしれないが発動速度は上回る。上位互換ってところか。

 

 そんでもって、奴は「壁」や「壁を作れ」、などではなく、「壁がある」と言ったことに鍵がある。

 それに奴は妄語のデリュージョン。

 奴の言葉(のうりょく)はほとんど妄言(デタラメ)だ。

 

「言葉の言い回しから察するに、お前の能力は嘘を本当に変える言霊使いって事だな」

 

「凄いね! 二回しか見せてないのに、気付いたの!? そうさ、ボクのアビリティは<嘘から出た実(リアリティ・ライアー)> 嘘を真実に変える言霊使いさ!」

 

 おいおい、異能バトルっぽくなってきたじゃねーの。

 

「能力の解説を自らするのは二流だな。」

 

 その能力の真骨頂は相手に能力を誤認させるのが最も強い能力の使い方だろう。もったいない。

 

「とはいえ、テンプレ異世界を幾度となく救ってきた俺の敵じゃないだろうな。向こうには由依と田中と妙子がいるし、どうにかなんだろ。」

 

「あっははははは! もう怒った! シネシネシネ!!」

 

 

 ブンブンと爪を振るうデリュージョン。

 

 嘘を真実に変える能力。その解決方法はすでにある。

 クソほども怖くない。

 

 なんだったら、足元に落ちてるクソの方がよほど怖い。

 

 さて、どうおちょくったものか。

 

 

 







あとがき

次回予告
【クソ野郎の反対語は素敵乙女】

お楽しみに


読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった

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