テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます!   作:たっさそ

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第20話☆由依ーここでまさかのHH

 百を超えるリザードマンの来襲に対し

 

「失敗したにゃ!」

 

 そう漏らしたのは、タナカちゃん。

 瓦礫の上に立つリビディアにたどり着くには、リザードマンを越えてゆかねばならない。

 無数に現れるリザードマン。それを相手にするには、今のタナカちゃんの格好は都合が悪かった。

 

「田中は今、一撃必殺は得意でも軍勢相手にはへっぽこにゃんこにゃ!」

 

 そう。タナカちゃんの今の格好は一対一(サシ)に特化した魔王魔法少女コス。

 

 魔法のステッキを構えて俯くタナカちゃん

 

「田中は、無力にゃ………!」

 

 とか言いつつ、魔法のステッキをベルトに刺して、両手剣を構える

 

「かと言って、魔法少女の技能だけを使うわけじゃないにゃ!」

 

 ギラリと輝く瞳。

 このハイスペックオタクの凄いところは、コスプレして体験したその格好の技能を、生身でも再現できてしまう点にある。

 

 コスプレ特有の能力はなくとも、その際に会得した気配の読み方、肉体の動かし方を、コスプレを脱いだ後も反復して己の血肉に変える。

 

「そうさー漲るちっからーぁで〜♪ 敵をぶっ飛ばしーちゃおーうよー♪」

 

 

 声楽部の響子(キョーコ)ちゃんも、全体に聴こえるように歌い始め、クラスメイト全体にバフが掛かる。

 なんだか力が100%湧きそうな曲だ。でも元の歌詞が一ミリもない!

 

「漲ってきたああ!! っしゃおらああああ!!!」

 

 テンション担当、早風俊が短剣を二本構えてリザードマンを屠る。

 違う。優先順位を間違えるな!

 

 屠るべきはあの魔族の女!

 

 やみくもにリザードマンに突っ込んでどうにかなるものじゃない!

 

 

「瞬! 軍勢を相手にお前の脚じゃ不利だ! 戻れ!」

 

 密集地帯ではいくら足が速かろうと、足が止まってしまう。

 活かせるものではない。

 

 早風俊もまた、1対1で能力を発揮するタイプなのだから。

 

「うぉおおおお!!!」

 

 ザン! ザッシュ!! とリザードマンをまとめて斬り倒す団長。

 響子(キョーコ)のバフが効いているのか、複数のリザードマンを同時に相手取っている。

 

 

「個別に対応するな! 魔法で相手を屠れ! リザードマンの弱点は!」

 

「低温!!」

 

 団長の声に、魔法系のアビリティを持つミオちゃん、シノちゃんが氷の魔法の詠唱を始める。

 それに便乗して鉄太も詠唱を開始。

 ユカリコも水の精霊にお願いして氷を生成していた。

 所詮爬虫類。

 変温動物の性。温度の変化には弱い。

 

「この吹雪♪ 足がとられる♪ トカゲーさんー♪ う・ご・か・な・いーでねー♪ 」

 

 そして、呪文の詠唱なんかよりも早く、歌詞限界(リミテッドライター)による言霊でステージを変えることでトカゲの行動を抑制するキョーコ。

 言霊による動くなとの指令も加わり、百を超える数のほとんどが動けなくなってしまった。

 

 やはり歌詞限界の具現化能力はすさまじい。

 

「今だ! 畳みかけろ!」

 

 団長の命令により、剣で、拳で、魔法でリザードマンを屠ってゆく。

 動けないリザードマンなど、ただの的だった。

 先程、先に魔物を殺す予行練習を行っていなければ、こんなにスムーズに敵を屠ることなどできなかっただろう。

 

 

「へえ、あの子も言霊を使うんだ。しかも景色まで変えちゃうなんて。やっぱり一番危ないのはあの言霊使いかしら」

 

 

 と、感心しているところだけど、言霊使いはうちのクラスに一人だけじゃない。

 

 

「俺は蝙蝠(bat)、お前はダメ(bad)、コレは棍棒(バット)、お前死ね(デッド)。YEAR!」

 

 サングラスをかけたオールバックのヒップホッパー、佐久間太郎。

 リザードマンが動きを止めたその瞬間に、ヒップホップ開始。

 リズムに乗って歌いながら蝙蝠に変身し、相手を罵倒したかと思えば、瓦礫の頂上にいたリビディアの上に羽ばたき、人の形に戻ったかと思えば、右手には金属バット。

 最後に死を宣告しながらリビディアの脳天に向かってバットを振り下ろす

 

「キャッ! やるわね! マルよ!」 

 

 棍棒を腕で受けるリビディア。

 

 タロウのアビリティは<有言自(フリースタイル)由変化(ヒップホップ)

 韻を踏んで変化、具現化、デバフなどを行うアビリティ。

 歌いながら考えるキョーコの<歌詞限界(リミテッドライター)>とは違い、タロウのヒップホップは直感で、語感で韻を踏んで繰り広げる即興ヒップホップ。

 語感さえあえば何でもするので、本人にさえ予想がつかないことがある。

 そんな能力の為キョーコの下位互換だと思っていた。

 

 私としても、タロウが敵幹部に一撃を入れた事に驚愕している。

 タロウは私たちと同じ、賑やかし系のモブだとおもっていたからね。

 

 とはいえ今の殺し童貞を捨てたばかりのレベルの低いタロウに、敵幹部を倒せるわけがない。

 そう思っていたんだけど、考えを改めないとだなー。

 

 

 予想外の攻撃に距離を取るため、タロウから目を逸らさず後ろ向きに瓦礫から飛び降りるリビディア。

 しかし、それに追い打ちをかけるように太郎は瓦礫の上で手をチェケラする。

 

「あっと驚くこの空間、俺が逃がさぬこの時間、見れば現実……実感。お前を撃ち抜くこの銃弾ほらっ、飛べば散らばるあの散弾。これが貴様の最期の瞬間、祈れお前の仏壇にぃあ、YEAR!!」

 

 空間指定して落下途中のリビディアの周囲の時が止まる。

 驚愕に目を見張るリビディアに向かって、タロウは具現化した銃を撃つ。

 ドウン! という音と共にタロウは一発だけ打った銃を人差し指で一回転させた後に用無しとばかりに捨てる。

 銃は溶けるように宙に消えた。

 

 弾は散弾となり、リビディアの腹に風穴を開け、そして――

 時が動き出した瞬間。最後に仏壇が彼女の頭上から降ってきてトドメを刺した。

 

「ぐがぁああああ!!!」

 

 絶叫のリビディア。

 わかってはいたけど、言霊系の異能はやはり強い。

 物理や現象を捻じ曲げて現実を創り出す。

 

 反則級だ。

 複数のアビリティを持つ私が言うのもなんだが、私でも対処ができない部分がある。

 時を止められて銃で撃たれたら、私でも死ぬわ。

 

 

「センキュー、リッスントゥマイヒップホップ!」

 

 ………しかし、光彦くんでもタナカちゃんでもなく、

 決めポーズに両手をクロスさせてチェケラするタロウが、あんなにかっこいいとは思わなかったな。

 

 頭上の亀裂から地下の迷宮に差し込む光が、まるでステージライトのようだった。

 

 

 




あとがき

予告したイラスト。


【挿絵表示】


たっさ
「お題、クロスしたチェケラ オールバック グラサン」


「帽子は?」

たっさ
「いいねそれ!」


 絵師さん、女性描くの苦手だから男描かせろボケカスシネっていうから(いってない)、太郎だよ。
 久しぶりに絵を描くからなんか下手になってたって言ってたけど、私には上手い以外の感想がないです。
 ワイが描くより断然いい


次回予告
【自己言及のパラドックス】

お楽しみに


読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった

と思ってくださる方は

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絵を描いてみたいって人がいたら大歓迎です。
なんだったら前作で書いてもらったファンアートが今の待ち受けです。

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