テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます!   作:たっさそ

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第34話 樹ー異世界に戻る

 

 

 俺と由依と響子の3人は、妙子の部下の事務所で妙子の夢を媒介に異世界の出来事を茶菓子食いながら観賞していたんだけど、妙子の辛辣な言葉に、光彦が膝をついていた。

 

「ほんっと妙子ちゃんって辛辣だけど筋通す人だよね」

「俺もそう思う。そんでもってなんだかんだで面倒見がいいんだよな。」

「タエコちゃんがみんなのことを心配して言ってくれてるってのはわかるもんね」

 

 

 妙子が光彦に怒鳴ってプライドをズタボロにした。

 

 だけど、辛辣だけど、そこにこそ妙子の優しさがある。

 

  妙子は理想論や楽観的なことは好まない。光彦のフワッとした正義感など糞食らえだと思っている節がある。

 どちらかというと、妙子にとって光彦は嫌いな部類だろう。

 反社会勢力とつるんでいるくらいだしね。

 

 

 でも、絶対に見捨てない。

 

 「そうですよ。だからわたしも、団三郎おじさんも、妙子おばーちゃんのことが大好きなんです」

 

 ヱリカさんが嬉しそうにそう言った。

 確かな人望がある。

 由依なんかは妙子に絶大な信頼を置いているしな。

 弱みをつけ込まれて懐柔させられている気がするが、それでもちゃんと由依の心を救っている。

 

『光彦。これは戦争じゃ。どうあっても人は死ぬ。考えもせずに国を救おうとした結果じゃ』

『うぅう………!!!』

『とはいえ経験をザザ、ったお主なら成ちょザザザ………ることをワシは心から願っておるぞい』

 

 ざ、ざざっ とテレビの画面にノイズが入る

 経験を積んだ? 成長する、かな?

 

「あれ? なんか受信が悪いですね」

 

 ヱリカさんがケーブルをグッと押し込んで調整するものの、どうやら夢映しの鏡の方に問題があるらしく、映像が途切れ途切れになる

 

 

「あれ………私もなんだかすごく眠い………」

 

 

 見れば由依の目がトロンとしてきている

 

「向こうの由依の目覚めが近いのかもしれないな。ちょっと俺は元の兵隊の服に着替えるから、もうしばらく眠気に耐えてくれ。たぶん、由依が目が覚めると俺もこの世界から消える。」

 

 向こうとこっちでは時間の流れがめちゃくちゃだ。

 こっちと向こうの時間がリンクしているのは、やはり由依か俺がこの世界にいるからなのかもしれない。

 そんで、この世界にくる直前の行動を思い返すと、俺はおそらく由依の夢に入り込んでいる状態なのだと思う。

 

「映像は今日はここまでみたいです。またいつでも遊びに来てくださいね。響子と由依と樹は歓迎するってんですよ。」

 

 ノイズしか映さなくなってしまった鏡を回収し、つないでいた線も外すヱリカさん。

 ヱリカさんが嬉しそうに微笑んで歓迎してくれたが、社交辞令かもしれないが、また遊びにこよう。

 またこっちに戻ってくれば、ここを拠点に作戦会議ができるかも?

 また妙子の夢で向こうとこっちで情報共有もできるかもだし、厚かましいが頼りにさせてもらおうと思う。

 

 

「はい。ありがとうございます。しばらく妙子のことよろしくお願いします」

「まかせてください」

 

 どんと胸を叩くヱリカさん

 由依の意識が薄れるにつれて、向こうとこちらの時差が生じる。

 俺は急いで着替え、スマホを胸ポケットにしまい、お土産のお酒が入ったカバンを背負う。

 

 

「響子、由依のこと頼んだぞ」

「わかった。向こうのみんなによろしくね」

「ったりまえだ。」

 

 由依が完全に眠りに落ちると、俺の意識も消失した。

 

 

 

 

          ★

 

 

 

 

「おっと。由依の手を繋いで出現か」

「おはよう、タツル………」

 

 

 俺が現れた場所は、木にもたれかかる由依のすぐ隣。

 手を握って意識を失ったからか、由依の手を握って現れた。

 

 

「樹くん!! どこにいっていたんだ! 心配したんですよ!!」

「由依にゃん! 目が覚めたにゃ! 」

「うん。おかげさまでね。ありがとう、タナカちゃん」

 

 俺の存在にすぐに気づいたのは、俺の記憶を保持していたインテリメガネのカラスだ。

 

 田中も由依が目を覚ましたことにほっと息をつく。

 こいつにも苦労をかけたな。

「わり、俺のアビリティが予想していない時に発動したみたいで、気絶中の由依の夢に迷い込んでた」

 

「そんなことが………」

 

 

 

 俺の存在に気づいた他のクラスメイトたちも

 

「樹だ、なんで忘れていたんだ?」

「おかしなことじゃな、ワシが樹をわすれるとは………」

「田中も、どうして記憶が抜け落ちているにゃん………?」

 

 田中も妙子も自身の記憶に疑問が生じ、驚愕の表情をこちらに向ける。

 

「すまない、心配かけ………てないな。記憶ないもんな。たぶん俺が能力使ってると、みんなから俺の記憶がごっそりぬけるっぽい。」

「そんな能力だったのかい!?」

 

 驚愕のカラス。彼も自分の記憶がおかしいのかと不安になっていたからな。フォローしとかないと。

 

「たぶんそんな感じだ。それとみんな。由依を守ってくれて、助けてくれてありがとう。みんなが由依を引っ張り上げてくれなかったら、もしかしたら由依は魔物に食い散らかされていたかもしれない。心から感謝する」

「みんな、私を助けるためにいろいろ無茶をしてくれたのはわかってる。助けてくれてありがとうございました」

 

 俺と由依は助けてくれたみんなに頭を下げる。

 あの場で放置なんかしていたら、隙間から入ってきそうな蜘蛛の魔物に由依は殺されていたかもしれないからな。

 

「だ、だが………響子と俊平は………」

 

 と、震える声で光彦が呟く。

 

「泣き言は後だ。団長、俺が倒して縛ったデリュージョンを妙子と二人で尋問します。他のみんなを安全なキャンプ地へ運ぶことが先決かと」

 

 もう日没の時間だ。

 本来ならば夕食を済ませておかないといけなかったのに、随分と時間がかかってしまったからな。

 夜の森は危険がいっぱいだし、早めに戻らないといけない。

 

「………。わかった。全員、キャンプ地へと向かう! 他の魔人が現れないとも限らない。気を引き締めて行動を取るように!」

 

 

「「「 はい!! 」」」

 

 団長の宣言に、クラスメイトたちはそろって返事をおこなった。

 

 

 

 

 

 

 







あとがき


次回予告
【 よくある敵の寝返りは信用できない 】

お楽しみに


読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった

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