テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます! 作:たっさそ
迷宮の最下層には扉があった。
「あおいさん、この場所、わかる?」
『さあ。この迷宮、大陸間の移動のために使っていたから、最下層まで降りたことってないよ』
「そっかぁ………じゃあしょうがないね。」
この半年、あおいとの会話にも慣れてきた俊平。
自爆したり食べたり寝たり、いろいろやっているうちに、俊平は己にできることを増やしていった。
まず、最初にあおいと共に自爆をして弾け飛んだ時、あおいの体内に寄生するジュエルタランチュラも粉々になった上で、あおい、俊平とともにジュエルタランチュラの要素が合成されていた。
そのため、俊平は指の先から糸を出すスキル、<蜘蛛糸>が手に入っていた。
さらに、スキルで<硬化>という、防御力をあげてくれるスキルもついでに手に入る。
壁に張り付いて移動できる<壁面走行>というスキルも、ジュエルタランチュラのものだろう。
手に入ったのはジュエルタランチュラのものだけで、食った魔物の能力や苗床の場所にいた他の魔物の能力は一切なかった。
これは長い間ジュエルスパイダーの苗床にされていたあおいがいつのまにか身に付けていたスキルなのだろうか。
俊平にはわからなかったが、便利なので使わせてもらうことにしている。
さらに、俊平は短髪だったが、あおいとの合成再生の結果、白髪の肩までかかるセミロングとなり、もともとの中性的な顔立ちもあいまって、女の子にしかみえない状態になっていた。
かろうじて男の子の象徴はある。
自爆の影響で毎度毎度服が弾け飛ぶので、女の子と勘違いされることはないだろうが、見る人もいないのでどうでもいいことであった。
基本的には、倒した魔獣の皮を剥いで、魔法で焼いて穴を開け、粘着性の蜘蛛糸で貫頭衣を作成し、糸で縛るくらいしかできない。
同じく荷物入れも魔獣の皮で作っているが、素人の作品なので臭い。
でも、すっぽんぽんの手ぶらよりはマシだった。
パンツくらいは蜘蛛糸で作りたかったが、たった数㎠を作るのに多大な労力を欠けた挙句、火に弱い性質だし、すぐに自爆で消滅するから意味がないと考え直して作らないことにしている。
「よし………なにがいるかわからないけど、いこっか!」
『うん。気をつけてね』
あおいの激励を胸に、俊平は迷宮の扉に手をかけ、ゆっくりと開いていく。
そこにいたのは………
「
俊平を丸呑みにし、クラスメイトたちを恐怖のどん底に陥れた魔物。ブラックドラゴンだった。
『怖いかい?』
「うん………」
『恐ろしいかい?』
「うん………」
『ふうん………勝てるかい?』
「うんっ!」
俊平は走った。
この迷宮で暮らし、魔物を自爆と共に倒し続けた俊平だが、負けた事は一度もない。
それを可能にしているのが<
大量に魔物を倒した結果か、俊平のレベルもかなり上がっているものの、ステータス的には自爆の能力以外の成長はほとんどない。
とはいえ、その自爆の能力は己の肉体を粉々にする代わりに、確実に相手を葬り去る能力を有しているのだ。
『GYAOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!』
その咆哮に足を竦ませていたのは半年前。
いまだにあの頃のトラウマは残っている。
だが
俊平は拳を握り締め、手首をドンッ!! という破裂音と共に爆破させると、その手首は砲弾のように飛び、漆黒竜の頭に激突する。
さらに時間差でその拳が自爆する。
ーーーッッッドォオオオオオオオオオオン!!!!!
と、ドラゴンの頭部で爆発が起きる。
俊平自身は、最初に自爆した手首の反作用で後ろにすっ転がっている。
<
「ぐぅっ! うくぅうううう!!!」
とはいえ、手首を失う痛みは変わらない。
一瞬で再生するとはいえ、ズキズキと痛みを伴うそれに、俊平自身、自爆を行うためには、毎回心の準備が必要だった。
「ドラゴンは………」
『生きてるよ』
手首だけでは弱かったのか、俊平を睨み付ける
俊平の拳の一撃は、致命傷ではなかったものの、ドクドクと
ダメージを与えるには十分だった。
「やっぱり手首だけじゃたりないよね………」
『それにしてもすごいね。切り離された手足も、もはや花火じゃないか』
「こんなの、あおいさんの自己再生がなかったらできないよぉ………!」
しかし、そのブレスに巻き込まれた両足が弾け飛ぶ。
俊平にはスピードがない。パワーもない。なんなら防御力もない。
だが、死なない。傷を負っても回復してしまう。
だからこそ。俊平の取れる策は基本的に一つ。
「うわぁああああああああああああああああああああああ!!!!」
決死の特攻。ただ一つ。
「………ばいばい。僕のトラウマ。」
三度俊平は自爆を行う。
ーーバゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
黒こげになった俊平の全身から、新しい皮膚に瞬時に生まれ変わる。
あとがき
次回予告
【 無現回廊の進化 】
お楽しみに
読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった
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