テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます! 作:たっさそ
タツルが夢の世界で魔王転生を経たことで大幅なインフレを完了させた頃、私は複数の異能を手に入れていた。
そのうち一つが、神足通。いわゆるテレポート。
タツルの言葉を借りるなら、神通力と呼ばれるぶっ壊れスキルの一つだとか。
コレは、一度行ったことがある場所なら一瞬で転移することができる能力だよ。
テレポート系の異能はかなり便利だからね。一度は別の大陸に足を運んでいける場所を増やしておくことも考えておかないといけないね
あまり遠征していないから、行ける場所も少ないんだけどさ。
光彦君なんかはいろんな場所に冒険に行ってるよ。
村々を回って魔物を退治して回るし、現れた魔人なんかも倒している。
現れる魔人なんかはリビディアやタツルが相手したデリュージョンのような能力は持っていなかったのか、それほど強くはなかったみたいだよ。
俊平ちゃんの一件があってから、甘さを捨てて、人型の物も殺せるようになったっぽい。
性格、歪まないかなぁ。不安だなぁ。
「タツル、遠征するのはいいけど、メンバーはどうするの?」
「まずはイツメンだな。」
イツメンとは、タツルとタエコちゃん、タナカちゃんと私の4人。
なんだこれ、タツルのハーレムか?
許さんぞ私は。
「あとは、鉄太と佐之助も呼ぶか。」
「その人選の真意は?
「佐之助は俊平の親友だし、鉄太の能力はすばらしいということをさっき由依ママが教えてくれた。」
タツルがそんなことを言うので、私は両手を組んでそのうえに顎を乗せる。
「くわしく。」
「り。」
短く返事をしたタツルは、鉄太の能力を説明する。
複数人がやっていることと同じことが出来る、笠増し要因である、と。
「だが、鉄太の能力で、俺と由依が寝ているところに鉄太を配置すれば、おそらく俺と由依と、同じ能力を鉄太は使える」
「にゃにゃ!!? そのぶっ壊れ能力が増えるのかにゃ!?」
「田中も人のこと言えねえだろ。パジャマでお前も使えるようになるかもしれないんだぞ!」
「それもそうだにゃ!」
さすがは私のお母さん。よくそんなことを思いついたな………。
「ほかの人選は妙子に任せるか。」
「異議なし」
「わかったにゃ!」
☆
早速私たちはタエコちゃんのいる寄宿舎へと向かった。
「妙子ー!」
「おお、樹か。話は伺っておる。エデン湖へ向かう人選じゃろう?」
「なんで知ってんの!?」
「ポケットを見よ。そこに答えがある」
タツルのポッケから、人型の紙が出てきた。
「『式神? おう? 声が二重に…』」
タツルが喋るのと同時に、タエコちゃんの持つ人型の紙から声が聞こえる。
タツルの持つ紙と対になっているのかな。
「そうじゃ。儂がよく情報収集に使う式神じゃ。盗み聞きには最適じゃな。」
しれっとそんなことを言うタエコちゃん。
自分の情報収集の元を教えてくれる当たり、かなり信用してくれているみたいだ。
まあ、タエコちゃんの情報の元がその紙だけだとは到底思えないけどさ。
「うひい、いつの間にか盗聴されてたぜ………。この俺が気づかないとは………。さすがだな、妙子」
タツルも、いつの間に仕込まれていたのかわからないその紙を破り捨てる。
さすがに盗聴され続けるのは気持ちが悪いのか、冷や汗をかきながらタエコちゃんを睨んだ。
かなりインフレしているタツルを出し抜くとは、さすが大妖怪。化け狸の総大将といったところだ。
だまくらかすのは得意なのだろう。
とはいえ、してやられたタツルは、迂闊な自分を恥じ、タエコちゃんを責めるようなことはなかった。
自ら盗聴をバラしてタツルの緊張を促しているのか煽っているのかはわからないが、タエコちゃん自身タツルに怒られるとも思っていないのだろう。
そもそも、タツルってよほどの事が無い限りキレることまったくないし。
だってほら、タツルってやれやれ系主人公でしょ。
やれやれとは言わないけれど、しょうがないなぁって世話焼く感じがまさにそう。
してやられたのなら、してやったそれを褒めるくらいの度量はあるのがタツルなのだ。
幼馴染の私はよく知ってる。
私もポケットに手を突っ込んでみると、見事に人型の紙が入っていた。
やられた………!
私はその紙をグシャ! と握りつぶす。
そのままゴミ入れに投げた。
私とタナカちゃんとタツルがよく悪だくみをしているから、タエコちゃんも私たちの動向に気を配っているのだろう。
しかし盗聴とはいただけんな。
悪びれる様子もないことから、これからもこういった事は続けるのだろう。
まあ、タエコちゃんの前で余計な悪さはできないな。
「妙子。団三郎さんとヱリカさんから、焼酎と日本酒。これ、黒霧島だって。俺は酒はわからんけど、美味いの?」
「うむ。飲んでみるか?」
「田中もご相伴にあずかるにゃ! 焼き鳥が欲しいにゃ!」
むしろ悪いことに引きずりこもうとしているじゃないか
「あとこれ。なんか拳銃もらったよ。弾薬含めて妙子に渡してくれってさ」
「ふむ………ステータスがものをいう世界で銃か……どうなんじゃろうな?」
「一定の効果くらいはあるんじゃないか? 俺の手の辺り打ち抜いてみ? 由依、あとで治療ヨロ」
「ほいほい」
こういう時、進んで自分を実験台にするあたり、タツルは頼りになる味方に有益な情報を与えてくれる存在なんだなぁとつくづく思う。
確かに痛いだろう。一歩間違えば俊平ちゃんみたいに腕が弾け飛ぶかもしれない。
でも、あるものは全部使って実験を行う。
私が聖女のアビリティを持っているから、平気で無茶が出来る。
それでも死なないと信頼できるから、私もタツルに協力しちゃうのだ。
タエコちゃんはテーブルに手をついたタツルの手の甲を打ち抜く。
ドンッ! と周囲に音が響いた。
「んぐぅっ! あー………こりゃあ俺の頭にあたったら即死だわ。」
見事に手の甲の途中で静止していた。
タツルは涙目で私に右手を差し出す
ボトボトと血がしたたり落ちる。
ハサミとナイフとピンセットでなんとか弾を摘出したあと、治療を開始。
「レベルがインフレしてる俺の肉体の中まで侵入できるんだ。やっぱ銃ってズルいな」
「至近距離で貫通しない肉体もどうかとおもうがの。頭を打たれても、うまい事角度をつければ骨を滑って逸れるやもしれんのう」
やせ我慢しているタツルと、知っていながら、あえてタツルを尊重してスルーしてあげるタエコちゃんが考察する。
というか、そもそもこの世界のステータスの数値って、参考程度にしかならない。
例えば筋力100の女の子と筋力100の男の子がいたら、腕相撲で勝つのは、男の子だったりする。
筋力が200になったからと言って、握力が2倍になるわけじゃない。せいぜい5%くらいの成長率だ。
生身の肉体に若干の補正がついて、レベルが上がるとそれなりの補正が付きまくる。
それで丈夫になるのだ。
「ま、至近距離でこれならば、10mほど離れればタツルには効くまい。」
「………んー。確かに、剣さえ持ってれば弾けるかも。あとは、しっかり魔力やら通力やらでバリア張ったら防げるか………」
とはいえ、確かな威力を見せてくれた銃に、タエコちゃんの戦力マシマシだ。
タツルの手の治療が終わる前に、見回りのメイドさんやドジっ子水泳部の岡野真澄ちゃんが銃の音にびっくりしてこちらの様子を見に来たけれど、なんだ鈴木くんか………とつぶやいてすぐにどこかに行ってしまった。
なんか変な事をする=タツルって図式がクラスの中にあるみたい。
液体窒素の例があるし、タツルってなにかしらやらかすもんな。
「まあ一先ずいろいろおいといて。盗聴してたならわかるだろ。エデン湖に行く人選を妙子に任せたい。俊平も迷宮から出てきたことだしな。綺麗な湖があるところらしいから、息抜きとか異世界観光とか銘打って募ってもいい。俊平がどうしたいかにもよるが、俊平の回収をしてみんなに無事を知らせてあげないといけないしな」
「わかった。儂にまかせておけ」
ドンと胸をたたく妙子ちゃんの自信に、私も安心して妙子ちゃんに任せようと思えるよ。
あとがき
次回予告
【 エデン湖にしゅっぱーつ 】
お楽しみに
読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった
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