テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます! 作:たっさそ
時は戻って、俊平が迷宮を脱出し館へと通されて眠りについてから3日目のこと。
ーーコンコン。
「ふぁい………」
ドアのノックに反応した俊平が返事をすると、ガチャリとドアが開いた。
「『白の神子様、ご無事でしょうか』」
「うに?」
寝ぼけ眼の俊平が目をコシコシとしながらそちらを向くと、そこにはオレンジ色の髪の少女。
「『ああ、どうやらお目覚めのようですね!』」
さすがに三日三晩寝て過ごした俊平を心配して様子を見にきてくれたようだ。
「『白の神子様がおやすみになられてからもう三日経ってます。朝食の準備もできておりますので、こちらにお越しください』」
「んゅー、あおいさん?」
『ああ………。おはよう俊平。どうやらキミは三日間寝ていたらしい。私もぐっすりだったよ………』
「そっか………。どうりで寝心地の良いベッドだと思った………。」
『どうやら朝食へ案内してくれるみたいだ。ついていこう』
「んー………」
ふらふらと足をふらつかせながら、3日も寝た寝過ぎ頭痛で頭を動かさないようにゆっくりと起き上がる。
「『ふふっ、よくお眠りでしたよ』」
眠そうに起き上がる俊平を、オレンジ色の髪の少女。ジャニスが頭を撫でた。
ジャニスは今年で17歳。10歳になる妹がいる。そして、その妹と同い年くらいの俊平は、彼女にはとても可愛らしく見えた。
「んー………んふふ」
撫でられて目を細める俊平は、もはや天使。
純白の衣装と白髪に加え、その柔らかな微笑みは天使と形容しても差し支えないものであったのだ。
俊平の手を引いて朝食会場へと案内するジャニス。
「いただきます………」
出された朝食を、手を合わせてからいただく俊平。3日ぶりの食事はやはりお腹が空いていたのか、ぺろりと食べてしまった。
とはいえ、言語のわからない俊平には、この後、どのように行動すれば良いのか、まるでわからない。
勝手に出ていっても良いのか。ずっとこの屋敷に世話になるわけにもいかないし、どうしたものやら………。
そう考えながら水を飲む。
「ん!」
『むっ!』
そしてはたと気づく。
「この水、すごくおいしい!」
『そのようだな。おそらく日本の水とは比べ物にはならないだろうが、この世界でこうも透明度の高い水は初めて見る気がする』
「たぶん、軟水なんじゃないかな。僕の口に合う水って軟水だし、中世ヨーロッパだと硬水があたりまえで、日本人には合わない水のはずだから」
コップを眺めながら興味津々であおいと話す俊平だが、それを自分への質問と勘違いしたジャニスが意気揚々と説明をする。
「『エデン湖には特有の水生植物がおりまして、湖の底にスポンジ状の茎や葉を持つエデン草が生えているのです。漂うチリやゴミなどを吸着して分解してくれるとてもすごい草なのですよ。おかげでエデン湖はいつも透明で綺麗なのです! そこから汲んだ水はとてもおいしいと評判なのですよ! もちろん、一度煮沸しておりますので、お腹を壊すことはありません。』」
「えと、あおいさん。お願いします」
『ああ………早口だからなんとも言えないけれど、湖、綺麗、煮沸。………。たぶん近くの湖から汲んできた有名な水なんだろう。特産、かな? 自慢の水ってことを言いたいんじゃないかな』
「なるほど………。ジャニスさん、この水、すごく美味しいです! えと、『水』『おいしい』『ありがとう』」
俊平が微笑みながら片言の人間語でそういうと、ジャニスは口を
「んむぅ!?」
豊満なそれにつつまれ、頭を撫でられる俊平。
俊平だって男の子だ。胸に包まれて恥ずかしくなるのは当然だった。
『なんてことだ。私にはもはや肉体がない。私では俊平を抱きしめることができないというのに………!』
なんて言いながら、あおいは楽しそうに俊平をからかった。
「『なんてかわいらしいのでしょう! さすがは白の神子様! エデン湖の水を気に入ってくださってありがとうございます!』」
ジャニスも俊平がエデン湖の水を気に入ってくれたことを深く感謝し、俊平を抱きしめから開放すると、新たな水を俊平のコップに注いであげた。
地元の水は世界一。地元大好き人間のジャニスは、俊平が自分の故郷の水を褒めてくれたことが、なによりも嬉しかった。
「『あとでエデン湖に連れて行ってあげますね!』」
『あとで湖につれていってくれるってさ』
「そうなんだ。楽しみだなぁ」
俊平は無邪気にも喜んだ。それがあんな結果になるなんて、誰が思うだろうか。
☆
「ここがエデン湖………。」
俊平が湖のほとりでしゃがみこんで湖に手をつける。
「つめたっ!」
「『ふふっ、冬の間は湖が凍ってそれはそれは綺麗なんですよ。日の光に反射した青い光が、それはそれは幻想的な光景を作り出すのです』」
『冬はもっと綺麗なんだってさ。なんか湖が凍るとキラキラしているとか』
「へえ………。それは見てみたいかも」
『そろそろ冬みたいだし、時期的にも近いかもしれないね』
なんて話していたら、俊平は湖のそばの茂みから、矢尻がハートの白羽の矢を構えて空に射ろうとしている天使を見つけた。
「うえ!?」
『なんだあれは………』
「っ!?」
こちらに気づいた天使は、慌てたように弓矢をしまい、ちゃぽん。と湖の中に溶けて消えた。
「『どうかしましたか? シュンペイさま』」
どうやらジャニスはあの子供に気づかなかったらしい。
「!????!?」
とりあえず、みなかったことにした。
あとがき
次回予告
【 天使がやってきた 】
お楽しみに
読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった
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