テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます! 作:たっさそ
俊平は、エデン湖に浮いていた。
ぷかぷかと。
自らの自爆により弾けた肉体が再生した場所は、もとのエデン湖より外れた場所にあったが、エデン湖を巻き込んだ自爆のためか、そこにエデン湖の水が流れ込み、俊平は流された。
そして、今は水死体のように、浮いていた。
再生した白無垢が、なんだか少し空気を含んでうまいこと浮いていた。
「『シュンペイ様!』」
「しゅんぺー!」
そんな彼を引きあげたのが、ジャニスだった。
白く薄いドレスを、茶色く濁った泥水のようになったエデン湖から流れた水で汚し、それも厭わず俊平を引き上げるためにエデン湖に………いや、あたらしくできた湖に飛び込んだのだ。
彼女は一部始終を見ていた。
自分たちを守るために、五戒魔帝から逃すために、盾となり、そして戦った。
五戒魔帝は、かの勇者をしのぐ強さを持っている。
最近ルルディア王国に召喚された勇者といえど、五戒魔帝を相手するのは骨だ。
一人では敵わない。勇者たちで囲んで追い詰めなければならないくらいの化け物。
それが、五戒魔帝という生き物なのだ。
それを一人で倒すことなどまず不可能。やろうとする奴は狂人だ。
そもそも、魔人という生き物が平均的な勇者一人に匹敵する成長率。
その中でも飛び抜けて化け物なのが五戒魔帝。
それを相手取り、仕留め、生還する様をみて、彼女は歓喜に震えた。
自分を助けるためにしてくださったのだ。嬉しくないはずがない。
俊平を引き揚げた彼女が、俊平の首を横に向けて寝かせると、俊平はげほごほ! と水を吐きながら咳き込む。
「『ありがとうございます、シュンペイ様! あなたはわかっていたのですね………。魔人が攻めてくることを………。』」
「………???」
俊平には言語がわからない。
「『だから、コーデの街に来たのですね………。』」
「………。」
「『 それもこれも、わたくしのために………。』」
「………。」
「『シュンペイ様………。ありがとう、ございます………!』」
俊平の両手を握って額に当て、深く感謝の意を表すジャニス。
酒の湖に浸かった俊平は、酔って頭も回らず理解も出来ぬまま、眠りについた。
☆
引き上げた俊平を膝枕しているジャニスは、ザッと響いた足音に、慌てて振り返る。
「お父様………!」
「ああ、ここから見えていたよ。あれはまさしく、神の一撃。常人には出す事の出来ない出力での大爆発。白の神子様は我々を守って下さったのだ。」
「ええ………。シュンペイ様はわたくしたちを巻き込まないように、本当はすぐにでもあの魔人を倒すことが出来たというのに………わたくしたちを逃がすために、時間を稼いでくださいました。あのまま動けないままでしたら、間違いなく魔人たちと共に消滅していたでしょう。あの爆風の余波ですら、わたくしは吹き飛ばされて気絶してしまったのですから………」
「ここから見える我が屋敷の窓ガラスも、木っ端微塵だ。あの神の一撃に巻き込まれればひとたまりもあるまい。」
大爆発の後、失神から回復後もしばらく耳がマヒしていたジャニスだが、この白い少年の小さな体に蓄えられた膨大なエネルギーに唖然し、それを自分の為に使って下さったことに対する感謝。
力尽きて眠りにつく俊平の頭を、ジャニスは優しくなでた。
「お父様、この場合、生贄の儀式はどうなるのでしょう。
「そもそも白羽の矢が立つなんて、私だって初めての経験だ。文献も多く残っているわけではない。エデン湖の形も変わってしまったのだ。ひとまず、調査隊を派遣する。今日のところは帰ろう。」
「………。はい。」
☆
(………軽い)
俊平を背負って家路についたジャニス。
彼女に………いや、俊平についてきた天使のリリも、パタパタと羽を動かしてジャニスに続く。
ジャニスが俊平を背負って思ったことは、軽い、ということ。
水を含んだ衣服は重くなることもさることながら、それを感じさせないほどの軽量感。
俊平自身の体重も、迷宮での度重なる空腹と栄養バランスの崩壊により、がりがりにこけている。
ジャニスの妹の方がどっしりとした体重を感じさせるだろう。なんなら、いまジャニスが着ている水を擦ったドレスの方が重く感じるほどに。
俊平は、この半年の間、体の成長はない。
精神体だからなのか、融合の影響なのかは不明だが、俊平の体重は四捨五入して30kgとなる程度の体重しかない。
この、吹けば飛ぶような軽さの彼に、すべての重りを押し付けてしまった自分自身に、今更ながら罪の意識を感じるジャニス。
いくら白の神子が神とはいえ、ここまでボロボロになるのだ。
並大抵の戦闘ではなかったはずだ。
俊平が何を思ってここに来たのかはジャニスにはわからない。
わからないが、この小さな少女の為に、出来る事をしよう。
ジャニスは、屋敷に到着すると、ガラスの片づけを行っている使用人たちに言づけて、すぐに風呂を沸かしてもらった。
湖に落ちて、服がなぜか濡れていないとはいえ、エデン湖…ひいてはコーデの街を救ってくださった俊平が風邪をひかせてしまっては自分の責任だとして、俊平をお風呂に入れてあげることにしたのだ。
先に脱衣所で服を脱いだジャニス。
不思議なお召し物である白無垢を、慎重に脱がしたジャニスは、俊平の下着も何とか脱がす。
「きゃああ!!」
ジャニスは、顔を真っ赤にして目を見開いた。
「おっ! お嬢様! 何事ですか!?」
衝立の向こうで、侍女たちが慌てて入ってこようとする
「な、なんでもございません! なんでもございませんわ!」
「何かございましたら、すぐに及び下さい」
ジャニスの言葉に、すぐに衝立に控える侍女。
(シュンペイ様は男性でしたの………? 殿方の裸って初めて見ましたわ………)
ドキドキとしながら俊平の裸体を観察する真っ赤な顔のジャニス。
俊平の意識がないことをいいことに、触ってみちゃったりしている。
(え、これって………)
「あ、いけません、天使様!」
と、そこに、衝立の奥から侍女の静止の声と共に、クリーム色の髪の毛をした天使が現れた。
「しゅんぺー!」
「きゃ! て、天使様!」
裸の俊平とジャニスを見たリリは、奥にお風呂を確認すると、スポーン! と自らの服を脱ぎ捨てる。
「天使様も!?」
ジャニスが言った「も」とは、脱いだことではなく、その股間。
リリは小さいながらも男の子を主張していたのだ。
思考停止しているジャニスはをよそに、リリは俊平に手を向けると
「’&%$$#”、にゃーー!」
ふわり、と俊平の身体が浮く。
ダダダダ! とリリが浴槽に向かって走ると、浮いた俊平も、その後に続くようにふわふわと飛んでいく。
ドッポーン! という音と共に、天使と俊平は、浴槽へと沈んだ。
「おっおおおおお、お待ちください! お二人とも! 」
俊平は溺れ、リリは蕩け、ジャニスは混乱した。
あとがき
泥酔している人が風呂に入ろうとしていたら絶対に止めるんだよ。死ぬから。
次回予告
【 両性具有 】
お楽しみに
読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった
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