テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます!   作:たっさそ

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第63話 由依ー好ち!!

 

 ほいほい、俊平ちゃんと合流して、ヤグラから落ちそうな俊平ちゃんを助けるために走った縁子。

 俊平ちゃんを抱きしめて流す涙はそれはもう美しいものだったよ。

 

 タツルからネタバレ食らってなければ、俊平ちゃんの容姿にもびっくらこいていたと思う。

 

 

 順調に俊平ちゃんが地下でテンプレを消化していて私としてもうれしい限りだ。

 

 こうもぽんぽんとテンプレを消化する俊平ちゃんを見てると、やっぱり主人公なんだなぁとしみじみ思っちゃう。

 

 ユカリコはずっと俊平ちゃんをぎゅっとしていたんだけど

 

 

 

「お前たち、何者だ!」

「神子様に必要以上に近づくな、無礼者!」

 

 そこで黙っちゃいないのが、白の神子信者の街人たち。

 急に現れた部外者が、俊平ちゃんに馴れ馴れしくしていたから、怒って掴みかかってきた。

 さらには殴りかかってくる男性までいる始末。

 

 その気迫に、さらにギュッと抱きしめることになる。

 

「短気は損気。これ長生きの秘訣ね。」

 

 タツルはなんてことないとばかりに飛んでくるその拳を左手で受ける。

 

「あんたらも白の神子様が大好きなら白の神子様の言葉を待て」

 

「このガキ………!」

 

 

 タツルは肩をすくめて手を離すと、男は再び殴りかかってきた。

 

「二度目はないぞ。」

 

 タツルは男の顔面にスナップ効かせた左裏手で男の顔面をこすると、指が目にあたったのか、男はぐあっ! と声を上げて目を押さえる。

 

 タツルの喧嘩術だ。目をつぶすのではなく、一瞬だけ視界を奪う。

 視界を一瞬奪うことが出来れば、あとはやりたい放題だ。

 

 タツルが顔面への虎爪その構えで掌底を繰り出そうとしていると

 

「待って! 樹くん!」

 

「はい、白の神子様。」

 

 虎爪をやめて気をつけ。

 

 タツルのセリフに俊平ちゃんが眉を寄せたんだけど、状況の理解が早い俊平ちゃんはむしろその状況を利用してはあっとため息をつく。

 

「みなさん、この方たちは僕の仲間です。彼らに暴力をふるう事は許しません」

 

 実に凛とした表情でビシッと言うときは言う。

 その作ったようなキャラに少しだけ笑いそうになってしまった。

 

「神子様がそうおっしゃるのでしたら………。」

 

 と、男は納得しかねる様子で拳を収めた。

 

 

「あの、シュンペイ様、この方たちは………?」

「ルルディア王国で召喚された勇者たちです。」

 

 と、勇者であることを紹介してくれた。

 

 お忍びだったんだけどなぁ………。

 まあいっか。

 

 それほど隠す事に意味はないし。

 

「夢現の勇者。タツルです。」

「夢幻の勇者。ユイです。」

「転身の勇者。タナカにゃ。」

 

 タツルは右こぶしを鳩尾あたりに、左拳を背中に回して頭を下げる。

 まあ、ルルディア王国式の丁寧なお辞儀だ。

 私とタナカちゃんはスカートじゃないけど、疑似カーテシーでご挨拶。

 

「まあ、彼らがそうなのですね! 俊平さまが召喚されたのですか?」

「いえ、彼らとは多少なりとも縁がありますので。あとでお屋敷でお話する時間をください。」

「かしこまりました。奉納演舞が最後にございますので、それまではご容赦を………」

「………。はい」

 

 

 なんとういうか、俊平ちゃん、退屈そうだねー

 

「そんじゃ、あとで向こうの屋敷向かいますね。俊平ちゃんには役割があるんですよね。白の神子様………がんばってください」

 

 

 俊平ちゃん本人が祭りを楽しめていないのを察しても、衆目がある限り迂闊なことは出来ない。

 わたしが俊平ちゃんにそういうと、

 

「………うん」

 

 と力なく笑った。

 

「屋台で買えるだけ買っていこうぜ」とタツルが私に耳打ちした。

 うひぃ、ぞくっとする。

 

 だけど、まあいいでしょう。俊平ちゃんにも最低限のお祭りメニュー位は持って行ってしんぜよう。

 

 

 

          ☆

 

 

 

 さて、今度は佐之助(エロガッパ)を連れて再びエデン湖をぐるっと回る。

 いい加減馬車酔いは回復したらしい。

 とはいえ、すでに夜も更けている。屋台もまだ出ているものの、流石に日がおちれば家に帰る人も多い。

 

 

 俊平ちゃんに会うにも時間が掛かるっぽいから、時間つぶしだ。

 

「西村くん、俊平くんがここにいるって知っていたんでしょ。教えてくれてもよかったのに」

 

「すまないっぜぃ。ただ、俺っちは樹に口止めされてたし、なんなら北条の喜ぶ姿が見たかったからな。いっしょに黙ってることにしたんだっぜぃ!」

「やっぱり発案は鈴木くんか………。悪趣味だよ」

 

 タツルがジロリと睨み付けられる。

 

「そんなに褒められても………」

「褒めてないし。………。でも、ありがとう。この旅行に誘ってくれた意味、わかったよ。」

 

 ふざけて照れたらまた睨まれてたけど、最後にはふっと微笑んでいる。いつもの大和撫子だ。

 ということは、サプライズは大成功だね。今までのトゲトゲした感じがなくなった。

 

 

「俊平くん、ほんとうに可愛くなってて………もうっ! もうっ!!」

 

 その代わり、溢れそうな愛情がえらいことになっている。

 胸をギュッと抑えて何かを堪えるユカリコ

 

「なにあの可愛さ、反則じゃない!?」

 

 顔を上げると、目をキラキラさせて私に詰め寄る、

 

「わかる。」

「わかる。」

「わかるにゃ。」

 

 わたし、タツル、タナカちゃんがうなずく。

 

「神々しいの! もとから可愛かったのに俊平くんが白髪で肩まで伸びた髪を揺らして困ったふうに微笑む姿が特に可愛くて! 小さい手をわたしの背中に回して「ただいま」って言ってくれたときなんかもうわたし興奮して鼻血出ちゃうかと思っちゃった! あの白い衣装を来ているから純粋さと清廉さを兼ね備えたその不可侵とも言える触れてはならないあの感じ。言葉で言い表せないくらいだったよぉ! 姿はかわっても、抱きしめた瞬間にやっぱりわかるの、ああ、俊平くんだって。抱きしめた時に胸にフィットするあの小柄な体。もうもうもう! ほんっとうに可愛いんだから!!」

 

 

「すっげえ早口」

 

 若干引きながらも縁子の愛に相槌を打つタツル。

 

「縁子にゃんは本当に俊平にゃんが大好きなのにゃー」

 

「好ち!!」

 

「ギャルかよー。ユカリコ、そんなキャラだったっけ?」

 

 いや、今までも俊平ちゃんのこと好き好きしてたけど、半年の時間が開いたことで壊れたのかな。

 うわぁ。

 

 

 




あとがき


次回予告
【 ハグハグハグ!!! 】

お楽しみに


読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった

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