テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます!   作:たっさそ

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第68話 樹ーごめんなさいには勇気が必要

 

 確保されてしまった弓道警察の俺と由依。

 もうしょうがないので、ドン引きの俊平に視線を送る。

 

「み、みなさん、仲がよろしいのですね」

 

 同じくドン引きのジャニスさん。

 

「誰かの号令で全力でふざけることができる程度には仲がいいクラスだっぜぃ」

 

 そうなんだよ。佐之助のいう通り。

 ある程度、クラスの結束が固いのが、うちのクラスの特徴だ。

 

「そ、そうなのですね………」

 

 仲が悪い奴? そりゃあ当然いるよ。

 ギャルグループである内山ヒロミやケモナー植村加奈と内気グループである水泳部岡野真澄、雨女の池田美香、本田美緒などはいがみ合っているわけではないが互いに避けあっていたりとするが、まとまるときはまとまるのだ。

 

 俺? 俺はあんまり嫌いな奴っていないから、うまいこと皆と付き合っているよ。

 由依もそうだね。俺も由依もどちらかといえば陽キャに分類される類の生き物だし、そういうストレスはなるべくフリーにしている。

 

 おばあちゃんである妙子もなんだかんだでノリだけは若者だ。 

 

「俊平、その矢が結局どうしたんだっけ?」

 

 話を戻す。今は弓矢の話だった気がする。

 

「あ、そうそう。この矢なんだけど、リリがまだまだ持ってるんだよね。」

 

 

「ほう?」

 

「リリ、他の矢も出せる?」

 

「これなのです!」

 

 

 天使のリリが俊平のいうことはしっかり聞くのか、またも服の中をごそごそとあさったら、安っぽい同じような矢が出てきた。

 どこに収納されているんだろう。

 

「弓は?」

 

「あるのです!」

 

 さらに弓まで持っているとなると………。

 

「これ、白羽の矢打ったの、この天使ちゃんじゃね?」

「ふむ。やはりそういう結論に至るのう。」

「俊平、この事実に気づいたのは、いつや?」

 

 そこまで話が見えてて、俊平が気づかないわけがない。

 

 これで気づかないならその目は節穴で頭の中には虫でも湧いている。

 

 

「昨日の夜。指輪してリリと話したのがそのくらいだからね。」

「じゃあいろんなところに情報が行かなくて当然だな。言葉わかんないんだもん。しょうがない」

 

 

 弓道警察の俺と由依は解放され、肩をすくめる。

 

「リリちゃん。このお屋敷に、この矢を飛ばさなかった?」

 

 縁子が天使ちゃんの視線に合わせてしゃがみ、頭をなでながら質問する

 

「と、飛ばしてないのです!」

 

 おっと、怪しい。

 だがうそをついているというよりは、焦っているという感じ。

 縁子がチラリと由依を見た。

 

 由依は右手の親指と人差し指をたてて、クリっと裏返す。

 チェンジ、返す、変える。ふむ。「質問を変えよう」と合図をしたんだ。

 縁子はこくりと頷いた。人の感情に機敏な人間多すぎ。

 

「リリちゃん、この矢を飛ばしたこと、ある?」

 

 矢を飛ばしたことがあるのかと聞いた。

 

「………あるのです。」

 

「どこに飛んで行ったのかはわかる?」

 

「わからないのです」

 

 

 なるほど。狙ったわけじゃないけれど、屋敷に向かって正確に誤射したんだな。

 

「ジャニスさん。言葉わかんないと不便だろうから、私の指輪、ジャニスさんがつけてていいよ。」

 

 

 と、そんなタイミングで由依が気を利かせて由依は自分の翻訳の指輪をジャニスに貸し出した。

 

「え? あ、はい。ありがとうございます?」

 

 由依は俺の隣に陣取る。通訳は任せたってこと? いいよ。

 

「ね、リリちゃん。この矢が急に飛んできて、人に当たったりしたら、いたいいたーい!ってなっちゃうのは、わかるよね?」

 

「………。はいなのです。」

 

 そんなことはつゆ知らず、縁子は天使に目を合わせている。

 

「こっちのお姉ちゃんがね、急に飛んできた矢でこわーい思いをしちゃったんだって。」

 

「………。」

 

「ごめんなさいしよっか。できる?」

 

「できるのです………」

「ふふっ、いい子ね」

 

 縁子は子供の扱いが上手だな。

 子供が好きなのかもしれないな。

 

「ごめんなさいをするときはね、ここに手を持ってきて、相手の目を見て、次にしないようにどうするのかを相手に伝えてあげるんだよ。そしたら、頭を下げるときは、足も、背中も曲げないで、お膝を見るくらい、しっかり下げるの。」

 

「わかったのです。」

 

 きゅっと胸のあたりで右手を左手で包む天使ちゃん。

 覚悟を決めた顔でジャニスさんに向き直る。

 

 そうだよね。謝るっていうのは勇気がいることだ。

 でも、それはとても大切なことで、だけそそれは当たり前のこと。

 この当たり前ができない人が多いのだ。

 

 俺? 俺は………そうだな…。割と自分は絶対に正しいマンを地で行くから、謝るのは苦手だ。

 由依に肘鉄されて失言に気づいたりとかはよくある話。

 

 でも気づいたらちゃんと頭を下げるよ。

 自分が悪かったらハの字で地面に手ぇついて地面に頭をこすりつけるようウチのママンからゲンコツで厳しくしつけられていたからな。

 

「おねえちゃん、たぶんリリがおねえちゃんのおうちに矢をおとしてしまったのです。ほんとうにごめんなさいなのです。次はちゃんと周りをよく見るのです。」

 

 体の正面でおろした右手を左手で包むようにしていたリリちゃんが、ペコリと頭を下げる。

 教え方、上手だな。

 地面を見るのじゃだめだ。最敬礼(90度)の頭を下げるには膝を見るようにして謝るくらいの気持ちでやらないと下げられない。

  

 謝り方を知った子供はいい子になるよ。絶対。

 

「い、いえ! 天使様がお気になさることでは! こちらこそ勘違い……ヒッ!?」

 

 なんてジャニスが日本人みたいな反応をしているけれど、そうじゃない。

 ここで返す言葉は don't worry 問題ないよ、だ。

 

 般若を被った縁子の視線に悲鳴が漏れそうになるジャニスは、なぜにらまれているのかわからなかったものの

 

「だ、大丈夫です。気を付けてくださいね」

 

 

 と、言い方を変えることでなんとか回避した。

 たぶんだけど、縁子は幼稚園や保育園の先生に向いているんじゃないかな。

 俊平も同じく。

 

 

 

 

 

 

 




あとがき

樹の英語力はゴミ


次回予告
【 敵と一緒に竜も退治したことになってた 】

お楽しみに


読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった

と思ってくださる方は
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