テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます! 作:たっさそ
「えらいね、ちゃんと謝ることができたね。すごーい!」
「えへへ……なのです」
天使ちゃんは矢をこの屋敷に飛ばしたことを謝ったんだけど、その影響で伝承に乗っていた白羽の矢と勘違いしたコーデの街はてんやわんや。
謝罪という6歳程度の子供の、勇気あるその行動に、縁子は大げさなほどに褒めてあげる。
謝ることができない大人にしないために。
ちゃんとあやまれるのはいいことだ。
「それで、話を戻すようだけど、リリちゃんは、なんで矢を打ったの?」
縁子が諭すように天使のリリに問う。
「おうちに、かえりたかったのです。」
「おうちに? リリちゃんのおうちはどこにあるのかな?」
「お空、なのです」
そういって、天使ちゃんは天井を指さして見上げる。
つられて見上げるも、夜空ですらないのでよくわからない。
「そっかぁ。この矢は、どこに向かって打つつもりだったのかな?」
「おうち、なのです。リリに、気づいてほしかったのです」
不安そうに縁子を見上げる天使ちゃん。
同時に由依に通訳してあげているが、その矢は特別な意味を持っているようだな。
空に向かって打った矢が、風に流されたのか、打つ方向が悪かったのか、このお屋敷にカランコロンしてしまったというわけだ。
こんな小さい子供だというのに、一人で生きていかないといけないなんてやってられないぞ。
俊平になついたのは、まあ多分俊平が神様っぽく見えたからなのかもしれない。
でも、俊平が保護するまでずっと一人だったかとおもうと、なんだかさみしいな。
あとでお兄ちゃんが遊んであげよう。
「妙子、あの弓矢、解析できるか?」
「できておる。」
妙子はポッケから葉っぱを取り出すと、ポンと小さな音とともに紙に変わった。
その紙にはすでに解析結果が記されている。
さすがはタヌキ。化けるのも化けさせるのも慣れているのか。
妙子のアビリティは<
なになに? <伝達の弓矢>とな。
一瞬伝説って読みそうになったぜ。伝達ということは、伝えて届けることができる能力の弓矢か
そこに書いてあるのは、通力を消費して、目標に届けることができるが、目標まで通力が足りないと失速、墜落するそうだ。
なるほど。それで失速した矢が領主の館にカランコロンしてしまったのね。
天の使いなのに通力が低めなのかしら、なんて思ったけど、消費する通力の量があほみたいに多いのかも。それに、天使ちゃんだって子供だしね。
そもそも、この世界がどういう世界観なのかもいまいちつかみ切れていないし、設定がふわふわしている。
たぶん、この矢の本質は手紙だな。おもちゃみたいな殺傷能力のない矢でありながら遠くに飛ばすことができる。
空中大陸までとなると、その距離は果てしないわけで、天使ちゃんが矢を飛ばしても届かないって感じかな。
ってか空中大陸ってどこにあるんだろう。
空を見上げても浮島なんてないぞ?
「そっかぁ、おうちに帰りたいよね。お姉ちゃんたちが頑張っておうちの帰り方、探してあげるからね」
多分、天使ちゃんがパタパタして飛べる高度にはない。届かないのだろう。
ジワリと目に涙を浮かべた天使ちゃんが、縁子の胸に顔をうずめた。うらやまけしからん。
「ありがとなのです」
迷子イベントは鉄則だな。
迷子イベント。それはロリコンホイホイであり、一種のテコ入れであり、学園漫画における雪山遭難と同じくらいごくごくありふれたテンプレイベントだ。
学校に通っていたら、雪山で遭難するのなんか当たり前だ。
異世界言ったら幼女を拾うのも当たり前だ。
あれ? でも天使って両性具有だったような………。まあいっか!!
………
……
…
「そういやシュンぴっぴちゃん。」
「え、それ僕のこと?」
由依がなんか変なテンションで俊平を呼んだ。
「うん。俊平ちゃんって魔人を倒したんだよね」
「まあ、一応ね。」
「どうやって魔人をたおしたの?」
確かに。おそらく自爆したんだろうなってことはわかるんだけど、どうやったのかなってのは確かに気になるところだな
わかるぞ。俺にはわかる。
「由依、異能バトルの本質は相手の能力の弱点をつく事にあるんだ。簡単に推測出来る。」
「ほう?」
「あれだろ。肩の後ろの二本のツノのまんなかにあるトサカの下のウロコの右でも刺したんだろ?」
「なんて? 異能バトル全然関係ないし」
まさか、ちがうのか?
そんなバカな。序盤のボスの弱点はそこだって決まっているのに!
俊平は首を捻るばかりだ!
「だから、肩のうしろの2本のゴボウのまんなかにあるスネ毛の下のロココ調の右」
「変わってない? なんで背中にゴボウとすね毛があるの?」
ば、バカな! 通じないだと!?
じゃあ俊平はどうやって敵の幹部を倒したというんだ!
「樹にゃん、きっと肩車して後ろ向きに乗り、2本のゴボウを持った歌舞伎顔の男が弱点だったのにゃ」
「流石だな、田中。じゃあやっぱり敵の決め台詞は………」
「『このオレ様がお前らのハナミズを飲み尽くしてくれるわ!』にゃ!」
「だよな! ぶふーー!!」
「にゃはははー!!」
「由依ちゃん、樹くんと田中ちゃんは何を盛り上がっているの?」
「グルグルネタね。」
ポンッと太鼓というか
「お主らはうるさい。静かにしておれ」
ギュッと縛って倒された俺と田中の上にどっかりと腰を下ろす妙子。
ごめんなさい。
俺がある程度インフレしても、妙子の底が知れない。
「特別なことは何も。僕が出来るのは自爆だけだからね。ジャニスさんやリリが離れるまで時間稼ぎして、自爆したんだ。相手が水をお酒に変える能力を持っていたから、そのせいで湖の一部がお酒になっちゃったんだよね。」
「ああ、それであんな噂があったんやな。」
俊平にできることは、やはり自爆だけ。
特別なことはなかった。
とはいえ、相手の能力も強力だな。
多分、デバフに特化している奴。
酒の力でパワーを増すだろうし、こっちは酒の力で思考力が曇る。
いちいちぶつくさ考える俺とは相性悪そうだな。
「お父様が派遣した冒険者と調査隊の話では、神の一撃にて群青竜をも仕留めたのでは、との報告でした。シュンペイ様がおつくりになった湖の中心には大きな特殊な効果のある神石があり、水をお酒に変えていたそうです。元のエデン湖へと流れたお酒は、エデン湖の湖底にあるエデン草で浄化と変質して真水にもどる様です。」
俊平の説明に捕捉するようにエデン湖の現状を伝えてくれた。
ふんふむ。
「なんともご都合主義にゃ。美味しい水と美味しいお酒をいいとこ取りしたにゃ。さすが俊平にゃんにゃ!」
それ俺も思ったけど今更だから言わなかった。
「その神石ってのは、敵のアビリティの源的な何かなのかもな。知らんけど。俺が木っ端微塵に死んだら俺も夢の力を宿した神石になるのかな」
みんなは精神体だから死んでも問題ないけど、俺だけは死なないからなぁ
身体に魔石とか出来てたらどうしよ。
「それはきっと尿路結石じゃな」
「妙子おばあちゃんじゃあるまいし、若者の俺らには尿路結石なんてできないよ」
「ふん!!」
「いでででで!!」
神石ね。新たな単語。メモっとこ。
水を酒に変えるアビリティと、水をお酒に変える神石。
偶然なわけない。魔神をぶっ殺したら神石手に入ったりするかな。
あとがき
アラハビカ編が好きな人いっぱいいそう。
次回予告
【 いざ4人で夢の世界へ 】
お楽しみに
読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった
と思ってくださる方は
ブクマと評価をお願いします。(できれば星5はほしいよ)