テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます! 作:たっさそ
前回のあらすじ、『ミッション・ヒーローの最初のヒロインを寝取れ。』
「寝取るったって、どうやって………」
彼女がいたことのないテツタでは、女の子を口説くことは出来ない。
タツルならロールプレイという皮をかぶれば何でもできる演技派だ。
でも、テツタはこの夢幻牢獄TRPG『勇者ロイヤル編』の初心者だ。
同じ初心者でもセオリーを熟知しているタナカちゃんとはわけが違う。
「おいおい、難しく考えるな。あいつの立場を俊平に置き換えた時、最初のメインヒロインは誰になる?」
「ええっと、一見は北条、だけどそれではないな。どちらかと言えば、メインからは外れる。となると、俊平が迷宮で融合してしまったあおいさんって人だ!」
お、テツタが正解を引き当てる。
「その通り。俊平の場合、メインヒロインに出会うまでにひと月はかかった。それはなぜ?」
「イベントがなかったから」
今度は間髪なしだ。
テツタはわりとアニメも見るほうらしいな。なろうを読んでいるわけではなさそうだけど。
「ざっつらいと。出会いのイベントや追放イベントが無いと出会い様が無い。その点、俊平は犠牲・自爆というイベントで出会いを作った。」
「つまり、この黄河追放イベントはヒロインとの出会いの始まりだってことか」
「そう。もうミッションは始まってるぞ、鉄太郎。」
「鉄太だ。」
テツタは便乗系男子。
便乗しつつひょうきんだが、どちらかと言えば、普段は人と話すことはない。
みんなと絡むときは、どうぞどうぞとダチョ●倶楽部的なオチを担当する機会が多いいじられキャラなのだ。
「もうよいか?」
と、王様がおずおずと切り出した。
ごめんなさい。いたんだ王様。
全然気にしていなかったよ。
「ではそれぞれ修行に入ってもらう。修業が完了しだい、帝国勇者の征伐に向かって欲しい」
「………? ………由依、
「悪者・服従しない者をぶっこらしめること。」
タツルは国語がゴミだ。
なろう読んでるんだったら意味くらい知っとけよなー。
「つまり、帝国の勇者は悪さしているってことにゃ?」
「たぶん、その勇者は魔王を倒して非想非非想天になっているってことかな」
「それ有頂天って言うにゃ。なんでわざわざ言いにくい方をチョイスするにゃ」
タツルに対する国語力のマウントです。すみませんでした。
「ひとまずわかりました。それでは修行の後ちゃっちゃとやらせてもらいますよ。修業パートだ。こっからは基本的に仁法の視点になるから俺らの行動にはガバがでる。」
「ということは?」
「今が好機。ヒロインをかっさらうぞ!!」
「おお!!」
私たち4人はこぶしを天に突き上げた。
「そのまえに、俺たちの身分を王様が証明するもの、もしくは勇者の証明書みたいなのが欲しいです。」
「う、うむ。準備させよう。」
☆
ひとまず今は王様からお金をもらい、城下町を見てまわっている。
後方から私服の騎士がついてきているけど、それはさほど問題ではない。
勝手に呼んでおいてこっちの意思に関係なく使いつぶすってすごいね。俺たちって奴隷なの? 勇者なの? どっち? ってタツルがめっちゃ嫌味いったら王様、苦虫噛み潰した顔でお金くれた。
さすがだよタツル。脅し方なんかは妙子ちゃんに伝授してもらっているんじゃないかな。
「追放された者がヒロインと出会うシナリオ。ヒロインタイプA。急に出てくるつよつよ魔物に絡まれているヒロインのところになんか急に現れるやつ。馬車とかが盗賊に襲われているとかもこのパターンな」
「ああ、確かによく見る。わかりやすいパターンだ。」
「ちなみに、俊平ちゃんにとってのサブヒロインっぽい立場にある領主の娘さんのジャニスさんはこのパターンだね。ウルフに囲まれているところを俊平ちゃんが助けた縁でなんやかんや俊平が神になったってね。」
私もテツタに補足を入れながらタツルの説明に合の手を入れる。
「なんやかんやで何があったのかすごく不思議に聞こえる!!」
「次に、ヒロインタイプB。裏ダンジョンや地下ダンジョンなどで封印されていたヒロインを開放するタイプ。俊平に当てはめると、これはあおいさんだな。」
「なるほど、樹がテンプレというだけのことはある。俊平もそうなんだな。テンプレをなぞってる………! たしかにどっちも見たことがある。」
「アンドロイド系のヒロインもこっちのパターンに分類されそうにゃ」
「そうだね、古代から残っていた技術を主人公がなんか豪運で起動してマスターになっちゃうんだよ。」
タナカちゃんの言っていることも間違いじゃない。
アンドロイド系のヒロインは古代の研究所かなんかで薬液に浮いているホムンクルス、保存された機械。まさに封印系ヒロインだね。
「あとは、奴隷として買うタイプのヒロイン。これがヒロインタイプC」
「ど、奴隷?」
と、首をひねるテツタにタツルは話を変えるように切り出す。
「奴隷商の馬車が魔物や盗賊に襲われて………みたいなタイプAとタイプCの組み合わせみたいなものもあるけどな。」
とタツルは一拍置いてから
「日本人ってさ、意外と薄情なのよ。いろんなことに無関心といった方がいいか。たとえば、目の前にヤーさんが歩いていたとしよう」
「目を合わせないように大きく距離を空けて歩く。」
「たとえば痴話げんかしているカップルがいたとしよう」
「犬も食わない。大回りしてスルーする。」
「しつこいナンパDQNに絡まれて辟易しているチャンネーがいたとしよう。」
「絡まれたくないから目を合わせないようにして去る。」
助けにはいかない。いけない。
漫画の主人公なら行くだろうさ。
でも、いざ自分がその場面に遭遇したら?
そりゃあ動けないよ。絡まれたくないもの。当然だ。
漫画やなろうなら困っている女の子がいたら「待つドヤ! その子、困っているドヤ! さあ手を離すドヤ!」と相手をぼっこぼこにしちゃうんだよなぁ。
そんな都合よくできるかそんなもん!
「………。そう、それは日本人の通常の反応だ。俺もそうだ。絡まれているのが由依だったら助けに行くが、それ以外だと俺にとってはわりとどうでもいいことになるからかなり面倒なんだ。助けたくない。」
「うん………。俺、なんかすげー情けないな」
テツタは自分が取り残されるのを嫌う。
みんなの中に埋没しようとする。
決して突出する能力は持たない。
器用貧乏であるがそれはみんなと一緒がいいからだ。
そこにテツタのやさしさがある。
「情けなくなんかないさ。日本人はだいたいそうだ。そこで声を掛けられるやつなんかは勇者かDQNの二択だ。」
「うん………」
「そこで、奴隷の話に戻るんだけど、奴隷市で、気に入った奴隷を手に入れるか、すっげーズタボロの奴隷を手に入れるわけよ。主人公は。なにせ主人公だから。今まで蓋して、見て見ぬふりをしてきたのに、いざ異世界に来たら同情してそういうことが出来るようになっちゃう。俺もかつてはそうだった。今でもそうだ。異世界ではそれができちゃう。動機はテンプレの為だが、確かにできちゃうんだ。」
確かに、現実世界でのタツルはそんなことは一切できない。
この夢幻の世界のようにチート能力が備わっているわけではなかったからだしただの中学生なのだ。
出来る事は限られていた。
今のタツルなら現実世界でもチート性能を持っているからチョーシにのれそう。
「ヤーさんにも話しかけられるし、痴話げんかもとめられるし、ナンパDQNをあしらえる、と。」
「これが異世界ハイな。俗にいう調子に乗っている状態。ただ、これ途中でお話の整合性とれなくなるから注意が必要だ。」
「たしかに。いかにも正しいことをしていると言わんばかりの行動で、ただハイになっているだけなんだもんな」
「その通り。だから鉄太も気を付けるんだぞ。とはいえ、今回はそのテンションを使ってヒロインを落とすわけだが。」
うん。とタツルは腕を組んでテツタへの講習を終えた。
「いや………そんな簡単にヒロインが落ちるわけないだろ。俺だぞ、鉄太だぞ。」
「バーカ。序盤のヒロインなんてチョロインもチョロインだぞ。落ちないほうがどうかしているって。イベントさえ持って来れば一発だ。」
あとがき
次回予告
【 夢幻召喚RTA4 】
お楽しみに
読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった
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