テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます! 作:たっさそ
世界地図から見れば、俺たちがいる大陸は北東。
獣人のいる大陸は南東。
魔人が攻めてくるとしたら、そりゃあ南からなわけで。
魔人のいる大陸は南西なもんだから、魔人は海を渡るか地下の大迷宮を超えないといけないというわけだ。
それでも、大迷宮を超えるためには魔人といえども相当な実力がなければならないわけで、
既に獣人のいる大陸を征服している状態ならば、獣人の大陸側から攻めたほうが圧倒的に楽なのだ。
4つの大陸はそれぞれ隣接する大陸とは大橋でつながっており、対角線上にある大陸とは海路で交易をおこなっているのだ。
魔人との交易? そりゃああるだろ。
みんながみんな悪いやつとは限らない。
利益があれば腹の内隠して取引くらいしてなんぼだろう。
見えないところで探り合い足を引っ張り合い、利権や覇権の争いをしているのは地球だって変わらない。
元の世界だって、あらゆる国の、隣の国との仲はいいところなんて少ないだろう。
とはいえ、取引がないかと言われればそんなことはない。
その国に多く、どの国に少ない資源、そんなものはザラだ。あれが欲しいからこれを渡す。
世の中は、経済とは、物々交換の時代からそういう風に回っているのだ
「田中、上から様子伺ってもらっていいか?」
「了解にゃ!」
魔法少女コスプレの影響で飛行能力を持っている田中。マジで何でもありだから心強い。
「妖気………? これは面白いことになりそうじゃのう」
妙子の方もなにやら気になる気配を見つけたようだ。
「ギルド長のおじさん、なんでこっちに魔人が来てるってわかったの?」
戦の準備に入っている冒険者たちの間を縫って、ギルド長へと話しかけた由依。
「ああ、なんでも、このジラーダ大陸と獣人の住まうヒタフジ大陸をつなぐ大橋にいた勇者が撃破されたらしい。」
「勇者が!? 撃破………!」
「ああ、信じられないことだが、大陸の検問を突き破って、獣人が一気に押し寄せてきている。緊急用の通信機から連絡が来たんだ」
ということは、大勢の獣人が押し寄せ、勇者はその軍勢になすすべもなかったか、善戦したところでどうしようもなくなったか。
「妙子、今大橋の付近にいる勇者って……‥」
「太郎じゃな。」
「マジかよ………。Sランクアビリティ持ちの太郎が撃破………多分死んだんだろうな………。」
太郎がやられるって相当だぞ。
こっちに来て1か月程度で、みんなが手も足も出なかった邪淫のリビディアに一撃を食らわせられるレベルの化け物スキル持ちだ。
そう簡単にやられるわけがない。
「太郎の他には?」
「
「浩幸か………。太郎とは接点なさそうだけどな。」
坂本浩幸。陰湿根暗………。言ってしまったらなんだが、俺としては苦手な人間だ。
マジで何考えているのかわからん。
時々突拍子もないことをやらかす。(由依にはお前が言うなって言われるが)
意外と頭がよろしくない。
建前を理解できない。
課題のプリントを用意してそのあとは騒がしくない程度に自習するように。という指示を守ってしまうとか
『プリントを見せ合ってもいいですか?』なんて質問に矢沢先生が『俺の口からはYESとは言えないな』なんて苦笑いを浮かべられるのは間違いなく、『俺が見ていないところでやってくれ』という暗示だ。
言葉通りに受け取ってしまうのだ。
全然しゃべらない、と何をとっても俺と正反対。
多分、浩幸は俺の事嫌いなのだろう。俺はみんなと騒がしくするタイプの人間だから、文学少女本田美緒や雨女池田美香と同様に静寂を好む部類だろうから、騒がしいタイプの俺は嫌われて当然なのだろうが、人とのコミュニケーションが楽しい俺と、人と話すのがそもそも苦手の存在はそもそも相いれない。
そもそも、あいつと俺は何を話す? 何もない。
アニメの話だったら行けるかも………。いや、そもそも浩幸はアニメ見るのかな。
「浩幸も死んだのかな」
「撃破と言っただけで死んだとは限らないぞ。二人とも生きているかもしれん」
「希望的観測だな。」
下唇の少し下に人差し指の中節骨を当てて思案していると
「坂本君と佐久間君が………や、やられちゃったってこと?」
不安そうに両手をギュッと胸の前で組む縁子が恐る恐る聞いてきた。
「おそらくのう。聞いた話では攻めてきたのは獣人。ワシらが戦うべきは魔人。攻めあぐねたのやもしれん。」
「そんな………。」
こちらに攻め込んでくる獣人は、おそらくという仮定はつくものの、脅されているのだろう。
そうじゃなかったらわざわざこっちの大陸に攻め込んだりはしないはずだ。
コーデの街は沿岸付近にある町だ。
大陸をつなぐ大橋からは近い。
人間の足でも5時間も歩けば大陸をつなぐ大橋に到着だ。
「ってことは、大橋付近の街は壊滅状態か………」
「嘆いていても仕方あるまい。獣人がどのくらいの速度でこちらに来るのかはわからんが、ワシらはやるべきことをやるだけじゃ。魔王軍としてこちらに来ている以上、儂らは戦わねばならん。」
やるせない。
何が正義かもわからない。
そんな戦いだ。
そんな無茶な進軍の補給はどうするのか。
そりゃあ蹂躙した場所で無理やり補給するしかない。
破滅的進軍だ。
獣人は人間よりも肉体的に優れている。どう攻略したものか。
「な、なんでそんなに落ち着いていられるの!? また、二人も死んじゃったのかもしれないんだよ!? 響子みたいに!」
「現実感がなくて実感がわかないからだろ。俺らは人づてに聞いただけで死体を見たわけじゃない。」
「真偽が不明の情報に踊らされるわけにもいかないからのう。儂はうかつにすべての情報を信じようとは思わん。」
「それはそうだけど………」
と食い下がろうとした縁子の背中を、消吾がポンとたたいた。
「嘆いていて自体が好転するわけでもないやろ。俊平の時と一緒や。ワイらは出来る事をするだけや。」
「俺も。自分に出来る事を探さないと。」
「なんや鉄太。雰囲気かわったんか?」
「うん。ちょっとした心境の変化でね」
消吾は、なにやら落ち着いている鉄太の様子に気づいたようだが、ひとまず置いておいた。
「俺っちは俊平を呼びに行くっぜぃ。」
少し元気が足りないような佐之助。
佐之助ならば、探知のスキルで俊平の時と同じように勇者たちをマーキングできたはずだが、この場での証言を控えている。
ならば、勇者たちの状況が分からないか、何かあったに違いない。
そうこうしているうちに、俺の目の前に紙飛行機が飛んできた。
田中が魔法少女のコスで不思議な魔法を使ったのか、文通できる紙飛行機のようだ。
「わあ、なにこれ、田中ちゃん、こんな事できたの?」
「田中だけは何が出来るのかよくわからないんだよなぁ………。」
「能力がコスプレに依存しとるからやな」
紙飛行機を開いてみると
『コーデの街の南門を0時としたとき3時の方向から怪鳥と鳥人接近にゃ! これは田中が対応するにゃん。 同方向少し遅れて、馬やケンタロスに乗った獣人、熊に荷馬車を引かせる獣人、動物や魔獣を引っ提げて大量にやってきているにゃ! そっちの対応は任せるにゃ!』
「飛ぶくらいなら俺も出来るんだが………。田中が出来るってんなら任せるか。」
コーデの街を戦場にしないためにも、俺らも出撃せねば。
あとがき
次回予告
【 ロマンボード 】
お楽しみに
読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえずここまで読める程度には面白かった
と思ってくださる方は
ブクマと星10おいといて。