テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます! 作:たっさそ
「なにはともあれ、タロウとヒロユキの生存が分かってほっとしたよ。」
「そうじゃな。となると、誰かが迎えに行った方がよいかのう。」
「場所が分かるなら俺っちが行った方がいいんだろうが………」
「なんや佐之助は戦闘能力でいえば殆どないさかい………」
そうなのだ。佐之助の本分は相手や物がどこにあるのかを探す、探知に特化した勇者。
ある程度の戦闘はこなせるものの、チンピラの喧嘩の域を出ない。
俊平ちゃんを肩車できる程度の筋力はあるし、逃げ足は速いものの………。
逃げる、隠れる、騙くらかすにおいて全振りしているものだから、基本的にはみんなのサポートや人探しや失せ物探しが大得意。
ゴンゾウと忍者談義が出来る程度の肉体的精神的忍ぶ事への柔軟さ。真似は出来ん。
とはいえ、ふいうちに使える程度には能力を十全に扱えるものの、佐之助自身の攻撃力は殆どない。
能力は優秀なんだけど、特化しすぎて攻撃力に回せてないんだよなぁ。それはそれですごいんだけどさ。
「それでは、樹にでも頼んでみるか。今、最もその街に近いのは樹と田中であるのじゃからな」
「それ、タツルがハードワークすぎない? 獣人の侵攻を抑えて何十キロも先の大陸をつなぐ大橋まで走るって正気の沙汰じゃないよ」
「しかし樹ならば………」
「あ、タツルなら確かにできかねない………。それに多分私もできるしタナカちゃんも出来る………。インフレしてた」
しかしどうやってタツルに伝えようかと悩んでいると
「さすがに儂には出来んが、通信機変わりにはなれるぞい。」
あ、そうだった。タエコちゃんは式神を使って情報を集めているんだ。
人型の紙を取り出したタエコちゃん。それはそれで一つの異能みたいだよなー。
怪訝そうに首をひねるショーゴとテツタと佐之助。
「由依。儂はすこし席を外す。」
「りょ。」
私とタツルとタナカちゃん以外にタエコちゃんが妖術をつかってなんか怪しげなことをしてることは知られないようにしているので、樹と田中ちゃんとの通信を行うつもりのようだ。
ということは、またいつの間にか私らのポケットに盗聴用の式神を忍ばされているってことだよね?
全身のポッケを探ってみると、胸ポケットに入ってた。いつの間に………。
今回はこのままでいいや。
「妙子ちゃん、何をしに行ってるの?」
と、これまたずっと不安そうな顔のユカリコが聞いてきた。
「みんなにも内緒のことだけど、なんとかタツルとタナカちゃんと連絡を付けようとしているところ。」
さすがに一蓮托生である私ら以外には話せないから、ある程度ぼかしつつ話してあげる。
この通信機器のほとんどないこの世界で遠隔で通話できる手段を持つタエコちゃんはかなり貴重な人材だと思う。
「ほへー………。やっぱり葉隠って底がしれないなぁ………」
「インフレしているタツルや私を平気で出し抜けるんだもん。相当だよ。」
情報の使い方がうまいからね。
それについてはタツルの方から頼るくらいだしね。格の違いを思い知るテツタをなぐさめた。
しばらくしてタエコちゃんが戻ってきた。
「妙子ちゃん、なにか進展あった?」
と聞いたのは俊平ちゃん。みんなに合流してからの俊平ちゃんは影が薄い。
「うむ。タツルの方はこの町の方に進軍していた獣人たちを魔法で眠らせたそうじゃ。田中は空から来る魔物や鳥人を撃ち落としたらしい。正直なところ、無力化に成功したと言っていいじゃろう。浮足立って戦争の準備をしているこの街の者にとってはなんとも拍子抜けの話じゃが、今のタツルはバケモノじゃ。どうにでもなろう。」
さすがタツル。仕事が早い。
戦争準備が意味をなさないとは。
とはいえ、眠らせているだけならば、起きてしまえばすべて意味がなくなる話。
タツルが行っているのが時間稼ぎだから、満点の回答だね。
「ひとまず、田中と樹の二人は大橋付近で浩幸と太郎の回収に向かってもらった。街についたらまた連絡をもらうことになっておる。どこにいるかは佐之助に指示して貰うとしよう。」
異能のコンボが素晴らしい。
タエコちゃんの異能は解析だけど、妖術を使って式神を操りタツルとの連絡役となり、佐之助の探知で遠隔から合流を指示できる。
タエコちゃんが万能すぎて頼りにしっぱなしだけど、本当に頼りになるんだよなぁ。
「あと私たちが出来る事と言えば………」
「ッ!!?」
と考えを巡らせたところで、佐之助がガタッ!! と立ち上がった!
「どしたん?」
「エデン湖の方から、知的生命体の反応が大量に表れた!」
「やるやん?」
何が起こったかを聞いたら、敵さんがエデン湖に瞬間移動かなにかをして現れたらしい。
「凶兆が出たらヤな事ってのは連続して起こるモノなんだよねぇ………。」
「あ、わかるかも。レンジが壊れたら次の日には冷蔵庫も壊れて、なんならお風呂もボイラーが壊れたことがあるんだよね………」
やれやれと私が肩をすくめると、ユカリコもヤな事の連続性について共感する。
「それはいろいろ起こりすぎだけど、起こる時ってのは一気に来るんだよねー。普段は何もないはずなのにさ。」
どっこいしょと立ち上がる。
「由依ちゃん、どこに行くつもりなの?」
俊平ちゃんが不安そうに聞いてきた。
「なにって、そりゃあエデン湖のゴミ掃除だよ」
あとがき
次回予告
【 討伐が目的じゃないから面倒 】
お楽しみに
読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった
と思ってくださる方は
ブクマと星10おいといて。