幼馴染と一緒に迷宮探索者になる   作:猫仔猫

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第18話 Fランク迷宮5階層

6月に入り俺たちは順調に成長を続けていた。

3階層のゾンビはみんな嫌がったので、早めに4階層に移動してスケルトン相手に戦闘訓練をしている。

 

スケルトンは棍棒か剣に盾を持っていて、今までのゴブリンやゾンビとは強さの桁が違った。それに2~4体で居るから集団戦闘の訓練にもなる。

問題は4階層までの移動時間と、必ず3階層のゾンビエリアを通らないといけないって事だった。

 

日曜日の内にひかりが4階層までの道を調べてくれているので、最短距離で移動できているのが救いか。

ひかり曰く『索敵と隠密マジパナイ!』らしい。ゾンビまでは1体で居る事が多いし、余裕で倒せるのだろうけど無茶はしないで欲しい。

 

 

そしてみんなのスキルが4~6まで成長したので、そろそろ5階層を見てみようかという事になった。

俺も浄化水を投げまくってるから、投擲スキルも6まで上がったしね。スケルトンも魔石の他にはたまに持っていた物を落とすだけだから、大赤字なんだけどね。まぁ、ポイントでスキルレベルを上げていると思えば……

 

 

 

5階層へ続く階段を下りていくと、そこは3~4階層と同じく迷宮型の階層だった。

 

「罠は6階層からって話だったけど、ここも迷宮型なんだ」

「訓練用に作った人工迷宮だから、魔物に合わせて階層を選んだんじゃないかな」

 

1階層の大兎は自然階層のノンアクティブを選択しただけとしても、2~5階層のは魔物ありきだと思うんだよな。

 

探索者としてやっていけない者を篩にかける為の魔物配置。

現に2~3階層で既に20人以上が脱落して転校していった。そして生産の先生に聞いた、例年一番脱落者が多いらしい5階層。

完全に人と同じ見た目のホムンクルスで、切れば赤い血も出るし内臓もある。高位の魔物には人と同じ姿をしているのも多いからなんだろうけど……

 

ちなみに毎年50人前後は1学期の内に転校していくらしい。1年の1学期なら普通の高校に転校しても間に合うからね。迷宮高校は主要3教科しかやらないし、しかも実業高校並みだから遅くなればなるほど普通科への転校は難しくなる。

入学式で校長先生も言ってたもんな。『無理だと思った者は早めに転校を考えなさい』って。

 

 

「この先に何かいる」

 

何度か角を曲がって進んだ先にある分かれ道で、先頭を歩いていたひかりが止まって言った。何かが索敵に引っかかったのだろう。

 

「俺らより先に来ているパーティなんてないだろうし、魔物だよな」

 

信也が盾と剣を構えなおして光の横まで進み出た。それを見て涼子も前へと出て行った。

後には美咲のパーティが居るから、今は前だけ見てても平気だろう。

 

「初めての魔物だから出し惜しみは無くいくぜ」

 

信也は角に出て大楯のアーツ<範囲挑発>を使用すると、更に前に出て行った。その場所だと攻撃しづらくなってしまうからな。これも連携訓練の成果だ。

 

「うへぇ」

 

その信也が情けない声を上げた。

何事かと急いで角に行って魔物の姿を確認したら――

 

1.素っ裸の婆、鉈を持っている。

2.腰巻だけのおばさん、包丁を持っている。

3.同じく腰巻だけの青年の女性、両手槍持ち。

4.貫頭衣、二つ折りの布の穴から頭を出している所謂奴隷着の幼女。畳針みたいな長い針持ち。

 

四世帯家族ですか? ってそうじゃない。

一番激しく動いて信也に襲い掛かっているのは婆で、動きに合わせて皺だらけの萎びた乳房が揺れるのが目に入ってしまう。これが信也の情けない声の原因だろう。

おばさんのは少し垂れ気味だがその大きさが母性を感じさせるし、青年女性のは張りが有って形も良い。これは男だったら目が奪われてしまうかも……強敵だなっ!

 

おばさんにはひかりが、青年女性には涼子が攻撃を仕掛けていった。

小刀VS包丁、槍VS槍だから力量差がそのまま出るだろう、これは援護すべきか幼女を牽制すべきか……

 

と思ったが、挑発が効いているみたいで攻撃は全て信也に向かっていった。

横から槍で突かれようが、小刀で切られようが狂ったように信也を襲い続けている女性たち。

 

ある意味修羅場ですね!!

 

明日香が信也の回復を始めたので、俺は婆に向かって苦無を投げる。ホムンクルスはアンデッドじゃないから、紅葉用のと一緒に作った自分用の苦無を投げる。

 

それがたまたま鉈を振りかぶってジャンプした婆の喉に当たり、後ろに倒れていった。

おぇぇっ……倒れていく婆の股座がばっちり見えてしまった……。せ、せめて青年女性のだったらよかったのにっ。

 

 

「後っ!」

 

小刀で攻撃していたひかりが突然振り向いて大声で叫ぶ。

 

「こっちで受けます!」

 

美咲が大声で答えると、来た方に戻って行った。

角だから後ろ戦闘は見えない。見えるのは恵が魔法で攻撃しているのと、紅葉が忍術を使っている所だけだ。

 

 

「キャーッ」

 

誰かの叫び声で後振り向くと、吹き飛ばされたゲロ塗れの健一が壁にぶち当たる姿が目に入った。

 

「明日香はこのままこっちの回復をっ」

 

前の様子を見つつ後下がる。健一は壁に当たった衝撃でHP回復ポーションの瓶が割れて、その中身が掛かっているからバリアは回復してるだろう。

なら危険なのは回復できない美咲と、一緒に前に出ている雛子の二人だ。

 

恵と紅葉の後ろ側に移動すると来た方の通路が見える。

そこでは美咲が2体の男性型ホムンクルスの攻撃を受けている姿があり、その横で雛子が1対1で老人男性と伐り合っている。

 

恵と紅葉の邪魔にならない位置取りをして、前の二人の背中にHP回復ポーションを投げる。

 

「あぁ、もう。雛っ、そいつの動きを止めるから早く倒しちゃって――<金縛りの術!>」

「ありがと! 食らいなさい<十文字斬り!>」

 

雛子がやり合っていた魔物を倒して美咲の援護に入ると、そこからは攻勢になった。

美咲も攻撃を受けながら手斧で反撃していたからな。

 

そして恵の魔法で1体倒すと、美咲が残った1体の首を撥ねて戦闘が終わった。

 

 

 

 

 




戦闘シーンがあっさりとしてますが、ジャンル日常なのでお察しください。

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