幼馴染と一緒に迷宮探索者になる   作:猫仔猫

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第20話

23XX年6月21日(月) 日本時間08:15

 

「――クラス名簿からも名前が消えているね」

 

端末からクラス名簿に健一の名前が無い事が確認出来てしまった。

 

「命がけの仕事なんだし、仕方ないのかな?」

「辞めていったのは彼だだけじゃないしねー」

 

たしかに恵たちの言う通りだ。クラス名簿に載っている人数は260人ちょいで、1割以上が脱落しているんだ。

健一だけじゃないんだ。だけどね……土曜日の夕方に帰ってきて、夕飯に顔を出さなかった時に部屋を訪ねてみれば結果は変わったのだろうか?

 

そんな後悔に近い考えが頭に過った所に紅葉の声が聞こえて来た。

 

「昨日私たち話合ったんだけど、それで健一君がダメになったらこっちのパーティを解散しようかって話になったんだ」

 

その言葉にうつむき気味だった顔を上げて、紅葉の顔を見た。

 

「誰かが破壊衝動の可能性もあるじゃないですか。そうするとさらにメンバー減ってしまいますよね?」

「他のパーティでも空き出来てるところが有るから、臨時的に参加して交流しておこうかってね」

「このまま9人だと5階層攻略は厳しいだろうしねー」

「色んな人と組むのも勉強になると思うから、それに――」

 

美咲パーティの4人が話すのを聞いていく。

下手の募集するよりは自分たちが別れて募集している所に参加して、泊り授業の後のパーティ作成に備えたいというみたいだ。

たしかに2か月半以上固まっていてクラスメートとの交流は少ないから、良い機会なのかもしれないな。

 

「期末試験までの2週間、そこから泊り授業までの数日だけどね」

 

紅葉がそう言って話を締めた。

 

 

 

23XX年6月21日 日本時間13:00

 

先生から健一のステータスカードを受け取った美咲は、他のメンバーを連れて迷宮に行きパーティを解散してきたらしい。

俺のステータスカードからもユニオンメンバーの名前が消えていたので、その事が確認できた。

 

教室に戻って来た紅葉、雛子、恵の3人は掲示板の前で話をしている。

何時の間にか教室の掲示板に、パーティ参加者募集なんかの紙が貼られるようになっていたんだよね。その募集の紙を見て、どこに参加するか考えているんだろう。

 

「俺たちはどうするか、4階層でスケか?」

「それかバラけて個人訓練かよね」

「先週生産の先生に聞いたんだけど、スキルは迷宮内で特訓すれば成長し易いらしい」

 

俺たちのパーティはこれからどうするかという話になったんだけど、生産の先生に聞いた事を話した。

外でスキルを使うより中で使った方がスキルが成長しやすいという事だ。

その話を聞いてから生産は1階層でやるようにした。そのおかげか入学前にクラフトⅡになって、それから上がっていなかったのが数日でⅢにあがったんだ。もっとその話を聞きたかったよ。

 

「特訓か。頑強に生命力強化ってどうすりゃ良いんだ?」

「ひたすらゴブリンにボコられる」

「HP回復ポーションを大量に持ち込めば、両方鍛えられそうね」

 

信也の疑問にひかりが恐ろしい回答をして、涼子が納得と言った感じで頷いた。

確かに殴られ続ける事で頑強が上がって、短時間にダメージと回復を繰り返せば生命力も上がりそうだけどさっ!

 

「私は敏捷と器用なんだけど……」

「反復横跳びをしながら刺繍」

「それ無理よね!?」

「同時にやる必要は無いんじゃないかな~?」

 

何故同時やらせようとするのか? それに反復横跳びや刺繍じゃなくても、横ステップしながら槍で木を突くとかでも良いんじゃないかな?

 

「明日香はゆーの前で裸になれば良い」

「ん~。ゆ~君だけなら良いけど、他の男子にも見られそうだし~」

「それ魅力なの? 魅了とか誘惑系じゃないの?」

 

明日香の裸か。みんなとは小さい頃一緒にお風呂に入っていたけど、今とは全然違ったんだよな……特に胸が成長しまくったしな。

涼子の言うように誘惑だろう、魅力は上がらないと思う。でも、男を知った女は魅力や色気が増すって言うしな……

いやいやいや。迷宮の中でなんてありえないだろう。

 

「明日香さん抜け駆けはいけませんよ。雪兎様、お望みでしたらわたくしも一緒にお願い致しますわ」

「本当に美咲はブレないわねぇ」

「愛故に。ですわ」

 

運動着に着替えて戻ってきた美咲の言葉に涼子が呆れる。常識枠と言うかツッコみ役だからな、頑張れ。

 

「わたくしは雪兎様のパーティに加えて頂きたかったのですが、しばらくは一人で修行する事にしましたわ」

「無茶はしないでくれよ?」

「はい。一人でしたら透明化を使って逃げられますから、心配無用ですわ」

 

美咲は盾も攻撃もあるし、透明化を使えば低ランクの魔物には見つからないだろうから、ソロでも問題なさそうだ。

 

「ゆ~君はどうするの?」

「俺は生産しながら……ガチャでもやってみようかなと。もしかしたら迷宮内でガチャする事が成長する条件かもしれないしね」

 

そろそろガチャも成長して欲しい。

いや、低ランク素材ガチャも凄く役には立っているんだよ。ここのFランク迷宮じゃ手に入らない素材とかも出るからね。

 

「うんじゃ、俺らはしばらくバラけで自己鍛錬に励むって事で良いか?」

 

信也の確認に誰も否を唱えなかったので、泊り授業までは各自で行動する事になった。

 

 

 

 

 

 

 


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