幼馴染と一緒に迷宮探索者になる   作:猫仔猫

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第30話

ソフィーの方へ振り返ると、誰かが背中に抱き着いて来た。柔らかい感触があるので女子だろう。

まあ、こんな事をしてくる男子の知り合いはいないんだけどね……

 

「ユキトさん捕まえました、逃がしませんよ?」

「この声はレオナかな?」

「ゲナウ! 正解だよ!」

 

腕ごと抱きしめたいたのを離して、俺の前に移動してきたのはドイツ系美少女のレオナ。

160cm程の身長で、背中の中ほどまで伸びている金髪。程好いサイズの胸――B後半からCくらい――に細い腰。少し釣り目気味な目が年齢のわりに大人っぽさを演出しているが、知り合いには甘えがちな性格だ。

 

 

「二人だけかな?」

「あー、あの二人は……」

「袂を分かったデース」

「衝動型が違ったから、別行動する事になったんだよ」

 

普段は4人で居たから聞いてみたが、衝動タイプが違ったから分かれてしまったのか。

俺らのとこもそうなっちゃったし、他もそうなっていても不思議じゃないか。

 

「きっとココに来ると思って待ってたネ」

「ボクたちはユキトの事が好きだからね、あっちの二人より早く会いたかったんだ」

「待っていた理由は分かったけど、衝動タイプが違ったらどうするんだ?」

「ワタシはそれでも一緒に居たいヨ!」

 

この二人と違っていて、残りの二人と同じだったらどうなるんだ?

いや、逆でも結局4人とも来るん事になるんじゃないだろうか……

 

「あー、ちなみに俺は性欲タイ――」

「Yes! ワタシたちも同じ性欲型ネ!」

 

うん。最後まで言わせて貰えなかったけど、二人も性欲タイプなんだな。

ソフィーは夜から一緒だったからそんな気はしてたけどね。食事も3食ちゃんと食べさせたし。

 

「そうだ、ユキトさんはまだパーティ組んでませんよね?」

「いや、明日香と美咲で3人パーティだな。信也と涼子とひかりでもう1つ作ってるし」

「Oh……出遅れましたか。でも3人ならワタシたち二人も入れますネ」

「うんうん。運命の女神はボクたちに微笑んだんだ」

「一応明日香と美咲にも聞かないといけないけど、多分大丈夫かな」

 

あの二人もソフィーも一緒に居たがるだろうって言ってたから、こうなるの事は予想出来ていたのだろう。

レオナも一緒だけど、4人全員が来てパーティ人数の上限を超えなかったからセーフかな?

 

「俺がサポーターで明日香が聖魔法で回復。美咲が盾と斧でタンク兼アタッカー。

で、ソフィーが重鎧と格闘でタンク兼アタッカー。レオナは攻撃魔法だったか」

「うん、黒魔法と結界だね。四属性使えるなんて貴重なんだから、ボクの事大事にしてよね」

 

魔法系だとは聞いていたけど、四属性使えちゃうのか。魔法の複合系スキルは凄いな。

この二人が加わると前衛2、魔法系アタッカー、回復とバランス良いよな。MP回復ポーションを俺が潤沢に提供できれば、魔法系の二人はガス欠にならないだろうし。

そうすると残り1枠はシーフ系かな? いや向こうのパーティとユニオン組む前提なら不要か。

 

お昼の後に話したように焦って決める必要もないか……

 

「大丈夫だと思うけど、明日香と美咲に確認しに行くか」

 

そんなに時間は経っていないから、まだ二人は借りた部屋で話しているだろう。

 

 

二人に腕を取られながらパーティ棟に向かう。

幸いな事に入り口の広間で誰ともすれ違わなかったので、こっち方面に来ればクラスメートに見られる事は無い。

 

「あの、こっちってたしかパーティ用の家ですよね?」

「さっき借りたばっかりだけどね」

 

手前から3番目の並びにある、女子寮側の端の建物がうちのパーティが借りた部屋だ。

俺は私物を全部アイテムボックスに入れれるから、部屋に戻ることがあるだろう女子の利便性を考えての場所だ。

男子? 他の性欲タイプの男が入る事をあの二人が許すわけないじゃん。

 

鍵を開けて中に入ると玄関には二人の靴がある。やっぱり二人はまだここに居たようだ。

リビングに向かうと二人が床に座って話をしていた。

 

 

「あれ、ゆ~君どうしたの?」

「ハーイ、アスカ、ミサキ」

 

開きぱなっしのドアからリビング入った俺に気付いた明日香が首を傾げたけど、すかさずソフィーが顔を見せたので、納得という感じで頷いた。

 

「もう連れて来たんですの?」

「ううん、ボクたちがユキトを捕まえたんだよ♪」

「まぁ、レオナさんもですのね」

「草原の入り口で待ち構えてたんだ。で、ソフィーとレオナは俺たちと同じ衝動タイプで、後の二人は別タイプで別れたんだと」

 

ここに居た二人に連れてきた二人の事を説明すると、パーティに加わることに賛成してくれた。

一緒に連れて来たから、ソフィーだけ受け入れるという選択肢は無くなったようだ。

それにレオナが貴重な魔法の使い手ってのも大きかった。パーティの構成が良いにこした事は無いのは、二人もよく判っているからな。

 

後はこの四人が仲良くやってくれると信じるしかない。

 

 

「話も決まったし、二人をパーティに入れて事務課で追加申請してこないとな」

 

迷宮に行ってパーティに加えて、事務課に行ってパーティメンバーと部屋の使用者の追加申請をしないといけない。

使用料は俺がまとめて払う事にしてあるから、人数が増えても面倒は無いな。

 

「それが終わりましたら、お二人もこの家に必要そうな物の相談に加わってくださいませ」

「あぁそうだ、先にこれは出しておこうか」

 

アイテムボックスからクッションを4つ取り出して床に置く。板の間の地火炉の周りに置いてたやつだ。

女の子がリビングの床に直座りなのは、ちょっとかわいそうだからな。

 

布団を作るついでにクッションも追加で作らないとな。

 

 

 

ソフィーとレオナを連れて迷宮に行き、それから事務課へ向かう。

流石に今回は見つからないなんて事は無く、クラスメートの男子から嫉妬の視線を受ける。だけど、いつも四人で居たのに今は二人しかいない事に気づき、いやらしい笑みをするヤツもいた。

 

後の二人がまともな人とパーティ組めることを祈っておこうか。

 

 

 

 

 


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