マスカレイド・サーガ   作:バイン

6 / 8
MISSION.2-A 決意の元に

炎の海の中に横たわる両親。

その光景を見て、俺は震えて、泣くことしか出来なかった。

何も出来なかった自分の弱さに。何もかもを奪っていった理不尽に立ち向かいもしなかった自分の情けなさに。

 

 

─────そして、自分の罪の重さに。

 

 

赤い戦士が、ゆっくりと俺の方へと歩み寄る。

相手から殴られること、そして相手を殴ることの痛みと恐怖を押し殺し守るために戦った英雄。

 

 

「俺の せいだ」

 

 

漏れ出た俺の言葉に対して、叱る訳でもなく、問い詰めるわけでもなく。

 

 

「…ごめん。俺がもっと速く来ていれば」

 

 

…違う。

責める気なんかない。俺にそんな資格はない。

だって俺は…

 

 

 

──────────────

 

 

『…い。おい!敬助!聞いてんのか!?』

 

 

聞こえてきた声に、敬助は意識を取り戻す。

 

 

「ッ、ああ…悪い…ぼんやりしてたぜ」

 

『たぁく、しっかりしてくれよ…お前の方からトランスについてもっと理解しておきたい、って言ったんだろうが』

 

「あー、悪い悪い…」

 

 

呆れはてた様子のトラストの声に答えつつ、トランスフォーンを手に取って画面を操作する。

レオパードドーパントの襲撃から数日後。

ゴルゴムからの刺客や未確認の襲撃等もなく、健三の症状も悪化することもなく、順調に回復傾向へと向かっている。

しかしゴルゴムからの刺客はいつやってくるか分からない、それまでにトランスについてもっと知っておきたい…と敬助からの提案で、訓練及び能力チェックを行うこととなった。

能力チェック、といっても場所は家の庭なためあまり派手なことは出来ないが。

 

敬助がトランスフォーンの液晶に写る『変身』と書かれたアプリケーションをタッチすると、トランスフォーンから帯が伸びて、ベルトのように腰に装着される。 

 

 

 

「よっし、行くぜ…変身!」

 

【OK!トランスシステム・アクティブ!・マイティパッケージ!】

 

 

前回と同じように液晶内のアプリにタッチ…する前に円を描くように腕を動かし、最後に右腕を左斜めに掲げた後に液晶内のクワガタアイコンにタッチする。

そうして一瞬敬助の体を光が覆い、装甲が装着されていき、その体を仮面ライダートランスへと変える。

 

 

『しかし、マジですごいなこのスーツ…でいいのか?結構重そうなのに全くそういった感じがない』

 

 

姿を変えたトランスは手を握ったり開いたり、とん、とん、とん、と軽くその場で飛んで、自分の体の動きを確かめる。

全身を覆う鎧のようなスーツの見た目に反して、スーツの装甲で細かい動きが阻害されたり、重さで動きづらい、という感覚は全くない。

腰を低く構えて正拳突きを上段・中段・下段に打ったのち、回し蹴りからその場から飛び退いての飛び蹴り、という一連のコンビネーションのキレも全く落ちず驚嘆する。

 

 

『おいおい、驚くのはまだまだ速いぜ?ちょっと一回思いっきり飛んでみ?』

 

『?…まぁいいが…よっと…おおおおおおお!?』

 

 

愉快げな様子のトラストの声に応えて、トランスは軽くその場で地面を蹴ってその場で()()()()()()()()()()()()

 

 

『た…たっけぇぇ…!?おわああああああ!?』

 

 

予想以上の跳躍に戸惑うトランスであったが、最高到達点まで達し、重力に引かれ、手足をばたつかせながら落下する。

そのまま無抵抗で激突…はせず、転がるようにして受け身を取って事なきを得る。

 

 

『ああびっくりしたぁ…死ぬかと思った…!事前にそういうことは言ってくれよ…!』

 

『心配すんな!さっきくらいの高さならちょっと痛いくらいだろうしな、それに全力でジャンプすればもっと高く…』

 

『そういうことじゃねぇよ!…まぁ確かにすげえジャンプ力だなぁとは思ったけどよ…』

 

 

どこかズレた発言のトラストに呆れつつも、同時に人間を凌駕するほどのトランスの身体能力に目を見張る。

先ほどの跳躍力だけでなく、先日のレオパードドーパントとの戦いでの格闘戦では、軽々と人間を持ち上げ数メートル投げ飛ばせる膂力を持った相手の攻撃を受け止め、受け流すことができた。

その事実を確認するようにトランスが自分の手のひらを見つめていると、トラストから再び提案がなされる。

 

 

『丁度いい、他のパッケージも試してみろ』

 

『他のパッケージ…?』

 

『ほれ、まだ他のアプリがあるだろ、それタッチして見ろ』

 

『…今度はなんか危険なことになったりしねぇだろうな?』

 

『しねぇよ。…多分な』

 

『多分ておまっ…じゃあ…コイツでいいか』

 

 

トラストの言葉に一抹の不安を覚えつつも、渋々といった様子で液晶に映る銃のマークをしたアプリをタッチする。

 

 

【トランスフォーム・ガンナーパッケージ!】

 

 

すると変化はすぐさま訪れた。

トランスの全身に展開していた装甲が外れて宙へと浮かび、直後それはV字のアンテナにゴーグル状のバイザーの頭部装甲と水色のメカニカルな胸元と手足を覆うアーマーへと形状が変化し装着される。

 

 

『か…変わったァ!?』

 

『トランス・ガンナーパッケージ。硬さとパワーが売りのパッケージだ』

 

『な、なんかテレビで見たG3に似てるような…てかなんかちょっと重く…』

 

 

先ほどのマイティパッケージと違い、重装甲にバイザーが装着された姿…『ガンナーパッケージ』。

装甲が増えた分、マイティと違って少し重さを感じ動きづらくなったことに不安を覚えるトランス。

 

 

 

『お察しの通りコイツのモデルはGENERATIONシリーズのパワードスーツ。装甲厚くした分機動力は落ちたが…それを補うための装備が…コイツよ』

 

 

トラストの声に応じて、脹ら脛のプロテクターが展開し、中から一丁の銃が飛び出る。

飛び出た物を慌ててキャッチするトランスであったが、それが銃だと分かると慌てて取り落としそうになる。

 

 

『武器…えっ銃!?いやいや俺射撃なんて屋台の射的くらいしか経験なんてねぇぞ…!?』

 

『引き金の引き方さえ分かりゃあ後は俺が修正して当ててやるから心配すんな!』

 

『心配すんな!って言われましても…てか捕まらな…』

 

『んなことより次だ次!』

 

 

手にした銃…『スマートガンナー』の扱いに戸惑い手の上で弄んでいるトランスを急かすトラスト。

銃刀法で捕まるんじゃないだろうか、という不安が脳裏を過りながらも恐る恐る開いていた脹ら脛のプロテクターへとスマートガンナーを戻して、再び液晶のアプリへとタッチする。

剣のマークが描かれたそのアプリをタッチすると再びトランスの装甲に変化が生じる。

再び全身装甲が展開、水色の装甲が深い青へと変色し、重厚なプロテクターから中世の騎士を思わせるようなデザインの兜に胸当てへと変わる。

 

 

【トランスフォーム・セイバーパッケージ!】

 

『また変わった!今度はすげぇ軽い!…でも軽すぎてちょっと不安になるなこれ』

 

『こいつの名はトランス・セイバーパッケージ。機動力特化のフォームさ。装甲が薄いのはご愛嬌…なんてな』

 

 

重装甲のガンナーから一転、装甲が軽く、騎士を思わせる姿の『セイバーパッケージ』。

装甲の厚い姿から一気に薄い姿に変わったため少し不安を覚えて握った掌で装甲を軽く叩くようにして確認するトランス。

 

『おおっと、装甲が薄い分コイツにはこんな武器があるんだぜ?』

 

『今度は剣か…!…銃よりは扱い安いか…折れたりしないよな?』  

 

『んな柔な素材じゃねぇよ、鉄くらいなら切れる』

 

『ふーん…よっ、と…おお、マジだ』

 

 

腰に携えていた剣『レーザーセイバー』を手にとってまじまじと見つめる。

警察にでも見つかれば問答無用で逮捕可能なそれを見つめて、好奇心からその辺に落ちていた石に振り下ろし、真っ二つに割れた石の断面をまじまじと見つめる。

 

 

『んで、あと残ってるこのアプリは…あれ?何も起こらない?』

 

 

セイバーパッケージの姿と能力の確認を終え、最後に残った『R』の文字の描かれたアプリをタッチするトランス。

しかしタッチしてもガンナーやセイバーのアプリのように装甲が変化することはなく、電子音声も鳴らない。

故障か、と思ったけどトランスが何度もタッチしたり長押ししたりしていると、トラストがそれを呼び止める。

 

 

『やめろやめろ、無駄に連タップすんな!ソイツは()()()()()()()()()()んだ、今押したって使えねぇぞ!』

 

『?データ…?』

 

『まぁそいつは追い追い話すとして…マジでやる気か?』

 

『ん?何をだ?』

 

『…ゴルゴムとやり合うってことはな、こないだ戦った奴以上の連中が山ほど襲ってくるってことだぜ?…地獄になるぞ?』

 

 

敵はそこら辺のチンピラの集団でもヤの付く反社会的組織なんて可愛い物でもない。

歴史の闇に潜み、人類を滅ぼす、なんて大言壮語を叶えるために力を尽くし政財界にまで顔が利く。増してや、先日襲ってきたような異形の存在…『未確認生命体』やそれに類似する姿へと人間を変えることが出来る技術まで持ちあわせ、その力を無実の人間へ振るうことになんの躊躇いもない。

警察ですら対処出来るかどうか分からない相手に、現状誰の協力も得ずに立ち向かう。

それを決めたトランス…敬助に対して引き止める意味も込めてトラストは訪ねる。

その問いにトランスは

 

 

『…そうだよなぁ…地獄かぁ…』

 

 

ぽつりと呟く。

そして一瞬顔を伏せた後、

 

 

『それでも…俺のせいで大事な家族を失うのはもう嫌なんだ』

 

『ん?…俺のせいで…?』

 

『ともかく…遥香にも爺さんにも手出しなんかさせねぇ。俺が命をかけて二人を守る』

 

 

震える拳を握り締め、決意する。

 

 

『…ま、とりあえず俺を使うんだし無様な戦いだけしなけりゃ俺は文句言わねぇよ、とりあえず訓練の続きだ続き!』

 

『おう!んじゃあ次は…』

 

 

気を取り直し、再開されたトランスの訓練はしばらく続いた。

 

そしてその訓練は、程なくして成果を出すこととなる。




フォーム:セイバーパッケージ
パンチ力:2.5t
キック力:5.5t
ジャンプ力:20m
走力:100mを7秒
 
『BOARD社のライダー』のデータをラーニングして生まれた近接戦パッケージ。
騎士の兜のような頭部ユニットにマントが装着され、装甲が青く変わる。
武器として長剣『レーザーセイバー』を所持。レーザーコーティングにより切れ味を向上させている。
装甲は薄いものの身軽かつ、素早く鋭い一撃を放てる。また滑空能力も持ち、三次元的な戦いも可能。

フォーム:ガンナーパッケージ
『トランスフォーム・ガンナーパッケージ!』
パンチ力:5t
キック力:7.5t
ジャンプ力:10m
走力:100mを10秒

『GENERATION-3 UNIT』のデータをラーニングして精製された射撃特化パッケージ。
V字のアンテナにゴーグル状のバイザー、ヘルメットが装着され、全身を覆うようなボディーアーマーが装備される。装甲の色は水色。
武器として大型拳銃『スマートガンナー』を装備。連射とチャージの二タイプの運用が可能。



装備モデル
レーザーセイバー:宇宙刑事シリーズのレーザーブレード
スマートガンナー:ロボコップに出た『オート9』+G3装備の一つ『GM-01 スコーピオン』
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。