イナズマイレブン2 エイリアクライシス!?   作:ダシマ

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第30話「裏切り」

 

 

 その夜…。

 

飛鳥「男子はこっちの部屋、女子はあっちの部屋だ。間違えるなよ」

「はーい」

 

 就寝の準備に入った。男子は大部屋を使い、女子は小部屋で寝る事になった。

 

少林寺「明日からの修業、楽しみです!」

風丸「そうだな」

 

 少林寺や風丸が気合を入れる中、春奈だけは浮かない顔をしていた。そして男子達が寝ようとすると…。

 

春奈「コーチ」

 

 春奈が飛鳥を呼び止めた。飛鳥も寝る気満々だったが、春奈に呼び止められて、春奈の方を向いた。

 

飛鳥「木暮くんの事で話があるんだろ?」

春奈「!」

 

 飛鳥の言葉に春奈が驚いた。

 

飛鳥「夜も遅いし、少しだけなら付き合うぜ」

春奈「あ、ありがとうございます!」

 

 そう言って飛鳥と春奈が移動しようとすると、飛鳥が舞を見た。

 

飛鳥「すぐに戻ります」

舞「OK。でも、変な事しないようにね」

飛鳥「大丈夫ですよ。東京にいるお兄さんにブチ殺されますので」

春奈「コ、コーチ!////」

 

 飛鳥のジョークに対し、春奈が頬を染めて突っ込んだ。

 

リーム・パンドラ「……」

舞「あなた達は寝なさい。明日は早いわよ」

リーム・パンドラ「は、はい…」

 

 そして、飛鳥と春奈は部屋の近くの池まで来て、そこにあるベンチに腰を掛けた。暫く黙っていた二人だったが…。

 

飛鳥「そんなに気になるかい? 木暮くんの事が」

春奈「それもそうですけど、どうしてあの時、木暮くんを貸してほしいって言ったんですか?」

飛鳥「そりゃあオレも気になったからさ。木暮くんの事が」

 

 春奈の言葉に飛鳥が苦笑いして答えると、すると春奈は少し驚いた顔をしていた。そして飛鳥は正面を見つめて、月を見つめた。

 

飛鳥「エイリア学園…お日さま園も似たような子が集まっててさ。あいつ等の面倒を見ていた頃を思い出したんだよ」

春奈「お日さま園…」

飛鳥「そういや話したっけ。お日さま園の事」

春奈「す、少しだけ…」

 

 飛鳥の言葉に春奈はお日さま園の事を想いだした。飛鳥とジェミニストームは元々お日さま園という孤児院の出身だったのだが、経営していた吉良星二郎が復讐の為に飛鳥達を『エイリア学園』の生徒として、利用しようとしていたのだ。

 

飛鳥「オレ、こう見ても最年長なんだよね」

春奈「そうなんですか!?」

飛鳥「そう。もう一人いるんだよね。砂木沼治って此間テレビ通話で紹介したでしょ?」

春奈「あっ…」

 

 今度はデザームの顔を思い出す春奈だった。

 

飛鳥「で、話は戻すけどお日さま園の園児たちも色んな子がいた訳よ。親に捨てられて人間不信になった子、裏切られて捻くれてしまった子、気を引きたくて我儘になった子とかね」

春奈「……」

 

 飛鳥の言葉に春奈は縮こまった。

 

春奈「…辛いですよね。私も施設出身なんですよ」

飛鳥「知ってるよ。お兄さんから聞いた。苦労してるんだね」

春奈「今は里親が見つかって幸せに暮らしてるけど…」

飛鳥「オレ達だって幸せだったよ。エイリア石の件が無かったら、今でも幸せだったと思う」

 

 春奈が飛鳥を見た。

 

飛鳥「エイリア石に手を出して暴走したとはいえ、オレ達にとって吉良星二郎は今でも大事な父親だ。そして、エイリア石に手を出す前は本当に神様のような人だった」

春奈「……!」

飛鳥「皆、本当に父親のように慕っていて、大好きだったんだ。だから木暮くんの気持ちが痛いほどわかる。大好きだった人に裏切られるって本当に辛いよな」

 

 飛鳥がそう言うと、春奈の目から涙があふれ出ていた。

 

 春奈もかつて両親を事故で亡くしていたが、当時は幼くて死んだ事がよく分からず、自分の誕生日には帰ってくると兄から話されていたが、帰ってこなくて兄にあたり、親に裏切られたと思っていた。

 

 だけど、13になって親に裏切られたとは思わなくなったが、飛鳥の言葉を聞いて、飛鳥や木暮がかつての自分の姿と重なったのだ。

 

飛鳥「…おっといけない。話が反れちまった」

 

 飛鳥が誤魔化すように話を戻したが、春奈が泣いていたので気まずそうにしながら、ハンカチを差し出した。

 

飛鳥「拭きな。女の子がそんな顔してたらダメだよ」

春奈「…ありがとうございます」

 

 飛鳥からハンカチを受け取ると、春奈は涙を拭いた。

 

飛鳥「まあ、なんだかんだ言って父さんも反省してるみたいだし、皆元気だし、今もそれなりに幸せだよ」

春奈「!」

飛鳥「今すぐには無理だけどまたいつか…ね」

 

 飛鳥の言葉に春奈はまた感極まった。

 

飛鳥「おっといけないいけない。そういうつもりじゃなかったんだ」

春奈「…洗って返しますね」

飛鳥「OK。待ってるぜ」

 

 こうして、ある程度話し終えた飛鳥と春奈は寝室に戻ろうとした。

 

飛鳥「あ、そうだ音無さん。最後にこれだけ」

春奈「?」

 

 飛鳥が呼び止めると春奈が飛鳥の顔を見た。飛鳥も春奈の顔を見る。

 

飛鳥「無理に何とかしようとするな」

春奈「え?」

飛鳥「こういうのは時間をかけてやるもんだから。リュウジじゃないけど、急いては事を仕損じる。だ」

春奈「……!」

 

 春奈が反応すると、飛鳥が笑みを浮かべた。

 

飛鳥「信じる事と見守る事。これが出来れば大体大丈夫だから。それじゃ、おやすみなさい」

春奈「お、おやすみなさい!!」

 

 そう言って春奈が女子部屋に入っていくのを確認した。飛鳥が暫く見つめていると、フッと笑って男子部屋の襖を開けた。すると、皆布団に籠っていたが一部のメンバーからすすり泣きが聞こえていた。

 

 それを聞いて飛鳥は呆れた。

 

飛鳥「寝ろよお前ら…。ってか、よく聞こえたな…」

 

 ちなみに女子部屋は春奈が舞の胸に飛び込んで声を出さずに泣いていた。舞は苦笑いしながらよしよしと優しく春奈の頭をなでると、リームとパンドラも貰い泣きしていた。

 

舞「寝れない…!!!」

 

 そして…。

 

木暮「……」

 

 木暮は一人、自室で考え事をしていた。それは飛鳥と春奈の話を聞いていたからで、迷いが生まれていた。

 

木暮「何だよ。分かったような面しやがって…」

 

 すると木暮は昔の事を想いだした。

 

『信じる方が悪いのよ!! あんたなんか産まなきゃ良かった!!』

 

 母親から言われた言葉に、木暮はそのまま塞ぎこんだ。

 

 

つづく

 

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