イナズマイレブン2 エイリアクライシス!?   作:ダシマ

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第36話「木暮とサッカー!」

 

 

 1日目の修業が終わり、自室で食事を取っていた飛鳥一行。食事は精進料理だった。

 

 精進料理とは、仏教の戒律に基づき、動物性の食品を使わず、野菜(ネギやニンニクといった辛味のあるものは対象外)や穀物などの植物性の食品のみを使って調理したものである。

 

「……」

 

 ジェミニストームの選手たちは味気なさそうに食べている。そりゃそうだ。育ち盛りな彼らにとって、動物性の食品は欲しい所だった。

 

飛鳥「お前達。もうちょっと美味しそうに食べろ。失礼だろ」

 

 飛鳥がそんな様子を見て、苦笑いしながら注意した。彼らの言いたい気持ちも分かっている為、あまり厳しくは言わなかった。

 

少林寺「流石漫遊寺。盛り付けも綺麗に彩られています!」

風丸「そ、そうなのか…?」

 

 少林寺だけは漫遊寺の料理に満足していて、隣で座っていた風丸は苦笑いしていた。すると少林寺は何かを思い出したかのように飛鳥を見た。

 

少林寺「そういえばコーチ」

飛鳥「何だ?」

少林寺「明日もあの木暮って奴とサッカーするんですか?」

飛鳥「ああ」

 

 飛鳥の言葉に少林寺が険しい顔をした。

 

飛鳥「何か不満でもあるか?」

少林寺「いえ、そういう訳じゃないんですけど…」

 

 少林寺が困ったように俯くと、風丸も心配そうに見つめる。そして風丸は少林寺の意思をくみ取るかのように飛鳥を見た。

 

風丸「木暮の実力はどれほどなんですか?」

飛鳥「そうだね。サッカーの実力はまだそれ程じゃないけど、体力と負けん気が強くて、数時間ぶっ続けでやってもぴんぴんしてたね」

「!!」

 

 飛鳥の言葉に少林寺達が驚いていた。特に少林寺は木暮に対して否定的で、漫遊寺の足を引っ張っていると思っていなかった為、飛鳥が褒めている事に驚いた。

 

飛鳥「それでね。木暮くんとサッカーをしてて一つ分かったことがある」

「?」

 

 飛鳥が諭すように少林寺を見た。

 

飛鳥「木暮くんは木暮くんなりにちゃんと真剣にサッカーと向き合ってたんだ。確かにレギュラーと練習をしてていさこさを起こしたかもしれない。でもそれは、自分の思い通りにならなかったからだけじゃない。彼は彼なりに強くなろうとしてたんだよ。じゃなきゃ、めんどくさいって言ってる筈の雑用なんかやらないだろ? 普通だったら逃げ出してるさ」

 

 飛鳥の言葉に皆が驚いたように飛鳥を見つめていた。

 

飛鳥「彼もやる気になってくれている。今がチャンスだ」

春奈「コーチ…」

 

 飛鳥の真剣な表情に春奈も感心すると、飛鳥がいつもの穏やかな表情に戻った。

 

飛鳥「まあ、彼の事はオレに任せて、お前たちは明日も漫遊寺の修業をきっちりこなすんだ。分かったな!」

「はい!」

少林寺「……」

 

 飛鳥の言葉に選手たちが返事をしたが、少林寺は一人だけ不服そうにしていた。

 

**************************

 

 その夜。

 

少林寺「……」

 

 寝室でずっと少林寺はもやもやしていた。何故飛鳥はあんなにひねくれ者の木暮の面倒を見るのか。修業が始まる前に、自分達も木暮と似たような状況にあったからというのは聞いていたが、あそこまで付きっ切りで面倒見ているとなれば、他にも理由があるんじゃないかと思い始めた。

 

 そんな少林寺を隣の布団から見ていた風丸は話しかける。

 

風丸「少林」

少林寺「?」

風丸「どうしたんだよ。そんな顔して。そんなに木暮が気になるか?」

少林寺「そんなにって訳じゃないんですけど、コーチは木暮に凄く期待してるみたいなんです。オレはそんな事なくて…」

風丸「…そうだな」

 

 風丸が正面を向いた。

 

風丸「なあ少林」

少林寺「何ですか?」

風丸「木暮に嫉妬してるのか?」

少林寺「し、嫉妬なんて!」

 

 風丸の言葉に少林寺は強がるように否定したが、風丸は苦笑いした。

 

風丸「オレはもう素直に言える。吹雪に嫉妬してた」

少林寺「え?」

 

 風丸の言葉に少林寺が風丸を見た。

 

風丸「オレ、元々陸上部だったろ。それもあってスピードにはそれなりに自信があるつもりだった。でも、吹雪のスピードを見て自分より上がいるんだって分かって、悔しくて仕方なかった。もっと強くならなきゃって思ったんだ」

少林寺「……」

風丸「なあ、少林」

少林寺「……」

 

 風丸は少林寺を見て、優しく微笑んだ。

 

風丸「お前と木暮。もしかしたら物凄いライバルになるかもしれないぞ。オレも吹雪の事をライバルだって思ってる」

少林寺「ライバル…」

 

 風丸が正面を見上げた。

 

風丸「今も北海道で風になってるんだろうな」

 

 風丸がそう言うと、ジェミニストームの面々が風丸を見ていた。

 

風丸「あ、ごめん。うるさくしすぎたな」

「いや、感動しました」

風丸「え」

 

 ジェミニストームの言葉に風丸が固まった。

 

「流石フットボール・フロンティア優勝校のメンバーなだけあって、ちゃんと素直に嫉妬してるって認められるなんて…」

「オレ達なんかまだまだだよ…」

「今でも他のチームが怖いし…」

風丸「お前ら…」

 

 と、弱気になっているジェミニメンバーに対し、風丸が困っていると。

 

「地球にはこんな言葉がある」

「!」

 

 レーゼが口を開いた。

 

レーゼ「雨垂れ石を穿つ。確かにファーストランクやマスターランクチームは強敵だが、オレ達だっていつまでも下のままでいい訳じゃない」

ティアム「リュウジ…」

レーゼ「今は修業に集中だ。この修業で上のランクチームに勝つ為の鍵をつかむぞ!」

「おお!!」

 

 と、レーゼの言葉に男子ジェミニストームの士気が上がった。

 

 そしてそれを飛鳥が外で聞いていて、レーゼ達の成長を嬉しく思っていた。

 

********************

 

 そして翌日…。

 

飛鳥「ふぁあ…よく寝た」

 

 午前4時。飛鳥が一足早く起床して、身支度を済ませると…。

 

「おい! いつまで寝てんだよ!」

 

 と、木暮が現れて声を上げた。

 

飛鳥「早いね」

木暮「夕方寝ちまったせいで元気が有り余ってんだよ! 早く河川敷行くぞ!」

飛鳥「分かった分かった。5分だけ待ってくれ…」

 

 飛鳥がそう言うと、少林寺達が起きた。

 

少林寺「何だようるさいなぁ…」

 

 少林寺が木暮の方を見るが、飛鳥がリュックを背負った。

 

飛鳥「お待たせ。それじゃいこっか…あ、そういや音無さんどうしよう」

木暮「音無? あのうるさい女か? やかましの間違いだろ」

飛鳥「そう言わないの」

「だれがやかましだって?」

飛鳥・木暮「!?」

 

 飛鳥と木暮が女子部屋の方を見ると、寝間着姿の春奈が現れた。

 

木暮「ゲゲ!! 練習を邪魔されてたまるか!! さっさと行くぞ!!」

飛鳥「って、おわっ!!」

 

 木暮が飛鳥の手を引っ張ってそのまま逃げていった。

 

春奈「あ! こらー!! 待ちなさーい!!!」

舞「…何よ。うるさいわね」

 

 舞が目をこすって女子部屋から出てきた。さあ、果たして木暮の修業はどうなる!?

 

 

つづく

 

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