真仮名井「木暮!!」
ギグ「無茶だぜ!」
強力なシュートを単身で止めようとする木暮の行動を誰もが無茶だと思っていた。数名を除いて…。
春奈「いっけー!! 木暮くーん!!」
春奈が声援を送ると皆が春奈を見た。木暮も気を取られてよそ見をすると、転びかけた。
春奈「ああっ…!!」
イオ「よそ見なんてするから!」
誰もが木暮の失敗を確信する中、飛鳥は黙って木暮を見つめていた。そして木暮もまた、諦めちゃいなかった。
木暮(何としてでも止めてみせる!! いちかばちかだ!!! 竜巻でも起これ!!!)
木暮は転んだ勢いで逆立ちをし、開脚をして左手を軸にグルグル回った。すると巨大な風が巻き起こった。
「!!」
そして炎の風見鶏の勢いが弱まり、そのまま木暮の脚にボールが吸い寄せられて、そのままボトっと音を立てて転がった。
その光景に皆が言葉を失っていたが、王将は我に返り、
王将「な、なんとー!! 後半戦から投入された木暮が、炎の風見鶏を止めたー!! 雷門の強力シュートを止めるという大番狂わせに、私も思わず興奮が止まりませんー!!」
と、王将の言葉に観客たちも沸いた。
そして木暮が体勢を崩して横になったが、ボールが見えた。
木暮「止めた…?」
木暮が驚いていると、
「木暮!!」
と、漫遊寺イレブンが駆け寄ってきて、木暮が起き上がった。
垣田「大丈夫か!?」
木暮「キャプテン…」
木暮が周りを見渡すと、そこには漫遊寺のレギュラーたちがいた。
木暮「あ、ああ。オレは大丈夫だぜ」
木暮はそう言ってパンパンと、服についた汚れを手でふいた。
春奈「すごーい!! 木暮くん!!」
春奈も興奮気味だったが、イオとギグは顔を合わせた。
ギグ「…なんか、転んでたような気もしたけど」
イオ「そうだな…」
そう話していると、レーゼが2人を見てきた。
レーゼ「地球にはこんな言葉がある」
「!!?」
レーゼが口角を上げる。
飛鳥「運も実力のうち。だろ?」
レーゼ「ちょ、言わないでくださいよ飛鳥さん!!」
飛鳥が諺を先に言うと、レーゼが突っこんだ。慌てて突っ込むレーゼに対し、チーム内で笑いが生まれた。
飛鳥「まあ、人間最後まで諦めちゃいけねぇってこった」
ギグ・イオ「!」
飛鳥が木暮を見ながら言うと、ギグとイオを見た。木暮は垣田達に囲まれてねぎらいの言葉をかけられている。
飛鳥「転んでも何とか止めようとした結果がアレだ。あの姿勢はしっかり見習え」
ギグ・イオ「はいっ!」
そして風丸とレーゼはというと…。
風丸「惜しかったな」
レーゼ「ああ。もうちょっと精度を上げていこう」
風丸「勿論。それから、三浦とのユニバースブラストもいつでも打てるようにしておけよ」
レーゼ「勿論!」
と、そのまま試合は続いていった。
吽助「木暮がつないでくれたボール、無駄にはせん! のう兄者!」
阿太郎「勿論だ弟者よ!!」
ジェミニのマークをくぐりぬけ、天神兄弟が前に出た。漫遊寺の生徒達の声援にも力が入る。
阿太郎「進化をしているのは貴殿らだけではない! クンフーアタック改!!」
と、阿太郎はカンフーの構えをしなからボールにショルダーアタックをしかけてシュートする「クンフーアタック」を繰り出した。以前よりもパワーが増している。そしてゴールにはゴルレオがいた。
ゴルレオ「オレだって点をやる訳にはいかねぇ!! ブラックホール改!!」
ゴルレオが両手を使って黒い空間を作り出した。すると、空間は以前よりも大きくなりボールはゴルレオの掌の中に吸い込まれていった。
ちなみに原作では改になっても片手で止めるのだが…。彼の真剣さを見てあげてください。
春奈「やった止めたぁー!!!」
舞「中々いい試合じゃない」
飛鳥「……」
漫遊寺では己の心身を鍛える事がモットーであり、対外試合はおろか練習試合は一切しない学校だが、それを忘れかける程選手も観客も熱狂していた。
そして、選手も生き生きとしていた…。
風丸「分身ディフェンス!!」
風丸が飛鳥から教えて貰った必殺技で、阿太郎、吽助兄弟からボールを奪った。その顔にもう迷いはなかった…。
監督「うむ。よい面構えじゃ!!」
風丸の顔を見て、漫遊寺の監督も満足そうだった。
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そして試合が終了した。結果は2-1。天神兄弟の執念のシュートでゴルレオが失点し、そのまま同点に持ち込もうとしたが、必死のディフェンスで何とか逃げ切った。
阿太郎「天晴じゃ! のう! 弟者!」
吽助「勿論だとも。兄者!」
天神兄弟もジェミニストームの実力を素直に認めていた。
木暮「……」
木暮は試合に負けたのが悔しいのか、俯いていた。
垣田「木暮…」
垣田が様子を見ていたが、
木暮「あーあ。オレが最初から試合に出てたら勝てたのになー」
と、わざと悪態をついてみた。いつもなら怒る所だが、今回の試合では木暮の活躍がなければ更に点を取られていた可能性があり、誰も言い返せなかった。
木暮「な、何だよ。いつもみたいに言い返さないのかよ…」
木暮は調子が狂いそうになったがその時、木暮への歓声が聞こえて、木暮が観客たちを見た。
「凄かったぞ木暮―!!」
「見直したぞー!!」
「もうこれを機に悪戯やめろよー!!」
「そうだぞ! 勿体ないぞー!!」
と、皆笑顔で木暮を褒めていた。それに対して木暮は涙ぐんだ。
木暮「うるせぇ!! オレ様が本気出せばこれくらい出来てたんだバカヤロー!!!」
そう叫んだ。
春奈「木暮くん!!」
飛鳥「まあまあ音無さん」
春奈が悪口を言っていた事に対して憤慨したが、飛鳥が止めに入った。
春奈「コーチ…」
飛鳥「もう木暮くんは大丈夫だよ。こういう時こそ信じてあげなきゃ」
春奈「……」
春奈が飛鳥の顔をじっと見つめると、優しく微笑んだ。
春奈「…そうですね」
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その夜、明日東京に帰るという事で、飛鳥一行にご馳走が振舞われていた。
「ふっ!! はっ!!」
漫遊寺イレブンが舞台で演武を見せていた。
少林寺「わーっ!! 流石漫遊寺!!」
風丸「これが演武か…」
春奈「カッコイイです!!」
と、少林寺達は演武を楽しんでいた。
木暮「…くそう、なんでオレ達はご馳走食べられないんだよ」
垣田「馬鹿者。これは客人用だ」
はじっこのテーブルで木暮と垣田は一緒にいたが、木暮はご馳走が食べられない事に不満を抱いていたが、垣田に諫められていた。そして飛鳥もいた。
飛鳥「もっと頑張れば食べさせて貰えるかもよ?」
木暮「ちぇっ。他人事だと思いやがって…」
と、木暮がつぶやくと垣田が拳骨した。木暮は頭を押さえた。
木暮「て~~~~…」
垣田「一丈字様。この度は木暮がお世話になりました」
飛鳥「いえいえ」
垣田と飛鳥が見つめ合った。
垣田「そして、私にキャプテンとしての道を示して戴き、ありがとうございます」
飛鳥「そんな大袈裟な」
垣田の言葉に飛鳥が苦笑いした。
垣田「今後は木暮への鍛錬ですが、私が監視して声がけをする事にします」
飛鳥「そ、そうですか…」
木暮「…その前に少しは優しくしろよバカ」
垣田「聞こえてるぞ!」
と、垣田と木暮の会話を聞いて苦笑いしていた。
飛鳥「…木暮くん」
木暮「何だよ」
飛鳥「オレ達、明日帰るけどちゃんとやっていけるよな」
木暮「当り前だ! オレを誰だと思ってんだよ!」
垣田「木暮!」
調子に乗る木暮に対して垣田が呆れると、春奈が振り向いた。
飛鳥「それが聞けて安心した」
そう言って飛鳥が微笑むと、木暮と垣田が驚いた。
飛鳥「いつか東京に遊びに来な。京都とはまた違ってて良い所だぜ」
木暮「お、おう…」
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そして翌朝。
舞「一週間お世話になりました」
監督「ええ。貴殿らの健闘を祈っておるよ」
飛鳥一行はバスに乗ろうとしており、漫遊寺イレブンが見送りをしていた。
春奈「木暮くん。またね」
木暮「おう」
春奈と木暮が話していて、少林寺もやってきた。
少林寺「またな」
木暮「ああ」
そう言って春奈や少林寺と握手をしたが…。事件は起こった。
春奈「ん?」
少林寺「何か変な感触が…」
春奈と少林寺が掌を開くと、何か気持ち悪い虫がうねうね動いていた。
春奈・少林寺「ぎゃ――――――――――――――――――――っ!!!!」
と、春奈と少林寺が逃げ回っていて、飛鳥と風丸が困惑していた。
風丸「…本当にしょうがない奴ですね」
飛鳥「ああ。でも、最後まで期待を裏切らなくて安心した自分がいるよ…」
垣田「木暮―――――――――――――――!!!!!」
とまあ、最後の最後で木暮がやらかしたが、京都の旅はこれにておしまい。漫遊寺での経験を胸に、ジェミニストーム、風丸、少林寺は次へのステップに進んだ。
春奈「あのクソチビ…」
少林寺「オレ…やっぱりあいつキライです」
風丸「音無。女の子がそんな事を言ったらいけません」
飛鳥「……」
キャラバン内で、春奈と少林寺が終始不機嫌だったのは内緒だ。
つづく