前回までのあらすじ
帝国学園1軍の座をかけた戦いは白熱していたが、不動の悪質なスライディングタックルにより、佐久間は負傷してしまう。
不動にイエローカードが出され、帝国からのフリーキックで試合が再開されたが、佐久間は完全に足を痛めてしまった…。
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王将「ここで前半戦終了―!!! 1-1で同点!! 果たして帝国学園1軍の座はどちらの手に!!」
王将のアナウンスでハーフタイムがとられ、佐久間チームでは春奈が佐久間にアイシングをして、飛鳥が怪我の具合を見ていたが、佐久間の脚は腫れあがっていた。
飛鳥「こりゃあ後半戦を出るのは無理だな」
佐久間「そ、そんな…!! オレはまだやれます!!」
飛鳥「ダメだ」
佐久間は後半戦も出ようとしていたが、飛鳥は首を縦には降らなかった。
飛鳥「気持ちは分かるけど、さっきもまともに動けなかっただろう。それに皆も君に気を遣って満足なプレーが出来ない。チームの為に外れてくれ」
佐久間「……」
鬼道「佐久間…」
悔しそうに表情を歪める佐久間に対して、鬼道が呟くと、鬼道が表情を歪めた。すると春奈がある事に気づいた。
春奈「コーチ」
飛鳥「?」
飛鳥がコーチの方を見た。
春奈「あの不動っていう人、一体何があったんですか?」
「!?」
鬼道「春奈…?」
春奈「コーチ言ってたじゃないですか! 勿体ないって…。もしかして、何かあったんじゃないですか?」
春奈の言葉に飛鳥が口角を下げた。
飛鳥「何かあったことは間違いないけど、他人のプライバシーにやたら首を突っ込むものじゃないよ」
春奈「でも!!」
飛鳥「…まあいいや。ここまでやられちゃ、隠す必要もないな」
「!」
飛鳥が鬼道たちを見渡した。
飛鳥「不動くんも元々はサッカーを愛するごく普通の少年だった」
「!」
飛鳥「だけどある日の事、彼のお父さんは会社の上司に濡れ衣を着せられたんだよ。そして多額の借金も負わされて、生活が一変してしまった」
「……!」
飛鳥「毎日借金取りが押し掛けては、お父さんが土下座をして殴られる日々。そしてそんなお父さんに愛想をつかしたお母さんは彼にこう言ったんだ。「偉くなって人を見返せ」と」
春奈「そ、そんな事が…!!」
不動の過去に春奈や帝国イレブンが驚いた。
飛鳥「それからというもの、彼はお母さんの言いつけ通り、偉くなって人を見返す努力をした。だけど、お父さんの事があって学校でも同級生とトラブルが連発して、いつしか人を見返す為に手段を選ばなくなった。そしてつい最近だ、帝国学園に転入をしてきたという訳だ」
「おいおい、随分べらべら喋ってくれてるじゃねぇか」
「!!」
不動が現れた。過去をバラされて怒っているかと思われたが、いつも通りだった。
寺門「てめぇ…」
不動「どうしたよ。佐久間にスライディングタックルを仕掛けたんだぜ。さっきみたいにキレてみろよ」
佐久間「……」
不動が悪態をついたが、誰も何も言わずにいると、不動は苛立った。
不動「そんなにオレが可哀想か?」
飛鳥「ああ、可哀想だし、悲しい奴だな」
飛鳥が言葉を吐くと不動が青筋を立てた。
飛鳥「聞きたい事がある。皇帝ペンギン1号。あれ、君以外使えるよね?」
飛鳥の言葉に不動が冷静さを取り戻し、不気味な笑みを浮かべた。
不動「…ああ、そうだぜ。オレが教えたんだ」
不動の言葉に鬼道が激昂して、不動の胸ぐらをつかんだ。
鬼道「なぜあの技を教えたんだ!! あの技は禁断の技だったんだ!! あれを使えばお前たちの身体は…」
鬼道の言葉に不動は笑みを浮かべて、
不動「クククク…ハーッハッハッハッハッハ!!!」
そう不動が高笑いすると、一変して怒りを込めた表情になり、鬼道を突き飛ばした。
鬼道「ぐわあっ!!」
春奈「お兄ちゃん!!」
不動「てめーに何が分かる!! 影山に気に入られて不自由ない生活を送ってた奴がよ!!」
不動の激昂した様子に、遠くから見ていた不動チームも困惑した表情を見せていた。
円堂「鬼道!!」
染岡「あいつ…!!!」
観客席から見ていた円堂達も鬼道が突き飛ばされているのを見て反応した。
不動「皇帝ペンギン1号だけどな、お前らに不満を持っていた所謂「反鬼道派」がオレ達の為に用意してくれたんだよ」
佐久間「そ、そんな馬鹿な!! 資料は確かに…」
不動「てめぇらが練習してる間に、資料を盗み出したんだとよ。ハッハッハッハ!! お前らも相当嫌われてるみてぇだな!!」
そう言って不動はまたいつものように上機嫌になると、鬼道に笑みをぶつけてきた。
不動「あそこにいるあいつらもオレと同じさ。憎くて憎くて仕方ない相手をぶちのめす為に皇帝ペンギン1号を覚える道を選んだんだ。あのシュートがあれば誰も打ち返す事なんて出来やしねぇ!! そこにいる源田も次喰らったら完全に腕が壊れるだろうぜ!!」
不動の狂気満ちた表情に帝国イレブンの大半怯え、春奈は涙目で怯えていた。不動の過去を聞いた後で、ここまで人を悪い方向に変えてしまった事を実感していたからだった。
不動「後半戦は積極的に皇帝ペンギン1号を打っていく」
「!!」
不動「けが人を出さないうちにさっさと棄権するんだな!!」
鬼道「誰が棄権などするか!!」
不動「元キャプテンらしくねぇな。仲間に怪我を負わせたいのか?」
鬼道「お前の好きにさせるわけにはいかない」
不動「だが、コーチとやらが試合に出さなければ意味がないぜ。まあ、何ならコーチも出ても良いぜ? オレ達の勝ちは決まってるだろうからな!!」
そう言って不動が高笑いすると、飛鳥はいつも通りだった。
飛鳥「あ、そう?」
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そして後半戦…。
王将「さあ、後半戦が始まりました…って、えーっ!!? これは一体どういうことだーっ!!!?」
「!!?」
なんと、佐久間チームのゴールポストには、帝国のユニフォームを着た飛鳥が立っていた。背番号は21番である。飛鳥は自信満々にグローブをはめている。
王将「帝国学園の監督を務めている一丈字飛鳥監督自らが試合に出ているーっ!!」
監督の自らの出場に帝国イレブン以外は誰もが驚いた。
つづく