イナズマイレブン2 エイリアクライシス!?   作:ダシマ

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第84話「宍戸の葛藤」

第84話

 

「行くぞ!」

「お願いします!」

 

 染岡がノーマルシュートを打つと、立向居は天高く手を上げた。すると青い掌のエネルギー…ゴッドハンドが出てきた。

 

「!?」

 

 そしてそのままキャッチした。

 

土門「う、嘘だろ…!?」

壁山「キャプテン以外の人がゴッドハンドを使うなんて…」

円堂「……!」

秋「円堂くん!」

 

 すると円堂が飛び出し、立向居の元に向かった。

 

円堂「立向居。グローブを取って貰っていいか」

立向居「えっ…あ、はい!」

 

 円堂に言われて立向居はグローブを取って素手を見せるとボロボロで掌にはマメが出来ていた。

 

円堂「…そうか。相当特訓したんだな」

立向居「そ、それほどでも…」

 

 円堂に褒められて照れる立向居。

 

円堂「努力は必ず結果につながる。これからも特訓するんだぞ!」

立向居「はい!」

 

 立向居のゴッドハンドを見ても飛鳥の表情は変わらなかった。

 

一之瀬「円堂のゴッドハンドを覚えるなんて…。相当才能のあるGKなんだな…」

飛鳥「いや、あの子は元々MFだよ」

「えっ!?」

 

 飛鳥の言葉に雷門イレブンは驚くと、戸田が前に出た。

 

戸田「そうなんです。フットボール・フロンティアの終盤あたりから本格的にGKになったんですがアイツ…映像を何度も見て、あとは見よう見まねであそこまで仕上げたんですよ」

「ええっ!?」

 

 戸田の言葉に雷門イレブンは更に驚いた。

 

土門「それが事実なら…」

鬼道「とんでもない才能を秘めている…!」

飛鳥「思った通りだ…」

 

 飛鳥がそう呟くと、春奈が飛鳥の方を見た。そんな中で宍戸は立向居を見て険しい表情をしていた。

 

************

 

 そして、練習試合が始まった。

 

飛鳥「さて、今回のオーダーだけど…」

 

 飛鳥が雷門イレブンを集めて、オーダーを発表した。

 

FW       染岡    目金

MF 半田               宍戸

       少林寺    マックス

DF 風丸               栗松

        壁山    影野

GK         円堂

ベンチ:土門、鬼道、一之瀬、塔子

 

ちなみに陽花戸のフォーメーション

 

FW  黒田      松林

MF道端          笠山

       戸田

DF      志賀

  玄海          石山

    筑紫    大堀

GK     立向居

 

 

飛鳥「今回はFF予選の時のフォーメーションでやって貰うよ」

半田「原点回帰か…」

影野「ふふ…。存在感を見せる…」

宍戸「……」

 

 半田と影野がやる気を見せる中、宍戸は俯いていた。

 

宍戸「…あの、コーチ」

飛鳥「どうしたの?」

宍戸「どうして鬼道さん達を先頭に出さないんですか?」

 

 宍戸の言葉に皆が驚いた。

 

飛鳥「その質問に答える前にあともう一つ指示を出すね。宍戸くん。君は最後まで出て貰うよ」

「えっ!!?」

飛鳥「怪我でもしない限り交代させないから、しっかり頑張ってね」

円堂「ど、どういう事ですかコーチ!!」

少林寺「宍戸お前…」

 

 宍戸に何かあったんじゃないかと皆が心配すると、宍戸は俯いていた。

 

飛鳥「前半戦やって貰ったら分かると思うよ。あと、研究されてると思うから油断しないように。さあ、行くんだ」

 

 そんなこんなで試合をする事になったのだが…。

 

角馬「さあ、始まりました! ここ、陽花戸中で雷門イレブンと陽花戸中の試合が行われます! 実況は私、角馬圭太でお送りします!!」

飛鳥「熱い実況をよろしくな」

角馬「勿論です!」

 

 飛鳥も普通に受け入れ始めてマネージャーたちは驚いていた。

 

 

**

 

 そして試合が始まった。雷門中が有利かと思われたが、飛鳥の言った通り雷門イレブンの事を研究し尽くしており、ついていけていた。

 

土門「つ、ついてこれてる…!」

鬼道「オレ達の事を研究しているようだな…」

飛鳥「ああ。立向居くんが見ただけでゴッドハンドを覚えているあたり、研究量も相当なものだろう。そして彼は1年生で…もしこれが陽花戸のやり方だとすれば…」

一之瀬「この状況も納得できますね」

 

 一之瀬も相槌を打った。しかし、春奈は宍戸の事が気になっていた。

 

春奈「コーチ…」

飛鳥「宍戸くんの事でしょ? 今の彼を見てごらん」

「……?」

 

 ベンチメンバーが宍戸を見ていたが、とても不安そうにしていた。

 

土門「…なんか怖がってるように見えるぞ」

鬼道「まさか…」

 

 鬼道が飛鳥を見た。

 

飛鳥「気づいた?」

春奈「え? ど、どういう事なのお兄ちゃん!」

鬼道「……」

飛鳥「まあ、前半戦まで待って」

 

 そしてこの後も試合が続き、雷門イレブンは苦戦を強いられる。そして宍戸にボールが回った。

 

宍戸「オレだって…!!」

 

 宍戸がドリブルで攻めあがるが、陽花戸のDFである限界にボールを取られてしまった。

 

宍戸「くそっ…!!」

 

 そして限界が戸田にパスして前線に上がると、宍戸が少し考え込むように立ち止まった。

 

秋「コ、コーチ…」

飛鳥「うん。宍戸くん完全に自信を無くしてるね」

 

 飛鳥の言葉に皆が驚いた。

 

夏未「そ、それを分かってて宍戸くんを試合に出したんですか!?」

飛鳥「うん」

秋「一体どうして!!」

飛鳥「君たちにちゃんとわかって欲しかったからだよ。仲間からのSOSを」

 

 飛鳥が冷静に答えると、皆が驚いた。

 

飛鳥「此間の話じゃないけど、大体こういうのに気づけなきゃいけないのがキャプテンなんだ。でも、円堂くんも試合に出ていて点を取らせないために試合に集中しないといけない。出来る事に限界がある。一番後ろからああやって円堂くんが見てる今はいいけど、この先円堂くんがいなかったらどうするんだって話」

 

 飛鳥の言葉に鬼道は先日の円堂なしでの練習試合に結び付いている事に気づいた。

 

飛鳥「そういう意味じゃみんな円堂くんに頼り過ぎかな。チームとしては良くないし、直した方が良いよ」

 

 飛鳥が冷めたようにそう言うと、秋たちは視線をそらした。

 

 そう話しているうちに、あっという間に前半戦が終わった。染岡と目金にパスがいきわたらず、0-0で終わった。

 

 円堂たちがベンチに戻ってくると、飛鳥は宍戸の事について話した。

 

飛鳥「宍戸くん。君、円堂くん達がいなくなったのを想像して自信なくなってるよね」

宍戸「…どうしてそれを」

 

 飛鳥の言葉に宍戸が認めると、ベンチメンバーとマネージャーは何とも言えない顔をしていて、栗松・壁山は困惑していて、少林寺は口を閉じていた。

 

壁山「し、宍戸…」

栗松「き、気持ちは分かるでやんすけど…」

 

 壁山と栗松が言いづらそうにしている中、宍戸は口が開いた。

 

宍戸「コーチ…」

飛鳥「なに?」

宍戸「…自信がなくなったのもそうなんですけど、キャプテンたちが卒業した後でサッカーをしてる自分が想像できないんです」

 

 宍戸の言葉に皆が驚いた。それはサッカーを辞めるかもしれないという未来を暗示していたからだ。

 

円堂「し、宍戸! 何言ってるんだ!」

飛鳥「じゃあ聞こうか宍戸くん」

宍戸「?」

飛鳥「円堂くん達と一緒にサッカーやるの。楽しい?」

宍戸「……」

 

 飛鳥の言葉に宍戸が俯いた。

 

飛鳥「宍戸くん。嘘をついてもいいから、気持ちをぶつけてくれるかい?」

「え?」

 

 飛鳥の言葉に宍戸も飛鳥の方を向いた。

 

飛鳥「君の気持ちを吐き出してほしいんだ。皆は黙って聞いてて」

 

 飛鳥の言葉に宍戸は声を震わせる。

 

宍戸「オレ…キャプテンたちがいなくなったら勝てる自信がありません…」

「!」

飛鳥「…他には何かある?」

宍戸「こ、こんな事言ったら怒られるけど…。オレ、キャプテンたちが一緒にいてくれたら試合もずっと勝てるんじゃないかと思ってるんです。でも、そんなキャプテンたちがいなくなったら…」

飛鳥「…他には?」

宍戸「もう正直に言います。オレ、凄くズルい奴なんです。キャプテンたちがいたら試合も楽に勝てるんじゃないかって思ってるような弱い奴なんです。でも、それと同じくらいキャプテンたちの事も大好きで…。ずっと一緒にサッカーがしたいんです…。それは本当なんです…」

 

 宍戸が涙ながらに語ると、壁山、栗松も目に涙を浮かべた。確かに宍戸の言う通り、円堂たちがずっと一緒に戦ってくれれば試合も楽に勝てる。でも、円堂たちもいつかは卒業するし、主力メンバーがいない上に実力があるかどうかも分からない後輩たちをまとめあげないといけず、本当にやっていけるかどうかも分からない。

 

 円堂たちも宍戸の考えている事は間違っている所もあって、直すように指導しなければならないが、宍戸たちの立場になって考えたら、そう思うのも無理はなかった。下手な励ましは逆に辛い思いをさせるだけなのだ。

 

飛鳥「…他は?」

宍戸「…ありません」

 

 宍戸がそう言うと、

 

宍戸「コーチ…。オレを外してください。こんなオレにサッカーをやる資格なんて」

円堂「ある!!!」

 

 宍戸の言葉に円堂がそう言い切った。

 

宍戸「キャプテン…」

 

 すると円堂が宍戸の前に出た。

 

円堂「宍戸。お前、そんな事を考えてたんだな」

宍戸「すみません。でももう…」

円堂「ううん。オレだって人の事言えないよ。いつも一人で突っ走って、一人で勝手に悩んで自棄になって…。お前がそんな事を言うなら、オレだってキャプテン失格だよ。気づかなくて本当にごめんな」

 

 円堂の言葉に宍戸が驚く。

 

円堂「確かにオレ達はお前達よりに卒業して、いつかは一緒にサッカーやれなくなるけどさ。そんな寂しい事言うなよ。卒業しても、どんなに遠く離れても、お前がサッカーやり続ける限り、またどこかで一緒に出来るって信じてるんだからさ」

宍戸「キャプテン…」

 

 円堂の言葉に宍戸は感極まる。

 

円堂「それを聞いたらオレは猶更お前と一緒にサッカーやりたくなった! ベンチに下げさせないぞ! そうですよねコーチ!」

飛鳥「うん」

 

 円堂の言葉に飛鳥が反応した。

 

飛鳥「宍戸くん。また質問するけど…これは正直に答えてね」

宍戸「?」

 

 宍戸が飛鳥を見た。

 

飛鳥「サッカー。上手くなりたい?」

宍戸「え?」

飛鳥「もしくは…今よりももっと強くなりたい? どう?」

 

 飛鳥の言葉に宍戸が少し悩んだが、意を決した。

 

宍戸「…強くなりたいです! オレ…変わりたいです!!」

飛鳥「そ」

 

 宍戸の言葉に飛鳥が口角を上げると、他の皆も安堵した。

 

飛鳥「それならベンチに下げる訳にはいかないな。どんどん前に出て経験を積んで貰わないと。もうやれるね?」

宍戸「はい! 任せてください!」

飛鳥「OK。まあ、無理にでかい事しなくていいから、やれるだけの事はやろう。先輩達もフォロー宜しくな!」

「はい!!!」

 

 こうして雷門イレブンの士気は元に戻った。

 

円堂「まあ、そういう事だ宍戸。これからも頼りにしてるからな!」

宍戸「はい! うぇえええええ~~~~~~~~~~~ん!!!!」

 

 円堂の言葉に宍戸は遂に号泣して円堂に抱き着く。そして壁山、栗松、秋、春奈ももらい泣きする。

 

 そして陽花戸イレブンと校長も…。

 

飛鳥「…あ、ごめんなさい」

 

 

つづく

 

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