第86話
翌日…。
飛鳥「さて、今日は雷門と陽花戸の共同トレーニングを行ってもらうよ」
陽花戸中にて飛鳥が雷門イレブンと陽花戸イレブンに指示を出していた。
飛鳥「…で、最後にGKだけど、これはどちらかといえば立向居くんがメインになるかな」
「え?」
飛鳥の言葉に驚くイレブン。
円堂「どういう事ですか?」
飛鳥「ちょっとオレから宿題を出そうかなと思ってね。で、円堂くんはフォローに回ってもらえるかな」
円堂「はい。で、何をするんですか?」
飛鳥「今日中にマジン・ザ・ハンドを習得してもらおうかなと思うんだ」
「…え? えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
飛鳥の課題に皆が驚いた。
飛鳥「そんなに驚くことじゃないだろ」
春奈「いや、驚きますよ! 1日でマジン・ザ・ハンドを習得しろだなんて…」
祭利田「いくら立向居が独学でゴッドハンドを覚えたとはいえ、中々ぶっとんどるばい…」
これには陽花戸イレブンも言葉にできなかった。
立向居「や、やります!!」
しかし、立向居は真面目なので承諾した。
飛鳥「そうこなくちゃ。円堂くんに憧れてるなら、いつかは追い越さないとな」
「……!?」
飛鳥の言葉に雷門イレブンはさらに驚くが…。
鬼道「円堂に対しては、自分のライバルとなりえる人間を自分で育てろという事ですか…?」
飛鳥「そんな感じかな。ちなみにだけど、オレは出来たよ」
「…え?」
飛鳥の言葉に皆がまた言葉を失う。
染岡「え…出来たって何をできたんですか?」
飛鳥「マジン・ザ・ハンド」
飛鳥が腕を組みながらそう言うと、イレブンたちは困惑していたが…。
円堂「ほんとですか!? ちょっと見せてくれませんか!?」
飛鳥「OK。まあ、一応話をしてる最中だから後でな」
「いや、ちょっと今見せて!!?」
という訳で、実際にやってみることにした。
飛鳥「いつでもいいよー」
染岡「は、はい!! ワイバーンクラッシュ!!!」
染岡がワイバーンクラッシュを放つと、飛鳥が体をひねって右手を心臓にあてた。
「!」
すると、飛鳥の周りから黒いオーラが放たれた。
「!!?」
円堂のマジン・ザ・ハンドは金色だったので色が違う事に驚いていた。そして飛鳥は正面を向いて右手を上に突き出すと、黒い魔神が現れた。
飛鳥「マジン・ザ・ハンド!!!」
飛鳥がそう叫んで、シュートをキャッチすると即座にボールはキャッチされた。ワイバーンクラッシュを簡単に止めたこと、マジン・ザ・ハンドが出来たこと、色も違うこと…ツッコミどころ満載だった。
飛鳥「どう? 魔神の色が違ったり、モーションが前のままだったりするけど、マジン・ザ・ハンドってこんな感じだったよね?」
円堂「あ、はい…」
飛鳥の言葉に円堂もさすがに言葉を失った。
栗松「ほ、本当にコーチ何者でやんすか…」
壁山「エイリアの一番強い選手だよ…」
風丸・少林寺「……」
皆呆然としていたが、風丸と少林寺は京都で飛鳥の実力を更に知っているため、苦笑いするしかなかった。
風丸「いや、もう流石だとしか言いようがないよ…」
少林寺「ですね…」
飛鳥「さ! 練習開始だ!」
とまあ、そんなこんなで練習が始まった。FWは染岡、MFは鬼道、DFは風丸が中心となって行っている。飛鳥は選手たちを見守っていた。
「あ、あの…コーチ…」
飛鳥「ん?」
マネージャーたちがやってきたが、春奈が話しかける。
飛鳥「どうしたの?」
春奈「いや、さっきのマジン・ザ・ハンドっていつ覚えたんですか…?」
飛鳥「最初の頃だったかな…。少なくとも北海道行く前に覚えた」
秋「だいぶ前じゃないですか!」
結構前に覚えていて、秋と夏未が驚いていた。
夏未「まあ、それはさておきコーチ」
飛鳥「ああ。今日中にマジン・ザ・ハンドを覚えろって言った件でしょ? ちゃんと理由はあるよ」
飛鳥が円堂と立向居を見た。
飛鳥「ゴッドハンドを映像だけで覚えれるなら、マジン・ザ・ハンドもいけるんじゃないかって思ったんだ。やり方も明確になってるし、お手本もいるしね。もしこれで出来たら、円堂くんも陽花戸イレブンもWin-Winになるし」
秋「う…ウィンウィン?」
聞きなれない言葉に秋と春奈がきょとんとした。
夏未「経営学の用語で、お互いが得をするって意味よ」
春奈「そうなんですか!?」
飛鳥「言い方が悪かったね」
秋「い、いえ…こちらの勉強不足ですので…」
そして円堂は立向居にマジン・ザ・ハンドのやり方を教えていた。
円堂「心臓に気をためるのがコツだ。今は気合で心臓に気をためてやってるけど、慣れなかったら、さっきコーチがやってたようにすればいい」
立向居「わ、分かりました! やってみます!!」
その様子を見る飛鳥とマネージャー。
飛鳥「…まあ、1日が無理でも形だけでもモノにすれば何とかいけるんじゃないかな。さて、他の子たちも見なきゃ」
飛鳥がそう言うと、マネージャーたちも解散した。
***********
昼休憩、皆手を洗ってマネージャー特製のおにぎりとレモンのはちみつ漬けを食べていた。
土門「どうだ? 立向居の様子は」
土門が円堂を訪ねると、
円堂「ああ…。立向居の奴、呑み込みがすごく早いんだ! 今のオレのやり方でマジン・ザ・ハンドを出そうとしてるんだけど、もうマジンが出そうな所まで来てるんだ!」
土門「そ、そうか…」
円堂が興奮気味に話すので、土門はちょっと困惑していると、鬼道や一之瀬も集まった。
鬼道「オレも遠くから見ていたが、呑み込みは早い方だと思う」
一之瀬「独学でゴッドハンドを覚えたって言われたら、納得できるね」
と、元帝国のキャプテンやアメリカのスター選手にもそう言われて、立向居はデレッデレになっていた。
戸田「まあ、後はこういう所を直せばいう事ないな」
祭利田「全くばい」
先輩たちが茶々を入れると、立向居はまた恥ずかしがって笑いが生まれた。ちなみに憎まれ口をたたきつつも、後輩としてはとても可愛い奴と可愛がっているため、お互いの仲は良好である。
半田「そういえばコーチは?」
マックス「いないね」
半田とマックスが飛鳥にいない事に気付いて、見渡すも飛鳥は後ろにいた。
飛鳥「後ろ」
マックス「うわあ!!」
半田「影野の物真似やめてくださいよ!!」
飛鳥「どういう事?」
影野「こういう事です…」
影野が後ろから話しかけると、飛鳥はちょっと困惑しながら影野を見つめた。
飛鳥「…ああ、そういう事ね」
秋「どこに行ってたんですか?」
飛鳥「キャラバン。豪炎寺くんとリモート面談してたんだ」
「!!!」
豪炎寺の名前を聞いて、円堂たちは驚いたように飛鳥を見た。
つづく