第9話
前回までのあらすじ
傘美野中グラウンドでSPフィクサーズと戦い、勝利した雷門イレブン。自信がついてジェミニストームに再戦を挑む。失点はしたものの、豪炎寺が何とか1点を取って雷門イレブンの士気が上がっていたが、飛鳥は豪炎寺をはじめとした主力メンバーをベンチに下げようとしていた…。
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飛鳥「ジェミニストームからボールを取ったり、突破したりしてる子が限られてるんだよ」
飛鳥が豪炎寺たちをベンチに下げる理由を説明すると、雷門イレブンが言葉を失った。
飛鳥「そして、それが出来ていたのが今言った4人。後半戦は彼ら無しで戦って貰う」
染岡「そんな事したら勝てねぇじゃねぇか!!」
飛鳥「…悪いけど、前半戦の戦いを見ての判断だ」
「!?」
飛鳥が染岡を見た。
飛鳥「確かに君達が言った通り、豪炎寺くん達を最後まで出せれば逆転できるかもしれない。でも、ギリギリの状態で豪炎寺くんがやっと1点。この状態で勝っても、君達の成長につながらない」
半田「だけど…」
飛鳥「勝てばいいってもんじゃないよ」
「!」
「その通りだ」
雷門サッカー部監督の響木正剛が現れた。
円堂「響木監督!!」
飛鳥「お疲れ様です。お店の方は宜しいのですか?」
響木「ああ。あまりにも人が多すぎるもんでな。臨時休業にしてきた」
(そ、そんな理由で…)
と、困惑していたが響木はいたって真剣だった。
響木「話は戻すが、一丈字の言う通りだ」
「!」
響木「今回の試合は、結果が全てのトーナメントとは違う。ただ勝てばいいってものじゃない。サッカープレイヤーとしても、人としてもお前たちが成長するための試合だ」
響木の言葉に雷門イレブンが反応した。
円堂「サッカープレイヤーとしての…」
染岡「人としての…」
響木「そうだ。お前たちはジェミニストームに勝つ事にこだわり過ぎて、大事な事を忘れている」
半田「大事な事?」
半田が聞くと、響木が周りを見渡した。
響木「試合は特定の選手だけでやるものではない。チーム全員で戦うのだ」
「!!」
染岡「そ、そんな事分かって…」
響木「なら何故豪炎寺に頼る」
染岡「!」
響木「豪炎寺がいなければ試合に勝てないでは意味がないのだ。全員で戦い、全員で成長する。これがサッカーだ」
響木の言葉に円堂達は衝撃を受けた。
円堂「そ、そうか…。確かにオレ達、ジェミニストームに勝つ事にこだわり過ぎて…」
豪炎寺「……」
染岡「くっ…。でも、どうするんですか! このままじゃ試合に…」
響木「一丈字に聞け。今回の試合は一丈字に任せている」
「!!」
皆が飛鳥を見た。
飛鳥「さて、作戦を聞くになったかい?」
「!」
すると豪炎寺が前に出て…。
豪炎寺「お願いします。一丈字コーチ」
「!!」
豪炎寺が飛鳥に頭を下げた。
円堂「豪炎寺…」
染岡「……!!」
飛鳥に頭を下げた豪炎寺を見て、円堂と染岡は驚いていた。そして染岡は今までの事を想いだした。豪炎寺はいざという時にいつも助けてくれていたが、その裏ではずっと努力をしていた。それはもう自分よりも遥かに量が多く、努力を惜しまない男だった。
飛鳥「分かった。それじゃオーダーを変更しようかな」
「!?」
飛鳥「FWは染岡くんのワントップ」
染岡「!!?」
飛鳥「そしてMFは風丸くん、壁山くん、影野くん、土門くん、栗松くん」
「えっ!!?」
飛鳥「DFは半田くん、少林寺くん、宍戸くん、松野くん。で、キーパーが円堂くん」
半田「MFとDFが逆になってるじゃないですか!」
飛鳥「そういう事。後半戦は少しでもジェミニストームの動きに慣れて貰う事を目的としているから。今回はディフェンダー陣に頑張ってもらおうかな」
と、飛鳥が圧をかけると壁山が震えてた。
壁山「ちょ、ちょっとトイレ…」
飛鳥「怖がらせたつもりはないんだけど」
風丸「ごめんなさい。いつもの事なので…」
飛鳥「そう…。ちなみに鬼道くん達はベンチから試合を見てて。で、何か気づいたことがあったら皆に教えて頂戴」
鬼道「分かりました…」
目金「僕までベンチですか…」
と、目金は少し不満そうにしていたが…。
飛鳥「目金くん」
目金「?」
飛鳥「君はフィールドプレイヤーよりもブレーン色が強いって聞いてるから、サッカーの知識と頭の回転の速さを駆使して、鬼道くん達と一緒に雷門の課題点やジェミニストームの弱点を分析して頂戴。頼りにしてるぜ」
そんな中、半田たちは不安そうにしていた。
響木「何をそんなに不安がっているんだ」
半田「だって…」
宍戸「豪炎寺さんはともかく鬼道さん達もいないから…」
響木「自分の力を信じるんだ」
「!!」
響木「確かに全国大会の途中でレギュラー落ちを経験し、ジェミニストームは遥かに強い。だが、お前たちは40年間無敗だった帝国学園に勝ったんだ。鬼道や一之瀬の力無しでな。お前たちの力をなくして全国大会は成し遂げられなかったんだ。胸を張れ」
響木の言葉に半田たちは感動した。そして塔子も衝撃を受けた。
響木「円堂がいつも言っているだろう。勝利の女神は諦めない奴に微笑むんだとな」
すると半田たちはお互いの顔を見合わせて、静かにうなずいた。
半田「はい!! ありがとうございました!!」
半田の言葉に皆が口角を上げた。
円堂「さあ! 後半戦も頑張るぞ!!」
「おー!!!」
ジェミニストームはその様子を遠くから見ていた。
ゴルレオ「どう見る」
ティアム「顔つきは変わったけどね…」
レーゼ「地球にはこんな言葉がある。七転び八起き。でもまだまだ勝たせやしないよ」
そして後半戦が始まった。主力部隊がベンチに下がり、円堂達の試合を見守っていた。
塔子「円堂…!!」
塔子も目金たちと同じベンチで見ていたが、目金がある事に気づいた。
目金「鬼道くん」
鬼道「何だ…」
目金「あの紫色のMFですけど、パスをする時いつも舌なめずりをしてませんか?」
鬼道「なに?」
豪炎寺「……」
豪炎寺が飛鳥の背中を見ると…。
飛鳥「正解だぜ」
「!!?」
飛鳥「全く、あの癖を直せってあれ程言ったのに…」
飛鳥がパンドラに対して困惑していた。
飛鳥「その調子だ。試合が終わった後に教えてやってくれ」
一之瀬「今じゃないんですか?」
目金「恐らく染岡くんたちには試合の中で気づかせたいのでしょう…」
皆が目金を見た。
目金「な、何ですか…」
春奈「何か…今日は調子がいいですね」
目金「今日はってどういう意味ですか!! 今日はって!!」
飛鳥「喧嘩は後にしな」
春奈・目金「は、はい!」
飛鳥の言葉に春奈と目金がびくっと反応して、試合に集中した。
響木「一秒たりとも試合から目を離すなよ」
「!!」
響木が飛鳥の横に立った。
響木「いつどこで勝利の鍵が見つかるかわからないからな」
つづく