第95話
翌朝。
「よっ! 来たぜ!」
「おはよう綱海くん。でもまだ朝の5時だよ」
予告通り、綱海が翌朝やってきたが、思った他早すぎて飛鳥は困惑していた。
飛鳥「沖縄の人って早いの?」
綱海「いや、そうでもないぜ。オレはサーフィンをやってるからな!」
飛鳥「朝早く出来るもんなの?」
綱海「まーな! それよりもお前! サッカー付き合え!!」
飛鳥「え?」
綱海の言葉に飛鳥は困惑していた。
綱海「何だ。ボールを取れるようになったり、ドリブルっつーのを出来るようになりてぇんだよ!」
飛鳥「……」
綱海の言葉に飛鳥は考える仕草をした。
飛鳥「そういやサッカー部に入れて貰ったんだよね」
綱海「まーな!」
飛鳥「ポジションは決まってる?」
綱海「んあ? そういやまだだな…。何か良さそうなポジションあるか?」
飛鳥「ディフェンダーやってみない?」
綱海「ディフェンダー?」
飛鳥の言葉に綱海が驚いた。
綱海「ディフェンダーっつう事は守備か?」
飛鳥「うん。あそこまで身体能力が高かったらボール持ってる選手に追いつけるし、それこそ上手くいけばあのキック力を生かして前方にロングパスだって出せるから。やるんだったらまずボールを止める練習をしてみようか」
飛鳥の言葉に綱海はちょっと考えたが、
綱海「そうだな! やってみるか!!」
飛鳥「あ、練習に付き合えるのは1時間だけだから。円堂くん達の引率とか色々やんないといけない事があるからね」
そう言って飛鳥と綱海は軽く練習をしていた。それはかつて漫遊寺で木暮とミニゲームをした時と同じ感じだった。
綱海「くそう!!」
綱海は飛鳥が早すぎてボールを奪えず、焦っていた。
飛鳥「サーフィンをイメージしてみて。闇雲に突っ込んでも波に乗れないでしょ?」
綱海「!」
飛鳥の言葉に綱海ははっとなった。
綱海「…そうか。それならイメージがついたぜ!」
そう言って綱海はまた飛鳥からボールを奪おうとするも、今度は飛鳥の動きをよく観察した。
綱海(そうだ…こいつの動きを波に見立るんだ)
すると飛鳥の一瞬のスキをついて綱海はボールを奪おうとしたが、飛鳥は口角を上げてそれをかわした。
綱海「くそっ!!」
飛鳥「その調子! でも、今みたいに相手がわざと隙を見せてペースを崩されるって言う事もあるから気を付けて!」
綱海「ヘッ、それもサーフィンと同じだ! まだまだ行くぜ!!」
こうして約束の1時間が過ぎたが、綱海は飛鳥からボールが取れなかった。
綱海「くそー!!」
飛鳥「ゼェ…ゼェ…」
綱海は大の字になっていたが、飛鳥もちょっと息を切らしていた。
飛鳥(…サーフィンやってる分、呑み込みが早い。洞察力も長けている。やはりこれは)
と、飛鳥は時計を見た。
綱海「くそう! もう一度だ!」
飛鳥「綱海くん。残念だが時間切れだ。もう6時だ」
綱海「んだよ! もうちょっとだけ…」
綱海が飛鳥の顔を見た次の瞬間、飛鳥の身体が火傷を負った状態になった。
綱海「お、お前それ…!」
飛鳥「ああ。氷で冷やせば元に戻るよ。ちょっと変わった日焼けをしやすい体質なんだ。やっぱりこっちは暑いね」
飛鳥が口角を上げると、その場を後にした。
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そして皆が起きてきたが、飛鳥はリームとパンドラにアイシングをして貰っていた。
飛鳥「いてててて…」
「全くもう。無理をなさらないでください」
「そうですよ」
綱海も心配してついてきたが、飛鳥の火傷が本当に引いているのを見て驚いていた。
綱海「お前…変わった体質してるんだな…」
飛鳥「そうでしょう。まあ、健康上は問題ないんだけど、結構グロデスクだからね…」
ちなみにエアコンもガンガン効いている。
飛鳥「寒くない?」
綱海「まあ、ちょっと寒いけどよ…。本当に悪い!」
飛鳥「いいよ。中々有意義な時間だった。良かったら朝飯も食べてってよ」
綱海「おう!!」
こうして飛鳥達も何事もなかったかのようにレストランにやってきた。
円堂「綱海!」
綱海「よう! 迎えに来てやったぜ!」
綱海が思った以上に早く来て、円堂は驚いていた。
目金「ま、まさかサーフボートで来たんですか…?」
綱海「おう。それがどうかしたか?」
目金「どうかしたかって…」
思った他フットワークが軽すぎて目金や1年生たちが困惑していたが、壁山は朝ごはんを思いっきり食べていた。
綱海「大海原の連中も楽しみに待ってるからな!」
円堂「おう!!」
飛鳥「あ、そうそう。聞いてるかどうかは分かんないけど、綱海くん…3年生だからね」
飛鳥の言葉に円堂達は驚いた。
円堂「さ、3年生…だったんですか!?」
綱海「おう! あ、でも敬語とかやめてくれ! かえって落ち着かねぇんだ! 今まで通りで頼むぜ!」
円堂「そ、そっか!」
飛鳥「まあ、本人がいいならいっか…」
とまあ、朝食を食べ終わった後はイナズマキャラバンで移動することとなった。
飛鳥「眠れました?」
古株「ああ。あんないい部屋を用意してくれてありがとう」
飛鳥「いえいえ。こちらこそキャラバンにいつも乗せて頂いてるので、いつかちゃんとお礼をしないといけないと思っていたんですよ」
飛鳥が苦笑いしながら答えると、古株は飛鳥を見つめた。
古株「響木がお前を気にいったのが分かるわい。さあ、行くぞ」
飛鳥「…はい!」
そして綱海の案内で大海原中にやってきたが、学園が海の上だった。
半田「す、すげえ…!!」
春奈「本当にリゾートみたいです!!」
影野「落ちたら大変そう…」
影野の言葉に空気が止まった。
綱海「だっはっは!! 時々誰かが落っこちたりして皆で助けるんだぜ!」
秋「…それ、笑いごとで済ませていいの?」
綱海「さ、こっちだ!」
そう言って綱海の案内で大海原中のサッカーグラウンドへ。だが、誰もいなかった。
夏未「誰もいないじゃない」
綱海「まあ、見てなって」
次の瞬間だった。大きな花火が上がった。
「!?」
「サプラァアアアアアアアアアアアアアアイズ!!」
「イエーイ!!!」
大海原の監督と選手らしき少年たちが一斉に現れ、『歓迎 雷門中』という横断幕をかかげながら、一斉にポーズをとっておもてなしをしてきた。
これには雷門イレブンもあっけにとられた…。
飛鳥「オレは好きだけどね。こういうの…」
綱海「だろー? オマエ結構分かってるな!」
飛鳥「…まあ、あんまり歓迎された事ないからってのもあるけど」
さあ、そんな底抜けに明るい大海原中の実力は如何に!?
つづく