世界最悪の邪神の恋物語   作:kajoker

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ふと、思いついて書き始めました、D様の恋物語。

神になった蜘蛛子さんこと、白さんが地球に転移してDの所へと向かい、そこでDに恋をしたことはあるかと聞くところから今回の話は始まります。

それでは、本編をどうぞ!


あの邪神が恋したことがあるってマジ?

これは、あったかもしれない可能性の物語。地球の管理者にして最上位の神、邪神Dがとある人間に恋をした…そんなもしもの物語。

 

―――――――

 

―――――

 

―――

 

「私は、恋をしたことがあるか、ですか?」

 

「ん…」

 

転移の魔法で地球へとやってきた私。若葉姫色こと、邪神Dにそんな質問をする。

 

いや、別に深い意味はないけど。一応、Dも若葉姫色として学校に通ってたわけだし、そういう浮いた話はないのかなーという軽い好奇心だ。

 

私自身は全くもって恋愛に興味ないけど、他人の恋愛事は気になるよね一。わかる?えっ、わからない?…そうですか。

 

まぁ、結果はわかりきってるけどね。ないでしょ、絶対。だってDよ?世界最悪の邪神よ?そんなやつが誰かに恋するとか想像できんわ。

 

まぁ、休憩中の暇つぶしの話題だし、いないですの一言で終われば別の話題にするか、沈黙すれば良いだけだ。

 

私には何の損害もないもんね。

 

そんなことを思いながら、目の前に置かれたオレンジジュースを口にする。

 

「えぇ。1度だけ、たった1度だけですけど。私は恋をしたことがあります…いえ、今も彼に恋をしています」

 

「ブフッ!!」

 

Dの発言に飲みかけのオレンジジュースを吹き出してしまった。

 

「飲み物を吹き出すなんて、漫画みたいなことをしてどうかしたんですか?」

 

「ケホッ、ケホッ…い、今なんて…?」

 

「私は1度だけ、たった1度だけ恋をしたことがあると言いました。そして、今も彼に恋をしているとも」

 

ま、マジ…?Dからそんな発言が出るなんて…!?もしかして、幻聴?そうだ、そうに違いない。神になった副作用かな…こんな幻聴が聞こえるなんてー。

 

Dが恋?ないわ〜ないない。絶対ない!ないったらない!

 

「信じられないといった様子ですね…ですが、本当ですよ」

 

「幻聴…?」

 

「違います」

 

「妄想…?」

 

「違います。試しに、ほっぺたを抓りましょうか?」

 

「遠慮します…」

 

そろそろ本気で命の危機を感じ、現実に向き合う。

 

本当なのか…いや、よもやよもやだよ。Dが誰かに恋をするなんてあり得ないと思い込んでたわ。

 

でも、これってDの片想いだったりするのかな…?100歩、いや100万歩ぐらい譲ってDが誰かに恋をしたとしよう…だけど、その誰かがDのことが好きとは限らないし。

 

「片想い…?」

 

「いいえ。両想いです」

 

「本当…?」

 

「本当ですよ」

 

そう言って、Dは今まで見たことがないような優しい表情をしていた。

 

お、おぉう…私の目の前に居るのってDだよね?Dの姿をした別人じゃないよね?

 

「失礼な、本物ですよ」

 

さりげなく思考を読まないでくれませんかね…私ってそんなに表情に出やすいのかな…まぁ、話す手間が省けるから私的には大分楽だけど。

 

それにしても、Dを好きになるなんて、変わった人も居るもんだね…まぁ、Dも見た目だけなら美少女だし、中身のどす黒さに気づかなかったってパターンなのかな?

 

「いえ、彼は私のどす黒さにも気づいていたようですよ。もちろん、私が世界最悪の邪神だというのも伝えてましたし」

 

もう思考を読まれることにツッコミはしないけど、これはちょっと驚きだ。つまり、Dが恋してる相手はDが邪神であることも、どす黒い中身もすべて知っているということだ。

 

知った上でDのことが好きなんだ。正直に言えば、バカじゃないの?その一言に尽きる。

 

もっと良い人?神?まぁ、どっちでも良いけど…少なくともDよりまともな奴なんて、この世界にめちゃくちゃ居るはず。それなのに何でよりによってDなのか。

 

私には理解できないわ〜…Dの好きな人、今からでも遅くないから考え直しなって。ま、こんなこと言っても通じないけどね。

 

だけど、ちょっと…いや、かなり興味が湧いてきた。あのDが恋をするほどの人間…Dの悪どい部分も全部知った上で好きだと言える変わり者の人間…それがどんな人間なのか、それを知りたいと思った。

 

「…話して」

 

「えぇ、構いませんよ。彼のことを話すのはとても楽しいですから」

 

そう言って、Dは語り始めた。在りし日の恋物語を。

 

//////////////

 

さて、どこから話しましょうか…そうですね。やはり、まずは彼との出会いからでしょうか。

 

彼との出会いは最悪でしたね。何せ敵同士、最初はお互いに殺し合う関係でしたから。

 

意外ですか?考えれば当然ですよ。私は邪神、片や彼は神にしては優しすぎる神でしたから。

 

元々彼は人間でした。それがいくつもの奇跡により神に至った…それ故、彼は普通の神に比べて優しさが残っていたのでしょう。

 

その優しさを利用して、他の神が私の元に彼を送り込んできたのは今思い出しただけでも腹が立ちます。まぁ、そいつらは私が後でしっかりと成敗しましたが。…慈悲?あるわけないでしょう。

 

 

そんなふうに、始まりは最悪だった私達ですが、彼は元々私を倒すつもりはなかったようで、和解に時間は掛かりませんでした。

 

彼に戦うつもりがないなら何故戦いになったのか、ですか?いや〜…あの時の私は彼を警戒してましたから…ついつい攻撃をしてしまいまして。

 

…コホン。まぁ、私も悪いと思いまして。彼にしばらく私の拠点で過ごすように提案しました。

 

すると、彼も私の提案を受けてくれまして、そこから彼との同棲生活が始まったというわけです。

 

///////////////

 

「なるほど…?」

 

いや、待て待て!情報量が多い!えっ?人間って神になれるの?しかも、Dと戦ったってことは、Dとタイマン張れるぐらい強いってこと?黒が天地がひっくり返っても自分に勝ち目はないって言ってたぐらいなのに!?

 

私の知ってる神の代表格と言えば、黒とDだから、詳しい基準はわかんないけど、Dと張り合える神なんてそうそういないと思う。そんなDとやり合える謎の男…そんな奴が居たのか。

 

やっば、勝てる気がしない…あぁ、なるほど。だから、他の神は謎の男を唆して、Dの所に送り込んだわけね。Dの元に送り込んで、そのままDを倒せればそれで良し、最悪共倒れしてくれれば他の神にとっては最も都合が良い。

 

うん。多分、こんな所だと思う。まぁ、こんな浅はかな策略に引っ掛かるほどDが恋する人は甘くなかったのは計算外だったということだろう。

 

…どうやら、彼はただのお人好しってわけでもないみたいだね。

 

それにしても、彼はどうやって神になったんだろう?ただの人間が神になるって相当だよ?私は裏ワザ的な方法で神になったけど…Dに聞いた方が早いか。

 

「彼は、どうやって神に…?」

 

「さぁ?詳しいことは私にもわかりません…彼も詳しいことは私にも話してくれなかったので」

 

「そう…」

 

本人が話したくないなら、しょうがないね…誰にだって秘密にしておきたいことがあるだろうし。

 

「神になった経緯は不明ですが、彼の実力は本物ですよ。彼はいくつもの世界を救ってきたようで、その時の圧倒的な戦闘経験に、救ってきた世界の人々の信仰心も加わり、他の神も容易に手を出せないほどです」

 

なるほど…確かに、神に対する信仰心はそのまま神の強さにも直結する。Dの話しの通りなら、救われた世界の人間達はそりゃあ救ってくれた神を信仰するよね。

 

しかも1つの世界じゃなくて、いくつもの世界を救ってきたっていうなら、信仰する人間達の数は他の神の比じゃないだろうし。

 

うん、納得…素の戦闘能力の高さに、いくつもの世界の人間達の信仰心が合わさったからDともタイマン張れるぐらいになったというのはあり得る気がする。

 

それにしても、こう考えると――――

 

「Dとその人、真逆…」

 

「そうですね…本当に私と彼は真逆の存在です。邪神の私と世界を救う彼、孤高の私と多くの人々の願いを受けて困難に立ち向かう彼…フフッ、ですがそんな真逆な彼だからこそ、ここまで惹かれてしまうのかもしれません」

 

そんな言葉を口にしながら、Dは優しげな表情を浮かべる。その顔はほんのり赤くなっていた。

 

うぉぉ…マジか。今のDの表情、完全に恋する乙女じゃん。Dがこんな顔するなんて…よっぽど彼のことが好きなんだね。

 

何か、ここまで聞いたらとことんまで聞きたくなってくるなぁ…この際、もっと聞いてみる?…よし!時間はまだあるし、ここまで来たらとことんまで聞いてやろう。

 

私はそう決心して、口を開いた。

 

「もっと聞かせて…彼のこと」

 

「構いませんが…まさか、あなたも彼のことを狙っているんですか?」

 

「違う…」

 

Dの厳しい視線に慌てて首を横に振る。

 

怖っ!視線だけで殺されるかと思った…Dってもしかしなくても独占欲強いんじゃね?…これは、下手なことは口にできないわ。

 

「そうですか…まぁ、それなら良いです。さて、彼の話ですね…次は、彼とのどんな思い出を話しましょうか…」

 

そう言うDの表情はどこか嬉しそうで、それだけ彼と呼ぶ人との日々が充実していたのがよくわかる。

 

そういえば、まだ彼と呼ばれている人の名前を聞いていなかった。

 

「そういえば、彼の名前は…?」

 

「あぁ、言い忘れていました…彼の名前は―――――」

 

Dが口にした名前は、不思議と腑に落ちた。…とても彼らしい名前だ、そんなふうに感じた。

 

「…さて、何を話すか決めました…聞きたいですか?」

 

 

「うん…聞かせて」

 

私がそう返すと、Dは再び語り始めた。

 

彼との恋物語の続きを。

 

 




オリキャラ君の名前を出さないのは、その方が面白そうというのもありますが、この小説を読んで下さっている皆様が好きな名前を入れて、楽しんで読んで頂ければ良いなという理由があります。

それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!
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