私は、まぁ、ぼちぼちですよ…ぼちぼち。
まぁ、それはさておき本編をどうぞ!
彼と奇妙な同棲生活を始めてしばらく経ちましたが、彼は中々働き者です。
私の仕事を押し付け……コホン。私の仕事を手伝ってくれますし、私の分のご飯を作ってくれます。
それに彼の口から聞かされる他の世界の話しは興味深い話も多くて退屈しません。
「おはよう?時間の感覚がわからないから判断しづらいけど、とりあえずおはよう」
「えぇ、おはようございます。どうですか?ここの生活には慣れましたか?」
「慣れたといえば、慣れたな…お前に仕事を押し付けられること以外は」
「はて?何のことでしょうか?私はあなたに仕事を押し付けたことなどありませんよ」
「よく言うよ…この邪神め」
「フフッ…でも、何だかんだで手伝ってくれるあなたが好きですよ」
「はいはい。何の感情もない好きの言葉をどうも…まぁ、俺もお前のことは他の神に比べれば好きだけどな」
「えっ…!?」
「どうした?何かすごい驚いてるけど」
「あっ、いえ…私は邪神ですから、恨み言やら何やらは聞き飽きていますが、好きだという人は初めて見たので…」
まぁ、本性を隠して接すれば私はクールビューティーな美女として認識されるでしょうから、好きという言葉も言われると思いますが。
ただ、彼の場合は私が邪神であることも、私の本性も知っているはず…その上で、他の神に比べれば私が好きとは一体どういうことなのか?むむむ…わかりません。
自慢じゃありませんが、私ほどの邪神はなかなかいないと思います。どう考えても、他の神の方がマシでしょうに…彼は一体何を考えているのか。
あ、龍種は例外です、あいつらは宇宙の害虫ですから。あいつらよりは私の方が遥かにマシです。
「まぁ、普通なら邪神にこんなことは言わないか…これは、あくまで俺の主観だから、多少…いや、かなりズレてるのかもしれないけど」
「何ですか?」
「まず、お前の行動原理が明確だからっていうのが1つだな。お前の行動原理は、自分が面白ければいい…要はそういうことだろ?」
「えぇ、間違っていませんね」
「つまり、何かを救うことがお前にとって面白ければ協力してくれるし、何かを滅ぼすことが面白ければ遠慮なく滅ぼすということだろ?」
「そうですね。私にとっては、面白ければどちらでも構いません」
「だろうな…だからわかりやすくて良い。お前が何かをやらかす時はお前がそうした方が面白いと考えてる時ってことだろうからな…他の神の場合は腹の内がイマイチ読めないから、そういう意味ではお前とは自然体で話せて心地いいんだ」
「私との時間は心地いいのですか?」
「あぁ、心地いい…ま、面白ければいいという単純な理由で、世界の命運やら人の人生を狂わせたりするのは、とんでもなくたちが悪いと思うけどな…」
「…後半の言葉がなければ、とてもキュンとしたんですけど…私の純情を返してください」
えぇ、本当に返してほしいところです…今、ホントに少しだけ、少しだけ心が揺さぶられましたから。
こうなったら、もう1度私の心を揺さぶってくれなければ満足できそうにないです。
「俺はお前に純情があったことに驚きだよ…」
「失礼ですね。私にだって純情ぐらいありますよ。そういえば、さっきの言動から推察するのに、私を他の神より好きな理由は1つではないのでは?」
「お、おぉ…まぁそうだけど…」
(何だ?何かすごい期待の眼差しを向けられてるんだけど…)
「では、それについても聞かせてください」
「わかった…まぁ、他の理由としては、お前は理不尽だけど選択の余地を与えてくれるところだな…お前にとってはどちらでも構わないって感じなんだろうけど、選択肢を与えられるだけまだマシだ…俺の知ってる神は理不尽で、選択肢も、選択の余地すらも与えてくれなかったからな」
「よほど、嫌な神と出会ってきたようですね」
「あぁ、まったくだ…だから、そいつらに比べればお前の方がよほど好感が持てる」
「…っ!そ、そうですか…フフッ、もっと私を褒め称えても良いんですよ?」
「わぁ、見た目も美人だし、性格も優しい…何てパーフェクトな神なんだー(棒)」
「…もうちょっと、心を込めて言ってくれると嬉しいのですが…」
「はいはい、わかった。まぁ、お前は邪神だし、性格もアレだけど、俺が心地よい時間を過ごせる、今の所唯一の存在だ。これからも世話になると思うけど、よろしくな」
「……えぇ、よろしくお願いしますね。では、私は仕事をしてきますので」
「珍しいな…お前が俺に仕事を押し付けないなんて」
「まぁ、あなたにばかり任せるのも悪いですからね」
「そういうことなら、俺は休ませてもらおうかな」
「ゆっくり休んでください」
そう言って、私はその場を後にしました。
本当なら、彼に仕事を押し付ける所なのですが、今は少しでも気を紛らわせたかったのです。
「…顔が熱いです。おかしいですね…特別なことなど何もしていないはずなのですが…」
まさか、これが所謂恋というものなのでしょうか?いや〜、まさか私が恋だなんてあるはずが…あるはずが…
そんなことを思いながらも、頭の中には彼のことが渦巻いていて、鼓動が高鳴る。
これはまさか本当に…!?と、とにかく今は無心で仕事をしましょう。いつもは面倒くさい仕事ですが、今回ばかりは感謝です。
「…まったく、本当に面白い人ですね…」
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「とまぁ、こんな感じに私と彼は仲を深めていったというわけです。タイトルを付けるなら『彼を意識した日』でしょうか」
「……」
色々とツッコミたいところだけど、まず一言……リア充爆発しろ!
まさか、こんなことをDに対して思うことになろうとは…めっちゃ恋愛してるじゃん…この邪神。
何かもうね、驚きすぎて言葉が出ないっす…しかも、これってまだ付き合っているわけじゃないんでしょ?仲良すぎない?
まぁ、まだこの時の彼は恋愛感情としての好きというよりは、友情とか親愛みたいな感じっぽいからなぁ…うん?てことは、Dの方が先に恋愛感情を抱いたってこと?…へぇ、これは意外だわ。
なんとなく理由はわかるけど…Dからすれば、初めて自分のドス黒いところを知った上で好きと言ってくれた存在だもんね…そりゃあ嬉しさを覚えるわけだよ。Dにそんな感情があったことには驚きだけどね。
ま、D相手にそんなことを言えてしまう彼はある意味狂ってるのかもしれないけど。
…そういえば、この時の彼はまだ恋愛感情を抱いていないとしたら、どのタイミングで彼はDに恋愛感情を抱いたんだろう?
「…彼はいつDのことを好きに…?」
「それは彼に聞いてみないことには何とも言えません」
「そう…」
それは残念。D曰く、彼はいくつもの世界を救ってきた神らしいからもしかしたら今も他の世界を救っているかもだよね……今すぐ聞き出すのは難しいかも。
はぁ…いろんな世界を救っているなら、ついでに私達が今居る世界も救ってくれないかな〜…なんてね。
「それだけは、絶対に許しませんよ…わざわざ彼の手を煩わせる必要はありません」
突如として響く底冷えするような声。それがDから発せられていると理解すると同時に、やっちまったという考えがまず浮かんだ。
もしかしなくても、私ってば地雷踏んだ!?ヤバいヤバい…ど、どうにかしてこの状況を何とかしなくては…!
「…冗談。本気にしないで」
ようやく絞り出した言葉はそんな当たり障りのない言葉だった。
だけど、これは本当だ。元々私は彼の力を借りるつもりは毛頭ない。
あの世界の問題は私達の問題だし、まったく関わりのない彼に力を借りるというのはおかしな話だもんね。
「…それなら良いです」
「良かった…でも、どうしてそこまで?」
「…彼は、散々他の世界の都合に振り回されてきましたからね…そろそろゆっくり休んでも罰は当たらないでしょう。他の世界のごたごたなんて、別の奴らに解決させれば良いんです」
「なるほど…」
つまり、私達が今居る世界は私達でどうにかしろと…まぁ、元々そのつもりだけどさ。
というか、元々神ってそういう存在だよね…本来、そこまで世界に干渉したりはしない。まぁ、ほんの気まぐれで干渉をすることはあるだろうけど、基本的に神が干渉するなんてのは、よほどの緊急事態ぐらいだろう。
そう考えると、彼の神としての在り方はかなり特殊なのかもしれない。
ただ、それだけに苦労が多いんだろう…だって、いろんな世界を救うって口で言うのは簡単だけど実際やるのはかなり骨が折れると思う。私なら、多分途中で嫌になって引きこもるよ?
うん…マジで彼は少し休んでも罰は当たらないのでは?
にしても、Dが誰かをここまで気に掛けるなんてね…私や他の人達にもその優しさの何分の1か分けてくれませんかね……いや、ないわ。うん、絶対にない。
多分、後にも先にも、Dがここまでの感情を抱く存在は出てこないと思う。
1度会ってみたいなぁ…ここまで来ると本人をこの目で見たくなる欲が湧いてくるのはしょうがないよね。本当に今どこに居るんだろ?
まぁ、Dと話していればその内戻ってくるかもしれないし、今は話の続きを聞こう。
私はそう考えて、Dに話の続きをするように促すのだった。
以下、ちょっとした短編です。バレンタインデーということで書いてみました。よろしければどうぞ!
「今日はバレンタインデーという日のようですね」
「そういや、今はそんな時期か…随分と久しぶりに聞いた気がするなバレンタインデー」
「バレンタインデーといえば?」
「そりゃあ、チョコレートだろう…まぁ、今の俺には縁遠い話だから関係ないけど」
「フフッ…そんなあなたに私からチョコレートをあげましょう!」
「いや、遠慮しとく…」
「何故?」
「毒とか入ってそうだし…」
「入れませんよ…私を何だと思っているんですか?」
「邪神」
「確かに私は邪神ですが、今回に関しては大丈夫ですよ」
「本当か?まぁ、大丈夫なら食べるけど…」
そう言いながら、彼は私の作ったチョコレートを手に取る。
「見た目は普通だな…特に呪いの類もなしか…よし、それじゃあ戴きます」
「どうですか?」
「…普通に美味い!本当にただのチョコだ…ありがとう。美味いよ!これは、真面目にお返しについて考えないとな…」
「フフッ、喜んでもらえて良かったです。お返し、期待してますよ」
「了解…まぁ、あまり期待しすぎないで待っててくれ」
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「…そういえば、今年も、もうすぐバレンタインの時期ですね…冥土さん、私は今から少々出かけますので留守をお願いします」
「逃がすとお思いですか?」
「仕事なら終わってますよ?」
「はい?…本当ですね…いつもこれぐらいやる気になってくれれば私も楽なんですが」
「今日は特別な日ですからね…仕事に束縛されるわけにもいかないんですよ。では、お願いしますね」
「わかりました」
「さて、彼と過ごすバレンタインの為に私も頑張りましょうか」
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それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!