それでは本編をどうぞ!
夢を見ていた。夢なんて見るのはいつぶりだろうか。
ただ、その夢の大半があいつと過ごした日々というのはなかなかに驚きだ…よほど、俺はあいつとの日々が心地よかったらしい。
まぁ、そうでなくちゃあいつと恋人になんてならないか…初めて会った時は敵対関係だったはずなんだけど、いつの間にやら恋人か…こう考えると、おかしなものだな。
あいつを、Dを意識したのはいつからだったか…多分、あいつの口から寂しかったという言葉を聞いた時だったと思う。
あの時の事がきっかけで、俺のDに対する考えが大きく変わった。それまでは単に底の見えないドス黒いなにかを抱えた存在という印象が強かった…まぁ、それでもDと過ごす時間は中々に心地よかったけど。
そんな認識が覆ったのがその時だ…あの時のDの表情が本当に寂しそうで、あの時俺は困惑を隠しきれなかった。
それ以来、俺はDのことをただの邪神として見ることができなくなってしまった。
そうなったら、後はもう、どんどん惹かれていくだけだ。
普段は変わらない表情に、僅かばかりの変化が起きた時は思わず目を奪われそうになるし。あいつと色々と話したり、ご飯を食べたりするのも楽しかった。
そして、気づけば俺はあいつが好きになっていた。
我ながら、邪神に恋愛感情を抱くなんてどうかしていると思わないでもないが、好きになってしまったものはしょうがない。
…そういえば、今さらだが俺は何で眠っているんだ…?
うーん…確か、何か凄い戦いがあって…あっ!そうだ!思い出した!
5つの世界で同時に危機が迫っていて、俺はその世界を救う為に自分の分身体を出して戦いに望んだんだ。そして、5つの世界に居た神達を退けて、他の分身体を俺の所に戻した。
そうしてひと息ついたのも束の間、今度はいきなり異空間に連れ去られ、そこに居たのは龍種が10体ほど。そいつらの領域に引きずり込まれ、俺は消耗した状態でそいつらとの戦いに望まなくてはならなかった。
まぁ、俺は元々領域を破壊することに特化していたから、本調子だったらそこまで苦戦する要素はないんだけど、なにぶん消耗してたからな…龍種を全員倒すのは中々に骨が折れた。
俺は神とか龍が展開するフィールドの脆い部分が視える。そして、その脆い部分を斬ることで展開されたフィールドを破壊できる。イメージとしては、直死の魔眼に近いかもしれない。
魔術系の能力じゃないから龍種の結界にも妨害されないチート能力なんだけど、さすがに消耗した状態で龍種10体かがりの結界をあっさり破壊するのは難しい。
それでも、どうにか龍種を倒し終えた俺の前にさらなる敵が現れた。それは邪神で、そいつがそれまでの全てを企んだ黒幕だった。
俺は見事にその邪神の罠に嵌められたというわけだ…まぁ、罠であることは元々承知の上で行動を起こしていたからあまり驚きはなかったけど。
そして、その邪神との死闘に辛くも勝利して、俺はDの所に帰った。…ただ、俺が覚えているのはそこまで…多分、そこで俺は意識を失ったんだ。
なるほど…そうして今に至るというわけか。
一体どれくらい眠ってたんだ…?数ヶ月?いや、違うな…あの時の俺はエネルギーも結構消耗してたし、魂にもダメージを受けてたからな…最低でも何百年、最悪の場合、何千年ぐらいは経ってるかもしれないな。
やれやれ、とんでもなく寝過ごしてしまったな…Dは元気にしてるかな?まぁ、あいつはなんやかんやで元気に過ごしてそうだけど。
あれ…?何か光がこっちに迫ってくる!もしかして、俺の意識が覚醒しかかってる?
なら、都合が良いや…久しぶりに目を覚ます時がやってきたんだ…さて、さっさと目を覚まそう。
―――――――
―――――
―――
「…ん…ここは…?」
目を覚ますとそこは見知らぬ天井…まるで、なにかのダンジョンの天井のような…何か嫌な予感がしてきたぞ。
よし、とりあえず起き上がろう。
『お目覚めですか?星の守護者殿』
「星の守護者…?俺が?」
まぁ、確かに色んな世界を回ってるし、その世界の為に戦ったりもしてるからそう呼ばれてもおかしくはないんだろうけど……その呼び名は少々恥ずかしいな。
というか、俺がこの場に居る理由について大まかに見当がついてしまったぞ。これって、もしかしなくてもこの世界がヤバいから助けてほしいということでは?
『突然の事態で混乱しておられるかもしれませんが、聞いてください。今、この世界は危機に陥っています…厚かましいのは重々承知していますが、お願いします。星の守護者たるあなたの力を貸してくださいませんか?』
やっぱりな…まぁ、俺が異世界に呼ばれるなんて時は大抵、世界が危機に陥っている時がほとんどだし。
本来ならその世界に行くかは俺自身で決められるんだけど、今回は俺がさっきまで眠っていたこともあって、俺の意思に関係なく半ば強制的にこの世界に呼ばれたということか。
「なるほどな…ちょっと待っててくれ。星の記憶を読むから」
そう伝えて、地面に手を置く。
瞬間、この世界の今までの出来事が頭に流れ込んでくる。いくつもの世界を回っていた時に、いつもこの方法で現状を把握していたからな…さすがに、この感覚にも慣れたものだ。
そうして、全ての出来事が頭に流れ込んだ後、ため息をついた。
…今まで、色んな世界を回ってきたがここまでヤバい事態に陥っている世界は久しぶりだな。
それにしても、これってほとんどポティマスとかいう奴のせいでは?もちろん、MAエネルギーを奪ってどこかに逃げた龍種も大概だけどな。
しかもD…お前も関わってんのか…ただ、今回に関してはDはむしろ、システムを構築してこの世界を延命させたのだから悪いことは……いや、ポティマスを即刻始末しなかったのは悪いな。
その時点で始末していれば、もっとスマートに世界を救えたはずだろうし…どうせ、あいつのことだからその方が面白いとかいう理由だろ。
…変わっていないようで何よりだ。もはやここまで来ると安心感すらある。
ただ、転生者の人達はDのとばっちりを受けたに過ぎないからちょっと申し訳ない気分になるな…ウチのDのせいですみません。
まぁ、やらかしたのは前の勇者と魔王なんだけどな…しかも、結局ポティマスに唆されての行動だからなぁ…やっぱり元凶はポティマスじゃねーか!
…よし!何か俺にも責任の一端があるような気がしないでもないし、手助けしよう!
「…女神サリエル、あんたの願い、聞き入れるよ」
『ありがとう御座います』
「ただし、1つ条件」
『条件とは?』
「あんた自身がちゃんと救われることを願うこと。そうじゃないとあんたを助ける為に頑張っている彼女達が報われないからな」
『…それは私には難しいことです…ですが、わかりました。そうなれるように努力します』
「それなら良い…それじゃあ、またな。今度会う時はちゃんとした状態で会えると良いな」
それだけ言い残して、俺は転移の魔法を発動する。
さて、白って子と魔王に会いに行くとするか…ちょうど大きな戦いが終わった後だから、色々と忙しいかもしれないけど。
俺はそんなことを考えながら、転移魔法で彼女達の元へ移動するのだった。
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「…!これは!彼が目を覚ましたんですね…こうしてはいられません。彼の元へと行かなければ!」
「どこに行くつもりですか?仕事はまだまだ残っていますよ」
「私の恋人が長い眠りからついに目覚めたんです!行かせてください!」
「またその話ですか…あなたのことを好きになるような酔狂な人が居るわけないでしょう」
「いや、居ますよ!本当ですよ?」
「はぁ、そうですか…で、一体どこのどなたですか?」
「その顔はまったく信じていない顔ですね…まぁ、良いでしょう。私の恋人はあの星の守護者様ですよ」
「は?今なんと?」
「だから、あの星の守護者様です。あなたも名前ぐらいは聞いたことがあるでしょう?」
「それはもちろん聞いたことがあります。一戦交えてこともありましたし…よりによって、あの星の守護者様を恋人と言うなんて正気ですか?嘘にしてはあまりにもお粗末です」
「いやいや本当ですってば。信じてくださいよ」
「信じられるとでも?私の知る限り、あなたとあの人はまったく正反対でしょうに…そんな嘘をついている暇があるなら、ちゃっちゃと仕事してください」
「本当なのに…しくしく」
拝啓 愛しのあなたへ
どうやら、あなたに会えるのはもう少し先になりそうです。ですがご安心を、この地獄(仕事)を切り抜けて必ず会いに行きます。ですからそれまで待っていてください。
あなたの恋人Dより♡
…まぁ、こんなものでしょう。後はこれをさりげなく彼の所に送りましょう。
会話しながらこっそり手紙を書くのはなかなか大変でしたよ…ですが、これで彼に私の現状を伝えることはできるはず。
はぁ…できれば、早く彼の元に行ってお帰りなさいの一言を言いたいですし、色々と話したいこともあるのですが、しばらく動けそうにありませんからね。
ないわー…本当にないわー。まぁ、さっさと仕事を終わらせれば良いだけですし、久しぶりに本気を出しましょう。
…それにしても、まさかあの世界に彼が呼ばれてしまうとは…あの世界の現状を考えれば仕方がないことなのかもしれませんが、納得いきませんね。
ま、その原因の一端である私が言えたことではありませんが……ただ、それとは別に彼がどのように行動するのかは非常に興味深いです。
私は彼が世界を救う所を直接見たことがありません。だからこそ彼がどのように世界を救うのか見てみたい…そういう気持ちがあるのも事実です。
…まったく、ここまで私の感情を昂ぶらせるとは…さすがは私の恋人です。
これはますますさっさと仕事を片付けなくてはなりませんね!
そう決意し直し、私は仕事を始めるのでした。
オリキャラ君は色んな世界を救っているせいか、神々の間では星の守護者と呼ばれています。ただ、世界を救う時に神やら龍種やらと戦う時もあり、一部の神や龍種からは快く思われてません。
天使は神とあらば無差別に攻撃を仕掛けますが、彼のことは味方だと認識しています。理由としては天使は世界の防衛機構という説があるので、世界を救っている彼に攻撃を仕掛ける理由がないからです。
サリエルさんが彼について知っていたのもそういった背景があります。
それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!