今回の話で世界を救う方法について話したりもするのですが、実際、その方法が正しいのかはわかりませんが、なるほど!そういう方法もありか!という風に捉えて頂ければ幸いです。
それでは本編をどうぞ!
さーて、今日はどうしよっかなぁ…エルフの里に侵攻する準備はだいぶ進んでるし、正直やることないんだよね〜。
よーし!今日は1日中ダラダラして過ごそ!やっぱ人間、時には休まないとダメなんよ。まぁ、私ってば神なんだけど。
身体的な問題じゃなくて、精神的な問題というやつよ。
…そういえば、Dの彼氏さんの目は覚めたのかな?
地球に転移した時にちょこちょこ様子は見てたんだけど、結局私が見ていた限りでは目を覚ましてなかったんだよね。
Dから彼の話を聞かされて以来、ちょっと気になって様子を見ることにしたんだけど、あの人やべーわ…眠っているのに凄い力を感じるんよ。もうすぐ目が覚める兆候なのかもしれないけど、あれにはビックリしたわ。
多分、そこいらの神より遙かに強いと思う…あぁ〜、Dには止められたけど、あの人に力を貸してもらえばもうちょっと楽になるんだけどな〜。
ま、ないものねだりしてもしょうがない。私は私の計画通りに事を進めるだけだ。
「お邪魔します〜…あぁ居た居た。君が白って娘だよな?おぉ、こうして見るとマジでDにそっくりだな…」
「はぇっ…!?」
突然の来訪者に変な声を上げてしまった…えっ、マジで気づかなかったんだけど!?
なんて空間魔法の使い手…!一切気配を感じなかったし、空間の揺らぎすらわからなかった。しかも、この人…!
「Dの恋人!」
「…あいつから聞いたのか。まぁ、そうだな…じゃあ自己紹介は大丈夫かな?とりあえずよろしくな。白」
そう言って、手を差し伸べてくる彼。
おおお、落ち着け私!色々と聞きたいことがありすぎるけど!あかん、ちょっと色々と急すぎて落ち着けない!
「あ、ごめんな。いきなりで状況を呑み込めないよな…順を追って説明するから、深呼吸して落ち着いて」
「ヒッ、ヒッ、フー」
「それは出産の時のやつでは…?なんというか、愉快な娘だな…」
うるさいわ!こちとらかなりの混乱状態なんだよー!
「そうだよな…ごめん。いきなり来たくせに何の説明もなしとか、普通に混乱するよな…本当にごめん。俺もちょっと焦ってたみたいだ」
そう言って頭を下げる彼。
…こんな素直に謝られちゃ、怒るのも悪い気がしてくるなぁ。
「…大丈夫。今は落ち着いた」
「そっか、落ち着いてくれたなら良いんだけど…それじゃあ、話を聞いてくれるか?」
「うん、聞く」
「実は……」
―――――――
―――――
―――
「というわけなんだ」
「なるほど」
彼の話をまとめると、どうやら彼はついさっき目覚めたばかりで気づけばこの世界に召喚されていたらしい…女神サリエルによって。
そして、星の記憶?というものを読み、この世界で起きたことを大まかに把握して私達に会いにきたらしい。多分、私のやろうとしていることについても知っていると考えるべきだろう。
つまり、彼は今までこの世界で起きた全ての事象を知ったうえで私と魔王に会いにきたということだ。
それが意味するのは――――
「…私の計画に賛同するってこと?」
「まぁ、そうなるかな?より正確に言うなら君の計画の最大のデメリットを無くすことに尽力するつもりだ」
「そんなことができるの?」
「できる」
即答!?言い切ったよ!この人!
マジか…それは素直にありがたい。私の計画の最大のデメリットであるシステム崩壊によるこの世界の人間の半数の死…そのデメリットがなくなるのであれば、私の計画に粗はなくなるし、上手くいけば黒と戦う必要もなくなる。
「具体的にはどんな風に?」
「それについては魔王も交えて話したい。呼んできてもらえるか?できればラースとソフィア、他の魔王軍には知られないように頼む」
ふむ…他の魔王軍はまだわかるけど、鬼くんと吸血っ子にも知られないようにしなきゃいけないのか…何故に?
「特に深い意味はないよ。ただ、ソフィアさんはつい口がすべって他の奴らに作戦をバラしてしまうかもしれないし、ラース君に関しては最近ようやく吹っ切れたばかりなのに余計な負担を増やすというのも申し訳ないからな」
なるほど…確かに吸血っ子は口をすべらすかもしんない。さすがに他の魔王軍には話さないにしても転生者にはついつい口をすべらす可能性はある。
鬼くんについても同感だ。なら、ここは彼の言う通り魔王だけを連れてくるべきだね。
「わかった。連れてくるから待ってて」
「ありがとう」
―――――――
―――――
―――
「連れてきた」
「どうも〜、白ちゃんに呼ばれてやって来たよ〜」
「初めまして、魔王アリエル…俺は、そうだな…アストロとでも呼んでくれ」
「アストロ君?ねぇねぇ白ちゃん、この人一体何者?ただ者じゃないのはわかるけどさ」
「Dの恋人」
「へぇ、D様の……えっ?白ちゃん、私の聞き間違いかな?D様の恋人だって聞こえたんだけど…」
「聞き間違いじゃない」
「あはは…白ちゃんってばそんな冗談を…」
「本当」
「…えっ、本当に?」
未だに驚きを隠せていない魔王の言葉に頷く。
わかる、わかるぞ魔王!私も初めて聞いた時は耳を疑ったからね!正直、未だにちょっと信じられないし。
ただ、今はそういうものと理解してもらうしかない。このままじゃ話が進まないし。
「お、オッケー。とりあえず今はそういうものと受け止めておくよ…それで話っていうのは?」
「ここじゃ、誰かに聞かれるかもしれないから、俺についてきてくれ」
そう言って、アストロは手をかざし、空間魔法を発動させる。
そして、まるでチャックを開けたみたいに広がっている空間に向かって歩き始めた。
「これって、付いていって大丈夫なの?」
「それは大丈夫。私が保証する」
「白ちゃんがそこまで言うなら大丈夫だね。それじゃあ行こうか」
「うん」
そうして、私と魔王は彼の後に続いた。
/////////////////
「わざわざごめんな…改めて、俺はアストロ…他の神からは星の守護者と呼ばれているらしい」
「星の守護者…?何か聞いたことがあるような…」
「意外と有名なのか?この呼び名…まぁ、それはさておき俺がこうして2人を呼んだのは他でもない…君達の計画の最大のデメリットを無くす方法を話すためだ」
自己紹介もそこそこに、本題に入る。
魔王は俺の言葉に驚きを隠せないようだ。それはデメリットを無くすことなんてできるのかという驚きか、はたまた自分達の計画を知っていることに対する驚きか。
まぁ、多分両方なんだろうけど。
「…驚いたよ。まさかそこまで知っているなんて…どこで知ったのかな?」
「星の記憶を読んだだけだよ。だから、大まかにこの世界の出来事は把握してるし、君達の計画についても知ってる」
「星の記憶…?ちょっとスケールが大きすぎて理解できないよ…」
「大丈夫。私も理解できてない」
うん、まぁそうなるよな…俺も2人の立場ならそういう反応になるだろうし。
「…コホン。さて、まぁそれは一旦置いておいて方法について話そう」
そう口にして、俺は球状の物体を異空間から取り出す。
「それは?」
「これは俺のエネルギーをストックしてある宝玉だ。エネルギーの量としては神5柱分くらいかな?もしもの為の保険だったんだけど、俺が眠りにつく前の戦いでは結局使う暇がなくてさ…」
あの時の戦いは連戦で、エネルギーを回復する余裕がなかったからな…それに、最後の邪神との戦いでは俺は魂にダメージを受けてしまった。
このストックはエネルギーを回復することは出来ても魂まではさすがに復活出来ないからな…まぁ、そんなこんなで結局これを使うことは出来なかった。
「これのエネルギーを使えば、この世界に生きるすべての人々の魂を保護することも可能になるんじゃないか?」
そう言いながら白の手に宝玉を乗せる。白は神だからおそらくこの宝玉に大量のエネルギーがあることにも気づくはずだ。
「これ…!本当に大量のエネルギーが…!」
「つまり、アストロ君の言葉は真実ってわけだ…じゃあ、本当に誰の犠牲も出さずに済むんじゃない?朗報だよ、これは」
「あぁ、多分なんとかなると思う。あ、そうそうエルフの里侵攻作戦はそのまま進めてくれて構わない。2人にはポティマスとの因縁もあるだろうから…それに、エルフはこの世界の害になるだろうし、災いの芽は早めに摘んでおいた方が良い。もちろん、転生してきたエルフの人は例外だ…俺としてもあの人のことは助けたい」
そう言うと、2人は当然だろうといった様子で頷いた。
…この様子ならわざわざ言う必要はなかったかも知れないな。
「…アリエル、1つ聞きたいことがある」
「何かな?」
「女神サリエルの命を助けたいか?」
「できるの?とか聞くまでもないか…君はきっとできちゃうもんね」
「あぁ、できる…ただ、サリエルの場合は必ずしも命を救うことが救いになるとは限らない…もし、サリエルが蘇ったら危機に陥った人間達はまたサリエルを生け贄にして自分達だけ助かろうとするかもしれない。それでも、君はサリエルの命を助けたいか?」
俺の言葉にアリエルは考える素振りを見せる。
そうして、しばらくして彼女は口を開いた。
「…そうだね、出来れば助けたいかな…アストロ君の言う通り、人間達がサリエル様に何かする可能性はあるけどね」
「わかった…そういうことなら任せてくれ!じゃあさっそく方法について説明する」
「あれ?アストロ君、もしかして最初からサリエル様を救うつもりだった?」
「まぁな。ただ、実際サリエルの命を救うことが正しいのかは俺にもわからないからさ。アリエルの考えを聞いておきたかったんだ」
「なるほどね…私を呼んだのもそれが理由かな?」
「その通りだよ…さて、それじゃあアリエルの考えも聞けた所で、さっそく方法を話していくぞ。まず、俺の力でサリエルとシステムを切り離す。そして、サリエルに生命活動ができるよう俺がエネルギーを補充する」
「システムが破壊される前にサリエル様とシステムを切り離しちゃおうってわけね…確かにそれならサリエル様がシステム崩壊に巻き込まれることはないね」
「そういうこと。ただ、サリエルという核を失ったことによりこの星が滅びてしまう可能性もある。だから、サリエルの代わりにさっきの宝玉をシステムの核にする」
「これを?」
「そうだ。この世界に生きる人々の魂の保護にこの宝玉を使ってもエネルギーはまだまだ残る。残ったエネルギーは星の再生に使用して、システム破壊までの間、一時的にシステムの核として使えば良い。そうすれば、この世界の人々も助けられるし、星も再生できる…更に女神だって助けられる。しかも、システムを破壊しても失うものは俺のエネルギーをストックしている宝玉のみ、ほとんど失うものもない」
「なるほど…私達にとって本当に得しかないね。ここまでくると何か裏があるんじゃないかと疑うレベルだよ」
「いや、ないから」
「だろうね〜、知ってる」
「はいはい、そいつはどうも…それじゃあ、そういう感じで頼んだ。決行するのはエルフの里での戦いが終わってからで大丈夫か?」
「もちろん!そもそもそれを片付けてからじゃないと私達も動けないしね」
「それもそうだな…よし、それで決定!それじゃあまたな。健闘を祈る…俺も協力するけど主体となって動くのはお前達だからな」
「わかった、こっちは任せて。そうだ、アストロ君に最後に1つだけ聞いても良いかな?」
「何だ?」
「どうして私達に協力してくれるの?」
「その事か…まぁ、理由は単純にアリエルと白の心意気が気に入ったからだ。それに俺は元々サリエルを救うつもりだったから、2人にはちゃんと話すべきだと思ったことも理由の1つだ」
正直、俺はこの世界の人間をそこまで必死こいて守ろうとしているわけじゃない。ただ、Dのとばっちりで巻き込まれてしまった転生者達を救うことが、たまたまこの世界の人間を救うことに繋がるというだけのこと。
だが、この世界にも心惹かれる存在が居た。それがアリエルと白だ。アリエルは世界を敵に回してでも、自身が敬愛する女神の意思に背いてでも女神を救うために戦い続けている。
その心意気が俺はとても気に入った。
白はおそらくDの帳尻合わせで生み出された存在なんだろう…だけど、そこから生き抜き最後には神に至った。これは本当に凄いことだ。
Dが気に入るわけだ…まぁ、巻き込まれた白からすればたまったものではないだろうけど。
もちろん、俺が白を気に入った理由はそれだけではない。
俺が白を気に入ったのは何より、ただ純粋に生きる為に足掻き続けた、その姿勢だ。生きたいという純粋な想いは誰もが持ち合わせているもので、それはとても強い輝きを放つ。
白の生き様は、俺が人間だった時のことを思い出させてくれるもので、柄にもなく感傷に浸った。
ポティマス?あいつはただの害悪だから含めないよ。
それはさておき、他に白が気に入った理由としては多分本人に自覚はないだろうけど、意外とお人好しな所だ。
だからこそ、俺は2人に手を貸したいと思った。ま、それを話すのは少々恥ずかしいので口にはしないが。
「そっか…改めてありがとね、アストロ君」
「どういたしまして。…この結末がお前にとっても良いものになると良いな」
俺の言葉にアリエルは1度笑みを浮かべてから、白と共に俺の空間から魔王城へと戻っていった。
「…さて、俺も俺で下準備を進める必要がありそうだな」
そう口にして、俺も異空間から出ていく。全てを救う下準備を進める為に。
という感じの第5話でした!以下、ちょっとした短編です。
「くっ…なかなか仕事が終わりませんね…早く彼に会いに行きたいのにー!」
「いいからキリキリ働いてください」
「しくしく…あら?これはもしや…」
拝啓 Dへ
久しぶりだな、D。まさか、お前が手紙なんて送ってくるとは思わなかった…まぁ、結構嬉しいものだな。
そっちはそっちで大変そうだな。俺もいきなり異世界に召喚されて、その世界を救う為に色々と準備をしている最中だ。
ま、お互いに大変だろうけど頑張ろうぜ。…全部終わったら、久しぶりにお前と過ごしたいな…俺がいない間に何があったのかも知りたいしな。
それじゃあまたな。久しぶりに帰ったらご飯でも作るよ。
お前の恋人、星の守護者より
「フフフ…!やはり良いですね、こういうやり取りは…ますます彼に会いたくなってきました♪では、もっとペースを上げましょう!」
「…!またスペースが上がりましたね。普段からこれぐらいやる気になってくれないものでしょうか…」
―――――
―――
――
「ちゃんとDに届いただろうか?まさか、あいつが手紙を送ってくるとはな…ま、届いたと信じて俺は準備を進めよう」
////////////////
といった感じの短編でした!
それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます。