今回はアストロの過去にちょっと触れます。
それでは本編をどうぞ!
「さて、まずは何から始めるべきか…」
エルロー大迷宮の最下層、女神サリエルが眠る場所で俺は1人思考する。
システムの破壊に関しては白に任せておけば大丈夫だろうし、俺がやることはサリエルをシステムから切り離して、エネルギーを補充することぐらいしかないんだよな。
ただ、それをするのはエルフの里での戦いが終わってからだし、俺が今すぐにやらなければならないことなんてあるか?
俺の最終目標は星と人、そして神をも救うことだ…正直、このまま上手くいけばその目的を達成することができるだろう。
このまま白達が暗躍し、誰にも知られないまま世界が救われればそれで問題はないしな。
ただ、Dがそんなことを認めるとは思えない。絶対に、何かしらの形で干渉してくるだろう…例えば白達の企みをこの世界の人間達に知らせるとかな。
うわ〜、有り得そう…あいつならやりかねない…というか絶対やるな。
そうなると、俺がすべきことは不測の事態に備えて白達を見守ることだな。
そう考えて、俺は自分の分身を作り出し、白達の様子を見ることにした。この分身は以前の戦いの分身のように俺と同じ戦闘能力を持っているわけではないが、隠密行動に長けた分身だ。
「白達を見守ってくれ。そして、何かあればすぐに俺に報告してほしい」
「了解!任せてくれ!」
「あぁ、頼んだ」
そうして、俺の分身は姿を消した。
とりあえずはこれで大丈夫かな?後はDの行動に対する作戦でも考えておこう。
一応、あいつのやりそうなことは想像できる。多分、あいつは……うん?誰か近づいてくる。
Dの行動について考え込んでいると、ふと気配を感じた。
そして、その気配のする方に視線を移すと、そこには――――
「D!?お前、ここに来たのか?」
「はい、来てしまいました♪」
邪神であり、俺の恋人でもあるDが居た。
さすがにこれはちょっと想定外だな。
――――――
――――
――
「何でここに?」
「あなたに会いたかったので」
「俺としてもお前に久しぶりに会いたかったけどな…まぁ、まさかこんなに早く会えるとは思わなかったけど」
「えぇ、とても頑張りましたから…褒めてください」
「うん、お疲れ様…良く頑張ったな。後、遅くなったけど、ただいま…」
「はい。お帰りなさい…」
Dのその言葉を聞いて、俺はDを抱きしめる。そして、Dもそれに応えるように抱き返してくる。
久しぶりだな、こういうの…俺は大分長い間眠りについてたっぽいし。
「…久しぶりにあなたとこうして抱き合えるなんて私は幸せ者ですね…このまま連れ帰りたいものです…」
「いやいや、まだやることがあるからその後でだ」
「そうですか…なら、仕方ありませんね。私も一緒に行動してあげましょう!」
「えっ?正気か!?」
「えぇ、もちろんです。久しぶりの再会なのに、デートの1つもしないで帰るなんて勿体ないじゃありませんか」
「デート?デートなのか?…でも、お前が居たら色々ややこしいことになるんじゃないか?」
白についてとか、その他諸々…いや、知り合いに会わなければ何とかなるか…?
うーん、ちょっと無理があるな…だけど、Dは言い出したら聞かないよな〜多分。
「…はぁ、わかったよ。一緒に行こう…ただし、姿はちゃんと隠せよ?じゃないと、俺が大変だ」
「あなたが慌てふためく姿を見るのは、なかなか面白そうですが」
「やめろよ、マジで…じゃないと、お前を無理やりにでも元の場所に帰すからな」
「冗談ですよ…さ、行きましょう♪」
「はいはい…わかったよ」
そう言って、俺はDの手を引きエルロー大迷宮から出るのだった。
///////////////
アストロの話を聞いてから、しばらく日を跨いだ今日、私は彼から託された宝玉を鑑賞していた。
…何回見てもすんごいエネルギー量だね。これがあれば世界の1つや2つ簡単に救えるよ…それをポンと渡すアストロ…マジパネェっすわ。
これをシステム破壊と同時に砕くなんて勿体なくない?どうにか、システムが崩壊する前に回収できないもんかね?
まぁ、アストロはこの膨大なエネルギーを悪用されないようにする為に砕くことにしたのかもしれないけど。
「白ちゃん、入って良い?」
うん?魔王?何の用だろ…ま、良いか。
「どうぞ」
「じゃ、お邪魔しま~す」
そうして、魔王が部屋に入ってくる。
「それって、アストロ君の宝玉?」
「そう。何回も調べてるけどすさまじいエネルギー量だね…これだけあれば計画通りにできると思う」
「そか、それなら安心だね。そうそう、ちょうど私もアストロ君のことで話があって来たんだよ」
「アストロのことで?」
「うん。アストロ君の言ってた星の守護者って言葉、どっかで聞いたことがあるなって思ってたんだけどね……思い出したよ。昔、サリエル様から星の守護者のお伽話を聞かされてたことがあったんだ」
「星の守護者のお伽話…?」
何それすごく気になるんですけど…もしかして、アストロの過去についてわかるかもしれない。
「聞かせて」
「おぉ、意外と好感触だね。アストロ君のこと結構気になるの?」
「うん。Dの所で彼の話を聞かされてたから、結構興味がある」
「そういえば、アストロ君ってD様の恋人だったね…いや〜、正直未だに信じられないよ」
「同じく……それで、星の守護者のお伽話って何?」
「そうだね、それじゃあ本題に入ろっか。といっても私はサリエル様から聞いただけだから、詳しくはわからないんだけど」
そう言って、魔王は星の守護者のお伽話について話し始めた。
―――――――
―――――
―――
大分昔のことなんだけど、ある星に1人の少年が転生してきたんだって。
そう、転生者。元々、彼は白ちゃん達と同じ転生者だったんだよ。その時の私は転生とか、転生者とかよくわかってなかったから、あんまり深く考えてはなかったんだろうね…今の今まで忘れてたぐらいだし。
それで、もうアストロ君って呼んじゃうけど…アストロ君が転生した世界は龍と神が争っていた世界だったらしくてね、そんな世界で人族と魔族は互いに手を取り合って生きてたみたい。
こっちの世界では争ってる人族と魔族だけど、別の世界では手を取り合っていたって思うと、ちょっと複雑だね……ま、それは置いておいて、そこでアストロ君は仲間達と冒険者をやってたみたい。
そして、いくつもの困難を乗り越えて、アストロ君はついに龍と神を打ち倒し、その世界に生きる人々に自由をもたらした…最後にはアストロ君自身が神になって。
ただ、神になったのは龍と神を倒した後みたい。どうやって神になったのかはわからないけどね。
その後、アストロ君はその世界のことを、その世界に生きる人達に託してその世界から去って行ったとさ…おしまい。
これが星の守護者の始まりの物語だってサリエル様は言ってた。
多分、そこに至るまでの過程はもっと過酷だったんだろうけど、誰かに聞かせるには長すぎるから端折られた部分もあると思う。
どう?参考になったかな?
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「なるほど…」
魔王の話は割と参考になった。今まで謎だったアストロのことが少しわかってきたし。
にしても、アストロが元々私達と同じ転生者だったとはね…ちょっと意外かもしれない。
でも、そうなるとアストロってチートすぎない?いくら転生者といえど強さは人間の域を出ないはずなのに、龍と神を倒すとか…そりゃあ神になれてもおかしくないよ。
まぁ、本物の龍と神を相手にしたんだから、勝つのは相当難しかったはずだけど…というか、そうじゃないと私と黒の立つ瀬がない。
ただ、Dはアストロが神になった経緯について詳しくは知らないって言ってたのにサリエルは知ってたことになるけど、それは何でなんだろ?
Dが嘘をついたか…もしくはサリエルとアストロには何らかの関係があるのか……個人的には後者の可能性が高いかなと思ってるけど。
そういえば、今さらだけど私ってば何でこんなにアストロのことが気になるんだろ?
もちろん個人的な興味はあるけど、ここまで気にするほどじゃない気がするし。
…まぁ、良いかな。実際、アストロのことを知るのは無駄じゃないし。
「魔王、サリエルは何か他に言ってた?」
「うーん、そうだね……あ、そういえば星の守護者は自分の親みたいなものだって言ってたような…」
「親みたいなもの?」
何かすごい重要な情報をさらっと口にしてない!?サリエルにとってアストロは親みたいなものってどういうこと?
…うーん、これは私が思った通りアストロとサリエルには何かしらの関係があると考えて良いね。
でも、一体どんな関係なんだろ?もしかして、アストロはある種族の始祖で、サリエルはその種族の1人だったりして……なんてね!そもそもアストロは元々人間だったんだから、何かの始祖になるとか考えられないし。
とりあえず、一旦このことは保留にしておこう。今すぐ解決しなきゃならない問題でもないし。
さて、ちょうど今は魔王も居るし、ついでに進捗状況でも報告してもらおうかな。
そう切り替えて、私は魔王に報告を求めることにした。
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「これ、食べるか?」
「はい、頂きます」
エルロー大迷宮から脱出し、市街地を観光しにきた俺は露店に売っていた食べ物を買ってきた。
見た目は串焼きみたいな感じだけど、どうだろうか?
「お、意外と美味いな…」
「そうですね…あなたと一緒だからでしょうか?」
「そうかもな。そういや、俺ってどれくらい眠ってたんだ?」
「ざっと数百年ほどですね。あなたが目覚めるのをどれほど待ちわびていたか…本当に目覚めてくれて良かったです」
「それに関しては本当に悪かった…俺もこんなに眠ることになるとは思ってなかった」
もしかしたら、俺は無意識の内に驕っていたのかもしれない…自分ならどんな罠があってもなんとかなる、そんな驕りが俺にあったのかも。
その結果がこれじゃあ笑えない…神になってから敗北というものや生死の境を彷徨うことがなかったことも原因か。
まったく、人間だった時の俺は油断や驕りとはほど遠かったのにな…よし、ここは人間だった時の気持ちを思い出そうか。
「…大丈夫、もう2度と同じ失敗はしない」
「それなら良いのですが…」
「うん、大丈夫だ」
「そうですか…なら、私はその言葉を信じましょう」
「ありがとう」
「いえいえ。あ、食べますか?せっかくですから、恋人らしくお互いに食べさせ合いましょう」
「本気か?」
「えぇ、もちろん」
そう言って、Dは自分の串焼きを俺の口元に近づけてくる。
「刺したりしないだろうな?」
「しませんよ」
「わかってる、冗談だよ…」
そう言って、Dの串焼きを口に入れる。
うん。やっぱり美味いな…心なしかさっきより美味しく感じる。
「はい、Dも食べたら?」
「では遠慮なく」
そうして、Dに俺の串焼きを食べさせる。
まるで、普通のデートみたいだ。いや、まるでじゃなくてまさにそうなんだけど…そういえば、Dとデートするのって初めてでは?一緒に暮らしては居たけど、こんな普通にデートするのは今までなかった。
「美味しいです!やはり、良いものですね…こういうものは…あなたはどうですか?」
「あぁ、悪くないな…いや、かなり良いと思う」
「フフッ!それは良かったです。1度、あなたとこうしてデートをしてみたかったんですよ…なかなか私達はそういう機会に恵まれなかったでしょう?」
「確かにな…よし!それじゃあもっと色々と回ろうか!せっかくの機会だからな」
「はい、喜んで♪ここまで来たらとことん楽しみましょう!」
「あぁ、そうだな」
今の所、分身からは特に何の報告もないから順調に事は運んでいると見て良いだろうし、色々と回るのも悪くないだろう。
俺としてもDとのデートを楽しみたい気持ちがあるからな。
そんなことを思いながら、俺はDと共に次の街へと向かうのだった。
といった感じの第6話でした!
アニメの方はついに地龍アラバ戦に入りますね!個人的にあの戦いはかなりの名勝負なのでアニメで見るのがとても楽しみです!
それでは今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!