世界最悪の邪神の恋物語   作:kajoker

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第7話です。ついに、アニメの2クール目が始まりましたね!アニメが原作のどこまでやるのかはわかりませんが、毎週楽しみにしたいと思います!

それでは本編をどうぞ!


神々の邂逅

「すごい盛り上がりですね」

 

「そうだな」

 

色々と街を回り、レングザント帝国にやってきた俺とDは、まるで軍事パレードのように行進している大軍を見ながら、そんな会話を交わす。

 

どうやら、白達の計画は上手くいってるみたいだな。

 

誰もこの状況を怪しんでないし、ダスティンの奴が色々と根回しをしたってことか。

 

まったく、とんでもない影響力だな…あいつ相手に駆け引きするのはなかなか骨が折れそうだ。

 

「白織達の計画は上手くいっているようですね」

 

「みたいだな…って、やっぱり知ってたのか」

 

「えぇ、知ってましたよ」

 

「そっか…一応、聞いておくけど邪魔するつもりか?」

 

「いえいえ、そんなつもりはありませんよ。ただ、ちょっとした演出をするだけです」

 

「やっぱそういうことはするんだな…まぁ、分かりきってたことだけどさ」

 

Dがこのまま観ているだけとは考えられないし…ん?もしかして俺の行動とかも読まれている?

 

…それならそれで良いか…多分、Dは俺がどういう行動を取るのかを理解していたとしても、理解した上で乗ってくれると思うし。

 

まぁ、こればっかりはDを信じるしかないけどな。

 

「よし、そろそろ行くか」

 

「エルフの里に行くんですか?」

 

「まぁな。そろそろ本格的に作戦が始まるだろうし」

 

「それなら私もついていきます」

 

「それは良いけどさ…バレる可能性が高まりそう」

 

「それはそれで面白そうじゃありませんか?」

 

「マジでやめような」

 

エルフの里には転生者の皆が居るだろうし、白とDが姿を見せたら間違いなく混乱する。

 

そうなると説明が面倒くさいし、Dと白の正体についても言及されるだろう。

 

うん。どう転んでも碌なことにならない。

 

まぁ、それがわからないDじゃないから冗談だろうけどさ。

 

「冗談ですよ」

 

「うん、知ってた。というか、前にも似たようなやりとりをしたな…ま、それはさておき、どうしたものかな…」

 

このままDを一緒に連れて行くのはリスクが高すぎる…かといって、分身にあっちのことを全部丸投げってわけにもいかないしな。

 

Dがおとなしく帰ってくれるはずもないし…うーん、マジでどうしよう。

 

「こんな所に居たんですね」

 

「あ、冥土さんじゃありませんか、一体どういったご用件ですか?見ての通り、私は彼とのデート中なので邪魔をしないでほしいのですが」

 

俺がDをどうしようか考えていると、大和撫子風な黒髪の女性が姿を現した。

 

一応、なんとなく誰かが接近しているのは感じていたけど、これまたすごいやつが来たな…というか、この神とどこがで会ったことがあるような…

 

「あっ!思い出した!確か、神を辻斬りしてた…」

 

「それは言わないでください…昔のことです」

 

「それもそうか…ごめん、何年も眠ってたからつい最近のことに思えてな」

 

「いえ、お気になさらず…改めて、お久しぶりです。星の守護者様」

 

「うん、久しぶりだな…一応、今はアストロって名乗っているから、そっちの名前で呼んでくれ」

 

「では、アストロ様と…まさか、こうして再びあなた様に出会えるとは思いもよりませんでした」

 

冥土はどこか畏まった様子で、そう口にする。

 

彼女とは以前戦ったことがあるが、こんな畏まるタイプではなかった気がする…まぁ、年月が経っているからこれぐらい変わっていても不思議はないか。

 

彼女は純粋な戦闘能力でいえばDより上だ。だから、彼女と戦った時はかなり苦戦した…それこそ、ほとんど使ったことがないフィールド展開を使わざるを得ないほどに。

 

「それで結局、何のご用でしょうか?冥土さん」

 

「あなたが星の守護者様と恋人などと口にしていたのが気になりまして。まさか、本当に恋人とは思いませんでしたが」

 

「だから、本当だって言ったじゃありませんか」

 

「はぁ〜…アストロ様、悪いことは言いません。早々に別れることをオススメします」

 

「あはは…まぁ、Dにも良い所はあるからさ…そうでなきゃ、ここまでDのことを好きになったりはしないさ」

 

「あなたが、それで良いなら構いませんが…」

 

「フフフ、冥土さん…私と彼の仲を引き裂こうとしたって、そうはいきませんよ」

 

「はいはい、わかりました…さ、帰りますよ。あなたがここに来てから、仕事がまた溜まっていますから」

 

「そんなご無体な〜…というか、私かなり仕事をこなしたはずなのですが…それこそ、まだ遊べるぐらいには。まさか、私を彼から引き離す為に…」

 

「何かよくわからないけど、とりあえずDが帰るってことか…少し寂しくなるな。まぁ、でも仕事ならしょうがないな。それじゃあ、また今度な」

 

「しくしく…こうして愛し合う2人は引き裂かれてしまうのですね…ですが、私は挫けません!必ずやあなたと再会して――――」

 

「わけのわからないことを言ってないで早く帰りますよ」

 

そうして、Dは冥土に引きずられながら帰って行ってしまった。

 

その時に冥土がこちらにアイコンタクトを送っているのが目に入った。

 

Dのことは任せろということだろうか?それは、正直ありがたい…Dのことをどうしようかすごい悩んでたからな。

 

最悪の場合、Dに認識阻害の魔術を掛けて他の人達の目を誤魔化そうと思っていたぐらいだ。

 

ただ、それはそれとしてやはり寂しい気持ちになるな…ここ最近、Dと色々な所を回ったのは結構楽しかったし。

 

ま、冥土は、俺のことを気遣ってDを連れ帰ってくれたんだろうしその厚意を無碍にするのも悪いよな…うん。ありがとうな、冥土。

 

俺は心の中で彼女に礼を言いながら、エルフの里へ向けて歩き始めた。

 

///////////////

 

「そっちはどうだ?」

 

『今の所、問題なし…いや、今白がどこかに転移した』

 

「勇者達に何かあったのかもな…よし、とりあえずそっちはそのまま魔族軍の様子を観察してくれ。俺は白の様子を見てくる」

 

『了解』

 

そうして、俺は白の向かった所に転移した。

 

―――――

 

―――

 

というわけで白の所へとやってきたわけだけど、ここは王城か。

 

あっ、白だ。何かの様子を見ているのか…俺の気配には気づいていないみたいだけど。

 

俺も見てみるか…ふむ、あれはロナントって人じゃないか?

 

俺の見た星の記憶の中でも、かなり変わった人だったから強く記憶に残っている。あれは間違いなくロナントだろう。

 

というか、あの人すげーな…あんな遠くに居る勇者君に魔法が届いている…あれは相当魔法への理解がないとできない技だ。

 

さすがに勇者君の魔法に相殺されたけど…というか、仮にも勇者の魔法と相殺って…あの人、ちょっとおかしい。

 

俺の人間時代の師匠には及ばないにしても、良い勝負をしそうだ。

 

それにしても…このままじゃ、勇者君倒されちゃったりしないか?大丈夫か?

 

まぁ、そんな事態に陥る前に助けるつもりだけどな。

 

そんなことを思いながら戦いを見ていると、突如としてロナントが弟子と共に転移魔法でどこかへ消えてしまった。

 

一瞬、何故撤退したのかわからなかったが、すぐにその理由についてわかった。

 

それは考えれば当たり前の理由。ロナントは自分の弟子の弟が死ぬ所を見たくなかったんだと思う。

 

確かにあのまま戦えばロナントは勝っていたかもしれない、だけどそれは自分の弟子の弟を殺すということだ…そりゃあ誰だってそんなことはしたくないだろう。

 

彼の弟子、ユリウスは白によって殺された…短い期間とはいえ弟子は弟子、もしかしたら自分がもっと色々なことを教えることができれば、ユリウスは死ななかったかもしれない…そんな後悔もあったのかもしれない。

 

まぁ、これは俺の推測でしかないし、実際の所ロナントの気持ちはロナント自身にしかわからないだろうけど。

 

そんなことを思っていると、勇者君が人質となっていた人達を蘇生させていた。

 

にしても、勇者君ことシュン君の慈悲のスキルは反則級だな…こんなポンポンと人を生き返らせるなんて、ド○ゴンボールかよ…この世界限定とはいえ、本当にとんでもないな。

 

いや、本当にとんでもないのはこんなスキルをシステムに組み込んだDか…やっぱあいつすごいわ。

 

俺も死者蘇生はできるが、Dほど生死を操れたりはしないからな。

 

…さて、とりあえず勇者一行には何の異常もなかったし、そろそろ戻ろうか?いや、そういえば1人挨拶しておきたい奴が居たな。

 

――――――

 

――――

 

――

 

「お邪魔しまーす…」

 

「…!誰だ!?どうやってここに…」

 

「初めましてだな。管理者ギュリエディストディエス…って、名前長っ、とりあえず黒って呼ぶよ」

 

王城から黒の分身であるハイリンスの気配を覚え、それと類似する気配を探って本体の元へと転移した。

 

そうやって辿り着いた場所は謎の空間、多分黒が作った空間なんだろう。さすがに、ここに来るとは思っていなかったのか黒の奴は心底驚いた顔でこちらを見ている。

 

「お前は一体何者だ?」

 

「俺はアストロ。星の守護者って言った方が君には伝わるかな?」

 

「なっ!あの星の守護者か?」

 

「そうだ…あっ、バレないように気配を消してたから気づかなかったのか。待っててくれ、今気配遮断を解くから」

 

そうして、気配遮断を解き、神としての力を一時的に開放する。

 

「これで、信じてくれたか?」

 

「あ、あぁ…信じるしかあるまい。お前が…いえ、あなたがあの星の守護者なのか」

 

「やっぱり、星の守護者って結構有名なんだな…俺の知らない所で神々の間でめちゃくちゃ広まっていて、ちょっとびっくりだ」

 

「星の守護者の存在は我々龍の間でも有名ですので…あなたの話もよく聞かされていました」

 

「まぁ、龍とも何度か戦ってるからな。あいつらからしたら、俺は因縁の相手だろうさ…というか、一部の神々以外、神も龍も俺の事を敵視しているのでは?」

 

「…ところで、どういった御用向きでここに?」

 

少しバツが悪そうな顔で話題を変える黒の様子から、やっぱりそうなのかと納得する。

 

「気遣いどうも…後、そんな畏まらなくて良い。もっと楽にしてくれ」

 

「わ、わかり…わかった。不躾ではあるがそうさせてもらう」

 

「ありがとう。さて、何でここに来たのかだったな…まぁ、そんな深い理由があるわけじゃない、単純にお前に挨拶しにきただけだよ。一応、俺も白の協力者だからな…お前に挨拶しないわけにもいかないからさ」

 

「あなたが、白の計画の協力者だと…!」

 

「まぁな。実は、サリエルにこの世界に呼ばれてな…それで、白達の計画に協力することにした」

 

「サリエルが?…なるほど、あなたが呼ばれたのも当然か…」

 

「そうだな、サリエルと俺は無関係ではないし…俺は彼女を見て初めて知ったけど…多分、俺とサリエルの関係、いやサリエル達か?とにかくそれを知ってるのは彼女達と、彼女達の誰かから話しを聞いた奴ぐらいだろうけど」

 

「そうだろうな。あなたとサリエルの関係は他の龍達も知らなかった…推測ぐらいは立てているものは居たかもしれないが」

 

「ま、今はそれは良いよ。とりあえず、短い間だけかもしれないけどよろしくな、黒」

 

「…こちらこそ、よろしく頼む」

 

そうして、俺と黒は握手をした。

 

「それじゃあ、またな。そろそろ戻るよ」

 

「あぁ、また…」

 

そんな黒の返事を聞きながら俺は転移魔法で元の場所へと帰って行った。

 

///////////////

 

星の守護者を見送り、私はようやく少し緊張を解くことができた。

 

まったくなんという威圧感だ…本人はまったく意識していないようだが。

 

それも当然ではある…そもそも星の守護者と私では神として生きてきた年月も、実戦経験にも圧倒的な差がある。言ってしまえば、神としての格が違う。

 

あちらからすれば、普通に接しているにすぎないのだろうが、私のような神からすれば、十分恐怖の対象と言えるだろう。

 

ただ、星の守護者自身は至って善性の神だ。時に冷酷な判断を下すことこそあれど、基本的には星と人を救う為に力を尽くす。

 

それこそがあの方が星の守護者たる所以。

 

そして、原初の天使たる所以なのだろう。

 

サリエル達、天使は星の守護者から生まれたのだとサリエルから聞かされた。

 

あの方の様子から見て、自分から生み出したわけではなさそうだが…もしかしたら、天使はあの方が認知していない所で、星の守護者のデータを基に世界が生み出した存在なのかもしれんな。

 

…とにかく、今は心強い味方が増えたと考えよう。あの方が味方に居るのであれば、これ以上ないほど頼りになる。

 

私はそう考えて、未だに緊張しきっていた身体の力を抜くのだった。

 




察していた人も居たかもしれませんが、アストロは天使の始祖です。ただ、彼自身が生み出したわけではなく、人の身で神を打ち倒した彼の戦闘データ等を基に世界が神へのカウンターとして生み出したのが天使、という感じです。

それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!
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