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それでは、本編をどうぞ!
「さすがだな白、ロボット軍団がどんどん吸い込まれていく…それにしてもすごいな…空間魔法の精度がかなり高い」
ロボット軍団に襲われていたロナントを助け、引き続きロボット軍団を倒しながら俺と白は歩を進めていた。
やっぱり情報として知っていても、実物を見てみた方がより白の空間魔法の凄さがよくわかる。
大したものだ。多分、空間魔法だけでなら黒以上の使い手だと思う。
「アストロ、さっきのってどういう仕組み?」
「うん?ロボット軍団を自爆させたやつのことか?」
俺の問いに白は頷く。
「俺は概念干渉系の能力が得意でさ。さっきのも、その能力の一部だ。仕組みとしてはロボットの概念に干渉して俺の術式を仕込む、そしてその主導権を奪う…イメージとしては、ハッキングとかに近いな。一応、これは相手の魔法なんかにも応用できる。相手の使った魔法に干渉し俺の術式を仕込む、そして相手の魔法を奪ってコントロール下に置いたりとかな」
「反則すぎない?」
「これでもまだ序の口だよ。この能力はまだまだ色んな使い方ができる」
「人を洗脳したりとか?」
「それは無理。仮に出来たとしても使いたいとは思わないけど」
そんな会話を交わしながら、ロボット軍団を倒していく。途中、ロボットに襲われていたサジン、前世の名前は草間忍だったか?まぁ、とにかくそいつを助けたりもした。
そうして歩を進めていると、何やらヘトヘトな様子の分身体の姿が目に入った。
大丈夫ではなさそうだな…見た感じ、ラース君もソフィアさんも居るみたいだし理由を聞いてみるか。
「行こう」
「うん」
そうして、俺と白はラース君達の元に向かった。
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――――時間は少し遡る。
「だぁーっ!クソっ!何でこうなるかな!」
ラース、お前さっきまで和やかな感じでシュン達と話してたじゃん!いや、和やかではなかったかもしれんけど!
さっきの俺はラースと戦うことになったらどう対処するかで頭がいっぱいで、ほとんど話を聞いてなかったからわからないけど!
しかもソフィアも居るし、状況としては決して良くない。
「おとなしくユーゴーを渡してくれたら、僕も君と戦わずに済むんだけどね」
「いや、渡したら殺すだろ…それはこっちとしては喜ばしくないからな」
「じゃあ力づくで渡してもらうしかないね」
ラースの攻撃を捌きながら、辺りの様子を伺う。
辺りにはソフィアのスキルによってゾンビ達が徘徊していて、勇者達にも襲い掛かっている。
正直、ラースの対処に追われていて、あっちまでカバーできる余裕はないな…向こうには自力で頑張ってもらうしかない。
うちの本体ならこれぐらい屁でもないんだろうけど、俺はあくまで隠密特化の分身体、ステータスでいうならラースと互角ではあるが、ユーゴーを守りながら戦う分こっちの方が不利だ。
やばいな、このままじゃジリ貧だ…仕方ない、少々乱暴だが死にはしないだろう。
「悪いな、ちょっと上空に行ってくれ!」
「なっ!?」
ラースがまさに剣を振り下ろそうとしているタイミングに合わせてユーゴーを上空に向けて蹴り飛ばす。さすがにこの行動は予想外だったのか、ラースの動きが鈍くなる。
そこですかさず魔法を構築。氷の剣と地の剣を創り出して斬り掛かる。それをラースは異空間から魔剣を2本出して防いでくる。
そうして互いの剣がぶつかり合い、剣戟の音が響く。
(やっぱり、ステータス的には互角だから押し切るのはなかなか難しいか…!なら!)
剣をぶつけ合いながら、身体の力を一瞬抜いてラースの攻撃を回避し、すぐさま体勢を立て直してラースを蹴り飛ばす。
よし、このまま…!って、そうだユーゴーのことすっかり忘れてたぜ。
空中に蹴り飛ばしたユーゴーのことを思い出し、地面に氷の剣を突き刺しユーゴーの落下地点にクッション代わりの氷のソファを創りあげる。
この氷のソファには弾力性やら、衝撃を和らげる付与魔法を掛けてあるから、ユーゴーはほとんどダメージを受けないだろう。
「どうしてそこまでユーゴーを庇うんだい?彼は許されないことをした、それ相応の報いは受けさせるべきだろう?」
「それに関しては同感だ。だけど、うちの本体は今生きてる転生者達を救う為にわざわざこんな世界まで救おうとしてるんだ…その思いにはちゃんと応えないといけないだろ?」
「本体?ということは君は分身体みたいなものなのかな?」
「あぁ、そうだよ…なんか文句あるか?俺は本体の隠密特化の分身体、αだ…そこまで戦闘能力は高くない」
「いや、文句はないよ。ただ、君の本体は僕の想像を遥かに超えた存在みたいで驚いただけだよ…そういえば、白さんが新しい協力者ができたって言ってたっけ…じゃあ、彼の本体がもしかして…これはちょっと不味いことをしたかな…」
そう言うと、ラースはソフィアの元へと瞬時に移動した。
これはユーゴーを殺すのを諦めてくれたと思って良いのか?いや、というより俺の本体が白の協力者だと悟って、手を出すべきじゃないと判断した可能性が高いか。
まぁ、何であれ戦わずに済むならありがたい。正直、分身体のこの身には少々厳しい相手だったし。
「さて、とりあえず勇者達の所へ―――「グガァァァァ!!」な、何だ!?今の叫び声!?勇者達の所か!」
そうして、声が聞こえた所に縄で縛ったユーゴーを引きずりながら勇者達の所へと向かう。
そして、勇者達の所に辿り着くと、何故かぶっ倒れているシュンに、シュンを守るようにゾンビ達と奮戦しているカティア達の姿。
「若葉さん…」
白を視認して、その言葉を口にしたのを最後にシュンは意識を失ったようだ。
「状況がいまいちわかんないんだけど、α、いったい何があったんだ?」
本体にそう聞かれ、俺は今までの経緯を説明した。
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「なるほどな…お疲れ様、ゆっくり休んでくれ」
「あぁ、それはありがたい…すまん本体、後は任せた」
そう言って、αは光となって俺の中へと還っていった。
さて、αの話だけではわからないこてもあるし、ラース君とソフィアさんにもっと詳しく話を聞いた方が良さそうだ。
って、ソフィアさんが白に責めるような目を向けられているな…いや、白は眼を開けてないけど雰囲気で。
「白、ソフィアさんが犯人なのか?」
「違うわよ!ていうか貴方誰!?何でご主人様と一緒に居るの?」
「おっと、これは失礼。俺の名前はアストロ、周りからは星の守護者なんて大層な異名で呼ばれている。わけあって、白とは協力関係にあるんだ、よろしくな…それで、何でこんなことに?αが着いた時はすでにこうなっていたみたいなんだが…」
そう俺が尋ねると、ラース君が状況の説明を始めてくれた。
そして、その話を聞くにつれてこの状況について理解できた。
簡単にまとめるとこうだ。
ソフィアのスキルにより現れたゾンビ達により勇者達が苦戦。
↓
ソンビの弓矢がアナに突き刺さり、致命傷を負う。
↓
シュン君が慈悲のスキルを使用してアナを蘇生させる。
↓
禁忌レベルがカンストして、シュン君が意識を失う。
まぁ、大体こんな感じだ。どうやら原因としてはシュン君の禁忌レベルを上げる為にわざと死人を増やした白と、ゾンビを出したソフィアさんのようだ。
…とにかく、命に関わるような事態じゃなくて良かった…さて、この場はラース君とソフィアさんに任せても良さそうだな。
おっと、肝心なことを忘れていた。
ユーゴーに対して罰を与えておかないとな。
「今から、俺なりに彼に罰を与えるよ…言っておくけど、邪魔はするなよ?」
ま、先に邪魔をしたのはこちらの方だけど、彼らが余計なことをしないように一応念を押しておく。
さて、始めるか。
ユーゴーのステータスに干渉し、わかりやすく実体化する。
そして、実体化したステータスを剣で斬る。すると、ステータスが砕け散り、スキルと共に光となって消えていった。
「一体何をしたんだ?」
ラース君からそんな驚きの声が漏れる。
「今、彼のステータスを破壊した。これで2度とスキルは使えないし、スキルを得ることもできない。ステータスの恩恵を受けることもできないから、ただの人間と変わらない」
これが俺なりの彼への罰、白達からすればこれはむしろ救っているとになるかもしれないが、他の人達からすればステータスを破壊されるというのは十分な罰に見えるはずだ。
この世界でステータスを破壊されるということは魔物や、他のこの世界の人達に対抗する手段を失うということ、そうなった人物がどんな目に合うのか、瞬時に思いつくだけでも悲惨な状況になるものばかりだ。
まぁ、何にせよ長期的に見れば救い、短期的に見れば十分な罰だ…もし、これでも改心しないのであればもう見込みはないかもしれない…そうなってしまえば、ユーゴーを始末するという選択肢も出てきてしまう。
俺としては、出来れば転生者を殺したくはないんだけど。
…まぁ、マイナスに考えていても仕方ないか、やれるだけやろう。
「白、俺はちょっとここに残るから、他の所に先に行っててくれ」
「わかった」
短く返事をして、白はそこから去って行った。
「さて、ユーゴーにちゃんと説明してあげないとな…そこからどうするかは本人次第だけど、上手くいけばここからやり直すことができるかもしれない」
そうして、俺はユーゴーを目覚めさせ、今の彼の現状に説明することにするのだった。
といった感じの第9話でした!
今回の話のように同時に物語を進めるのはなかなか大変ですね…複数の視点で物語を展開している方々は本当にすごいと思います。
それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!