なるべく矛盾しないように気を付けているけど素人だからさ……
目を覚ました。
どうやら朝が来たようだ。
まどろむ目を擦りながら身体を起こす。が、なかなか起き上がらない。基本的に私は朝に弱い。
「おーい、朝だぞー」
外から声が聞こえる。ここの家主だ。
起きなければ、世話をかけてしまう。
「んぅ……起き、ます」
間の抜けた、ふわふわした声が出た。
自分の喉から出たとは思えなかった。
「おはようございます。」
「おはよう、良い天気じゃな。」
目を覚ました私は身支度を始める。
といっても、身支度するほど持ち込んではないが。
「寝床、ありがとうございます。」
「もう出ていくのか?」
「ええ、そうですが。」
「よかったら、朝食でも食べていきなさい。急いではないのだろう?」
「……では、いただきます。」
◇◇◇
「どうかね?口にあったかな。」
「……ええ、とても良かったです。」
ごちそうさまでした。と手を合わせた。
ふと、聞き忘れていたことを思い出した。
「出ていく前に、聞きたいことがあるのですが」
「何かね?答えられる物であれば、答えよう。」
「古き王の地を探しています。」
「……」
途端に、おじいさんの顔つきが鋭く変わる。
人当たりのいい雰囲気が、何かを見定めるような目つきに。
「もし何か知っているのであれば、教えてほしいのですが。」
「あれは禁域だ。生きて帰れる所ではないぞ。」
「覚悟の上です。おじいさんは知っているのですか?」
「覚悟の上、か……。ああ、知っておる。ワシの知る限りを教えてやろう。」
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ワシの爺さんのそのまた爺さんだとか、気の遠くなるほど昔の話じゃ。
かつてこのテラの地には幾多の王が現れていた。
その中には類稀な力に民を守らんとする意思や人望、他者を惹きつける者らがいた。
彼らの国は豊かで良い国だった。
しかし、国が滅べば王も滅ぶ。逆も然り。
ある王は毒に呑まれた。
ある王は炎に沈んだ。
ある王は、凍てついた地に眠った。
かの王たちの国を知る者はおらぬ。どこにあるかさえ分からず、微かな伝承として残り、常人には行けぬことから「禁域」となったのじゃ。
お主の言う古き王の地というのはその王達の国のことなのだろう。
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「知っているのはこれくらいじゃ。」
「禁域、ですか。」
「そうじゃ。しかも、そこへ通じる扉は閉じられている。」
「鍵が必要だと。」
「そうじゃ。」
想像を絶する面倒くささに、彼女から聞いたある言葉を思い出す。
「汝、相応しき冠を欲するならば、苦難を求めよ、古き王の冠を求めよ、か……」
「……そうか、お主は。」
「……」
「ならば、これを持っていけ。」
そう言って、おじいさんは部屋の隅にある頑丈な箱から何かを取り出し、手のひらにそれを置き、差し出す。
それはボロボロになった今でも生きていると主張してやまない丸く曲がったナニカの爪のような物であった。
「竜の爪じゃ。」
「竜の?」
「ああ、そして、鍵じゃ。」
困惑した。
私の知る鍵の形状をしていない。
ただそこに(おじいさんの言う)竜の爪があるだけだった。
「深い穴の底、黒渓谷、その最奥にあるという都への鍵じゃ。」
「黒渓谷ですか?。」
「名前しか分からん。察するに地の底なのかもしれんな。」
「いいんですか?貰っても。」
「さあな、このまま腐らせていても良くないじゃろう。それに」
おじいさんは私と目を合わせ、ふっと険しい顔を綻ばせて
「その都はカジミエーシュに伝わるお伽話「竜退治」の大元となった場所なのかもしれないと言われていた。もし、その都があるならば、お伽話が真実である事がわかる。ワシはそれが知りたい。」
「ええ、お安い御用です。」
◇◇◇
「随分と長く話してしまったな。」
「いえ、とても有意義でした。……黒渓谷の先にある都、見つけたら写真を撮って送りますよ。」
「ありがとう、達者でな。」
それを最後に、私は滴水村を出た。
「……若い村長さんや警官さん達に挨拶するのを忘れていたな〜。」
そんなことを、ふと、思い出した。
アークナイツはイベントと本編の時系列がよく分かんないらしいので、
なるべく辻褄が合う様にはするよ。