バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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半年程前に更新した「レジェンダリーバトル編」の総集編となっております。
本当は閲覧期限を設けていたのですが、王者の鉄華の続編、王者の鉄華2(https://syosetu.org/novel/387980/)の最終回間近を記念して、こちらも1つにまとめて公開することにいたしました。
長いので、お暇な時にご覧になっていただけましたら幸いです。



特別編
レジェンダリーバトル


 

 

 

 

「あれ、どこ、ここ」

 

 

鉄華オーカミは、知らぬ間に何もない真っ白な空間に立っていた。

 

ついさっきまで、みんなが自分のノヴァリーグ優勝を記念し、ノヴァ学園のスタジアム1つを貸し切って宴会を開いてくれていたと言うのに。

 

 

「ご無沙汰しているであります」

「!」

 

 

そんな彼に声を掛けて来た人物が1人。金髪で青眼の機械少女。

 

オーカミはこの少女のことを知っている。自分のBパッドの中で起こったあの出来事を忘れるわけがない。

 

 

「オマエ、確か父さんの契約スピリット」

「はい。アイギスです」

 

 

アイギスは、父カグヅチが使っていた契約スピリットだ。どう言うわけか、シグマのバイスみたく、実体化しているみたいだ。

 

 

「オマエがいるってことは、父さんもここに?」

「いえ、お父上は……」

「そ。まぁいいよ」

 

 

言葉選びに困っていたアイギスを見て、何かを察したか、オーカミは話を変える。

 

 

「で、ここどこ?…オマエが連れて来たの?」

「左様であります。ここは、私が作った擬似異空間。なんでも、とは行きませんが、大小様々なものを、私の思うがままに連れて来ることができるであります」

「へぇ」

 

 

かなり規格外な話をしているが、オーカミは自分で訊いた割には、あまり興味が無さそうなリアクションを見せる。

 

 

「で、なに。オレここで何かすんの?」

 

 

またオーカミがアイギスに訊いた。

 

アイギスは「えぇ」と言い、頷くと、言葉を続ける。

 

 

「知っての通り、私は様々な時空や次元を行き来することが可能です」

「今初めて知ったけど」

「様々な時空や次元を観察して行く中で、1つの疑問が生じました」

「疑問?」

「はい。貴方を含め、これまで世界を救って来たカードバトラーが4人います。この4人の中で、1番誰が強いのだろう……と」

「!?」

 

 

すると、なんの突拍子もなく、2人の周囲を取り囲むように、3人の人物が粒子と共に姿を見せる。

 

1人目は、この中で最も背が高い、高校生程度の茶髪の少年。

 

2人目は、ツノのようなアホ毛に、後ろだけ長いオレンジ色の髪が特徴的な少女。

 

3人目は、灰色のツンツン頭で、小柄の少年。

 

 

「一木花火、芽座椎名、アスラ。そして、鉄華オーカミ。誠に勝手ながら、貴方方4人には、これからトーナメント方式の大会でバトルしていただきます。題して、レジェンダリーバトル」

 

 

アイギスの言葉に反応する4人。

 

この状況に戸惑うことなく、鋭い視線を、これから戦うであろう他の3人へと送る。

 

 

「さぁ、開幕であります」

 

 

世界を救った者達のみで行われる夢の饗宴。

 

レジェンダリーバトルが、ここに開幕。

 

 

******

 

 

第一幕「一木花火VS鉄華オーカミ」

 

 

 

******

 

 

「では早速参りましょう。一回戦第一試合、一木花火VS鉄華オーカミ」

 

 

白のみが無限に続く謎の空間。

 

金髪青眼のアンドロイド少女、アイギスが招き入れたそこでは、伝説のカードバトラー4人による祭典、レジェンダリーバトルが開幕。

 

その第一試合として名が上がった鉄華オーカミと一木花火は、互いにBパッドを展開し、構えた。

 

 

「一戦目があの2人ってことは、オレはシイナと戦うってことか!?」

「そうなります」

「おぉマジか!!」

 

 

一試合目は観戦する側の少年、アスラが大きな声で喜びを露わにした。

 

 

「なんか、よくわからないまま、よくわからんとこに来たけど、バトルならオレ負けねぇからなシイナ!!…オマエを倒して、オレは頂点王になってやるぜ」

 

 

同じく観戦側となった少女、芽座椎名にアスラが宣戦布告。

 

 

「で、オマエ誰だ」

「ぇぇぇぇえ!!?」

 

 

アスラの、あたかも自分を知っているかのような発言に疑問符を浮かべる椎名。それに対してアスラはショック受けたのか、大きなリアクションを見せる。

 

 

「オレだよオレ。スーミ村のアスラ!!」

「どこ?」

「スーミ村はオレ達の国、ノヴァ王国の隅っこにある小さな村だよ、忘れちまったのか!?」

「隅っこだからスーミ。なんて単調な」

「オマエはオレとロンの育ての親なんだぜ?」

「誰だよロンって、記憶にない。他の誰かと間違ってんじゃない?」

 

 

頑張って目の前の小柄な少年のことを思い出そうとするが、やはり椎名の記憶の中に、アスラのような人物はいない。

 

 

「そう言えば、アスラさんだけは違う世界出身でしたね。目の前に居られるのは、貴方の知るシイナ・メザさんとはまた別の世界の椎名さんですよ」

「出た、イセカイってヤツか。確かによく見たら、オレが知ってる椎名よりも若い気がする」

 

 

アイギスがアスラに説明した。アスラは意外にも異世界について知っていたのか、納得した様子を見せる。

 

 

「一木花火。なんか聞いたことある名前だな」

 

 

視点はバトルする側へ。オーカミが対面する茶髪の少年、一木花火に向かってそう告げた。

 

どうやら彼が、自分の友人、一木ヒバナの父親であることを忘れている様子。

 

 

「オマエは、鉄華オーカミだったっけか。よろしくな。オレは一木花火。あのアイギスって子が言うには、オレが一番昔から来た奴らしい」

「うん」

「未だに状況は飲み込めないけど、バトルなら負けないぜ」

「オレもだ」

 

 

カードバトラーであるが故か、初めて出会ったにもかかわらず、早々に打ち解ける2人。

 

次の瞬間には、お互いBパッドにデッキを装填し、バトルの準備を完了させていて。

 

 

「それではレジェンダリーバトル、一回戦第一試合、始められてください」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

アイギスの合図と共に、少年時代の一木花火と、鉄華オーカミによるバトルスピリッツが幕を開ける。

 

先攻は花火だ。「打ち上げて行くぜ」と気合を入れ、ターンを開始して行く。

 

 

[ターン01]一木花火

 

 

「メインステップ。やっぱり一発目はオマエからじゃないとな。来い、アグモン」

 

 

ー【アグモン】LV1(1)BP3000

 

 

花火が呼び出した1体目のスピリット、黄色い身体を持つ、デフォルメされた小さな恐竜型の成長期デジタルスピリット、アグモン。

 

 

「ヒバナと同じ赤デジタルスピリットデッキか」

「アグモンって、エールと同じだ」

 

 

アグモンを見た、オーカミとアスラが反応する。

 

 

「召喚時効果、グレイモンを手札に加える。ターンエンドだ。さぁ未来のカード、お手並み拝見と行こうか」

手札:5

場:【アグモン】LV1

バースト:【無】

 

 

花火はそのままターンエンドを宣言。オーカミのターンへと移る。

 

 

[ターン02]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。なら、オレはコイツで行く。バルバトス第1形態」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第1形態]】LV1

 

 

オーカミの第一手は、はじまりの鉄華団スピリット、肩装甲と武器を持たない、バルバトス第1形態だ。

 

 

「ッ……珍しい、紫のモビルスピリットか」

「召喚時効果。オルガを手札に加える。ターンエンド」

手札:5

場:【ガンダム・バルバトス[第1形態]】LV1

バースト:【無】

 

 

アグモン同様、3コストで、召喚時にサーチ効果を持つバルバトス第1形態の効果を発揮させ、オーカミはターンエンドを宣言。

 

早々に花火のターンへと戻る。

 

 

[ターン03]一木花火

 

 

「メインステップ。アグモンのLVを2に上げて、ロクケラトプスとアシガルラプターを召喚だ」

 

 

ー【ロクケラトプス〈R〉】LV1(1)BP3000

 

ー【アシガルラプター】LV1(1S)BP2000

 

 

花火のフィールドに、岩でできた三本の頭角を持つロクケラトプスと、足軽の意匠を持つ小型恐竜、アシガルラプターが出現。

 

 

「アタックステップだ。アグモンの【進化:赤】を発揮する。頼むぜ、グレイモン」

 

 

ー【グレイモン】LV2(3)BP5000

 

 

アグモンが0と1のコードに包み込まれ、進化。大きな三本の頭角を持つ偉大なる恐竜型スピリット、グレイモンが新たに姿を見せる。

 

 

「グレイモンでアタック。その効果でBP5000以下のスピリット、バルバトス第1形態を破壊して1枚ドロー」

 

 

グレイモンの口内から放たれる火球。それがオーカミのフィールドにいるバルバトス第1形態を焼却。

 

 

「これでオマエの場はガラ空き。一気に行くぜ」

「それはどうかな?」

 

 

畳み掛ける旨を呟く花火に、オーカミがそう告げると、彼は2枚のカードを手札から引き抜く。

 

 

「鉄華団が相手によってフィールドを離れた時、手札からグレイズ改弍の効果を発揮。手札からノーコスト召喚」

「誘発系のカードか」

「そしてノルバ・シノの効果。グレイズ改弍が出た時、手札からノーコスト召喚。効果でアシガルラプターを破壊。グレイズ改弍の召喚時効果で1枚ドロー」

 

 

ー【流星号[グレイズ改弍]+ノルバ・シノ】LV1(1)BP6000

 

 

マゼンタカラーの小型鉄華団モビルスピリット、グレイズ改弍が召喚。それは現れるなり、斧を振い、花火のフィールドにいるアシガルラプターを斬首、破壊した。

 

 

「よし」

 

 

カウンターを決めたことで、状況はオーカミの有利となった。

 

グレイズ改弍でグレイモンをブロックすれば、シノのドロー効果により、より多くのアドバンテージを獲得できるだろう。

 

しかし。

 

 

「よし?…安心するには、まだ早いんじゃないのか?」

「なに」

「オレはグレイモンのもう1つのアタック時効果【超進化:赤】を発揮。メタルグレイモンを召喚だ」

 

 

ー【メタルグレイモン】LV2(3)BP9000

 

 

今度はグレイモンが、0と1のコードに包み込まれて進化。鋼鉄の左半身と、傷だらけの翼を持つ完全体デジタルスピリット、メタルグレイモンが参上する。

 

 

「ここでメタルグレイモン!?」

「召喚時効果。BP12000以下のグレイズ改弍を破壊」

 

 

メタルグレイモンは、胸部のハッチを開き、そこからミサイルを発射。直撃したグレイズ改弍は爆散してしまう。

 

 

「合体していたシノもトラッシュへ送る」

「お、メタルグレイモンの効果は知ってるんだな」

 

 

この時、オーカミはグレイズ改弍と合体していたシノのカードも共にトラッシュへと送った。

 

フィールドに残っていては、メタルグレイモンのアタック時効果、スピリットを破壊して回復する効果の餌食となってしまうからだ。

 

 

「これで邪魔者はいなくなった。行け、メタルグレイモン、ロクケラトプス!!」

「どっちともライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4➡︎3〉鉄華オーカミ

 

 

メタルグレイモンの左腕の鉤爪と、ロクケラトプスの頭角を活かした突進が、オーカミのライフバリアをそれぞれ1つずつ破壊する。

 

 

「ターンエンド。鉄華団、やっぱ見たことないスピリット達だ。面白くなって来たぜ」

手札:4

場:【メタルグレイモン】LV2

【ロクケラトプス〈R〉】LV1

バースト:【無】

 

 

序盤の戦いを制したのは、初代主人公、一木花火だった。最も新しい主人公、鉄華オーカミは、挽回すべく、巡って来たターンを進めて行く。

 

 

[ターン04]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。創界神ネクサス、オルガ・イツカとクーデリア&アトラを配置」

 

 

ー【オルガ・イツカ】LV1

 

ー【クーデリア&アトラ】LV1

 

 

オーカミが配置したのは、フィールドに何も出現しないタイプの創界神ネクサス。その効果は、どれも鉄華団デッキにとっては欠かせないモノばかり。

 

 

「神託でそれぞれにコア+3。さらに鉄華団モビルワーカーを2体召喚」

 

 

ー【鉄華団モビルワーカー】LV1(1)BP1000

 

ー【鉄華団モビルワーカー】LV1(1S)BP1000

 

 

オーカミのフィールドに、車両型のスピリット、モビルワーカーが発進。対象スピリットの登場により、2種の創界神ネクサスにコアが+される。

 

そしてオーカミは、そのコアへと視線を送って。

 

 

「アタックステップ。その開始時にオルガの【神技】を発揮。コア4つをボイドへ送り、トラッシュから鉄華団スピリットをノーコストで呼ぶ」

「トラッシュから。紫属性が得意な蘇生効果か」

「大地を揺るがせ、未来へ導け。ガンダム・バルバト第4形態、LV1で召喚」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第4形態]】LV1(1)BP5000

 

 

大地を隆起させ、フィールドへと現れたのは、黒き戦棍メイスを手に持つバルバトス。バルバトス第4形態。

 

オーカミがバトルスピリッツを始めた当初から前戦で彼を支えて来たスピリットの1体だ。

 

 

「そいつがオマエのキースピリットか」

「バルバトス第4形態でアタック。効果で相手スピリットのコア2つをリザーブへ」

「疲労状態のメタルグレイモンは、相手スピリットとブレイヴの効果を受けない。その効果は効かないぜ」

「ロクケラトプスだけで十分だ」

 

 

攻撃を開始するバルバトス第4形態。その手に持つメイスをロクケラトプスへと振い、叩きつけ、消滅へ追い込む。

 

 

「アンタのライフ、砕かせてもらう」

 

 

オーカミの言葉に合わせ、バルバトス第4形態は、次に花火の方へと視線を向ける。

 

だが、その刹那。花火は口角を上げて。

 

 

「フ。そう簡単にライフはやらないぜ。フラッシュ【煌臨】を発揮。対象はメタルグレイモン」

「!!」

 

 

花火が手札の【煌臨】の効果発揮を宣言した瞬間、オーカミは全てを察した。

 

アグモン、グレイモン、メタルグレイモンと来たら、その次に呼び出されるのは、間違いなくあのスピリットだと。

 

 

「鋼鉄の竜よ!!…今こそ最強の竜戦士となりて敵を討て!!…究極進化、ウォーグレイモン!!」

 

 

ー【ウォーグレイモン】LV2(3)BP12000

 

 

灼熱の炎に身を焦がしながら、メタルグレイモンは究極進化。デジタルスピリットの最高位、竜戦士、ウォーグレイモンへと進化を果たす。

 

 

「おぉ、花火さんのウォーグレイモン!!」

「別の世界なら、なんでも有りなのかよ。まさかエール以外に、ウォーグレイモンの使い手がいるなんて」

 

 

両手の鉤爪で灼熱の炎を振り払い、その雄々しき姿を見せるウォーグレイモンに、椎名とアスラがそうリアクションした。

 

 

「煌臨時効果。BP15000分のスピリットを破壊する」

「……」

「わかるよな、全滅だってこと。打ち上げろウォーグレイモン、超大玉ガイアフォース!!」

 

 

ウォーグレイモンは、掌を合わせ、その狭間に灼熱の巨大火球を生成すると、それをオーカミのフィールドへ向かって投擲。

 

あまりの威力に、2体のモビルワーカーはおろか、バルバトス第4形態でさえも、耐え切れず焼き尽くされ、爆散してしまう。

 

 

「モビルワーカーの破壊時効果。デッキから1枚破棄して、1枚ドロー。クーデリア&アトラの【神域】を発揮。鉄華団の効果でオレのデッキが破棄された時、デッキから1枚ドロー。それが2回ずつだ。オレは合計で4枚のカードをドロー。ターンエンド」

手札:5

場:【オルガ・イツカ】LV1(1)

【クーデリア&アトラ】LV2(5)

バースト:【無】

 

 

手札を増やしても、強烈過ぎるカウンターを返す手立てはなかったか、オーカミはそのままターンエンドを宣言。

 

再び優勢の花火のターンへと移る。

 

 

[ターン05]一木花火

 

 

「メインステップ。ソウルコアを使って、アグモンを召喚だ」

 

 

ー【アグモン】LV1(1)BP3000

 

 

花火のフィールドに、再度アグモンが召喚される。

 

 

「アタックステップ。行くぞ、ウォーグレイモン」

 

 

アタックステップに突入し、花火はウォーグレイモンへアタック宣言。ウォーグレイモンは鉤爪を構え、オーカミへと向かって行く。

 

 

「ライフで受ける」

「バトル終了時、ウォーグレイモンはトラッシュのソウルコアを自身に置くことで、相手ライフ1つを追加でボイドに置く」

 

 

〈ライフ3➡︎2➡︎1〉鉄華オーカミ

 

 

「ぐっ!?」

 

 

ウォーグレイモンは鉤爪でオーカミのライフバリア1つを砕いたのち、身体をドリルのように回転させて突撃。

 

もう1つのライフバリアを砕き、遂にオーカミの残りライフを1にまで追い込んだ。

 

 

「オレのライフが減った時、手札にある絶甲氷盾の効果を発揮」

「なに、手札から絶甲氷盾だって!?」

「このターンのアンタのアタックステップを強制終了させる」

 

 

オーカミは手札にある絶甲氷盾をここで使用。自分の知らない絶甲氷盾の効果に、花火は驚く。

 

 

「新しい絶甲氷盾は手札から使えるのかよ。未来のカードってスゲーな。ターンエンド」

手札:3

場:【ウォーグレイモン】LV3

【アグモン】LV1

バースト:【無】

 

 

新しい絶甲氷盾によって阻まれこそしたが、オーカミを着実に追い詰めた花火。ライフ5対1という圧倒的優位に立ち、ターンエンドを宣言する。

 

 

「アンタ、凄く強いんだな」

「あぁ、ウォーグレイモン達がそうさせてくれるんだ。オレ達は共に様々な困難を乗り越えて来た仲間だからな」

 

 

花火がそう告げると、彼のフィールドにいるアグモンとウォーグレイモンが、それに呼応するかのように、雄叫びを上げる。

 

 

「オレと鉄華団も同じだ。だから乗り越える、今回も」

 

 

現主人公、鉄華オーカミが、初代主人公、一木花火に啖呵を切る。

 

勝敗を分けるであろう、次のターン。オーカミは切った啖呵に応えるべく、それを進めて行く。

 

 

[ターン06]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。最高のカードを引けた。行くぞ」

 

 

ドローで増えた手札1枚を、オーカミはそのままBパッドへと叩きつけ、そのカード名を宣言する。

 

 

「天空貫け、未来を紡げ。ガンダム・バルバトスルプス鉄華、LV2で召喚」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス[鉄華団]】LV2(3)BP7000

 

 

フィールドに突如出現した、砂塵の大竜巻を斬り裂き、中より赤き眼を持つバルバトス、バルバトスルプス鉄華が参上。

 

 

「たった4コストのスピリット。だけどなんだこの感じ、凄くヤバい予感がするぜ」

 

 

ルプス鉄華を見るなり、そう感じ取った花火。

 

実際、その予感は的中している。オーカミにとって、ルプス鉄華は、この試合を終わらせるためのキーパーソンだ。

 

 

「召喚時効果。自分のデッキから2枚を破棄し、その中に鉄華団があれば、相手フィールドのコア2つをリザーブへ」

 

 

ルプス鉄華の効果により破棄される、2枚のデッキのカード。その中には、当然鉄華団カードが含まれていて。

 

 

「アグモンとウォーグレイモンからコアを1つずつリザーブへ。アグモンは消滅する」

 

 

瞬きする間もない程の速度でフィールドを駆け抜け、ウォーグレイモンとアグモンの眼前へと辿り着いたルプス鉄華は、そのまま2体を二刀の大剣で斬りつける。

 

ウォーグレイモンは鉤爪でガードし、耐え抜くも、アグモンは堪らず消滅。

 

 

「この効果で消滅させた時、トラッシュにある鉄華団カード1枚を手札に戻す。三日月を手札に。さらに、クーデリア&アトラの【神域】を発揮。鉄華団の効果でオレのデッキが破棄された時、1枚ドロー」

「ッ……オレのスピリットを倒しただけじゃなく、手札を2枚も増やした!?」

「ドローしたモビルワーカーと、回収した三日月を召喚。三日月はルプス鉄華へ直接合体」

 

 

ー【鉄華団モビルワーカー】LV1(1)BP1000

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス[鉄華団]+三日月・オーガス】LV2(3)BP13000

 

 

オーカミは、増やした手札を費やし、さらにカードを展開。3体目のモビルワーカーが車輪の音を鳴らしながら出現し、ルプス鉄華はより強力な合体スピリットへと昇格する。

 

 

「アタックステップだ。ルプス鉄華でアタック、その効果でウォーグレイモンから2つのコアをリザーブへ」

「くっ…これでウォーグレイモンのLVは1か」

 

 

ルプス鉄華のアタック時効果は、召喚時と同様のものだ。オーカミのデッキから2枚のカードが破棄され、クーデリア&アトラの【神域】の効果で、また手札が1枚増えると、ルプス鉄華は再度ウォーグレイモンへ二刀の大剣を振う。

 

ウォーグレイモンは、今一度その攻撃を鉤爪でガードするも、完全には受け切れず、弾き飛ばされる。

 

 

「LVダウンだけで済ませるかよ。合体している三日月の効果。ウォーグレイモンのLVコストを+1。よって消滅」

「な、ウォーグレイモン!?」

 

 

凄まじき速度を持つルプス鉄華。ウォーグレイモンを吹き飛ばした先に先回りし、追い討ち。二刀の大剣による攻撃が、今度こそウォーグレイモンにクリーンヒット。流石に耐えられなかったか、ウォーグレイモンは消滅。

 

 

「発揮後、鉄華団1体につき、アンタのリザーブのコア1つをトラッシュへ置く」

「リザーブまで消すのか」

 

 

オーカミの鉄華団スピリットは、ルプス鉄華とモビルワーカーの2体。よって花火のリザーブから2つのコアがトラッシュへと送られた。

 

 

「フラッシュ、オルガの【神域】を発揮。オレのデッキを3枚破棄し、1枚ドロー。クーデリア&アトラの【神域】で、さらにドロー」

「また手札増加。どんだけ引く気だ」

 

 

未来のカードパワーに慄く花火。しかし、「オレも負けてねぇ」と呟くと、手札の1枚のカードを引き抜き、反撃に転ずる。

 

 

「フラッシュ、このカードは、相手のBP8000以上のスピリットがアタックしている時、1コストで召喚できる」

「!」

「来い、暗黒の竜戦士、ブラックウォーグレイモン!!」

 

 

ー【ブラックウォーグレイモン】LV2(2)BP10000

 

 

暗黒の炎を振り払い、このフィールドへと現れたのは、その名の通り黒いウォーグレイモン。

 

ブラックウォーグレイモンは、ウォーグレイモンと合わせて、花火のデッキの双璧。

 

 

「召喚時効果。BP12000以下の相手スピリット、鉄華団モビルワーカーを破壊」

 

 

ブラックウォーグレイモンの手から放たれる暗黒の火球が、オーカミのモビルワーカーを焼き尽くす。

 

 

「モビルワーカーの破壊時効果。デッキから1枚破棄し、1枚ドロー。さらにクーデリア&アトラでドローだ」

「もうドローは関係ねぇ。次のオレのターン、ブラックウォーグレイモンで一気に打ち上げてやるぜ」

 

 

ブラックウォーグレイモンには、相手スピリットを指定アタックし、回復する効果がある。その効果を活用し、オーカミの最後のライフを砕くつもりなのだろう。

 

だが。

 

 

「それは、アンタに次のターンがあればの話だろ?」

「なに」

「オレはルプス鉄華のもう1つの効果を発揮。トラッシュのカードを6枚除外し、ルプス鉄華を回復させる」

「回復!?」

「そしてこの効果は、オレのトラッシュにカードがある限り使える」

 

 

花火にとっては予想外となる、ルプス鉄華の回復。

 

本来であればライフで受けたいこの局面。しかし、回復しているなら話は別だ。ルプス鉄華のアタック時効果により、せっかく召喚したブラックウォーグレイモンが無駄に終わるからだ。

 

故に、彼の選択肢は一つしかなくて。

 

 

「ブラックウォーグレイモン、ブロックだ」

 

 

ブラックウォーグレイモンでブロックし、少しでも必要なアタック回数を増やすしかない。

 

ブラックウォーグレイモンは、不意打ち気味にルプス鉄華へ向けて暗黒の火球を投げ飛ばす。

 

しかし、ルプス鉄華はそれを大剣で容易く斬り捨たのち、ブラックウォーグレイモンに一刀の大剣を投擲。腹部を貫き、爆散へと追い込んだ。

 

 

「すまない、ブラックウォーグレイモン」

「ルプス鉄華で二度目のアタック」

「!」

 

 

間髪入れずにルプス鉄華でアタックの宣言を行うオーカミ。その効果とクーデリア&アトラの【神域】により、さらに手札とトラッシュを増やす。

 

 

「フラッシュ、クーデリア&アトラの【神技】を発揮。ルプス鉄華を回復」

「まだ回復の手段があるのかよ!!」

 

 

鉄華団の異常なまでのカードパワーに驚きの連続。

 

しかし、もう花火はこれをライフで受ける以外の選択はできなくて。

 

 

「ライフで受けるぜ」

 

 

〈ライフ5➡︎3〉一木花火

 

 

ルプス鉄華の二刀の大剣による剣撃が、今度こそ花火のライフバリアを捉え、それを2つ破壊した。

 

 

「ルプス鉄華で三度目のアタック。もう一度フラッシュ、ルプス鉄華の効果で回復」

「ライフだ」

 

 

〈ライフ3➡︎1〉一木花火

 

 

さらに繰り出される剣撃。遂に花火の残りライフを1つに追い込む。

 

そして。

 

 

「ルプス鉄華で四度目のアタック。これで終わりだ」

 

 

最後のアタック宣言。

 

敗北が確定したが、花火の表情はどこか嬉しそうで。

 

 

「これが未来のカード、未来のカードバトラー。こんな凄い奴らと、これからもっと戦えるんだな。燃えて来たぜオレは。ライフで受ける」

 

 

〈ライフ1➡︎0〉一木花火

 

 

未来への楽しみが増えた花火は、ラストコールを宣言。ルプス鉄華は無慈悲にも、彼の最後のライフバリアを掻っ攫って行った。

 

これにより、勝者は鉄華オーカミだ。見事に初代主人公に打ち勝って見せた。

 

 

「勝負有り。鉄華オーカミ、レジェンダリーバトル決勝戦進出です」

 

 

アイギスが宣言。一回戦第一試合は、オーカミの勝利で終わったことを告げた。

 

 

「良いバトルだったな。サンキュー、オーカミ」

「うん。花火も、強かった。あ、そっか、花火はヒバナの父さんか」

「え。オレ子供いるの?」

「強いわけだ」

 

 

互いの健闘を讃え、握手を交わす2人。その間にオーカミが花火がヒバナの実の父親であることを思い出す。

 

 

「うぉぉお!!…スゲェ良いバトルだったな」

「花火さんのバトルを生で観られた。嬉しい」

 

 

2人のバトルに感動したアスラが全力で拍手喝采。椎名も同様とまではいかないが、誠心誠意を持って、静かに拍手を送る。

 

 

「これは私達も、負けてられないな」

「あぁ。負けないぜ、シイナ!!」

 

 

次なるは一回戦第二試合。

 

果たして決勝で待つオーカミと優勝を争うのは、芽座椎名か、それともアスラか。

 

 

******

 

 

 

レジェンダリーバトル編 第二幕「芽座椎名VSアスラ」

 

 

 

******

 

 

「続きまして、一回戦第二試合に参ります。芽座椎名VSアスラ」

 

 

第一試合の花火とオーカミによる熱いバトルスピリッツの余韻から冷めないまま、レジェンダリーバトルは第二試合目へ。

 

アイギスの進行に合わせ、オレンジ色のツノのようなアホ毛が特徴的な少女、芽座椎名と、灰色のツンツン頭が特徴的な少年、アスラが、互いにBパッドを構え合う。

 

 

「次はブイとあのツンツン頭か」

 

 

バトルを観戦する側に立ったオーカミが呟いた。ブイと言うのは、彼の時代の椎名が、世を凌ぐために考えた仮の名前だ。当然今ここにいる椎名は知らない。

 

 

「オレだけ誰の1人も知らないんだよな」

 

 

同じくバトルを観戦する側に回った花火が呟く。彼は4人の中で最も時系列が古いので、誰も知らないのは致し方ない。

 

 

「椎名さんは、未来の貴方の後輩。そちらに居られるオーカミは、さらにその後輩。そしてアスラさんは異世界人です。オーカミさんの時代では『アスラ物語』と言う創作物として、彼の名前が浸透しているであります」

「1人だけベクトルが変だな」

 

 

何も知らない花火に、アイギスが説明する。こうして改めると、アスラのみ、出所が異端である。

 

 

「遂にこの時が来たなシイナ!!…オレ、絶対にオマエに勝つからな」

 

 

アスラが、構えたBパッドにデッキを装填しながら、椎名に言った。

 

 

「遂にって。だから私は、アンタの知るシイナじゃないっての」

「そうだとしてもだ。ワクワクしてくるんだよ。オレの中の熱いハートが」

「暑苦しいな。もうちょっと花火さんみたいにさわかやな人はいないのか?」

 

 

椎名もBパッドにデッキを装填すると、「でも」と、言葉を続けて。

 

 

「ワクワクするのは、私も同じだ。全てをぶつけ合おう。勝ち負けはその後だ」

「っしゃぁ!!…行くぜ」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

コールと共に、芽座椎名とアスラによるバトルスピリッツが幕を開ける。

 

先攻は椎名。

 

だが、その開始直後、椎名はあることに気がついて。

 

 

「アンタ、ソウルコアは?」

 

 

そう。アスラのBパッド上のリザーブには、本来あるべきはずのソウルコアが無かった。

 

ソウルコアが無い。と言うことは、【煌臨】などの強力な効果を使えないと言うこと。そのハンデは現代バトルスピリッツにおいては、あまりにも大きいものであり。

 

 

「オレは、生まれながらにソウルコアが使えねぇんだ」

「ソウルコアが使えない?」

「あぁ。だからオレは、【煌臨】も何も、ソウルコア関係の効果は使えねぇ。けど、諦めないことはできる。諦めないのが、オレのバトスピだ!!」

 

 

奇天烈な現象と、アスラの熱い想いを前に、椎名はクールな表情を浮かべながら「ふ〜ん」と、軽く鼻で納得する。

 

 

「なんでもいいけど、手加減はしないぞ」

「おうよ。どんと来いってんだ」

 

 

会話はひと段落。椎名はターンを進めて行く。

 

 

[ターン01]芽座椎名

 

 

「メインステップ。よし、先発は任せたぞ、ブイモン」

 

 

ー【ブイモン】LV1(1)BP2000

 

 

「ブイモン。デッキまで同じなのかよ」

「召喚時効果。2枚オープンして、その中のスティングモンのカードを手札に。残りは破棄」

 

 

椎名が最初に呼び出したのは、Vの字が刻まれた青き小さなドラゴン、ブイモン。

 

その召喚時効果でデッキから新たにカードを1枚手札へ加えた。

 

 

「ターンエンド。さぁかかって来なよ少年」

手札:5

場:【ブイモン】LV1

バースト:【無】

 

 

アスラを挑発気味に煽り、椎名はターンエンドを宣言。

 

 

「あぁ、全力でかかってやるぜ。オレのターンだ!!」

 

 

何事も常に全力投球なアスラ。椎名を超えてやるべく、巡って来たターンを進めて行く。

 

 

[ターン02]アスラ

 

 

「メインステップ。行くぜ、ドラゴンヘッド、シャムシーザー」

 

 

ー【ドラゴンヘッド】LV1(1)BP1000

 

ー【シャムシーザー】LV1(1)BP2000

 

 

アスラのフィールドに現れたのは、ドラゴンの頭部のみの存在、ドラゴンヘッドと、赤い棘トカゲ、シャムシーザー。

 

彼のデッキ定番の低コストスピリット達だ。

 

そして、このカードも。

 

 

「頼むぜ。オレのライダースピリット、龍騎を召喚!!」

 

 

ー【仮面ライダー龍騎】LV2(2)BP4000

 

 

「召喚時効果で龍騎サバイブを手札に加える」

 

 

様々な鏡像が重なり合い、フィールドにドラゴンの力を纏う赤きライダースピリット、龍騎が姿を見せる。

 

 

「ライダースピリットの使い手か」

「おうよ、オレのデッキは、熱く燃える、ドラゴンライダーデッキだぜ!!…バーストをセットして、アタックステップ、龍騎でアタック!!」

 

 

アスラのデッキは、the赤デッキ。その名に恥じない速攻を椎名に仕掛ける。

 

アタックしている龍騎のBPは4000。対して椎名のブロッカー、ブイモンのBPは2000。よって、ここでの彼女の判断は、実質一択。

 

 

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉芽座椎名

 

 

龍騎の熱い拳骨が、椎名のライフバリア1つを砕き、先制点をアスラに齎した。

 

 

「っしゃぁ!!…ガンガン行くぜ、次は任せた、シャムシーザー」

 

 

間髪入れずに、ブイモンと同じBPのシャムシーザーでも攻撃を仕掛けるアスラ。

 

そして、この時の椎名の判断は。

 

 

「ブロックだ、ブイモン」

 

 

ブロックだった。ブイモンとシャムシーザーが互いに額をぶつけ、激突する。

 

 

「猪突猛進な赤デッキ。嫌いじゃないよ。でも、それだけで勝てる程、バトルスピリッツは甘くない」

「!」

「フラッシュ、ブイモンを対象に【アーマー進化】を発揮」

「来た、アーマー進化」

 

 

ここで椎名が発揮したのは【アーマー進化】

 

フラッシュ、如何なるタイミングでも、デジタルスピリットの低ランク、成長期スピリットを進化させることができる優れ物。

 

 

「行くよ、マイフェイバリット、燃え上がる勇気、フレイドラモンを召喚!!」

 

 

ー【フレイドラモン】LV1(1)BP6000

 

 

ブイモンは、突如現れた炎の紋様が刻まれた卵と融合。燃え上がるスマートな竜人、フレイドラモンへとアーマー進化を遂げた。

 

 

「アーマー進化。そんな進化もあるのか」

 

 

同じくデジタルスピリットを使う花火が、椎名の使ったアーマー進化に関心を示す。

 

 

「フレイドラモンの召喚時効果。BP7000以下のスピリット1体を破壊して、1枚ドロー。ドラゴンヘッドを破壊だ。ナックルファイア!!」

 

 

フレイドラモンは、登場するなり、両腕に炎を纏い、それを殴り飛ばす。弾丸のように放たれた炎は、アスラのフィールドにいるドラゴンヘッドへ命中。それを焼き尽くした。

 

 

「シャムシーザーのアタックは、既にフィールドを離れたブイモンでブロック宣言をしているから、実質無効。これで攻め手がなくなったな」

「……」

 

 

3体のスピリットの攻撃を、ライフ1点のみの損傷で凌いで見せた椎名。流石だと言える。

 

しかし。

 

 

「猪突猛進だけじゃ勝てない?…そんなの、痛いくらい知ってるぜ」

「!」

「オレのスピリット破壊後により、バースト発動!!」

 

 

ドラゴンヘッドの破壊に反応し、アスラのバーストカードが勢いよく反転する。

 

そのカードとは。

 

 

「バースト効果で、自身をノーコスト召喚。鋼纏しその衣、熱き意思で悪を貫く!!…仮面ライダーセイバードラゴニックナイト!!…LV2で召喚!!」

 

 

ー【仮面ライダーセイバードラゴニックナイト】LV2(3)BP8000

 

 

「不足コストは龍騎とシャムシーザーから1つずつ確保。シャムシーザーは消滅。ごめんな」

 

 

荒ぶる火球が地を熱するように出現。中よりそれを振り払いながら現れたのは、重厚感のある鋼鉄の鎧を身に纏った、ドラゴンライダー。仮面ライダーセイバードラゴニックナイト。

 

 

「バースト効果はまだ続くぜ。手札からソードブレイヴをノーコスト召喚し、BP12000以下のスピリット1体を破壊」

「なに」

「火炎剣烈火を、ドラゴニックナイトに直接合体。フレイドラモンを破壊だ!!」

 

 

ー【仮面ライダーセイバードラゴニックナイト+火炎剣烈火】LV2(3)BP12000

 

 

ドラゴニックナイトは、燃え盛る聖剣、火炎剣烈火を抜刀。それを振い、フレイドラモンを焼き斬り爆散させる。

 

 

「そのままアタックだ、ドラゴニックナイト。火炎剣の効果で1枚、ドラゴニックナイトの効果でもう1枚。よって2枚ドロー。火炎剣の追加効果で、ドラゴニックナイトに赤シンボル1つを追加。ダブルシンボルになる!!」

 

 

畳み掛けるアスラ。2枚のカードを新たにドローしつつ、ドラゴニックナイトはダブルシンボルスピリットとなる。

 

フレイドラモンを失った椎名は、このアタックを受けるしかない。

 

 

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ4➡︎2〉芽座椎名

 

 

「ぐっ!?」

 

 

ドラゴニックナイトによる炎の剣撃が、椎名のライフバリアへ炸裂。一気に2つも砕かれ、僅か2ターン目にして、半数以下となってしまう。

 

 

「どうだ、これがオレのバトスピだァァァァ!!…ターンエンド!!」

手札:3

場:【仮面ライダー龍騎】LV1

【仮面ライダーセイバードラゴニックナイト+火炎剣烈火】LV2

バースト:【無】

 

 

猪突猛進、我武者羅を極めたアスラの赤デッキの真価が発揮された瞬間であった。

 

彼は一度ターンをエンドとし、椎名へそれを譲る。

 

アスラの度が付く程の超速攻を受けた彼女は、「面白くなって来たな」と、笑みを浮かべ、そのままターンを進めて行く。

 

 

[ターン03]芽座椎名

 

 

「メインステップ。もう一度頼むよ、ブイモン」

 

 

ー【ブイモン】LV1(1)BP2000

 

 

「召喚時効果。パイルドラモンを手札へ」

 

 

フレイドラモンの【アーマー進化】により手札へ帰還していたブイモンが、二度目の召喚。効果で再び椎名に新たなカードが加えられる。

 

 

「その後、追加効果だ。2コストを支払い、緑の成熟期スピリット、スティングモンを召喚」

 

 

ー【スティングモン】LV1(1)BP5000

 

 

「召喚時効果で1コアブースト。さらにネクサス、デジヴァイスを配置」

 

 

ー【デジヴァイス】LV1

 

 

ブイモンのさらなる効果によって呼び出されたのは、召喚時とアタック時にコアブーストを行う効果を持っているスマートな昆虫戦士、スティングモン。

 

さらに余った1コアで、椎名はデジタルスピリット専用の小さなデヴァイス、デジヴァイスを配置、腰に装着する。

 

 

「アタックステップ。デジヴァイスの効果。成長期スピリットがいる時、開始時に疲労させることで、1枚ドロー。スティングモンでアタック。コアブーストし、【超進化:緑】を発揮」

「ッ…今度はアイツか!?」

「その通り、至高の竜戦士、パイルドラモンを、LV2で召喚!!」

 

 

ー【パイルドラモン】LV2(3)BP10000

 

 

スティングモンが【超進化】を発揮。デジタル粒子に分解され、再び結合すると、甲虫の甲殻をその身に纏う、至高の竜戦士、パイルドラモンへと姿を変える。

 

 

「召喚時効果。コスト7以下の龍騎を破壊する。デスペラードブラスター」

「くっ」

 

 

パイルドラモンは、両腰に備え付けられた機関銃を掃射。アスラのフィールドにいる龍騎を撃ち抜き、爆散させた。

 

 

「パイルドラモンでアタック。そのアタック時効果を発揮。2コアをパイルドラモンにブーストし、回復」

 

 

すかさずパイルドラモンでアタックを行う椎名。パイルドラモンは、自身の効果により、このターン、二度目のアタックを可能とした。

 

 

「ライフで受けるぜ」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉アスラ

 

 

パイルドラモンの甲殻を纏った拳骨が、アスラのライフバリアを1つ粉砕。

 

 

「もう一発だ、パイルドラモン。効果で2コアブースト」

「ライフだ!!」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉アスラ

 

 

「ぐっ!!」

 

 

二度目の拳骨。アスラのライフバリアは、さらに1つ砕かれる。

 

 

「ブイモンでアタック。このフラッシュ、【アーマー進化】を発揮。ブイモンを手札へ戻し、新たなスピリットを召喚する」

 

 

今一度【アーマー進化】が発揮。次に呼び出されるのは、それの中でも特に強力な、あのスピリット。

 

 

「ロイヤルナイツ、黄金の守護竜マグナモンをLV3で召喚!!」

 

 

ー【マグナモン】LV3(4)BP10000

 

 

「不足コストはパイルドラモンのLVを2にして確保する」

 

 

黄金のデジメンタルにより、ブイモンはアーマー進化。堅牢な黄金の鎧を纏う守護竜、マグナモンとなって、椎名のフィールドに見参した。

 

 

「マグナモンの召喚時効果。最もコストの低い相手スピリット1体を破壊する」

「!」

「そうだ。今のアンタのフィールドは、ドラゴニックナイトのみ。よってそれが破壊される。黄金の波動、エクストリームジハード!!」

 

 

マグナモンを中心に拡散される黄金の波動。それはアスラのフィールドにいるドラゴニックナイトを飲み込み、爆散へと追い込む。

 

 

「クソ。火炎剣だけはフィールドに残す」

 

 

ドラゴニックナイトが抜剣していた火炎剣烈火が、剣先を大地へ向けて突き刺さると、彼の眼前には、既にマグナモンがいて。

 

 

「マグナモンでアタック」

「ライフだ」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉アスラ

 

 

「ぐぁ!?」

 

 

今度はマグナモンの拳が、アスラのライフバリアを1つ砕く。その数は椎名と同様、残り2つとなる。

 

 

「まぁ、こんなもんか。ターンエンド」

手札:7

場:【マグナモン】LV3

【パイルドラモン】LV2

【デジヴァイス】LV1

バースト:【無】

 

 

「あの子、あんなに劣勢だったのに、たった1ターンでひっくり返したぞ」

 

 

パイルドラモンとマグナモンと軸に攻撃していき、劣勢から一気に逆転してみせた椎名。

 

その頭一つ突き抜けた強さに、花火が驚く。

 

 

「流石シイナだ。笑っちまうくらい強いぜ」

「ふふ。笑えるだけの余裕があるなら、何か策があるんだよね?」

「当然!!」

 

 

僅か1ターンで格の違いを見せつけた椎名。

 

それを、さらに上回るべく、アスラは巡って来たターンを進めて行く。

 

 

[ターン04]アスラ

 

 

「メインステップ。コイツで決める。召喚、仮面ライダー龍騎サバイブ!!」

 

 

ー【仮面ライダー龍騎サバイブ】LV2(2)BP11000

 

 

「召喚コストは、火炎剣烈火から全てのコアを使って確保する」

 

火炎剣烈火が消滅すると、「サバイブ」の音声と共に、燃え盛る炎の中から、アスラを代表するエースカード。龍騎の強化形態、龍騎サバイブが召喚される。

 

 

「バーストをセットして、アタックステップ。龍騎サバイブでアタックだ」

 

 

アスラの声に応え、龍騎サバイブは戦闘態勢に入る。

 

直後、手に持つ赤き龍を模したショットガンの銃口を、椎名のフィールドにいるパイルドラモンへと向けて。

 

 

「アタック時効果。BP15000以下のスピリット1体を破壊し、龍騎サバイブに赤シンボル1つを追加する。パイルドラモンを破壊だ」

 

 

そこから放たれた炎の弾丸は、見事にパイルドラモンを撃ち抜き、撃破した。

 

さらに、龍騎サバイブの効果はこれだけでは終わらない。

 

 

「龍騎サバイブは、ライダースピリットのバトル終了時、そいつのシンボル分のダメージを与える」

「!」

「今の龍騎サバイブのシンボルは2つ。そして、シイナのライフも2つ。マグナモンが疲労状態でブロックできようが関係ねぇ。コレで終わりだ!!」

 

 

龍騎サバイブは、バトル終了時に生き残っていれば、そのシンボル分のダメージを与えることができる。

 

椎名のブロッカー、マグナモンのBPは10000。龍騎サバイブのBPは11000。僅かにマグナモンが劣っているため、この攻撃が完全に通れば、残り2つの椎名のライフを破壊し、アスラの勝利に追われるのだ。

 

 

「残念。フラッシュマジック、デルタバリア」

「!」

「龍騎サバイブのアタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ2➡︎1〉芽座椎名

 

 

「デルタバリアの効果。このターン、私のライフは、効果とコスト4以上のスピリットのアタックでは、0にならない。つまり、1を維持し続けて、負けないってことだ」

「くっ」

 

 

だが、芽座椎名を相手に、そう上手くいくわけもなく。

 

彼女が使用した、たった1枚の防御マジックにより、龍騎サバイブの放った二発目の炎の弾丸は、威力が激減。全て砕くことは叶わなかった。

 

 

「ターンエンド」

手札:2

場:【仮面ライダー龍騎サバイブ】LV2

バースト:【有】

 

 

あと一歩の勝利が遠く感じて来たアスラ。「まだまだだ」と心の中で強く意気込み、そのターンをエンド。

 

再び椎名へとターンが回って来る。

 

 

[ターン05]芽座椎名

 

 

「メインステップ。出番だ、ギルモン」

 

 

ー【ギルモン】LV2(2)BP4000

 

 

「召喚時効果、デッキからグラウモンを手札に加える。続けてネクサス、ディーアークをLV2で配置。デジヴァイスのLVを2へ」

 

 

ー【ディーアーク】LV2(2)

 

 

椎名が召喚したのは、真紅の魔竜、その成長期の姿、ギルモン。

 

ついでに2種目のデジタルスピリットサポートネクサスを配置。それもまた腰に装着する。

 

 

「アタックステップ。デジヴァイスの効果でドロー。ギルモンの【進化:赤】を発揮。グラウモンを召喚」

 

 

ー【グラウモン】LV3(5)BP7000

 

 

ギルモンが進化。より巨大な牙と爪、肉体を得た姿、成熟期のグラウモンとなる。

 

 

「ディーアークの効果。私のフィールドに、デジタルスピリットが召喚、煌臨した時、ターンに一度、1枚ドロー。グラウモンでアタック。その瞬間、デジヴァイスのLV2効果。トラッシュにある完全体、メガログラウモンを手札へ。続く【超進化:赤】の効果で、グラウモンを手札に戻し、コレを召喚する」

 

 

ー【メガログラウモン】LV3(5)BP12000

 

 

ドローとトラッシュ回収効果を駆使し、椎名はグラウモンをさらに進化。上腕部に武装を施した真紅の魔竜、完全体のメガログラウモンが姿を見せる。

 

 

「メガログラウモンでアタック。効果で2枚ドロー。もう1つの効果でシンボル1つのスピリット、龍騎サバイブを破壊する」

「!」

「原子の咆哮、アトミックブラスター!!」

 

 

メガログラウモンは、胸部に赤いエネルギーを蓄積させ、それを一気に放出。アスラのフィールドにいる龍騎サバイブを一瞬にして破壊して見せた。

 

かに見えた。爆発による爆煙の中、龍騎サバイブが再び姿を見せる、その時までは。

 

 

「なに」

「破壊後のバースト。マジック、トリックベント。破壊された龍騎サバイブを再召喚したぜ」

 

 

アスラの伏せていたバースト、トリックベントが既に発動されていた。

 

どうやらメガログラウモンが破壊したのは、バースト効果によって生み出していた幻影だった様子。

 

 

「だけど、メガログラウモンのアタックは止まらない」

「ライフだ」

 

 

〈ライフ2➡︎1〉アスラ

 

 

メガログラウモンは、両腕に武装した鉤爪で、アスラのライフバリア1つを切り裂く。

 

その数は遂に風前の灯、1となってしまう。

 

 

「ライフが減ったことで、手札から絶甲氷盾の効果を発揮。このターンの椎名のアタックステップを終わらせる」

 

 

アスラがここで「絶甲氷盾〈R〉」の効果を発揮。龍騎サバイブは再召喚により、ブロックできる回復状態。残った椎名のマグナモンでは、龍騎サバイブを倒せないため、一見この行動は無駄に見えるが。

 

 

「念には念を入れたか。大事だな」

「なんてったって、相手はシイナだからな。次のターン、絶対決めてやるぜ」

「ふふ。期待してる。ターンエンド」

手札:11

場:【マグナモン】LV3

【メガログラウモン】LV3

【デジヴァイス】LV2

【ディーアーク】LV2

バースト:【無】

 

 

互いに残りライフ1となり、バトルは白熱を極める。

 

迎えるはアスラのターン。ここで決めるべく、ターンを進めて行く。

 

 

[ターン06]アスラ

 

 

「メインステップ。龍騎サバイブのLVを3にアップし、ネクサス、燃えさかる戦場をLV2で配置する」

 

 

ー【燃えさかる戦場〈R〉】LV2(2)

 

 

アスラがネクサスを配置したことにより、フィールドの周囲が火の海に包まれる。

 

 

「アタックステップ。龍騎サバイブでアタック。燃えさかる戦場の効果、アタックしているオレのスピリットは全てBP+3000。龍騎サバイブのBPは、16000になる」

「BPを上げて、龍騎サバイブの生存確率を上げたのか。面白い」

 

 

アタックステップに突入。アスラは最後のスピリット、龍騎サバイブで攻撃宣言。

 

そのアタック時効果が発揮される。

 

 

「さらに龍騎サバイブの効果、BP15000以下のスピリット1体を破壊し、成功すれば赤シンボル1つを追加する」

「……」

「対象はメガログラウモンだ。行けぇ!!」

 

 

龍騎サバイブのショットガンより放たれた爆炎の弾丸が、椎名のメガログラウモンに命中。

 

それは瞬く間に焼き尽くされ、四散。

 

したかに見えたが。

 

 

「!?」

「手札にある赤ブレイヴ、グラニの効果。滅龍スピリットが相手効果の対象となった時、自身を1コストで召喚し、その対象は、このターン、相手効果で破壊されず、手札デッキに戻らない。よって、メガログラウモンはフィールドを離れず、龍騎サバイブのシンボルは増えない」

 

 

ー【グラニ】LV1(1)BP6000

 

 

爆発による爆煙の中から、メガログラウモンを上空へと運び出したのは、赤き飛行物体、グラニ。ギルモン達、真紅の魔竜を守護する存在だ。

 

 

「だけど、アタックが終わったわけじゃねぇ。シイナの残りライフは1つ。龍騎サバイブのシンボルも1つで十分だ」

 

 

最後のライフを破壊すべく、龍騎サバイブは今一度ショットガンに爆炎を蓄積させる。

 

椎名のフィールドには、マグナモン、メガログラウモンにグラニと強者揃いではあるが、どれも龍騎サバイブには及ばない。

 

 

「なら、龍騎サバイブを返り討ちにすればいい。フラッシュマジック、ブルーカード」

「!」

「デッキから4枚オープン。その中のデジタルスピリットカードを、色が一致するフィールドのスピリット1体をデッキ下に戻し、1コストで召喚する」

 

 

マジックカードの効果を発揮させ、4枚のカードを確認する椎名。

 

その中には、さも当然かのように、赤属性のスピリット、「デュークモン」がいて。

 

 

「私が選ぶのはコイツだ。赤属性のグラニをデッキ下に戻し、赤きロイヤルナイツ、デュークモンをLV3で召喚!!」

 

 

ー【デュークモン】LV3(6)BP18000

 

 

グラニがデジタル粒子と化して消滅すると、椎名のフィールドに、赤いマントを翻す、白い鎧、槍、盾を装備した騎士型の究極体デジタルスピリット、デュークモンが見参。

 

 

「ディーアークの効果で1ドロー」

「来た。シイナのデッキの象徴、デュークモン」

「向こうの世界の私もエースカードが同じなのか。流石私、センスあるね。そんじゃ、デュークモンで龍騎サバイブをブロック」

 

 

ショットガンに蓄積させた炎の弾丸を、椎名へと向けて撃ち込んだ龍騎サバイブ。しかしそれは弾道を阻んだデュークモンが槍で貫き爆散。

 

 

「BPはデュークモンの方が上だ。どうする」

 

 

デュークモンは槍の先端から聖なる光線を放つ。直撃はまずいと悟った龍騎サバイブは、それを紙一重で回避。

 

 

「まだだ。言ったはずだぜ。諦めないのが、オレのバトスピだってな!!……手札、ラスト1枚。受け取れ龍騎サバイブ。フラッシュマジック、ソードベント」

「!」

「効果で龍騎サバイブのBPを+5000し、マグナモンのコア2つをリザーブへ。これで龍騎サバイブのBPは、デュークモンの18000を超えた、21000だ!!」

 

 

龍騎サバイブは、ベルトのバックルにあるカードデッキからカードを1枚引き抜き、それをショットガンへと装填。

 

「ソードベント」の音声が発せられると、ショットガンの銃口から短剣が伸び、それに炎を纏わせ、デュークモンを斬りつける。しかし、寸前の所でマグナモンがデュークモンを庇い、不発に終わった。

 

マグナモンは爆散こそしなかったものの、LVは2までダウンしてしまう。

 

 

「龍騎サバイブは生き残ればダメージを通せる。これでオレの勝ちだシイナ!!」

 

 

万事休すか。

 

平凡な、ごく普通のカードバトラーならば、そう思うかもしれない。

 

だが、相手があの芽座椎名ならば、話は別だ。

 

 

「ふふ。まさか、コイツまで使うことになるなんて、思ってもいなかったな」

「!?」

「フラッシュ【チェンジ】発揮。対象はメガログラウモン」

 

 

椎名が効果発揮を宣言すると、彼女の背後から、真紅の炎で構成されたドラゴンが出現。

 

それは飛翔し、アスラの龍騎サバイブを飲み込んで行く。

 

 

「効果でシンボル3つ分のスピリットを破壊。龍騎サバイブは破壊だ」

「なに!?」

 

 

幾度となくアスラの強敵撃破に貢献して来た龍騎サバイブ。今回のバトルでも大いに活躍して見せたが、ここで無念の爆散。

 

 

「その効果発揮後、メガログラウモンと入れ替える。行くぞ」

 

 

メガログラウモンがデジタル粒子と化して消滅。その代わりとして現れるスピリットは、椎名のデッキの大エース。史上最強の切り札だ。

 

 

「真なる深い紅をその身に纏い、邪悪なる者皆、照し破れ。真紅のロイヤルナイツ、デュークモン クリムゾンモード!!」

 

 

ー【デュークモン クリムゾンモード】LV3(4)BP21000

 

 

新たにフィールドへ降臨したのは、白き翼を束ねた、深紅を纏うデュークモン。その名はデュークモン クリムゾンモード。

 

数々の敵を葬り去って来た、椎名の切り札だ。

 

 

「スゲェ!!…2体のデュークモンが揃うなんて」

「オマエの強さがそうさせたんだよ、アスラ」

 

 

攻防の末、アスラの手札とフィールドは0。敗北は確定したと言うにもかかわらず、アスラは憧れだった2体のデュークモンを前にして感動の声をもらした。

 

 

「オレのターン、エンドだ」

手札:0

バースト:【無】

 

 

外面の清々しさとは裏腹に、もうこれ以上は戦えないことを内心で悔やみながらも、アスラはそのターンをエンド。

 

2体のデュークモンを揃えた椎名のターンが始まる。

 

 

[ターン07]芽座椎名

 

 

「メインステップは飛ばして、アタックステップ。ダブルデュークモン、勇敢で、小さな戦士に祝福を」

 

 

椎名の指示に従い、2体のデュークモンが攻撃に転ずる。

 

 

「楽しかったぜ、椎名」

「あぁ、私もだ」

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ1➡︎0〉アスラ

 

 

通常のデュークモンは槍で、クリムゾンモードは白き光で構成された剣で、それぞれアスラのライフバリアを破壊する。

 

これにより、勝者は椎名だ。見事にアスラの超速攻超火力を耐え抜き、決勝戦へ駒を進めて見せた。

 

 

「勝負有り。芽座椎名、レジェンダリーバトル決勝戦進出です」

 

 

アイギスが宣言すると、役目を終えた椎名のスピリット達が徐々に消滅して行く。

 

 

「なんか、あの子だけ別格じゃないか?」

 

 

バトルを観戦した花火がそう呟いた。直感的に、彼女がまだ力を隠し持っていることを理解したのだろう。

 

 

「誰が相手だろうと関係ない。オレのバトルで倒すだけだ」

 

 

オーカミがそう言った途端、彼と椎名の目が合う。まるで「かかってこいよ」とでも言いたげな彼女の表情に、オーカミの闘争心はより強く燃え上がる。

 

レジェンダリーバトルはいよいよ大詰め。果たして優勝するのは芽座椎名か、それとも鉄華オーカミか。

 

 

******

 

 

 

第三幕「英雄達の軌跡」

 

 

 

******

 

 

 

各時代、各世界から集った4人の英雄達。

 

その中で最強を決める戦い、レジェンダリーバトル。

 

それも遂に大詰め。白が無限に続く空間の中で、互いに展開したBパッドを構え合うのは、鉄華オーカミと、芽座椎名だ。その光景を、惜しくも敗れてしまったアスラと花火も見守っている。

 

 

「今度こそオマエを倒すぞ、ブイ」

 

 

オーカミが椎名に告げた。やる気は十分な様子。

 

 

「誰だよブイって、次から次へと変な奴ばっかり。まぁなんでもいいか。鉄華オーカミ、だったよな。私はちぃとばかし、強いぞ」

 

 

椎名が言い返すと、4人を集めた張本人、金髪青眼のアンドロイド少女、アイギスが、「それではレジェンダリーバトル決勝戦、始めてください」と指示をする。

 

2人はそれに合わせ、最初の手札4枚をデッキからドローすると。

 

 

「行くぞ、バトル開始だ」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

コールと共に、史上最強を決めるバトルスピリッツを開始する。

 

先攻はオーカミだ。

 

 

[ターン01]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。創界神ネクサス、クーデリア&アトラ」

 

 

ー【クーデリア&アトラ】LV1

 

 

「配置時の神託、コア+3。ターンエンド」

手札:4

場:【クーデリア&アトラ】LV2(3)

バースト:【無】

 

 

幸先良く、オーカミは創界神ネクサスでスタート。早々に椎名のターンとなる。

 

 

[ターン02]芽座椎名

 

 

「メインステップ。頼むよ、ブイモン」

 

 

ー【ブイモン】LV1(1)BP2000

 

 

「召喚時効果。スティングモンを手札に」

 

 

椎名の1枚目は今回もブイモン。召喚時効果で新たなカードを1枚加える。

 

 

「【アーマー進化】を発揮。ブイモンを手札に戻し、コイツを呼ぶ。轟く友情、ライドラモン」

 

 

ー【ライドラモン】LV1(1)BP5000

 

 

「召喚時効果でトラッシュに2つコアブースト」

 

 

ブイモンがアーマー進化。気高き黒獣、ライドラモンへと姿を変える。

 

 

「バーストをセットして、アタックステップ。行って来い、ライドラモン」

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉鉄華オーカミ

 

 

ライドラモンの突進が、オーカミのライフバリアを1つ砕き、椎名に先制点を齎した。

 

 

「ターンエンド」

手札:4

場:【ライドラモン】LV1

バースト:【有】

 

 

ライドラモンが自分のフィールドに帰還したことを確認すると、椎名はそのターンのエンドを宣言する。

 

 

「さぁバトルは2周目だ。じゃんじゃん来い」

「言われなくても来てやるさ」

 

 

バトルはオーカミのターンへと切り替わる。

 

 

[ターン03]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。天空貫け、未来を紡げ。ガンダム・バルバトスルプス鉄華、LV1で召喚」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス[鉄華団]】LV1(1)BP4000

 

 

ターン開始早々にオーカミが投下したのは、花火戦でも決め手となったスピリット、赤き眼を持つバルバトスルプス、バルバトスルプス鉄華。

 

 

「来たか、紫属性のモビルスピリット」

「召喚時効果。オレのデッキを上から2枚を破棄し、相手フィールドのコアを2つリザーブに置く。ライドラモンは消滅だ」

 

 

ルプス鉄華は、腕部に内蔵された滑腔砲を展開し、発砲。ライドラモンを撃ち抜いて消滅へ追い込んだ。

 

 

「この効果で消滅させた時、トラッシュにある鉄華団カードを1枚、オルガを手札に戻す。クーデリア&アトラの【神域】でトラッシュのカードを戻して1枚ドロー。オルガを配置する」

 

 

ー【オルガ・イツカ】LV1

 

 

「配置時の【神託】でコア+2」

 

 

流れるように相手カードの除去とドロー、トラッシュ回収に自軍のカードの展開を行なっていくオーカミ。3ターン目にして、早くも鉄華団の理想の盤面を完成させた。

 

 

「アタックステップ。ルプス鉄華でアタック。その効果でオレのデッキを破棄。クーデリア&アトラの【神域】でトラッシュのカード1枚をデッキ下に戻してドロー」

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉芽座椎名

 

 

ルプス鉄華は二刀の大剣を振い、椎名のライフバリア1つを破壊する。

 

しかし、その行為は、椎名の伏せていたバーストカードを輝かせる結果となり。

 

 

「ライフ減少後のバースト、マリンエンジェモン」

「!」

「効果によりノーコストで召喚」

 

 

ー【マリンエンジェモン】LV2(2)BP6000

 

 

椎名のバーストカードが反転すると共に現れたのは、桃色のクリオネのような形をした、小さな究極体デジタルスピリット、マリンエンジェモン。

 

 

「ターンエンド」

手札:6

場:【ガンダム・バルバトスルプス[鉄華団]】LV1

【オルガ・イツカ】LV1(2)

【クーデリア&アトラ】LV2(4)

バースト:【無】

 

 

互いに残りライフは4となり、ターンは椎名へと移る。

 

 

[ターン04]芽座椎名

 

 

「メインステップ。もう一度ブイモンを召喚する」

 

 

ー【ブイモン】LV1(1)BP2000

 

 

「召喚時効果でオープンされたD-3を手札へ。その後2コストを支払って、緑の成熟期スピリット、スティングモンを召喚」

 

 

ー【スティングモン】LV1(1S)BP5000

 

 

「召喚時効果でスティングモンに1コアブースト。さらにネクサス、デジヴァイス、D-3の2枚を、それぞれLV1で配置」

 

 

ー【デジヴァイス】LV1

 

ー【D-3】LV1

 

 

ブイモンとスマートな昆虫戦士スティングモンがフィールドに現れ、椎名の腰に2つのデヴァイスが装着される。

 

オーカミ同様、次々とカードを展開して行く椎名。だがその展開は始まりに過ぎなくて。

 

 

「アタックステップ。デジヴァイスの効果、成長期スピリットのブイモンがいる時、自身を疲労させることで1ドロー。スティングモンでアタック。効果で1コアブーストし、LV2へ。そのまま【超進化:緑】の効果を使って、スティングモンを、至高の竜戦士、パイルドラモンへ進化」

 

 

ー【パイルドラモン】LV2(3S)BP10000

 

 

スティングモンが進化。頑強な竜の肉体に甲虫の甲殻を併せ持った、至高の竜戦士、パイルドラモンが出現する。

 

 

「召喚時効果。コスト7以下のスピリット、ルプス鉄華を破壊。デスペラードブラスター」

「!」

 

 

パイルドラモンは、腰に備え付けられた二丁の機関銃を持ち上げ、掃射。ルプス鉄華を撃ち抜いて爆散へと追い込む。

 

 

「パイルドラモンでアタック。効果で自身に2コアブーストし、回復」

 

 

椎名が本格的に攻撃を仕掛けて来た。パイルドラモンはコアブーストを行いつつ、このターン、二度目の攻撃権利を獲得する。

 

 

「アタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉鉄華オーカミ

 

 

パイルドラモンの甲殻を纏った拳が、オーカミのライフバリアを1つ砕く。

 

だがオーカミは、すかさず1枚のカードを手札から引き抜いて。

 

 

「オレのライフが減った時、手札から絶甲氷盾の効果を発揮。このターンのオマエのアタックステップを終了させる」

 

 

オーカミの使ったカードの効果により、椎名はターンエンドの宣言をせざるを得ない状況に追い込まれる。

 

 

「やっぱ持ってたか、新しい絶甲氷盾。ターンエンド。お互い盤面が暖まって来たな」

手札:3

場:【パイルドラモン】LV3

【マリンエンジェモン】LV2

【ブイモン】LV1

【デジヴァイス】LV1

【D-3】LV1

バースト:【無】

 

 

「直ぐに凍結させてやるよ。オマエのだけ」

 

 

決勝戦に相応しい一進一退の攻防を繰り返す中、バトルは5ターン目、オーカミの番となる。

 

 

[ターン05]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。モビルワーカーを2体召喚」

 

 

ー【鉄華団モビルワーカー】LV1(1)BP1000

 

ー【鉄華団モビルワーカー】LV1(1)BP1000

 

 

更地だったオーカミのフィールドに、小型車両のスピリット、モビルワーカーが2体召喚される。

 

そして、もう1枚。

 

 

「轟音唸る、過去をも穿つ。ガンダム・グシオンリベイクフルシティ、LV1で召喚」

 

 

ー【ガンダム・グシオンリベイクフルシティ】LV1(1)BP5000

 

 

立て続けに召喚されたのは、重厚なる装甲を持つ、鉄華団の守護神、グシオンリベイクフルシティ。

 

バルバトスと双璧を成す力を今、椎名に見せつけて行く。

 

 

「アタックステップ。その開始時にオルガの【神技】を発揮。トラッシュから鉄華団を呼ぶ。戻って来い、ルプス鉄華」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス[鉄華団]】LV1(1)BP4000

 

 

今度はコアが貯まったオルガの効果を発揮。地底の底より、ルプス鉄華が飛び出して来る。

 

 

「召喚時効果で2枚破棄。ブイモンとパイルドラモンからコアを1つずつリザーブへ置き、消滅」

 

 

ルプス鉄華は目では到底追いつけない程の速さで縦横無尽に走り回り、一瞬の内にブイモンとパイルドラモンを斬りつける。

 

パイルドラモンは耐え抜くも、成長期スピリットのブイモンには酷だったか、耐えられずに消滅してしまう。

 

 

「消滅させたことで、トラッシュにある鉄華団、バルバトス第4形態を手札へ。クーデリア&アトラの【神域】でドロー。フルシティでアタック。効果で2枚破棄し、その中の紫1色のカード1枚につき、2つのコアをリザーブに送る」

 

 

動き出すグシオンリベイクフルシティ。その効果によって、またも2枚のカードがオーカミのデッキからトラッシュへ落ちる。

 

それらのカードは、いずれも紫1色。

 

 

「2枚とも紫。よって4つのコアをリザーブへ送る。パイルドラモンは消滅」

 

 

ルプス鉄華の攻撃を耐え抜いたパイルドラモンに、今度はフルシティが襲いかかる。

 

剛腕によって振るわれたハルバードによる一撃は、パイルドラモンの甲殻を容易く粉砕。爆散へ追い込んだ。

 

 

「クーデリア&アトラの【神域】でドロー。一気に行くぞ」

 

 

椎名のフィールドのスピリットを除去し、畳み掛けようとするオーカミ。

 

だが、この時既に椎名は手札から1枚のカードを引き抜いていて。

 

 

「行かせない。フラッシュ、デュークモン クリムゾンモードの【チェンジ】を発揮」

「なに!?」

「不足コストはマリンエンジェモンのLVを1に下げて確保。効果により、シンボル3つ分まで、スピリットを破壊する。真なる深い紅き炎で、ルプス鉄華、フルシティ、モビルワーカーを1体ずつ焼き払え」

 

 

椎名の背後から出現する、炎で身体を構成したドラゴンが、オーカミのフィールドを通過し、焼き尽くして行く。

 

なんとか難を逃れたモビルワーカーを除き、他3体は全滅となった。

 

 

「対象カードはないから入れ替えはできないけど、それだけで十分だ」

「くっ……モビルワーカーの効果。デッキ1枚を破棄して1枚ドロー。クーデリア&アトラの【神域】でさらにドロー。ターンエンドだ」

手札:8

場:【鉄華団モビルワーカー】LV1

【オルガ・イツカ】LV1(1)

【クーデリア&アトラ】LV2(7)

バースト:【無】

 

 

手札の量とトラッシュの質を高めるも、主戦力を纏めて焼き尽くされたオーカミは、ここでターンエンドの宣言をするしかなかった。

 

格の違いを見せつける椎名。次はそんな彼女のターンだ。

 

 

[ターン06]芽座椎名

 

 

「メインステップ。スティングモンを召喚」

 

 

ー【スティングモン】LV1(1)BP5000

 

 

「効果でコアブースト。マリンエンジェモンのLVを3にアップさせる」

 

 

パイルドラモンへの進化によって手札へと戻っていたスティングモンが再召喚。また椎名のコアを増やす。

 

 

「そして、このカードが、勝負を終わらせる1枚だ。【チェンジ】発揮。対象はマリンエンジェモン」

「ッ……またチェンジ」

「効果で相手の最もコストの高いスピリット、モビルワーカーを破壊」

 

 

このターンも発揮される、椎名の【チェンジ】

 

しかし、その効果は前のターンのクリムゾンモードとは違う。

 

フィールドでは、天より投下された白き聖剣が、オーカミのモビルワーカーを串刺しにし、破壊へ追い込む。

 

 

「モビルワーカーの効果。デッキを破棄してドロー。クーデリア&アトラの【神域】でさらにドロー」

「好きなだけドローすればいいさ。この効果発揮後、オマエのトラッシュのカードは全て除外される」

「なに!?」

 

 

瞬間。オーカミのBパッドにあるトラッシュゾーンから、ほぼ全てのカードが白き聖剣へ吸い込まれて行く。残ったのはトラッシュにある間は効果を受けない絶甲氷盾くらいだ。

 

 

「これでトラッシュの鉄華団は空っぽ。再度貯めるには時間がかかる」

「……」

 

 

苦い表情を見せるオーカミ。

 

実際、鉄華団はトラッシュを多用するデッキ。この局面で大量のトラッシュが消されたのは痛い。

 

しかも、【チェンジ】の入れ替えが残っているとなると。

 

 

「【チェンジ】の効果続行。対象となったマリンエンジェモンと入れ替える」

 

 

マリンエンジェモンがデジタル粒子となり、椎名の手札へと帰還。

 

それと入れ替わりになるように、フィールドには、赤き翼を翻す巨大な竜人、インペリアルドラモン ファイターモードが出現する。

 

 

「究極モードチェンジ、現れろ、インペリアルドラモン パラディンモード!!」

 

 

ー【インペリアルドラモン パラディンモード】LV3(5)BP23000

 

 

大地に突き刺さった白き聖剣は、ファイターモードの手へと吸い寄せられる。

 

それを手に取ったファイターモードは、伝説のデジタルスピリット、白き聖騎士、インペリアルドラモン パラディンモードへと覚醒を果たす。

 

 

「まだこんなスピリットを隠し持っていたのか」

「この場に相応しいスピリットだろ?…バーストをセットして、アタックステップだ。パラディンモードでアタック。その効果でトラッシュにある私のコアを全てパラディンモードへ」

「!!」

 

 

パラディンモードが天に巨大な白き聖剣を掲げると、コアが集結し、力を蓄積して行く。

 

 

「アタックはライフで受ける」

「ダブルシンボルで2つのライフを破壊する。伝説の一撃、オメガザレジェンダリー!!」

 

 

〈ライフ3➡︎1〉鉄華オーカミ

 

 

「ぐぁ!?」

 

 

蓄積された力を解き放つことによって生み出された衝撃波は、オーカミのライフバリアを一気に2つ砕く。

 

その数は遂に残り1つ。スティングモンでトドメを刺すには十分な数だ。

 

 

「手札から絶甲氷盾の効果を発揮!!」

「!?」

「オマエのアタックステップを止める」

 

 

だが、オーカミは食らいつく。トラッシュは失ってしまったものの、大量に手札を増やしていたのが功を奏した。

 

2枚目の絶甲氷盾により、椎名のアタックステップを強制終了へと追いやった。

 

 

「2枚目か。やるね」

「楽しくなって来ただろ」

「あぁ。飛びっきりな。ターンエンドだ」

手札:1

場:【インペリアルドラモン パラディンモード】LV3

【スティングモン】LV1

【デジヴァイス】LV1

【D-3】LV1

バースト:【有】

 

 

惜しくもターンエンドとなった椎名。しかし戦況は彼女の方が圧倒的に優勢だ。

 

それを物語っているのは、パラディンモードではなく、再び伏せられたバーストカード、マリンエンジェモンだ。

 

 

「マリンエンジェモンのバースト効果は、このターン、合体のコストを無視して、相手のコスト9以下のスピリットのアタックによって自分のライフは減らされないというもの。椎名さんの残りライフは4。大量のコアが置かれたパラディンモードの除去も困難。これは、勝負あったかもしれませんね」

 

 

アイギスがそう告げた。アンドロイド故に表情変化はオーカミ以上に乏しいが、不思議とレジェンダリーバトルの優勝者が決まる瞬間を楽しみにしているのが伝わって来る。

 

 

「いや、ライフとデッキがある限り、勝負はまだわからない」

 

 

花火が、視線はバトルしている2人に送りつつ、アイギスに言い返すように呟いた。

 

 

「あぁ。それにアイツ、オレ達と同じ、絶対勝つのを諦めないって顔してるぜ」

 

 

今度はアスラが告げた。彼の言う通り、オーカミの瞳は闘志で燃えており、到底諦めているようには見えない。

 

 

「行くぞブイ。これをラストターンにしてやる」

「できるならやって見ろ。未来の後輩」

 

 

熾烈極めるオーカミと椎名のバトルスピリッツは、遂に佳境へ。

 

オーカミは決着をつけるべく、巡って来た己のターンを進めて行く。

 

 

[ターン07]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。見せてやる、最後のハイライトカード」

 

 

そう宣言すると、オーカミは1枚のカードを手札から引き抜き、それをBパッドへと叩きつける。

 

 

「紫マジック、ダンスマカブル」

「!」

「このカードは、オレの手札を好きなだけ破棄し、破棄した枚数分、相手スピリット1体からコア1つをトラッシュに送るカード。オレは手札1枚を除いた、残り8枚を破棄。パラディンモードから8つのコアをトラッシュへ置く」

 

 

起死回生の紫マジック。オーカミは大量に貯めてあった手札を一気にトラッシュへ放出。パラディンモードのコアを8つトラッシュへ送り、そのLVを2までダウンさせる。

 

しかも……

 

 

「しまった。今の一手でトラッシュが増えた」

 

 

そう。

 

トラッシュにまた大量の鉄華団が増えた。パラディンモードが除外できるのは【チェンジ】効果のみ。今増えたカード達が除外されることはない。

 

 

「まさかこれをずっと狙っていたのか?」

「あぁ。オマエがトラッシュの対策をして来ることは読んでいたからな。そしてこれが、オレの残した希望、最後の1枚」

 

 

オーカミは、自らが選択して残した最後のカードを召喚。その正体は……

 

 

「大地を揺るがせ、未来へ導け。ガンダム・バルバトス第4形態、LV3で召喚!!」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第4形態]】LV3(4)BP12000

 

 

口上通り大地を揺るがし、砕きながら出現したのは、黒き戦棍メイスを振るうバルバトス、バルバトス第4形態。

 

幾多の強敵達と戦って来たオーカミの最初のエースカードだ。

 

 

「アタックステップ。バルバトス第4形態でアタック。効果でスティングモンのコア2つをリザーブに置き、消滅」

 

 

勝利へ辿り着くと信じ、オーカミはアタックステップを宣言。バルバトス第4形態がメイスを横一閃に振い、スティングモンを消滅へ追い込む。

 

 

「LV3の効果でダブルシンボル。さらにフラッシュ、クーデリア&アトラの【神技】を発揮させ、バルバトス第4形態を回復」

 

 

回復状態となり、フィールドを駆け抜けるバルバトス第4形態の一撃は、椎名のライフバリアを2つ破壊できるダブルシンボルだ。

 

パラディンモードが疲労している今、椎名はこれをライフで受ける以外、選択肢にはない。

 

 

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ4➡︎2〉芽座椎名

 

 

バルバトス第4形態は、今度はメイスを縦に振い、椎名のライフバリアを一気に2つ粉砕。

 

オーカミの勝利を近づけて行くが、彼女のライフが減ったことで、あのバーストが輝く。

 

 

「ライフ減少後のバースト、マリンエンジェモン」

「……」

「このターン、合体のコストを無視して、コスト9以下のスピリットのアタックでは、私のライフは減らない。そして召喚」

 

 

ー【マリンエンジェモン】LV2(2)BP6000

 

 

再び現れるマリンエンジェモン。それが齎す効果により、椎名のライフバリアは水でできたバリアに包み込まれる。

 

コスト9以下、つまりコスト10以上ならアタックを通すことが可能であるが、オーカミの鉄華団にそんなスピリットは存在しない。

 

 

「これでもう、バルバトス第4形態のアタックは通らない。惜しかったな。次のターン、もう一度パラディンモードのアタックでトドメだ」

 

 

椎名の実質的な勝利宣言。だが、オーカミはこの状況でも笑みを見せていて。

 

 

「鉄華団は止まらない」

「!」

「オレが何のためにトラッシュを増やしたか教えてやるよ。バルバトス第4形態の効果、バトル終了時、トラッシュから鉄華団を1コストで召喚する」

「なに!?」

 

 

ダンスマカブルで手札から直接トラッシュに送ったことが、ここで意味を成して来る。

 

オーカミがトラッシュから手に取った1枚は。

 

 

「天地を揺るがせ、未来よ唸れ。ガンダム・バルバトスルプスレクスファイナル、LV2で召喚!!」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプスレクス[最終決戦時]】LV2(2)BP13000

 

 

バルバトス第4形態がメイスの先端を大地へ打ち付け、地割れを発生させると、その狭間より、赤き眼を持つ、最後のバルバトスの最終の姿、バルバトスルプスレクスファイナルが現れる。

 

 

「ルプスレクスファイナル!?…こんな隠し玉を持っていたのか」

「ルプスレクスファイナルの召喚時効果。トラッシュとデッキ上から合計5枚のカードを除外し、相手スピリット1体から3つのコアをトラッシュへ送る」

「!!」

「パラディンモードから3つだ」

 

 

ルプスレクスファイナルは、目にも止まらぬ速さでパラディンモードに接近。そのまま激爪で白き鎧を傷つけ、体内のコアを破壊する。

 

消滅とまではいかなかったものの、そのLVはとうとう1にまでダウンした。

 

 

「ルプスレクスファイナルでアタック。アタック時効果、召喚時と同じだ。パラディンモードを消滅」

「くっ」

 

 

ルプスレクスファイナルは、間髪入れずにパラディンモードへ追い討ち。

 

激爪は巨大な聖剣を砕き、遂にパラディンモードに致命傷を負わせ、消滅へと追い込んだ。

 

 

「だけど、ルプスレクスファイナルのコストは9。マリンエンジェモンの効果で、私のライフはコスト9以下のスピリットのアタックでは減らせない」

「アタックでは、な。ルプスレクスファイナルのLV2からの効果発揮。トラッシュの鉄華団を13枚除外し、このバトル終了時、相手ライフを2つ、ボイドに置く」

「!?」

「この時、トラッシュにある2枚のルプス鉄華を1枚で6枚分としてカウントさせる。アタックじゃなくて、効果なら、オマエのライフを破壊できる」

 

 

トラッシュの鉄華団をコストとし、バルバトスルプスレクスファイナルの最終奥義が発動。

 

マリンエンジェモンの効果をも貫通し、椎名のライフバリアを破壊が可能となる。

 

 

「鉄華団の力の源は、連携。カード同士の絆が、オレ達を勝利の未来へ導く」

「……」

 

 

自分に向かって迫って来るルプスレクスファイナルを目に映しながら、椎名は目の前の鉄華オーカミと言うカードバトラーが、バトルを通して、多くのカードバトラー達と絆を結び、育んで来たことを察した。

 

そして、その力で世界を救ったのだと言うことも。

 

 

「トドメだ。ルプスレクスファイナル」

「……」

 

 

オーカミの宣言を受けると、ルプスレクスファイナルは走る足を止め、背部より長い尾のような剣を伸ばすと、その先端を椎名のライフバリアへと向ける。

 

 

「今まで一番、最高のバトルスピリッツだった」

「あぁ、オレもだ」

 

 

椎名は最後、満面の笑みを浮かべながら、ラストコールを宣言して。

 

 

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ2➡︎0〉芽座椎名

 

 

ルプスレクスファイナルの背面の剣は、刺突となって椎名のライフバリアへ突き刺さり、その残りのライフバリアを全て砕く。

 

これにより、勝者は鉄華オーカミだ。見事、レジェンダリーバトルを制し、歴代主人公達の頂点へと登り詰めて見せた。

 

 

「勝負有り。勝者、鉄華オーカミ。よってレジェンダリーバトル、優勝です」

 

 

アイギスが宣言すると、バトルした2人はBパッドを閉じ、最後まで残ったマリンエンジェモンと2体のバルバトスがゆっくりと消滅して行く。

 

 

「うおぉぉお!!!!…熱い、熱いバトルだったぜ!!」

「オマエが一番熱苦しいけど。まぁわかるよ、ホントに身体中が打ち上がるようなバトルだったからな」

 

 

バトルを観戦していたアスラが昂る。人一倍燃え上がる彼に、花火はツッコミと共感の一言を送る。

 

 

「あちゃあ、まさか私が負けるとは」

「良いバトルだったな」

「未来であった時は、真っ先にオマエを倒してやるからな。覚悟しとけよ」

「それはオレにとって過去の話だけど」

「細かいことは気にするな」

 

 

バトル後のオーカミと椎名の会話だ。もしかしたら、現代のブイは、最初からオーカミのことを知っていたのかもしれない。

 

 

「皆様、お疲れ様でした。この度は急なバトルの申し出を受けてくださり、誠にありがとうございました」

 

 

4人の主人公達に、大会主催者のアイギスが声をかける。アンドロイドのはずだが、乏しかったその表情は優しい笑みを浮かべていて。

 

 

「皆様の熱いバトルスピリッツは、これからもバトンのように引き継がれ、数々の伝説を残して行くことでしょう」

 

 

私の主人、鉄華カグヅチ様が残したかった世界を、これからもどうかお守りください。

 

アイギスはそれを言葉には出さず、胸の内側へ押し込めた。

 

 

「では、皆様を元の時代、世界へお返しするであります」

 

 

急に表情はいつもの乏しいものに戻り、急にロボ感を出して来たアイギスが、そう4人の主人公達に告げる。

 

 

「ちょっと待ったァァァァ!!」

「?」

 

 

途端に声を荒げたのはアスラ。他の4人は何を言い出すのかわからず、顔を見合わせる。

 

 

「オレ、まだバトルしたりねぇ。もう一度やろうぜ、レジェンダリーバトル!!」

 

 

もう一度レジェンダリーバトルをやりたいと言うアスラの声に、最初に賛同したのは椎名だった。

 

 

「お、いいなそれ。私今度こそ花火さんとバトルしたい!!」

「え、女の子とか〜、なんか照れるな」

 

 

次に賛同したのはオーカミだ。

 

 

「いいよ。何度やってもオレと鉄華団が勝つと思うけど」

「なにぃ!?…ならオレが倒してやるぜ」

 

 

強気な発言をするオーカミに、食ってかかるアスラ。その直後に花火も「オレだって負けないぜ」と一言。

 

 

「つか、4人だけじゃなくて、もっと呼ばない?」

 

 

椎名が提案。他3人も「確かに」と口を揃えて賛同する。

 

 

「と、言うことでアイギス。私達の時代の他の人達も呼んでくれる?」

 

 

椎名がアイギスにそう告げると、他の3人も、じっとアイギスの方を見つめる。

 

アイギスは、なんだか可笑しくなったのか、クスッと笑みを浮かべて。

 

 

「了解であります。皆さんと共に絆を育んで来たカードバトラー達を集めましょう」

 

 

アイギスは胸部から蝶の形をした白い輝きを放つ。

 

それが瞬く間に広がって行くと、そこから花火、椎名、アスラ、オーカミらが共に戦い、時には敵対しながらも、絆を紡いで来たカードバトラーが勢揃いした。その数はゆうに100人は超えている。

 

 

「よし。さぁ皆で、バトル開始だ」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

オーカミの声に合わせ、全員でバトルスピリッツのお決まりのコールを宣言。

 

いつの時代にも必ず必要な、楽しくて平和なバトルスピリッツ。これからもそれはバトルスピリッツを悪用しようとする者達によって、脅かされ続けることだろう。

 

だがどうか安心して欲しい。何故なら、花火や椎名、アスラ、そしてオーカミのように、熱い魂をバトンし続けるカードバトラー達がいる限り、バトルスピリッツは、きっと、ずっと大事にされ、守られ続けるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆してワイワイキャイキャイ。よくバトルスピリッツ如きでそんなにはしゃげるよな」

 

 

アイギスが作り出した、別時代、別世界の者達を招き入れることができる、白く広大な空間にて、オーカミ達が和気藹々とバトルスピリッツを楽しむ中、1人遠く離れたところで、それを冷めた眼差しで眺める者がいた。

 

小柄で、赤いまん丸ヘアが特徴的な少女だ。歳は精々14、5程度か。

 

黒いショートパンツに、有名ブランド「ブレイドラン」のロゴ、走っているブレイドラマークが背面に刻まれたオーバーサイズな白いパーカーを着こなす姿は、如何にも今時の女の子と言ったところ。

 

 

「ったく、いつになったら帰れるんだよ。早く帰ってインスタ更新してぇのに」

 

 

帰りたい理由も、今時だ。

 

直後に少女はBパッドを展開し、それを左腕に装着。さらにデッキを装填し、そこから1枚のカードをドローする。

 

 

「なんか大会やってるっぽいし、私が全員倒したらすぐ終わるんじゃね?…なぁガヴ」

 

 

ドローしたカードをBパッドへ叩きつけて、少女が呼び出したスピリットは、まるでお菓子のグミを纏ったような姿をしたライダースピリット。

 

一見ポップな雰囲気を漂わせているが、怪物のような足の爪、吊り上がった黄色い複眼からは、壮絶なバックボーンも感じさせられる。

 

 

「いや待て、そうなったら、あの数全員とバトルすることになるじゃん。それはダルい。やっぱ無し、別の方法模索しよ。ガヴも考えてくれ」

 

 

コロコロと意見を変える少女に、ガヴは「バトルのために呼び出したんじゃないの」とでも言いたげな様子で困惑する。

 

 

 

 

幾多ものカードバトラー達によって、延々と刻まれ続けて来た、バトルスピリッツの伝説。

 

一木花火、芽座椎名、アスラに続き、鉄華オーカミもまた、新たな伝説を刻んで見せた。

 

その魂を受け継いだ少女は、この世で最もおかしなカードを持つ、おかしなカードバトラー。のちに彼女が刻むこととなる伝説は、他の誰よりも歪で、捻くれていて、それでいて、おかしくて。

 

 

 






最後までご覧いただき、誠にありがとうございました!

歴代主人公達のバトルの執筆作業は、とても楽しい作業でした。



続編、バトルスピリッツ王者の鉄華2(https://syosetu.org/novel/387980/)の更新は、本日1/14、13時を予定しております。こちらもよろしければ是非ご覧ください!!
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